JPH05101719A - 酸化物超電導線材及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材及びその製造方法

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JPH05101719A
JPH05101719A JP3285461A JP28546191A JPH05101719A JP H05101719 A JPH05101719 A JP H05101719A JP 3285461 A JP3285461 A JP 3285461A JP 28546191 A JP28546191 A JP 28546191A JP H05101719 A JPH05101719 A JP H05101719A
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superconducting wire
oxide
oxide superconducting
wire
producing
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JP3285461A
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Tsuneyuki Kanai
恒行 金井
Yuichi Kamo
友一 加茂
Shinpei Matsuda
臣平 松田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、長尺線材に於いても再現性良
く、短尺線材と同様の大きな臨界電流密度を有する、酸
化物超電導線材及びその線材を製造するのに好適な製造
方法を提供することにある。 【構成】金属シースと、それに内包された酸化物超電導
体とから構成される酸化物超電導線材に於いて、部分溶
融熱処理後の金属シース中に生成する異相の組成式が規
定され、溶融時に放出される酸素量が抑制されたことを
特徴とする酸化物超電導線材及びその製造方法。 【効果】以上のように、本発明によれば、長尺線材に於
いても短尺線材と同様の大きな臨界電流密度を有する酸
化物超電導線材を再現性良く得ることができ、酸化物超
電導線材の工業化に際して大きな効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導線材に係
わり、特に超電導コイル以外では容易に達成できない、
2T以上の強磁場を発生させるのに最適な酸化物超電導
線材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超電導材料としてはNb3Snや
Nb3Ge等の金属間化合物が知られており、実用化さ
れている。これら金属間化合物は超電導状態が得られる
臨界温度(Tc)は最も高いNb3Ge でも23Kであ
り、冷却には液体ヘリウムを用いることが必要であっ
た。ところが1987年になってY−Ba−Cu−O系
酸化物はTcが約90Kと従来の金属間化合物に比べ飛
躍的に高いことが見い出されて以来、Bi−Sr−Ca
−Cu−O,Tl−Ba−Ca−Cu−O系超電導体が
次々に発見された。これらの超電導体の臨界温度は液体
窒素の沸点である77Kを大きく上回っており、超電導
状態を得るのに液体ヘリウムを用いずに安価な液体窒素
を用いることができる。この酸化物超電導体の応用とし
ては、電子デバイス,超電導コイル等の広範な用途が考
えられる。
【0003】酸化物超電導線材の超電導コイル等への応
用では、この酸化物超電導線材の長尺化が大きな課題と
なっている。例えば、日経超電導(1990.6.25
発行)によれば、Bi系のBi2Sr2Ca1Cu2x
料を880℃程度の温度で部分溶融処理をしたもので
は、数cm長さの短尺線材では4.2K で30Tという大
きな磁場の下でも、電流密度として21万A/cm2 程度
の値が得られることが報告されている。しかしながら、
これらを数十m長さの長尺線材とし、この線材でコイル
を製造すると、4.2Kの極低温であっても0.2T程度
の磁場しか発生できないことが分かってきた。このた
め、酸化物超電導線材のコイル化を考えると、短尺線材
と同等の特性を長尺線材に於いて如何に可能にするかが
大きな問題である。
