JPH0510405B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は溶解炉（転炉等を含む、以下同じ）か
ら出鋼された溶鋼を連続鋳造等の造塊工程へ送る
前に行なう取鍋内溶鋼処理用の装置に関す、詳細
には不活性ガス吹込みによる撹拌又は粉体インジ
エクシヨン処理及び真空脱ガス処理を、連続的に
組み合わせて行なうことのできる溶鋼処理装置に
関するものである。

［従来の技術］ 転炉や電気炉等によつて生産された溶鋼は連続
鋳造装置や大型の鋳型によつて造塊される前に、
(イ)取鍋内溶鋼温度の均一化と適正化、(ロ)溶鋼の清
浄化、(ハ)溶鋼成分の調整等を目的として取鍋内で
脱炭、脱ガス、脱酸、介在物の浮上などの各種溶
鋼処理を行う。

取鍋内溶鋼処理方法としては、Arガス等の不
活性ガスを底吹き穴やランスを使つて取鍋溶鋼内
へ吹込むバブリング法と、真空槽内に溶鋼を吸い
上げて真空雰囲気に接触させる真空脱ガス法とが
主として利用されている。

上記真空脱ガス法の一例としてRH法による真
空脱ガス装置を第３図ａに示して説明する。溶解
炉から取鍋１に移された溶鋼は台車に載せられて
真空脱ガス装置の下部まで運搬されてくる。該真
空脱ガス装置には溶鋼を吸上げて真空雰囲気に接
触させる２つの真空脱ガス槽３ａ，３ｂが夫々脱
ガス用台車４ａ，４ｂ上に配設され、該脱ガス用
台車４ａ，４ｂは軌道１１上を図面の左右方向へ
水平移動自在である様に載置されている。真空脱
ガス槽を２個用いるのは、一方の真空脱ガス槽を
予備用として準備しておき、一方の真空脱ガス槽
を補修台車５によつて点検・補修している期間で
あつても、他方の真空脱ガス槽によつて連続的に
溶鋼処理できる様にしておくためである。

取鍋１の昇降位置真上に配置された真空脱ガス
槽３ａの上部には、ダクト１５を介在して秤量機
６及び合金用金属槽７などからなる物質添加装置
が配設されており、溶鋼の成分調整に必要な合金
用金属類を該秤量機６を通して配合し、真空脱ガ
ス槽３ａ内に吸上げられた溶鋼中に適宜添加混合
する様に構成される。尚該真空脱ガス槽３ａの下
方位置には、移動してきた取鍋１を昇降させて真
空脱ガス槽３ａに接近又は離反させるための昇降
装置２が設けられている。

このRH法に使用する真空脱ガス槽３内におい
ては、第３図ｂに示す様に真空脱ガス槽３内部を
真空引きして浸漬管８を溶鋼中に浸漬し、真空脱
ガス槽内に溶鋼を吸い上げ、２本の浸漬管８の一
方からArガスを吹き込んで、ガスリフトポンプ
の原理で溶鋼９を真空脱ガス槽３内へ上昇させる
と共に取鍋との間で還流させ、溶鋼を真空脱ガス
槽３内の真空雰囲気と接触させて溶鋼中のガス成
分を除去し、溶鋼を真空脱ガス槽と取鍋の間で循
環させて溶鋼処理を行う。このとき必要により上
記物質添加装置を介して脱ガス用の化学物質や合
金用材料等を添加する。脱ガス法としてはこの他
DH法等の手段がある。

［発明が解決しようとする問題点］ ところで極低硫鋼や低酸化物鋼等の特殊鋼を得
ようとする場合、DH法やRH法等の真空脱ガス
処理だけでは、脱硫や脱酸等が十分に達成され
ず、これら特殊鋼を精練する手段として、アルカ
リ土類系金属等の化学物質をキヤリアガスと共に
取鍋溶鋼中へ吹き込む、いわゆる粉体インジエク
シヨン法を前記真空脱ガス法に併用して行わなけ
ればならない。

上記粉体インジエクシヨン法に用いられる装置
としては取鍋底吹き装置またはインジエクシヨン
ランスを用いる装置が利用され、一般的には溶鋼
を連鋳レードルトロリーへ搬入する直前位置に
Arバブリング装置を配備し、Ca―Si系及びCaO
系等のフラツクスを吹き込むことにより、溶鋼の
処理を行つている。

