JPH05107717A - ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 コンパクト化、公害防止、省力化を行ない、
かつ劣化処理液が進行中の現像処理品質に悪影響を及ぼ
さない自動現像機を提供する。 【構成】 感光材料を連続処理する自現機の処理液の性
能を一定に保つ補充用固形処理剤24の補給装置８を有す
る自動現像機において、処理剤補給槽（サブタンク）20
の液面に対向して、該処理剤24を収納する供給トレーを
設け、該固形処理剤を１つずつ該サブタンク20の循環液
流の流速の高いところ又は渦流の起るところに投入して
供給できる構成とした。そして、投入信号を受けたとき
は、所定個数の固形処理剤24がサブタンク20へ落下投入
し殆ど瞬時溶解できるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化銀写真感光
材料（以下、感光材料ともいう）を処理する自動現像機
（以下、自現機ともいう）に関する。更に詳しくは自動
現像機の処理剤補給装置の構成の改善に関し、自動現像
機のコンパクト化及び作業性の改善がはかられ、更に安
定した写真性能が得られる自動現像機に関する。

【０００２】

【従来の技術】感光材料は露光後、現像、脱銀、洗浄、
安定化等の工程により処理される。現像には黒白現像
液、カラー現像液、脱銀処理には漂白液、漂白定着液、
定着液、洗浄には水道水、又はイオン交換水、安定化処
理には安定液がそれぞれ使用される。各処理液は通常30
〜40℃に温度調節され、感光材料はこれらの処理液中に
浸漬され処理される。

【０００３】このような処理は、通常、自動現像機（以
下、自現機ともいう）等により、上記の処理液を収納し
た処理槽間を感光材料を順次搬送させることによって行
われる。

【０００４】このような場合には、処理槽内の処理液の
活性度を一定に保つために各処理液に補充液を補充する
方式が採られている。

【０００５】具体的には、補充用タンクから、補充液を
適時処理槽内に供給しつつ処理作業を行うようにしてい
る。

【０００６】この場合、補充用タンクに貯溜される補充
液自体は別の場所で作製され、必要に応じて補充用タン
ク内に補充されるのが普通であるが、その作製に当たっ
ては、従来から次のような手作業的な方法が採られるて
いる。

【０００７】すなわち、補充処理剤は粉末状あるいは液
体状で供給されており、使用に際しては、粉末の場合は
一定量の水に溶解することにより調液され、又液体状の
場合も濃縮されているから水で一定量に希釈して用いら
れる。

【０００８】補充タンクは自現機の横に設置される場合
があり、相当のスペースを確保する必要がある。又、最
近急増しているミニラボにおいても自現機本体に補充タ
ンクを内蔵するようにしているが、この場合も補充タン
クのスペースを確保する必要がある。

【０００９】補充処理剤は、写真処理に際して良好な性
能を発揮するように各種成分（以下パーツ剤ないしパー
ト剤と称する。）からなっており、これらのパーツ剤は
互いに接触した状態におかれると長い間には反応し変質
したりして写真処理剤としての機能が損なわれる。特に
処理剤中には酸化還元反応により互いに反応し易いもの
が多いため、一般には１種又は２種以上のパーツ剤に分
けてキット化されており、使用時にこれらを一定量の水
で溶解して使用に供している。

【００１０】上記キット化されたパーツ剤は、例えば、
各々瓶、袋等の内包容器に入れられ、これらをまとめて
外装（例えば段ボール箱）に入れて１単位として市販さ
れている。

【００１１】上記パーツ剤がキット化された補充処理剤
は、溶解、希釈、混合後、一定量に仕上げて使用される
が、該補充処理剤には次のような欠点がある。即ち、各
パーツ剤が瓶等の容器に各々単独に入れられており、補
充処理剤によってはパーツ剤が数本に及び、１単位とも
なると該容器の数がかなり多くなり、貯蔵や輸送の際、
多くのスペースを必要とするばかりでなく、空になった
容器の廃棄にも問題があった。また補充処理剤を構成す
るパーツ剤が数種類からなる場合は、各パーツ剤は各々
単独に容器に入れられて散在しているので、各パーツ剤
を見つけ出すのに手間を要し、調液の作業能率を著しく
低下させていた。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は感光
材料の現像処理を自現機を用いて行うにあたり、最近の
自現機のコンパクト化の動向に合致させる為にできるだ
け、自現機本来の必要不可欠の部位のみで自現機を構成
させることをねらっている。