【0004】上記技術は、高い臨界電流密度(Jc)を
得るために、部分溶融法によって酸化物超電導相を部分
的に溶融させた後、冷却過程で酸化物超電導相の結晶を
成長させると同時に粒界の接合性の改善を図ったもので
ある。しかしながら、この技術を長尺線材に適用しよう
とすると、部分溶融時に液相成分が線材端部から流れ出
し、臨界電流密度が著しく低くなるのである。この問題
を解決するために、特願平3−62832号では、金属シース
とそれに内包された酸化物超電導体とから構成される酸
化物超電導線材に於いて、内包される酸化物超電導体の
原料粉末には銀を含有させ、該超電導粉末を製造する熱
処理条件として、その熱処理雰囲気に於ける融点と熱処
理温度との差が60℃以下の熱処理を施した粉末を用い
る方法について述べている。しかしながら、この方法に
よって製造した線材では2T級のコイルの製造が可能で
はあるものの再現性に乏しく、更に高い磁場が発生可能
なコイルの製造には限界があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特願平3−62832号
で記述されている従来技術は、部分溶融法によって酸化
物超電導相を溶融させたときに放出される酸素を抑える
ために、原料粉末中の酸素量を適正値に制御したもので
ある。しかしながら、長尺線にこの技術だけを適用して
も、部分溶融時にしばしば、液相が線材端部から流れ出
す現象が現れて、臨界電流密度が低く再現性も悪いた
め、更に高い磁場発生の可能なコイル製造には限界があ
ることが分かってきた。
【0006】本発明の目的は、長尺線材に於いても短尺
線材と同様の大きな臨界電流密度が再現性良く得られ、
より強い磁界を発生できるマグネットの製造が可能な酸
化物超電導線材及びその線材を製造するのに好適な製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、酸化物超電
導線材に於いて、金属シースに充填する酸化物超電導体
原料粉末中の酸素量を適正な値に制御し、しかも酸化物
超電導相のマトリックス中に(4)式で示した異相であ
る(アルカリ土類金属)eCufxの組成が1<f/e<
2の組成範囲内にある物質が合成できる条件下で部分溶
融することによってのみ達成できる。酸化物超電導体の
結晶相としてはBi,Tl及びY系があるが、以下の説
明に於いてはBi系を例にとり述べることにする。
【0008】従来の酸化物電導線材の製造に於いては、
部分溶融時の焼成雰囲気の酸素濃度を20%O2 すなわ
ち大気中としている。この場合には、酸化物超電導体中
の酸素量を適正な値に制御し粉末を用いても、金属シー
ス中に詰めて線引き圧延加工し部分溶融させると、線材
端部から酸化物超電導体を形成すべき材料が流失すると
いう問題がしばしば生じた。このとき主相としてBi−
2212相が生成するが、異相の組成比は(Sr,C
a)eCufx式でf/e<1になっており、本発明とは
(Sr,Ca)−Cu−O相の組成が全く異なってい
る。このため、このような熱処理条件下で長尺線材を用
いたコイルを製造すると、高い臨界電流密度の得られる
割合は低く、高磁場を発生するマグネットの製造は再現
性は悪くなる。
【0009】本発明者らは種々検討を重ねた結果、長尺
線材の線材端部からの材料の流出を防ぐには、酸化物超
電導材料の酸素濃度を適正値に制御する他に、部分溶融
熱処理時の雰囲気酸素濃度と、部分溶融熱処理後の冷却
速度が極めて重要であることを見いだした。すなわち、
部分溶融時の雰囲気酸素濃度の増加によって部分溶融
時の放出酸素量が大幅に抑制でき、雰囲気酸素濃度が3
0%O2 以上であること、部分溶融状態からの冷却速
度Rが1℃/min より遅い条件であること、により健全
な長尺線材が製造できることを見いだし本発明に至っ
た。なお、この部分溶融処理に引き続いて、30%O2
以下1%以上の酸素雰囲気中で再アニール処理を行うこ
とは超電導特性の改善に有効である。
【0010】図1は、Bi2Sr2Ca1Cu2AgyO7.5+δ(y=0
及び0.2)組成の粉末を、Tm(各試料の熱処理雰囲
気における融点)とTs(熱処理温度)の差ΔT=Tm
s を40℃とし、雰囲気酸素濃度を変化させた時の酸
素放出量δの変化を示したものである。酸素放出量δの
定義は、溶融状態での酸化物中に含まれる酸素量を7.
