JPH05106070A - ポンプの防食方法 - Google Patents
ポンプの防食方法Info
- Publication number
- JPH05106070A JPH05106070A JP3264521A JP26452191A JPH05106070A JP H05106070 A JPH05106070 A JP H05106070A JP 3264521 A JP3264521 A JP 3264521A JP 26452191 A JP26452191 A JP 26452191A JP H05106070 A JPH05106070 A JP H05106070A
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- JP
- Japan
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- pump
- power source
- silicate
- calcium carbonate
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- Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
- Prevention Of Electric Corrosion (AREA)
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】ポンプのすき間部分に炭酸カルシウムやけい酸
塩の析出付着することを防止しながらカソード防食をす
る。 【構成】ポンプの防食のためにアノード極を取付ける。 【効果】本発明によればポンプのすき間構成部分もしく
は摺動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩が析出
付着することを防ぎ、ポンプ表面の腐食も防止する。
塩の析出付着することを防止しながらカソード防食をす
る。 【構成】ポンプの防食のためにアノード極を取付ける。 【効果】本発明によればポンプのすき間構成部分もしく
は摺動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩が析出
付着することを防ぎ、ポンプ表面の腐食も防止する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は海水揚水ポンプ,水中ポ
ンプ,海洋構造物など強度に防食が要求される機械およ
び構造物に関する。
ンプ,海洋構造物など強度に防食が要求される機械およ
び構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】犠牲陽極による防食方法(社団法人,腐
食防食協会編,防食技術便覧)は被防食金属体に金属が
もつ電極電位よりも卑電位な金属材料を接触もしくは接
続させて、その電極電位差に基づく卑電位な金属材料の
アノード溶解作用により被防食金属体をカソード防食す
るものである。しかし、海水などのようにカチオンやけ
い酸塩などを多く含有する水中に本防食方法をそのまま
適用すると被防食体である機械装置は防食されるものの
全てが有効であるとは限らないことがある。
食防食協会編,防食技術便覧)は被防食金属体に金属が
もつ電極電位よりも卑電位な金属材料を接触もしくは接
続させて、その電極電位差に基づく卑電位な金属材料の
アノード溶解作用により被防食金属体をカソード防食す
るものである。しかし、海水などのようにカチオンやけ
い酸塩などを多く含有する水中に本防食方法をそのまま
適用すると被防食体である機械装置は防食されるものの
全てが有効であるとは限らないことがある。
【0003】例えば、海水中でステンレス鋼ポンプに犠
牲陽極の理論に基づいてステンレス鋼よりも電極電位が
卑電位な炭素鋼などのような金属材料を接触もしくは接
続させて、炭素鋼のアノード溶解作用によりステンレス
鋼ポンプをカソード防食するとポンプ自体は全面的にカ
ソード防食される。また、その結果、海水中のカルシウ
ムイオンやけい酸イオンがカソード面に吸着し還元され
てカルシウム塩やけい酸塩として付着する。これらはポ
ンプ表面では保護皮膜として防食効果をもつが微細流路
であるすき間や摺動部に付着した場合には微細流路を閉
鎖したり回転軸の摺動抵抗を増加させる結果、軸動力の
上昇につながり危険な状態を招来することになる。犠牲
陽極による防食方法はこれらについての対処が開示され
ていない問題がある。
牲陽極の理論に基づいてステンレス鋼よりも電極電位が