【００１３】一方、近年、ヨーロッパ、アメリカを中心
にして環境保全、省資源化が強く望まれており、写真関
係では補充処理剤のポリ容器が特に問題になっている。
即ち、写真用のポリ容器はコストが安く貯蔵や輸送にも
便利で耐薬品性に優れているものの、空になった容器は
産業廃棄物として埋め立てられるか廃棄され、或は焼却
されるが、ポリ容器は生分解性がほとんどなく、蓄積さ
れ、焼却した場合は炭酸ガスの大量の発生を伴い、地球
の温暖化や酸性雨等の一因になるという問題がある。ま
た、ユーザーの問題としては作業スペースの狭いところ
にポリ容器が大量に山積みされ、更にスペースを狭くし
ている等の問題が指摘されている。

【００１４】更に、自現機により処理される感光材料の
仕上がり品質を安定させる為、処理液性能の安定化も望
まれている。処理液性能を安定に保つ為のポイントを挙
げると、最近の低補充化の動向から重要な項目は補充レ
イトの管理と、蒸発による処理液の濃縮化の防止であ
る。

【００１５】補充レイトの管理については、定期的な補
充量のチェックが必要であるが、最近のミニラボにおい
ては、定期的なチェックは各自現機を販売したメーカー
が担当し、１ヶ月に１回程度の巡回時に行われているの
が実状である。従って、補充レイトが狂っていても巡回
チェック迄は放置されることになる。又、蒸発による処
理液の濃縮化防止についても、ミニラボにおいては、ユ
ーザーが毎朝自現機の温調完了時に前日から自現機停止
時に蒸発して液面低下した量に対して温水を加えて蒸発
補正しているが、規則正しく毎日きちんと蒸発補正を励
行すればよいが、時々忘れたり、人が変わったりした場
合は規則が守れなく、処理液濃度の変動を起こす要因と
なっている。

【００１６】一方、固形処理剤は処理剤補給槽に投入す
る前に既に変質したりしていてはならない。特に錠剤に
した処理剤はカートリッジ即ち錠剤補給トレーの中に装
填されて補充の指令と共に前記補給槽に投入供給してい
かねばならないが、固形処理剤が補給槽に投入されたら
早急に溶解して処理液性能を正常な一定値に回復させな
ければならない。

【００１７】

【発明の目的】そこで本発明の目的は、第１に、自現機
の補充液ストックタンクを無くしてコンパクト化を計る
ことににあり、第２に、プラスチックボトルを実質的に
使用しない、低公害化システムの提供にあり、第３に、
処理液の濃縮化を防ぐ蒸発補正方法の提供にあり、第４
に、手作業による補充液の調液作業及び蒸発補正作業工
程をフリー化することで省力化を計ることにあり、第５
に、投入する固形処理剤は、常に高性能品質が保持され
ている状態にしておき投入されれば直ちに溶解して均一
一定な処理液性能が正常に回復されるようにすることに
ある。

【００１８】

【課題を解決するための手段】この目的は次の技術手段
ａ，ｂ，ｃのいずれか１つによって達成される。

【００１９】（ａ）ハロゲン化銀写真感光材料を連続処
理する自動現像機の処理液性能を一定に保つ補充用固形
処理剤補給装置を有する自動現像機において、該補充用
固形処理剤を収納する供給トレーより固形処理剤補給槽
内の循環処理液流の高速部又は渦流部近傍に該処理剤を
投入するようにしたことを特徴とするハロゲン化銀写真
感光材料用自動現像機。

【００２０】（ｂ）前記補充用固形処理剤が錠剤、顆
粒、又は塊状の実質的に固形化されている処理剤である
ことを特徴とするａ項記載のハロゲン化銀写真感光材料
用自動現像機。

【００２１】（ｃ）前記補充用固形処理剤の補給と、補
充水の補給は、処理される感光材料の面積を検出して補
給されるようにしたことを特徴とするａ項又はｂ項に記
載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。

【００２２】

【実施例】次に本発明を第１の実施例に従い、更に具体
的に説明するが、本発明の実施の態様が下記に限定され
るものではない。

【００２３】図１は本発明に係る自現機の一例を示す概
略説明図であり、カラーネガティブフィルムの処理装置
の制御機構を簡単にあらわしたものである。

【００２４】カラーネガティブフィルムが感光材料挿入
部13より搬入され、感光材料面積検出センサー７を通過
し、一定量の面積が検出されると、補充用固形処理剤補
給装置８と補充水補給装置10及び電磁弁12が制御部11の
信号を受けて作動し、補充用固形処理剤と調液用補充水
が各処理槽１，２，３，６にそれぞれ必要量補給され
る。