5 と仮定してTGAで観察された重量変化が全て結晶
中からの酸素の脱離で生じたものとして、この重量変化
を酸素量に換算した値である。この図から、部分溶融時
の酸素濃度の増加によって放出酸素量が著しく減少する
ことが見い出された。なお、特願平3−62832号で示され
ているように、Bi−2212に銀を添加することによ
って酸素放出量が抑えられていることがわかる。
【0011】更に、酸素濃度の高い条件下で部分溶融条
件を詳細に検討した結果、冷却速度Rが1℃/min より
遅い場合に限り、Bi−2212超電導相の生成が可能
であることが分かった。図2は、部分溶融条件を詳細に
検討した結果の一部を示したもので、雰囲気酸素濃度の
高い100%O2 雰囲気下で、部分溶融状態からの冷却
速度が2.5℃/minと速い条件で合成した試料では、図
2(a)に示すように、Bi−2212相が生成せず超
電導性を全く示さない。一方、100%O2 で0.25
℃/minの冷却速度で合成した、図2(b)で示す試料
では、Bi−2212相が生成していることが分かる。この
時の異相である(Sr,Ca)−Cu−O相の組成は、
(Sr,Ca)3Cu5xであった。この試料を更に、超
電導特性を更に高める目的で、7.4%O2酸素濃度下で
アニール処理をしたところ、10Tのバイアス磁場下で
30m長さの線材で120000A/cm2 のJcが得られた。
しかしながら、20%O2 中で合成した試料では、図2
(c)に示すように冷却速度が2.5℃/minの速い条件
下でもBi−2212相が生成するが、異相の組成は
(Sr,Ca)2Cu1xとなり、30m長さの長尺線材
でのJcのばらつきは各々の線材によって極めて大きか
った。
【0012】
【作用】本発明は、酸化物超電導線材に於いて、部分溶
融時の雰囲気条件として酸素分圧の高い条件下で部分溶
融するとともに、1℃/min より遅い冷却速度で冷却す
ることにより、部分溶融時に放出される酸素量を抑え、
しかも超電導特性の良好な長尺な酸化物超電導線材を可
能にしたものである。これを実現するためには、酸化物
超電導体を金属シースに充填する前に金属シースに充填
する前の酸化物超電導粉末に銀を含ませる、酸化物超電
導体の粉末を製造する工程の熱処理条件としてその熱処
理雰囲気に於ける融点と熱処理温度との差が60℃以下
に抑えるという特願平3−62832号で示されている従来技
術の他に、部分溶融処理時の酸素濃度は30%O2
上で、しかも部分溶融温度からの冷却速度Rが1℃/
minより遅い条件で合成するとともに、必要によって
は、30%O2 以下1%以上の酸素濃度下でアニール処
理をすることが望ましい。このようにして長尺線材に於
いても、短尺線材と同等の高いJcが再現性良く得られ
るのは、図1,図2に示したように、部分溶融時におけ
る酸素放出が上記手段で大幅に抑制でき、線材端部から
の超電導材料の流れ出しが全く無く、良好な超電導特性
が得られるためである。酸素分圧が高いほど酸素脱離量
が少なくなる現象は、溶融時に解離した酸素の平衡反応
を考える化学平衡論の立場で理解できる。また、酸素濃
度を変化させてBi−2212相の生成速度が検討した
結果、Bi−2212相は酸素分圧が高いほど、液相か
らの生成に時間がかかることがわかり、酸素濃度の高い
本発明の場合には冷却速度は通常の場合より遅くしなけ
ればならない。また、酸素濃度が30%以下1%以上の
低酸素雰囲気中でのアニールが超電導特性の向上に有効
なのは、超電導電流の担い手であるホールの濃度をこの
アニール処理によって調整できるためである。
【0013】このように、部分溶融時における酸素の放
出が上記手段で抑制できるため、線材端部からの超電導
材料の流れ出しが無く、長尺線材に於いても短尺線材と
同等の高いJcが得られるのである。
【0014】以上Bi系を例にとりのべたが、Tl系,
Y系についても部分溶融時の酸素濃度の増加による放出
酸素量の減少、冷却速度が遅い場合での超電導体の生成
に関して同様な効果があることが分かった。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0016】実施例1 Bi2Sr2Ca1Cu2Ag0.2Ox の組成になるようにBi23,S
rO,CaO,CuO及びAg2O 粉末を秤量した後、
