JP5805599B2 - 射出成形機の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に軸方向と回転方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、該スクリュの先端に逆流防止リングを備えた射出成形機の制御方法に関するものである。
射出成形機は、従来周知のように、加熱シリンダ、この加熱シリンダの内部に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュ、このスクリュを駆動する駆動装置等からなり、加熱シリンダの前方には射出ノズルが設けられている。
スクリュには、その先端に逆流防止リングが設けられている。より詳しく説明すると、スクリュの先端部には所定の径のシールリングすなわち押金と、この押金から前方に所定長さ突き出た軸部と、この軸部の先端に固定されているスクリュヘッドとが設けられている。逆流防止リングは外径が加熱シリンダの内径よりわずかに小さく、その内径が軸部より十分に大きい円筒状に形成されている。この逆流防止リングが、軸部に貫通されるようにして、スクリュヘッドと押金の間で軸方向に移動可能に設けられている。逆流防止リングと軸部との間には十分な隙間が確保されていて、射出材料はこの隙間つまり射出材料流路を通ってスクリュの前方に送られるが、逆流防止リングが押金に着座すると射出材料流路が閉鎖されて射出材料は流れない。このような射出成形機において、加熱シリンダを加熱してスクリュを回転駆動し、射出材料を加熱シリンダに供給すると、射出材料は溶融して加熱シリンダの前方に送られる。射出材料は射出材料流路を流れてスクリュの先端に計量される。計量が完了したら、スクリュを軸方向に駆動する。そうすると逆流防止リングが押金に着座して射出材料流路が閉鎖され、射出材料がスクリュによって押し出され、射出ノズルから型締めされた金型のキャビテイに射出される。冷却固化を待って金型を開くと成形品が得られる。
ところで射出材料を計量するとき、逆流防止リングはスクリュヘッドに押し付けられる。そして計量完了時には、逆流防止リングの前後に射出材料の圧力差が発生している。これによって計量が完了しても射出材料流路が閉鎖されていないので、射出材料の圧力差によって射出材料はスクリュの前方に流れようとし、計量が安定せず成形品の重量バラツキが発生する問題がある。この問題を解決する方法が、特許文献1、2によって提案されている。
特公平05−11740号公報 特許第4109294号公報
特許文献1には、計量における射出成形機の制御方法が記載されている。特許文献1に記載の方法においては、計量が完了したらスクリュの軸方向の位置が変動しないようにしてスクリュを逆方向に所定時間だけあるいは所定の回転角度だけ回転する。そうすると、逆流防止リングの上流側の射出材料の圧力が低下する。これによって計量完了後に射出材料がスクリュの先端に流れるのを防止することができ、成形品の重量バラツキを抑制することができる。
特許文献2にも、計量における射出成形機の制御方法が記載されている。この文献に記載の方法によると、計量が完了してスクリュの回転を停止したら、スクリュを所定のストロークだけ軸方向に前進させる。つまりわずかに射出動作をする。そうすると逆流防止リングの上流側の射出材料の圧力が低下し、下流側つまりスクリュの先端の射出材料の圧力が上昇し、逆流防止リングが押金に着座して、材料流路が閉鎖される。その後スクリュを軸方向の位置は維持した状態で逆回転する。そうすると逆流防止リングの上流側の射出材料の圧力が限りなく0に近づく。スクリュの回転を停止してスクリュを軸方向に後退させる。つまりサックバックをするとスクリュの先端部の射出材料の圧力も0に近づく。このとき、逆流防止リングが押金に着座した状態に維持されるように、射出材料の圧力は逆流防止リングの上流側よりも下流側を大きくなるように留意する。このように射出成形機を制御すると、計量後に射出材料がスクリュの前方に流れることを防止できるので、成形品の重量バラツキを抑制することができる。