ところが溶鋼へのアルカリ土類金属系物質等を
吹き込む機能とArガスのバブリング機能を有す
る兼用装置（以下単にインジエクシヨン装置と言
うこともある）を連鋳レードルターレツト上に配
設してしまうと、該インジエクシヨン装置を用い
る特殊鋼の精練がまれにしか行なわれないという
事情もあつて、スペース的に極めて不経済であ
り、汎用性の高い真空脱ガス設備との切換え使用
が非常に不便であつた。

そこで本発明者らは溶鋼の真空脱ガス処理又は
粉体インジエクシヨン処理を単独で行なう場合、
或はこれらを併用して行なう場合のいずれであつ
ても溶鋼処理が効率的に行なえ、しかも設備装置
等が無駄にならない様な経済的配備を工夫する必
要があると考え、種々研究を積み重ね、本発明を
完成させるに至つた。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は溶解炉から出鋼された溶鋼を造塊工程
へ送る前に、取鍋内で真空脱ガス槽法及び／又は
粉体インジエクシヨン法によつて溶鋼処理するた
めの溶鋼処理装置であり、取鍋昇降位置の上方に
水平な軌道が配設され、真空脱ガス槽を設けた真
空脱ガス用台車、並びにインジエクシヨンランス
を備えた不活性ガスバブリング兼粉体インジエク
シヨン用台車が、前記軌道上を夫々独立して移動
可能に載置され、さらに前記軌道の上部には物質
添加装置が設けられてなる点に要旨が存在する。

［作用］ 溶解炉と連鋳装置等の造塊装置の間で取鍋内の
溶鋼を真空脱ガス法及び／又はインジエクシヨン
法によつて精練処理するに当たり、真空脱ガス槽
を備えた真空脱ガス用台車及びインジエクシヨン
ランスを備えた粉体インジエクシヨン用台車を同
一の軌道上に夫々独立して移動可能である様に配
設することにより、真空脱ガス処理に要する作業
空間と粉体インジエクシヨン処理を行なうのに要
する作業空間を共用できる様になり、真空脱ガス
処理及び粉体インジエクシヨン処理の操作を効率
的に切り換え実施できることとなつた。即ち真空
脱ガス処理又は粉体インジエクシヨン処理を夫々
単独で行なう場合や、真空脱ガス処理及び粉体イ
ンジエクシヨン処理を併用する場合であつても、
これらを自由に選定して作業を行なうことが可能
であり、多様で特殊な鋼種を製造したという要求
に対応して能率的に溶鋼処理を行なうことができ
る様になつた。

また本発明によれば真空脱ガス装置及び粉体イ
ンジエクシヨン装置における共通装置（例えば物
質添加装置等）を兼用することもできるので、工
場内における装置占有容積及び設備費用を低くお
さえることが可能となつた。

［実施例］ 本発明の代表的な実施例を第１図に示す。

溶鋼９を収納した取鍋１は溶解炉から取鍋昇降
装置２上へ移送される様に構成する。該昇降装置
２は取鍋１を昇降して溶鋼処理装置に接近または
離反させるものである。前記取鍋１の上方には水
平方向に延設された軌道１１が設置されると共
に、該軌道１１上には、真空脱ガス槽３ａ，３ｂ
を夫々に備えた２つの真空脱ガス用台車（以下単
に脱ガス用台車という）４ａ，４ｂ並びに粉体イ
ンジエクシヨン兼不活性ガスバブリング用台車
（以下単に粉体インジエクシヨン台車という）１
２が載置される。なお軌道１１の左右両側下部に
は真空脱ガス槽３ａ，３ｂを維持補修するための
補修台車５，５が設けられる。脱ガス用台車４
ａ，４ｂ又は粉体インジエクシヨン用台車１２の
更に上方には、秤量機６、合金用金属槽７、ダク
ト１５、ロータリーフイーダ１０が設けられ、合
金用金属槽７に収納された添加用物質を秤量機６
において適当量調合し、ロータリーフイーダ１０
及びダクト１５を介して溶鋼中へ供給する為の物
質添加装置が配設される。

第１図では粉体インジエクシヨン用台車１２が
取鍋１の真上に配置された状態を示し、第２図で
は該粉体インジエクシヨン用台車１２を使つて粉
体インジエクシヨンを行つている状態を示してい
る。