卑電位な炭素鋼などのような金属材料を接触もしくは接
続させて、炭素鋼のアノード溶解作用によりステンレス
鋼ポンプをカソード防食するとポンプ自体は全面的にカ
ソード防食される。また、その結果、海水中のカルシウ
ムイオンやけい酸イオンがカソード面に吸着し還元され
てカルシウム塩やけい酸塩として付着する。これらはポ
ンプ表面では保護皮膜として防食効果をもつが微細流路
であるすき間や摺動部に付着した場合には微細流路を閉
鎖したり回転軸の摺動抵抗を増加させる結果、軸動力の
上昇につながり危険な状態を招来することになる。犠牲
陽極による防食方法はこれらについての対処が開示され
ていない問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポンプのすき間構成部
分もしくは摺動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸
塩が析出付着することを防ぐとともにポンプの表面の腐
食も防食する。
分もしくは摺動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸
塩が析出付着することを防ぐとともにポンプの表面の腐
食も防食する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ステンレス鋼
などに電位が−1000mVよりも大きい金属体、例え
ば、炭素鋼などを接触させると炭素鋼のアノード溶解と
同時に起こるカソード反応によりカソード防食される表
面には炭酸カルシウムやけい酸塩が析出付着しやすくな
る。そのため、ステンレス鋼からなるポンプの表面を防
食する手段として、ポンプの表面に一端もしくは複数の
接続端子を設けて、これに表面を絶縁した電気導体を接
続し、その他端に鉄合金からなる金属体を固定し、ポン
プとこれら鉄合金からなる金属体との中間に回路の開閉
を調節できる装置を設置して任意の期間ポンプの表面を
カソード防食作用を行うと同時に、ポンプの表面に炭酸
カルシウムやけい酸塩を析出させてこれらの保護皮膜層
を所定の厚さに形成させて以降はこれら保護皮膜層によ
りポンプの表面を防食することを特徴とする。
などに電位が−1000mVよりも大きい金属体、例え
ば、炭素鋼などを接触させると炭素鋼のアノード溶解と
同時に起こるカソード反応によりカソード防食される表
面には炭酸カルシウムやけい酸塩が析出付着しやすくな
る。そのため、ステンレス鋼からなるポンプの表面を防
食する手段として、ポンプの表面に一端もしくは複数の
接続端子を設けて、これに表面を絶縁した電気導体を接
続し、その他端に鉄合金からなる金属体を固定し、ポン
プとこれら鉄合金からなる金属体との中間に回路の開閉
を調節できる装置を設置して任意の期間ポンプの表面を
カソード防食作用を行うと同時に、ポンプの表面に炭酸
カルシウムやけい酸塩を析出させてこれらの保護皮膜層
を所定の厚さに形成させて以降はこれら保護皮膜層によ
りポンプの表面を防食することを特徴とする。
【0006】一方、ポンプのすき間構成部分もしくは摺
動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩が析出付着
することを防ぐために、すき間周囲もしくは摺動部周囲
に表面を絶縁した電気導体の一端を接続して、その他端
を外部電源のカソード側に接続して外部電源に接続した
不溶性のアノードとの間に照合基準電極電位(飽和甘汞
基準電極電位、以下電位)で−1000mVから−13
00mVの電位に維持するか、または、すき間周囲もし
くは摺動部周囲の一端もしくは複数部に接続端子を設け
て、これに表面を絶縁した電気導体を接続し、この電気
導体にその他端に亜鉛合金またはアルミニウム合金から
なる金属体を犠牲陽極として固定した表面絶縁の電気導
体を回路の開閉を調節できる装置を介して接続し、ポン
プのすき間周囲もしくは摺動部周囲を任意の期間カソー
ド防食作用を行うと同時に炭酸カルシウムやけい酸塩が
析出付着することを防止することを特徴とする。
動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩が析出付着
することを防ぐために、すき間周囲もしくは摺動部周囲
に表面を絶縁した電気導体の一端を接続して、その他端
を外部電源のカソード側に接続して外部電源に接続した
不溶性のアノードとの間に照合基準電極電位(飽和甘汞
基準電極電位、以下電位)で−1000mVから−13
00mVの電位に維持するか、または、すき間周囲もし
くは摺動部周囲の一端もしくは複数部に接続端子を設け