特許文献1に記載の方法によっても、あるいは特許文献2に記載の方法によっても、計量後に射出材料がスクリュの前方に流れるのを防止することができるので、重量バラツキの小さい安定した品質の成形品を得ることができる。従って計量を安定させる方法としてスクリュを逆方向に回転する点については合理的であり格別に問題はない。しかしながら解決すべき点も見受けられ、特許文献1に記載の方法も特許文献2に記載の方法も、逆回転する時間、あるいは逆回転する回転角度について具体的な言及がない。スクリュを逆回転をすると逆流防止リングの上流側の射出材料の圧力を低下させることはできるが、どの程度の時間、あるいはどの程度の回転角度だけ逆回転させればいいのかについて具体的な言及がないので、逆回転に過不足が生じる可能性がある。逆回転が少ないと逆流防止リングの上流側の圧力の低下が十分でなく、射出材料がスクリュ前方に流れて計量にバラツキが出てしまうし、逆回転が多いと圧力が下がりすぎて、樹脂や添加剤の成分が気化してシルバーストリークが発生する危険がある。さらには必要以上に長時間逆回転すると、その分だけ成形サイクルが長くなってしまい生産コストが大きくなってしまう。逆回転の時間、あるいは回転角度の最適値を得るためには、実際に成形を繰り返し実施してテストする必要があり、時間や労力、材料の無駄が大きい。特にスクリュを交換するような場合には、スクリュ交換後に逆回転の時間や回転角度の最適値を得る必要があり、交換の都度無駄が発生する。特許文献2に記載の方法においては、別の問題も見受けられる。すなわちこの方法においては、逆流防止リングの上流と下流における射出材料の圧力を変化させるようにしているので、この方法を正確に実施しようとすると少なくとも逆流防止リングの上流側と下流側のそれぞれに圧力センサが必要になる。そうすると圧力センサが設けられていない射出成形機においては実施ができない。
したがって本発明は上記のような問題を解決する射出成形機の制御方法を提供することを目的としており、具体的には計量工程において、計量のバラツキが発生せず、結果として成形品の重量バラツキを抑制できる制御方法であって、射出成形機に圧力センサを設ける必要がなく、最適な制御方法を得るために成形を繰り返してテストする必要がない、射出成形機の制御方法を提供することを目的としている。
本発明は、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、スクリュには逆流防止リングが設けられている射出成形機の制御方法として構成される。逆流防止リングは、スクリュの先端に設けられている押金と、該押金から突き出ている軸部と、該軸部に固着されているスクリュヘッドの、軸部に貫通されている。そしてスクリュヘッドと押金の間で所定の閉鎖ストロークだけスライド自在になっている。この逆流防止リングが押金に着座すると、逆流防止リングと軸部の間に形成されている射出材料流路が閉鎖されるようになっている。このような射出成形機において射出材料を計量するとき、所定の射出材料が計量されたら、スクリュの回転を停止し、スクリュの軸方向の位置を維持した状態でスクリュを所定の回転角度だけ逆回転する。この回転角度は、逆流防止リングの閉鎖ストロークに該当する射出材料の体積と、同等の体積が逆流するのに要する回転角度とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュの先端には、押金と、該押金から突き出ている軸部と、該軸部に固着されているスクリュヘッドと、前記軸部に貫通されている逆流防止リングとが設けられており、前記逆流防止リングは、前記スクリュヘッドに当接する位置から前記押金に着座する位置までのストロークである閉鎖ストロークだけスライド自在になっており、前記逆流防止リングが前記押金に着座すると、前記逆流防止リングと前記軸部の間に形成されている射出材料流路が閉鎖されるようになっている射出成形機において、前記加熱シリンダに射出材料を供給して前記スクリュを回転し、前記スクリュの先端に射出材料を計量するとき、所定の射出材料が計量されたら、前記スクリュの回転を停止し、前記スクリュの軸方向の位置を維持した状態で、次式の回転角度Θ
Figure 0005805599
だけ前記スクリュを逆回転することを特徴とする射出成形機の制御方法として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項に記載の制御方法において、前記初期停滞角αは5〜30°であることを特徴とする射出成形機の制御方法として構成される。