次に該粉体インジエクシヨン用台車１２の構成
を第２図によつて概略説明する。粉体インジエク
シヨン用台車１２のフレーム１６には昇降台車１
４によつて昇降自在である様にインジエクシヨン
ランス１３が取付けられ、取鍋１が昇降装置２
（第２図中には図示せず）によつて上昇させられ
ると同時に該インジエクシヨンランス１３を昇降
台車１４により下降させて溶鋼９中に浸漬させ
る。該インジエクシヨンランス１３は円筒体で構
成されており、ランス中にはArガス等の不活性
ガスをキヤリアガスとして添加物質が送給され、
該ランスを介して溶鋼中に添加物質を吹き込んで
溶鋼の精練を行なう。キヤリアガスであるArガ
ス等はホース１７等を介してキヤリアガス導入路
１５からインジエクシヨンランスＹ１３へ送給さ
れ、Ca―Si系やCaO系のアルカリ土類系物質は
物質添加装置である調圧タンク６ａからキヤリア
ガス中に粉体を混入させてインジエクシヨンラン
ス１３へ送られる。

例えば特殊な脱硫や脱酸等を必要としない通常
操業に際しては、２つ準備されている真空脱ガス
槽３ａ，３ｂのいずれか一方を用い、合金用金属
やフラツクス等の冷材を適宜添加しつつ真空脱ガ
ス処理を行ない、処理後次工程へ移送する。他方
極低硫鋼等を製造するためアルカリ土類系金属物
質等を添加する必要があるときには、上記と同様
真空脱ガス槽３ａ，３ｂの一方を使つて真空脱ガ
ス処理を行つた後、次に粉体インジエクシヨン台
車１２を使つてCa―Si，CaO系等のアルカリ土
類系金属フラツクスを溶鋼中へ吹き込み、より効
果的な脱酸、脱硫を行なう。この場合、真空脱ガ
ス処理と粉体インジエクシヨン処理の順序を逆に
しても前記と同等の効果が得られる。また２つの
真空脱ガス槽３ａ，３ｂの両方が故障中であつた
り両方とも同時にオーバーホールする必要が生じ
た様な場合には、粉体インジエクシヨン台車１２
を使用して合金用金属や冷材を添加しつつArバ
ブリングを行なつて溶鋼を撹拌しつつ溶鋼を精練
処理する手法を採用しても構わない。

［発明の効果］ 本発明の装置を用いることにより取鍋内で行な
う溶鋼処理を、真空脱ガス槽による脱ガス処理、
又はArバブリングと粉体インジエクシヨンによ
る脱ガス撹拌・インジエクシヨン処理、或は両処
理を組み合わせたものの態様のいずれかで実施す
ることが可能になつた。しかも真空脱ガス用台車
と粉体インジエクシヨン用台車を同一軌道上に配
設しているので装置全体のスペースは小さくて済
み、設備費用も低く抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の代表的な実施例を示す正面
説明図、第２図はArバブリング用台車を使つて
取鍋溶鋼処理する状態を示す説明図、第３図ａは
従来のRH法真空脱ガスに用いられる装置の例を
示す正面説明図、第３図ｂはRH法による真空脱
ガスを示す断面説明図である。 １…取鍋、２…昇降装置、３ａ，３ｂ…真空脱
ガス槽、４ａ，４ｂ…真空脱ガス用台車、５…補
修台車、６…秤量機、６ａ…調圧タンク、７，７
ａ…合金用金属槽、８…浸漬管、９…溶鋼、１０
…ロータリーフイーダ、１１…軌道、１２…Ar
バブリング用台車、１３…インジエクシヨンラン
ス、１４…昇降台車、１５…キヤリアガス導入
路、１６…フレーム、１７…ホース。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溶解炉からの溶鋼を造塊工程へ送る前に、取
   鍋内で真空脱ガス法及び／又は粉体インジエクシ
   ヨン法によつて溶鋼処理を行なうための溶鋼処理
   装置であつて、取鍋昇降位置の上方には水平方向
   に延びる軌道が配設され、真空脱ガス槽を設けた
   真空脱ガス用台車、並びにインジエクシヨンラン
   スを備えた不活性ガスバブリング兼粉体インジエ
   クシヨン用台車が前記軌道上を夫々独立して移動
   可能に載置され、さらに前記軌道の上部には物質
   添加装置が設けられてなることを特徴とする溶鋼
   処理装置。