て、これに表面を絶縁した電気導体を接続し、この電気
導体にその他端に亜鉛合金またはアルミニウム合金から
なる金属体を犠牲陽極として固定した表面絶縁の電気導
体を回路の開閉を調節できる装置を介して接続し、ポン
プのすき間周囲もしくは摺動部周囲を任意の期間カソー
ド防食作用を行うと同時に炭酸カルシウムやけい酸塩が
析出付着することを防止することを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の作用は(1)ポンプの表面を任意の期
間カソード防食すると同時に炭酸カルシウムやけい酸塩
を析出させてこれらの保護皮膜層を所定の厚さに形成さ
せて以降はこれら保護皮膜層によりポンプの表面を防食
することにある。(2)ポンプのすき間構成部分もしく
は摺動部分に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩が析
出付着することを抑制しながらカソード防食することで
ある。
間カソード防食すると同時に炭酸カルシウムやけい酸塩
を析出させてこれらの保護皮膜層を所定の厚さに形成さ
せて以降はこれら保護皮膜層によりポンプの表面を防食
することにある。(2)ポンプのすき間構成部分もしく
は摺動部分に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩が析
出付着することを抑制しながらカソード防食することで
ある。
【0008】いま、カソード防食電位が−1000mV
以上であれば海水中におけるカソード反応は次式のよう
に溶存酸素の還元反応が著しくなりカソード防食表面は
アルカリ性になるところがある。
以上であれば海水中におけるカソード反応は次式のよう
に溶存酸素の還元反応が著しくなりカソード防食表面は
アルカリ性になるところがある。
【0009】O2+2H2O+4e~ ⇒ 4OH~ また、カソード防食されている表面には海水中に溶解し
ているCa+2やNa+2などのカチオンが電気的に引き寄
せられる。
ているCa+2やNa+2などのカチオンが電気的に引き寄
せられる。
【0010】一方、水中に溶解した炭酸ガスは次式のよ
うな形態の炭酸基として存在していることが知られてい
る。
うな形態の炭酸基として存在していることが知られてい
る。
【0011】酸性 ■ H2CO3 ⇔ HCO3~ ⇔
CO3~2 ■ アルカリ性 上記の式から判断されるように、これらの炭酸基の形態
は水のpHに依存しており、海水のように中性では主と
してHCO3~であるがアルカリ性では炭酸基の形態はC
O3~2 となっているものが多いことが知られている。従
ってカソード防食表面のアルカリ性になっている部分で
は次式に示すようにカルシウムカチオンと炭酸が直接的
に炭酸カルシウムを形成析出し易い。
CO3~2 ■ アルカリ性 上記の式から判断されるように、これらの炭酸基の形態
は水のpHに依存しており、海水のように中性では主と
してHCO3~であるがアルカリ性では炭酸基の形態はC
O3~2 となっているものが多いことが知られている。従
ってカソード防食表面のアルカリ性になっている部分で
は次式に示すようにカルシウムカチオンと炭酸が直接的
に炭酸カルシウムを形成析出し易い。
【0012】Ca+2+CO3~2 ⇒ CaCO3 参考までに海水中に溶解しているCa+2が炭酸カルシウ
ムとして析出する過程は次式のように表わすことも出来
る。
ムとして析出する過程は次式のように表わすことも出来
る。
【0013】 Ca+2H2O+ ⇒ Ca(OH)2+2H++2e~ Ca(OH)2+CO2 ⇒ CaCO3+H2O 2Ca+2+2HCO3~ ⇒ 2CaCO3+2H++2e~ 水中に溶解しているCa+2が炭酸カルシウムとして析出
する傾向は溶存Ca+2量がその固溶限界量を超える場合
や水のpHがアルカリ性に移行してCa+2の形態の炭酸
基が増加するにつれて著しくなる。
する傾向は溶存Ca+2量がその固溶限界量を超える場合
や水のpHがアルカリ性に移行してCa+2の形態の炭酸
基が増加するにつれて著しくなる。
【0014】いま、ステンレス鋼からなるポンプの表面
を防食するためポンプの表面に一端もしくは複数の接続
端子を設けて、これに表面を絶縁した電気導体を接続
し、その他端を外部電源のカソード側に接続して外部電
源に接続した不溶性のアノードとの間に−1000mV
以上の電位に維持するか、もしくは外部電源の代わりに
アノード電極として電位が−1000mVよりも大きい
金属体、例えば炭素鋼(以下、金属体)などを接続す
る。ポンプと外部電源もしくはこれら金属体との中間に
回路の開閉を調節できる装置を設置して任意の期間ポン