請求項3に記載の発明は、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュの先端には、押金と、該押金から突き出ている軸部と、該軸部に固着されているスクリュヘッドと、前記軸部に貫通されている逆流防止リングとが設けられており、前記逆流防止リングは、前記スクリュヘッドに当接する位置から前記押金に着座する位置までのストロークである閉鎖ストロークだけスライド自在になっており、前記逆流防止リングが前記押金に着座すると、前記逆流防止リングと前記軸部の間に形成されている射出材料流路が閉鎖されるようになっている射出成形機であって、前記射出成形機のコントローラの記憶装置には、前記加熱シリンダの内径、前記軸部の外径、前記閉鎖ストロークが格納され、前記コントローラによって計量工程が実施されるとき、請求項1、または2に記載の制御方法が実施されることを特徴とする射出成形機として構成される。
以上のように、本発明によると、逆流防止リングを備えた射出成形機において、所定量の射出材料が計量されたら、スクリュの回転を停止して、スクリュの軸方向の位置を維持した状態で、スクリュを逆回転するように構成されている。計量直後には逆流防止リングはスクリュヘッド側に押し付けられていると共に、射出材料の圧力は逆流防止リングの上流側の方が下流側よりも高くなっているが、スクリュを逆回転するので射出材料がスクリュによって逆流して射出材料の圧力が上流側が低くなる。そうすると逆流防止リングが押金に着座することになる。つまり計量完了後に射出材料がスクリュ先端に流れ込むことを防止することができ、計量のバラツキ、成形品の重量バラツキを抑制することができる。そして本発明によると、スクリュを逆回転するときの回転角度は明確に与えられている。つまり所定の式によって与えられる射出材料の体積が、ちょうど逆流するだけの回転角度でスクリュを逆回転すればよい。そうすると適切な回転角度を得るために、成形を繰り返してテストする必要がない。計量のバラツキや成形品の重量バラツキを抑制するために、必要十分な最適な回転角度を得られることになる。そしてこの与えられた式には、パラメータとして射出材料の圧力は含まれていない。従って本発明を実施する上で、圧力センサを格別に設ける必要がない。従って、加熱シリンダ、スクリュ、逆流防止リングの寸法や仕様から、スクリュを逆回転する回転角度を一意的に算出することが出来る。
本発明の実施の形態に係る射出成形機を模式的に示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る射出成形機において、計量後にスクリュを逆回転させたときの回転角度と逆流防止リングによる閉鎖率との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る射出成形機において実験した結果を示すグラフであり、その(ア)は射出材料としてポリプロピレンを使用して背圧10MPaにて計量したときの、その(イ)は射出材料としてポリプロピレンを使用して背圧5MPaにて計量したときの、その(ウ)は射出材料としてポリスチレンを使用して背圧10MPaにて計量したときの、それぞれ計量後にスクリュを逆回転させたときの回転角度と逆流防止リングによる閉鎖率との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る射出成形機において実験した結果を示すグラフであり、その(ア)は閉鎖ストロークが標準のスクリュ、その(イ)は閉鎖ストロークが1.5倍のスクリュ、その(ウ)は閉鎖ストロークが2倍のスクリュのそれぞれについて、計量後にスクリュを逆回転させたときの回転角度と逆流防止リングによる閉鎖率との関係を示すグラフであり、その(エ)はこれらの結果をまとめたグラフである。
本実施の形態に係る制御方法は、スクリュに逆流防止リングが設けられているほとんどの射出成形機において実施が可能である。図1によって本実施の形態に係る射出成形機1を説明する。本実施の形態に係る射出成形機1も従来の射出成形機と同様に、加熱シリンダ2、この加熱シリンダ2内に設けられているスクリュ3、等から構成されている。図1には示されていないが加熱シリンダにはヒータが巻かれて加熱されるようになっており、先端にはアダプタ5と射出ノズル6が設けられている。図において駆動機構18が簡略的に示されているが、スクリュ3は、駆動機構18によって回転方向と軸方向とに独立して駆動されるようになっており、コントローラ19からの指令によって正確に制御されるようになっている。スクリュ3にはフライト7が形成されており、加熱シリンダ2の後方のホッパから射出材料を供給してスクリュ3を回転すると射出材料が溶融してスクリュ3の前方に送り出され、スクリュ3の先端に計量されるようになっている。そして計量後、スクリュ3を軸方向に駆動すると射出材料が射出ノズル6から射出されるようになっている。