【００２５】又、自現機を数時間温調しておくと、各処
理槽１〜５の処理液17の蒸発が起こり、一定液面以下に
なると、液面検出センサー９が働き、制御部11の信号を
受けて補充水補給装置10及び電磁弁12を作動させ、液面
検出センサー９の上限検出機構が働く迄、蒸発補正用補
充水が補給される。尚、一般の水道水は冷却装置160の
タンク161に給水され、制御部11の指令により電磁弁16
2，163を開放し、ポンプＰ166が駆動されて各処理液槽
１，２，３，６内の吸熱パイプ164内を循環して処理液
槽の処理液を一様に冷却可能にしてある。また各槽には
温調ヒーター19が設けられていてこれも前記制御部11か
らの指令信号を受けて加熱調温がなされる。

【００２６】即ち、各槽に設けられた処理液温度検出に
より制御部11が働き、各槽処理液温が所定値内に入るよ
うに管理される。

【００２７】これと共に、冷却水14は、調液用補充水又
は蒸発補正用補充水として前記制御部11からの指令信号
により冷却装置160のタンク161のバルブ165が開かれる
ことにより、補充水補給装置10と電磁弁12の開放により
供給される。

【００２８】また、水洗槽５へは冷却水14が直接供給さ
れる配管が併用されている。冷却水は18℃前後の市営水
道水がそのまま使用できる。尚また、各処理槽１〜５
は、１は発色現像槽、２は漂白槽、３は定着槽、４，５
は水洗槽、６は安定槽を夫々表す。さらに６Ａは乾燥部
である。

【００２９】図２に、補充処理剤として錠剤状に固形化
されたものを用いた場合の補充処理剤補給装置８の一実
施例を概略説明図として示す。

【００３０】感光材料面積検出センサー７の信号を受け
て、制御部11が働き、固形補充用固形処理剤補給カム22
が作動すると、補充用固形処理剤押し爪23がカートリッ
ジ25に収容された固形状の補充処理剤24を各処理槽１，
２，３，６の補充処理剤溶解部であるサブタンク20内の
濾過装置21の外側に１個ないし数個補給する。補給され
た錠剤状の補充用固形処理剤24は早急に溶解し、濾過装
置21を通して循環ポンプ18により各処理槽１，２，３，
６のメイン処理タンク16中に供給される。尚、循環ポン
プ18によりメイン処理タンク16とサブタンク20とを循環
する処理液17の循環流の全部又は大部分をサブタンク20
内の濾過装置21を直接通過するように構成すれば、補充
用固形処理剤24の溶解性がより高まることとなる。図に
おいて、19は温調ヒーター、26はカートリッジ25内の補
充用固形処理剤24を押圧保持するための押しバネ、27は
各処理槽１，２，３，６のメイン処理タンク16とサブタ
ンク20とを連絡する連通管、28は処理ラック、29はオー
バーフロー口である。

【００３１】図３は補充水補給部の一例を示す概略説明
図である。

【００３２】図３においても図２同様補充用固形処理剤
24は、錠剤状に固形化されたものを用いている。

【００３３】感光材料面積検出センサー７の信号を受け
て、制御部11が働き、補充用固形処理剤補給カム22及び
補充用固形処理剤押し爪23が作動し、補充用固形処理剤
24を補給すると同時に補充水補給装置10と電磁弁12が作
動し、調液用補充水が補給される。調液用補充水の補給
量は、補充用固形処理剤24を溶解するに必要量以上で制
御部11にあらかじめ電磁弁12を補充水供給装置10の作動
時間をインプットしておくことで解決できる。

【００３４】又、自現機温調中又は停止中に処理槽１〜
６の処理液17が蒸発により液面低下を起こした場合は、
液面検出センサー９が低下した液面を検知し、信号を制
御部11に伝達し、電磁弁12と補充水補給装置10を作動さ
せ、正規の液面レベルまで、蒸発補正用補充水を補給す
る。正規の液面に達すると、液面検出センサー９が正規
の液面を検知し、信号を制御部11に伝達し、電磁弁12と
補充水補給装置10の作動を停止させる。