プの表面をカソード防食作用を行うものとする。いま、
ポンプと外部電源もしくは金属体との中間に設置した回
路開閉装置を閉じて任意の期間、ポンプの表面をカソー
ド防食作用を行う。その結果、カソード防食作用と同時
にポンプの表面に炭酸カルシウム及びけい酸塩が析出す
る。これら析出堆積層が所定の厚さに成長した後、ポン
プと外部電源もしくは金属体との中間に設置した回路開
閉装置を開いてカソード防食作用を停止する。これら析
出堆積層はポンプ表面の腐食に対して保護皮膜層とな
り、また、保護皮膜層と母材との界面は保護皮膜層を浸
透した水により炭酸カルシウムの一部が溶解して弱アル
カリ性となる。一般に、鉄合金の不動態皮膜は弱アルカ
リ性環境では安定な状態が維持される。従って、本発明
の作用(1)はポンプの表面を任意の期間カソード防食
すると同時に炭酸カルシウムやけい酸塩を析出させてこ
れらの保護皮膜層を所定の厚さに形成させて以降はこれ
ら保護皮膜層によりポンプの表面を防食することが可能
である。また、これら保護皮膜層が機械的振動や破壊に
よって剥離した場合にはポンプと外部電源もしくは金属
体との中間に設置した回路開閉装置を閉じて任意の期
間、ポンプの表面をカソード防食作用を行う。
を防食するためポンプの表面に一端もしくは複数の接続
端子を設けて、これに表面を絶縁した電気導体を接続
し、その他端を外部電源のカソード側に接続して外部電
源に接続した不溶性のアノードとの間に−1000mV
以上の電位に維持するか、もしくは外部電源の代わりに
アノード電極として電位が−1000mVよりも大きい
金属体、例えば炭素鋼(以下、金属体)などを接続す
る。ポンプと外部電源もしくはこれら金属体との中間に
回路の開閉を調節できる装置を設置して任意の期間ポン
プの表面をカソード防食作用を行うものとする。いま、
ポンプと外部電源もしくは金属体との中間に設置した回
路開閉装置を閉じて任意の期間、ポンプの表面をカソー
ド防食作用を行う。その結果、カソード防食作用と同時
にポンプの表面に炭酸カルシウム及びけい酸塩が析出す
る。これら析出堆積層が所定の厚さに成長した後、ポン
プと外部電源もしくは金属体との中間に設置した回路開
閉装置を開いてカソード防食作用を停止する。これら析
出堆積層はポンプ表面の腐食に対して保護皮膜層とな
り、また、保護皮膜層と母材との界面は保護皮膜層を浸
透した水により炭酸カルシウムの一部が溶解して弱アル
カリ性となる。一般に、鉄合金の不動態皮膜は弱アルカ
リ性環境では安定な状態が維持される。従って、本発明
の作用(1)はポンプの表面を任意の期間カソード防食
すると同時に炭酸カルシウムやけい酸塩を析出させてこ
れらの保護皮膜層を所定の厚さに形成させて以降はこれ
ら保護皮膜層によりポンプの表面を防食することが可能
である。また、これら保護皮膜層が機械的振動や破壊に
よって剥離した場合にはポンプと外部電源もしくは金属
体との中間に設置した回路開閉装置を閉じて任意の期
間、ポンプの表面をカソード防食作用を行う。
【0015】これにより、電力や犠牲陽極材料を節約し
て安定にポンプの表面をカソード防食することが可能に
なる。
て安定にポンプの表面をカソード防食することが可能に
なる。
【0016】本発明の作用(2)はカチオンやけい酸塩
を多く含有する海水などの水中でポンプのすき間構成部
分もしくは摺動部分に環境から炭酸カルシウムやけい酸
塩が析出付着することを抑制しながらカソード防食する
ことにある。
を多く含有する海水などの水中でポンプのすき間構成部
分もしくは摺動部分に環境から炭酸カルシウムやけい酸
塩が析出付着することを抑制しながらカソード防食する
ことにある。
【0017】水中におけるポンプのすき間構成部分もし
くは摺動部分のカソード防食に際して、カソード防食電
位を水素の還元電位以下としてカソード反応の主体を次
式のように水素の還元反応として活性状水素を発生させ
てカソード防食表面がアルカリ性に成り難いように配慮
した。
くは摺動部分のカソード防食に際して、カソード防食電
位を水素の還元電位以下としてカソード反応の主体を次
式のように水素の還元反応として活性状水素を発生させ
てカソード防食表面がアルカリ性に成り難いように配慮
した。
【0018】2H++2e~ ⇒ H2 そこで、ポンプのすき間部周囲もしくは摺動部周囲に表
面を絶縁した電気導体の一端を接続して、その他端を外
部電源のカソード側に接続して外部電源に接続した不溶
性のアノードとの間を−1000mVから−1300m
V電位に維持するか、もしくは外部電源の代わりにアノ
ード電極として電位が−1000mVよりも小さい金属