本実施の形態に係る射出成形機1においても、射出材料の計量時には射出材料の流路を確保し、射出時には射出材料の逆流を防止する逆流防止リング9が設けられている。逆流防止リング9は円筒状を呈し、次のようにスクリュ3に設けられている。すなわちスクリュ3の先端には所定の径のシールリング、つまり押金11が設けられ、この押金11には所定長さの軸部12が前方に突き出ている。そして軸部12の先端にはスクリュヘッド13が固定されている。逆流防止リング9は、この軸部12に挿通されるように設けられている。逆流防止リング9はスクリュヘッド13に当接する位置と、押金11に着座する位置の間で所定のストロークだけ、つまり閉鎖ストロークtだけスクリュ3に対してスライド可能になっている。逆流防止リング9の外径は加熱シリンダ2の内径Dよりわずかに小さく、内径は軸部12の外径dよりも十分に大きい。従って逆流防止リング9の外周面と加熱シリンダ2の内周面との間において射出材料の漏れは生じないが、逆流防止リング9と軸部12の間には十分な隙間が確保されることになり、射出材料が流れるようになっている。つまりこの隙間が射出材料流路14になっている。スクリュヘッド13には切欠16、16が形成されているので、逆流防止リング9がスクリュヘッド13に当接していても射出材料流路14は閉鎖されない。しかしながら逆流防止リング9が押金11に着座すると、射出材料流路14は閉鎖されることになる。本実施の形態に係る射出成形機1においては、コントローラ19の記憶装置には、加熱シリンダ2の内径、軸部12の外径、閉鎖ストロークt、そしてスクリュ3のフライト高さ、フライトのピッチ、フライトのリード角等が格納され、計量工程において本実施の形態に係る制御方法を実施できるようになっている。
本実施の形態に係る制御方法は、計量工程に特徴がある。計量工程は、途中までは従来周知のように実施する。すなわち加熱シリンダ2をヒータによって加熱し、スクリュ3に所定の背圧を掛けながら回転する。加熱シリンダ2の後方のホッパから射出材料を供給すると、加熱シリンダ2の熱とスクリュ3の回転によるせん断の熱で射出材料が溶融し、スクリュ3によって前方に送られる。射出材料は射出材料流路14を通ってスクリュヘッド13の前方に送られる。すなわち計量され、スクリュ3がその分だけ軸方向に後退する。このとき射出材料の圧力は、逆流防止リング9の上流側の方が下流側よりも大きいので、逆流防止リング9はスクリュヘッド13に押し付けられている。所定量の射出材料が計量されたら、スクリュ3の回転を停止する。
本実施の形態に係る制御方法では、この後、スクリュ3の軸方向の位置が維持されるようにして、スクリュ3を所定の回転角度だけ逆方向に回転する。回転角度は、逆回転によって逆流する射出材料の体積を基準に決定する。本発明においては、この体積を、逆流防止リング9が閉鎖ストロークtだけスライドすることによって移動する樹脂材料の体積Vとする。この体積Vは、高さt、外径D、内径dの円筒の体積で与えられるので、次の1式のようになる。
Figure 0005805599
なお一般的に、押金11や逆流防止リング9は、それぞれの着座面がテーパ状に形成されているが、逆流防止リング9の閉鎖ストロークtに対応する樹脂材料の体積Vは着座面の形状に拘わらず1式で与えられる。本実施の形態に係る制御方法では、1式で与えられる体積Vだけ逆流させるようにスクリュ3を逆回転する。そうすると逆流防止リング9の上流側の射出材料の圧力が低下して逆流防止リング9が押金11に着座して、射出材料流路14が閉鎖する。あるいは着座しない場合でも、逆流防止リング9が押金11の近傍にスライドする。そうすると実質的に射出材料流路14が閉鎖され、逆流防止リング9の上流側の射出材料の圧力は十分に低下しているので射出材料がスクリュ3の先端に流れることがない。これによって計量のバラツキ、成形品の重量バラツキを抑制することができる。
ところで、スクリュ3を軸方向の位置が維持されるようにして回転させるとき、スクリュ3によって軸方向に送り出される射出材料の時間あたりの流量Qは、加熱シリンダの内径D、スクリュ3のフライト7の高さh、ピッチt、リード角φ、スクリュの回転数N、射出材料の粘度μ、スクリュの軸方向の射出材料の圧力勾配dP/dλによって、次の2式のように与えられる。
Figure 0005805599
2式はスクリュ3における射出材料の流量を表す周知な式であり、その第1項はいわゆるdrag flow、第2項はpressure flowになっている。スクリュ3を逆回転して射出材料を逆流させるときにおいて、流量Qに対する第2項のpressure flowの寄与の度合いは実質的にゼロとすることができる。これを確認するために次の実験を行った。