【００３５】ここで、補充用固形処理剤24の溶解は迅速
確実に行われなければならない。

【００３６】そのため、固形処理剤24は図２に示す第１
の実施例のように循環液流の流速が大きくかつ渦流の起
る領域としてサブタンク20とメイン処理タンク16との連
通部27Ａの近傍を該処理剤が投入後溶解されながら通過
できるようにしたことにより溶解の迅速効果が得られ
る。

【００３７】そして、図４に示す第２の実施例のように
前記連通部27Ａのやや下方に網状の補充用固形処理剤24
の網状棚20Ａを設け投入された補充用固形処理剤24を流
速の大きい渦流部に位置させて迅速溶解の進行に効果を
あげている。

【００３８】そして、更に図５に示す第３の実施例のよ
うに補充用固形処理剤24をサブタンク20の濾過フィルタ
ー39に囲まれた濾過装置21の内部に投入供給させて、該
処理剤24をサブタンク底部で濾過装置21の内部に位置さ
せ丁度、その領域がフィルターを介して流速の大きい渦
流部である連通部27Ｂの近傍になっている。

【００３９】これにより補充用固形処理剤24は処理液の
烈しい吸込み流速を浴びてスムーズに溶解してしまう効
果をあげた。

【００４０】このようにして補充用固形処理剤はサブタ
ンク20内に投入補給されて、直ちに処理液循環されなが
ら処理液性能をもとの一定値に戻して保持するようにし
てある。その際、溶解と循環の確実さと迅速な回復によ
って処理液に一時的な劣化を持続させることなく常に正
常な写真処理が維持できるようになる。

【００４１】

【発明の効果】本発明により自現機の占める容積を従来
のものよりはるかに小さくすることが可能になり、従来
使っていたプラスチックボトルを全く不要とさせる低公
害化システムが可能になり、蒸発による濃縮化や処理液
の酸化や持出しによる減力が起ってもその状態に応じて
その回復のための水の補給や補給用固形処理剤の補給が
自動的に行われるので、今までの人力による作業がなく
なり、その作業を省力させることが可能になった。

【００４２】更に、補給用固形処理剤がサブタンク内に
投入時にサブタンク中で溶解が進まず処理液の劣化回復
がおくれ、その間の写真処理品質が低下させられること
がなくなり、確実で迅速な固形処理剤の溶解が可能とな
り安全にコンパクトな現像システムが展開できるように
なった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る自現機の一例を示す概略説明図。

【図２】固形処理剤送り出し投入の状態を表す１実施例
の概略説明図。

【図３】固形処理剤送り出し投入状態及び補充水の供給
状態を表す第１の実施例の概略説明図。

【図４】固形処理剤送り出し投入状態を表す第２の実施
例の概略説明図。

【図５】固形処理剤送り出し投入状態を表す第３の実施
例の概略説明図。

【符号の説明】

１ 発色現像槽 ２ 漂白槽 ３ 定着槽 ４，５ 水洗槽 ６ 安定槽 ６Ａ 乾燥部 ７ 感光材料面積検出センサー ８ 補充用固形処理剤補給装置 ９ 液面検出センサー 10 補充水補給装置 11 制御部 12 電磁弁 13 感光材料挿入部 14 冷却水 15 補充水補給管 16 メイン処理タンク 17 処理液 18 循環ポンプ 19 温調ヒーター 20 サブタンク 20Ａ 網状棚 21 濾過装置 24 補充用固形処理剤 27Ａ 連通部 27Ｂ 連通部 39 濾過フィルター

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハロゲン化銀写真感光材料を連続処理す
   る自動現像機の処理液性能を一定に保つ補充用固形処理
   剤補給装置を有する自動現像機において、該補充用固形
   処理剤を収納する供給トレーより固形処理剤補給槽内の
   循環処理液流の高速部又は渦流部近傍に該処理剤を投入
   するようにしたことを特徴とするハロゲン化銀写真感光
   材料用自動現像機。
2. 【請求項２】 前記補充用固形処理剤が錠剤、顆粒、又
   は塊状の実質的に固形化されている処理剤であることを
   特徴とする請求項１記載のハロゲン化銀写真感光材料用
   自動現像機。
3. 【請求項３】 前記補充用固形処理剤の補給と、補充水
   の補給は、処理される感光材料の面積を検出して補給さ
   れるようにしたことを特徴とする請求項１又は請求項２
   に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。