体、例えば、亜鉛合金またはアルミニウム合金からなる
金属体を犠牲陽極として固定する。
面を絶縁した電気導体の一端を接続して、その他端を外
部電源のカソード側に接続して外部電源に接続した不溶
性のアノードとの間を−1000mVから−1300m
V電位に維持するか、もしくは外部電源の代わりにアノ
ード電極として電位が−1000mVよりも小さい金属
体、例えば、亜鉛合金またはアルミニウム合金からなる
金属体を犠牲陽極として固定する。
【0019】カソード防食電位は−1000mVよりも
小さくなるにつれて、水素の還元反応は著しくなり炭酸
カルシウムやけい酸塩の析出付着が著しく抑制される。
電位が−1300mVよりも小さくなるとカソード防食
されるステンレス鋼に水素吸収により脆化が起こるため
カソード防食電位は−1000mVから−1300mV
に限定される。
小さくなるにつれて、水素の還元反応は著しくなり炭酸
カルシウムやけい酸塩の析出付着が著しく抑制される。
電位が−1300mVよりも小さくなるとカソード防食
されるステンレス鋼に水素吸収により脆化が起こるため
カソード防食電位は−1000mVから−1300mV
に限定される。
【0020】本発明ではポンプのすき間構成部分もしく
は摺動部分におけるカソード防食電位は−1000mV
から−1300mVに限定されるために、これよりも小
さな電位を示すマグネシウム合金などを用いると被防食
ポンプ表面が水素脆化を起こすおそれがあるため好まし
くない。
は摺動部分におけるカソード防食電位は−1000mV
から−1300mVに限定されるために、これよりも小
さな電位を示すマグネシウム合金などを用いると被防食
ポンプ表面が水素脆化を起こすおそれがあるため好まし
くない。
【0021】
【実施例】本発明に係る実験の一例として、0.07%
C,0.55%Si,0.98%Mn,7.95%Ni,
17.93%Crの主成分からなるSUS304ステン
レス鋼製海水ポンプに適用した例を図1から図3に示
す。
C,0.55%Si,0.98%Mn,7.95%Ni,
17.93%Crの主成分からなるSUS304ステン
レス鋼製海水ポンプに適用した例を図1から図3に示
す。
【0022】図1と図2はSUS304ステンレス鋼製
海水ポンプの外表面防食とインペラー軸受部のすき間周
囲のすき間腐食防止とインペラー軸への炭酸カルシウム
やけい酸塩の析出付着を抑制する方法を示す。図1では
アノード端子1とカソード端子をもつ外部電源2とカソ
ード側端子をすき間部分に相当するインペラー軸3の周
囲に接続する。印加電位を−1000mVから−130
0mVに制御してインペラー軸4の周囲をカソード防食
する。ポンプ表面5は電極電位が−1000mVよりも
若干貴電位となるがインペラー軸受部のすき間周囲のす
き間腐食防止には影響を及ぼさない。図2は外部電源の
代わりに電極電位が−1030mVの亜鉛合金6をイン
ペラー軸3の周囲に設置する。これにより、インペラー
軸3の周囲は炭酸カルシウムやけい酸塩の析出付着が抑
制されながらカソード防食される。また、ポンプ表面の
電位は−1030mVよりも若干貴電位となるため炭酸
カルシウムやけい酸塩が析出付着して薄い保護皮膜層を
形成する。これにより、ポンプ表面の防食とインペラー
軸周囲への炭酸カルシウムやけい酸塩の析出付着を抑制
しつつすき間部周囲をカソード防食する。図3は炭素鋼
7を犠牲陽極として一定期間ポンプ表面をカソード防食
した後、放置してポンプ表面の腐食状態を調べた。その
結果、表1に示すように図1と図2の防食方法ではすき
間腐食が抑制されると同時にインペラー軸への炭酸カル
シウムやけい酸塩の析出付着が抑制
海水ポンプの外表面防食とインペラー軸受部のすき間周
囲のすき間腐食防止とインペラー軸への炭酸カルシウム
やけい酸塩の析出付着を抑制する方法を示す。図1では
アノード端子1とカソード端子をもつ外部電源2とカソ
ード側端子をすき間部分に相当するインペラー軸3の周
囲に接続する。印加電位を−1000mVから−130
0mVに制御してインペラー軸4の周囲をカソード防食
する。ポンプ表面5は電極電位が−1000mVよりも
若干貴電位となるがインペラー軸受部のすき間周囲のす
き間腐食防止には影響を及ぼさない。図2は外部電源の
代わりに電極電位が−1030mVの亜鉛合金6をイン
ペラー軸3の周囲に設置する。これにより、インペラー
軸3の周囲は炭酸カルシウムやけい酸塩の析出付着が抑
制されながらカソード防食される。また、ポンプ表面の
電位は−1030mVよりも若干貴電位となるため炭酸
カルシウムやけい酸塩が析出付着して薄い保護皮膜層を
形成する。これにより、ポンプ表面の防食とインペラー