加熱シリンダ2の一部を耐熱硝子から形成して、加熱シリンダ2の内部を視認できるようにした射出成形機1を使用して、次のA1〜A3の実験を行った。この実験の目的は、射出材料の圧力勾配dP/dλや粘度μを変化させたときに、スクリュ3によって送られる射出材料の量に変化があるか否かを確認し、それによってpressure flowの寄与の度合いを評価することである。
実験A1:
射出成形機1において、射出材料としてポリプロピレンPPを供給し、スクリュ3に背圧10MPaを印加してスクリュ3を回転して所定量の計量を実施した。スクリュ3の回転を停止した状態から、スクリュ3の軸方向の位置が維持されるようにして逆回転して、回転角度と閉鎖率の関係を得た。実験では、スクリュ3の逆回転の速度を30rpm、60rpm、120rpmと変えて3回テストした。グラフを図3の(ア)に示す。なお、閉鎖率は逆流防止リング9の閉鎖ストロークtに対するスライド位置の割合を示しており、スクリュヘッド13に当接している状態が0%、押金11に着座している状態が100%である。
実験A2:
実験A1と同じ射出材料のポリプロピレンPPを供給して計量したが、計量時の背圧は5MPaとした。他の条件は全て実験A1と同様とした。逆回転の回転角度と閉鎖率の関係のグラフを図3の(イ)に示す。
実験A3:
実験A1と異なる射出材料であるポリスチレンPSを供給して計量した。計量時の背圧は実験A1と同様の10MPaとし、他の条件は全て実験A1と同様とした。逆回転の回転角度と閉鎖率の関係のグラフを図3の(ウ)に示す。
実験A1と実験A2は、計量時の背圧が相違している。つまり射出材料のスクリュ3の軸方向の圧力勾配dP/dλが実験A2では実験A1よりも2倍大きいと言える。また実験A1と実験A2とは、射出材料が相違している。つまり異なる粘度μによって実験をしたことになる。しかしながら、いずれの実験A1〜A3においても、回転角度が15〜20°に達するまでは閉鎖率が0%であり、閉鎖率が100%に達するのは回転角度が80〜95°であって、閉鎖率の変化は圧力勾配dP/dλや粘度μによる影響を受けないことが分かった。閉鎖率の変化は、スクリュ3によって逆流する射出材料の流量と密接に関係しているので、2式の流量Qにおいて圧力勾配dP/dλや粘度μを含んだ第2項、つまりpressure flowの寄与は実質的にゼロと見なすことができ、無視することができることが確認できた。
2式から第2項を消去した式を次の3式に示す。また3式において、時間を両辺に乗じて時間の次元を消去すると4式が得られる。すなわちスクリュ3を逆回転させたときの回転角度θと射出材料の送り量Vの関係が得られる。
Figure 0005805599
1式で与えられる閉鎖ストロークtによる射出材料の体積Vと、4式で与えられるスクリュ3の送り量Vとが等しいとしてスクリュ3の回転角度θを解くと、回転角度θは5式で与えられる。
Figure 0005805599
つまりスクリュ3を逆回転するとき、スクリュ3を5式で与えられる回転角度θだけ回転すると、閉鎖ストロークtに対応する射出材料を逆流させることができる。そうすると逆流防止リング9は押金11に着座するはずである。しかしながら、実験A1〜A3によって、スクリュ3を逆回転した直後には、所定の回転角度に達するまで閉鎖率は変化しないことが判明している。すなわち閉鎖率は図2のグラフに示されているように変化するが、スクリュ3を逆回転した直後には、回転角度θが所定の初期停滞角αに達するまで閉鎖率は0%のままである。その後、閉鎖率が上昇して100%に達するが、閉鎖率の変化開始から100%に達するのに要する閉鎖角βにおいては、スクリュ3の回転角度θと閉鎖率の変化は比例している。そこで初期停滞角αを考慮し、これを5式に加えて6式を得た。すなわち6式で与えられているスクリュ3の回転角度Θは、逆流防止リング9が実質的に押金11に着座するのに必要なスクリュ3の回転角度を表している。なお、初期停滞角αは、樹脂の種類、スクリュ3の逆回転の回転数、閉鎖ストロークtに関係なく概ね15〜20°の範囲であるが、他の条件によっては5〜30°の範囲も見込まれる。従って本発明においては初期停滞角αの範囲は5〜30°とする。
閉鎖ストロークtが標準幅、標準幅の1.5倍、標準幅の2倍の、それぞれ異なるスクリュ3を用意し、スクリュ3の逆回転の回転角度と閉鎖率の変化を調べた。なお使用した射出材料はポリプロピレンPPであり、計量時の背圧は10MPaとし、スクリュ3の回転数は30rpm、60rpm、120rpmの3種類でテストした。図4の(ア)、(イ)、(ウ)は、閉鎖ストロークtが標準幅、標準幅の1.5倍、標準幅の2倍のそれぞれにおけるスクリュ3の逆回転の回転角度と閉鎖率の変化を示すグラフである。得られた結果から、初期停滞角αは15〜20°であり、その後の閉鎖率の上昇の傾きは、閉鎖ストロークtが大きくなると、小さくなることが分かる。これらの実験から、閉鎖ストロークtと閉鎖角βの関係を得、図4の(エ)に示す。この閉鎖角βは、図4の(ア)〜(ウ)において、閉鎖率が100%に達した回転角度から初期停滞角αを差し引いた角度である。図4の(エ)から閉鎖ストロークtと閉鎖角βは比例していることが分かる。次いで5式によって、それぞれの閉鎖ストロークtにおける閉鎖角βの理論値θを計算した。上記の実験から得られた閉鎖角βと理論値θとの比較を表1に示す。表における角度の単位は度である。これらの比較から、実験で得られた閉鎖角βと理論値θがよく適合していることが分かる。
Figure 0005805599
本発明においては計量が完了した後に、スクリュ3を逆回転して、閉鎖ストロークtに対応する体積の樹脂材料が逆流するようにスクリュ3を所定の回転角度Θだけ逆回転するようにしている。これによって逆流防止リング9が押金11に着座して射出材料流路14が閉鎖されるように説明した。しかしながら必ずしも、逆流防止リング9が押金11に着座することは要求されない。すなわち6式で与えられる回転角度Θだけスクリュ3を逆回転させても逆流防止リング9が押金11に着座しない場合もある。この場合でも逆流防止リング9は押金11の近傍にスライドし、逆流防止リング9の上流側の射出材料の圧力は十分に低下するので、射出材料がスクリュ3の先端に流れ込むのを防止できる。このように逆流防止リング9が完全に押金11に着座していない場合であっても、スクリュ3を軸方向に駆動して射出するときは、速やかに逆流防止リング9が押金11に着座して、射出材料の漏れがなく射出することができる。
1 射出成形機 2 加熱シリンダ
3 スクリュ 6 射出ノズル
7 フライト 9 逆流防止リング
11 押金 12 軸部
13 スクリュヘッド 14 射出材料流路

Claims (3)

  1. 加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュの先端には、押金と、該押金から突き出ている軸部と、該軸部に固着されているスクリュヘッドと、前記軸部に貫通されている逆流防止リングとが設けられており、前記逆流防止リングは、前記スクリュヘッドに当接する位置から前記押金に着座する位置までのストロークである閉鎖ストロークだけスライド自在になっており、前記逆流防止リングが前記押金に着座すると、前記逆流防止リングと前記軸部の間に形成されている射出材料流路が閉鎖されるようになっている射出成形機において、
    前記加熱シリンダに射出材料を供給して前記スクリュを回転し、前記スクリュの先端に射出材料を計量するとき、所定の射出材料が計量されたら、前記スクリュの回転を停止し、前記スクリュの軸方向の位置を維持した状態で、
    次式の回転角度Θ
    Figure 0005805599
    だけ前記スクリュを逆回転することを特徴とする射出成形機の制御方法。
  2. 請求項に記載の制御方法において、前記初期停滞角αは5〜30°であることを特徴とする射出成形機の制御方法。
  3. 加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュの先端には、押金と、該押金から突き出ている軸部と、該軸部に固着されているスクリュヘッドと、前記軸部に貫通されている逆流防止リングとが設けられており、前記逆流防止リングは、前記スクリュヘッドに当接する位置から前記押金に着座する位置までのストロークである閉鎖ストロークだけスライド自在になっており、前記逆流防止リングが前記押金に着座すると、前記逆流防止リングと前記軸部の間に形成されている射出材料流路が閉鎖されるようになっている射出成形機であって、前記射出成形機のコントローラの記憶装置には、前記加熱シリンダの内径、前記軸部の外径、前記閉鎖ストロークが格納され、前記コントローラによって計量工程が実施されるとき、請求項1、または2に記載の制御方法が実施されることを特徴とする射出成形機
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