軸周囲への炭酸カルシウムやけい酸塩の析出付着を抑制
しつつすき間部周囲をカソード防食する。図3は炭素鋼
7を犠牲陽極として一定期間ポンプ表面をカソード防食
した後、放置してポンプ表面の腐食状態を調べた。その
結果、表1に示すように図1と図2の防食方法ではすき
間腐食が抑制されると同時にインペラー軸への炭酸カル
シウムやけい酸塩の析出付着が抑制
【0023】
【表1】
【0024】された。また、図3の防食方法では腐食は
抑制されているものの、ポンプの運転性能は、図4に示
すように、図3の防食方法では保持時間とともに軸動力
が増加する。これは防食効果はあるもののインペラー軸
へ炭酸カルシウムやけい酸塩が析出付着して、これらが
インペラー軸の回転軸動力を上昇させているためであ
る。これに対して、図1と図2の防食方法では軸動力は
保持時間に依存することなく一定である。これはインペ
ラー軸へ炭酸カルシウムやけい酸塩の析出付着が長期間
にわたり抑制されることを示している。
抑制されているものの、ポンプの運転性能は、図4に示
すように、図3の防食方法では保持時間とともに軸動力
が増加する。これは防食効果はあるもののインペラー軸
へ炭酸カルシウムやけい酸塩が析出付着して、これらが
インペラー軸の回転軸動力を上昇させているためであ
る。これに対して、図1と図2の防食方法では軸動力は
保持時間に依存することなく一定である。これはインペ
ラー軸へ炭酸カルシウムやけい酸塩の析出付着が長期間
にわたり抑制されることを示している。
【0025】
【発明の効果】本発明によればポンプのすき間構成部分
もしくは摺動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩
が析出付着することを防ぎ、ポンプ表面の腐食も防止す
る。
もしくは摺動部に環境水から炭酸カルシウムやけい酸塩
が析出付着することを防ぎ、ポンプ表面の腐食も防止す
る。
【図1】外部電源によるポンプの防食方法の説明図。
【図2】インペラー軸受部のすき間周囲に亜鉛合金製陽
極をインペラー軸受部のすき間周囲に設置しての防食方
法の説明図。
極をインペラー軸受部のすき間周囲に設置しての防食方
法の説明図。
【図3】ポンプ表面を炭素鋼製陽極により一定期間,間
歇カソード防食する方法の説明図。
歇カソード防食する方法の説明図。
【図4】ポンプ軸動力に及ぼすポンプの防食方法の影響
の説明図。
の説明図。
1…不溶性アノード極、2…外部電源、3…カソード端
子、4…インペラー軸、5…ポンプ表面。
子、4…インペラー軸、5…ポンプ表面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 泰司 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日 立製作所土浦工場内
Claims (1)
- 【請求項1】ステンレス鋼からなるポンプの表面を防食
する手段として、前記ポンプの表面に一端もしくは複数
の接続端子を設けて、これに表面を絶縁した電気導体を
接続し、その他端を外部電源のカソード側に接続して前
記外部電源に接続した不溶性のアノードとの間に照合基
準電極電位で−1000mV以上の電位に維持するか、
もしくは外部電源の代わりにアノード電極として電極電
位が照合基準電極電位で−1000mVよりも大きい金
属体を接続し、前記ポンプと前記外部電源もしくはこれ
ら金属体との中間に回路の開閉を調節できる装置を設置
して任意の期間前記ポンプの表面をカソード防食作用を
行い、前記ポンプの表面に炭酸カルシウムやけい酸塩を
析出させてこれらの保護皮膜層を所定の厚さに形成させ
ることを特徴とするポンプの防食方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3264521A JPH05106070A (ja) | 1991-10-14 | 1991-10-14 | ポンプの防食方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3264521A JPH05106070A (ja) | 1991-10-14 | 1991-10-14 | ポンプの防食方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1991
- 1991-10-14 JP JP3264521A patent/JPH05106070A/ja active Pending
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