混合,粉砕してアルミナるつぼに入れ、アルゴン雰囲気
中で800℃−10時間の仮焼成を2回行なった後、粉
砕した。この時のΔTは、40℃である。この粉末を、
外径6mm、内径4.5mm の7本のAgシース中に封入し
た後、線引きし直径φ2.5mm まで減少させた。この線
材7本を外径9.6mm,内径8.0mmのAgパイプ中に挿
入した後再び線引きを行い、外径1.5mm ,長さ20mm
の7本マルチAgシース線材を製造した。この線材の表
面をアセトン脱脂した後、内径1.5mmφ のシリカ繊維
からなるスリーブに通して、シリカ絶縁被覆した7本マ
ルチAgシース線材を製造した。
【0017】この線材の4本を100μmのアルミナ絶
縁皮膜を設けたステンレス製のコイルの巻き枠(内径1
0mm,外径60mm,コイル長さ35mm)に200ターン
巻いたコイルを製造した。第1表に示す、部分熱処理条
件の異なる試料番号1−5のコイルをそれぞれ5個ずつ
製造した。部分溶融熱処理条件の温度の温度プロファイ
ルとしては、885℃まで3時間で昇温して10分間保
持し、更に815℃まで降温した後、この温度で20時
間保持し、その後3時間で室温まで冷却した。なお、8
85℃から815℃までの冷却速度は0.85から1.2
℃/min に、部分溶融時の雰囲気酸素濃度も20%から
100%に変化させた。異相である(Sr,Ca)−C
u−Oの組成及び4.2K の温度で5個のコイルに通電
した結果を第1表に示す。
【0018】
【表1】 第1表より、酸化物超電導体の部分溶融時の熱処理条件
として、酸素濃度が30%以上で、部分溶融温度からの
冷却速度が1.0℃/minより遅い条件のものは、4.2
K に於けるコイル発生磁場のばらつきは非常に小さい
再現性の良いことがわかる。従って、本発明品は比較品
に比べ、再現性の良いコイル発生磁場が得られることが
わかる。これは線材端部からの超電導材料の流れ出しが
無くなったためである。
【0019】実施例2 実施例1の試料番号3と全く同様の方法で、コイルを2
5個製造し、部分溶融熱処理を行ったのち、更に表2に
示す830℃で20時間のアニール処理を酸素濃度を変
えて行った。4.2K の温度でこのコイルに通電した結
果を第2表に示す。
【0020】
【表2】 第2表より、酸素濃度の高い雰囲気中で部分溶融された
後、更に、酸素濃度が30%以下1%以上の雰囲気で、
部分溶融以下の温度でアニール処理を行うことにより更
に飛躍的に大きな磁場発生可能なコイルを再現性良く製
造できることがわかる。
【0021】実施例3 実施例1と同様の方法でTl2Ba2Ca2Cu3Ag0.2Oxの組成に
なるようにTl23,BaO,CaO,CuO及びAg
2O 粉末を秤量した後、混合,粉砕してアルミナるつぼ
に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃−10時間の仮焼
成を2回行なった後、粉砕した。この粉末を、外径6m
m,内径4.5mmの7本のAgシース中に封入した後、線
引きし直径φ2.5mmまで減少させた。この線材7本を
外径9.6mm,内径8.0mm のAgパイプ中に挿入した
後再び線引きを行い、外径1.5mm,長さ20mの7本
のマルチAgシース線材を製造した。この線材の表面を
アセトン脱脂した後、内径1.5mmφ のシリカ繊維から
なるスリーブに通して、シリカ絶縁被覆した7本マルチ
Agシース線材を製造した。
【0022】この線材4本を100μmのアルミナ絶縁
皮膜を設けたステンレス製のコイルの巻き枠(内径10
mm,外径60mm,コイル長さ35mm)に200ターン巻
いたコイルを製造した。第3表に示す、部分熱処理条件
の異なる試料番号11−15のコイルをそれぞれ5個ず
つ製造した。部分溶融熱処理条件の温度のプロファイル
としては、885℃まで3時間で昇温して10分間保持
し、更に840℃まで降温した後、この温度で20時間
保持し、その後3時間で室温まで冷却した。なお、88
5℃から840℃までの冷却速度は0.85から1.2℃
/min に、部分溶融時の雰囲気酸素濃度も20%から1
00%に変化させた。異相である(Ba,Ca)−Cu
−Oの組成及び4.2K の温度で5個のコイルに通電し
た結果を第3表に示す。
【0023】
【表3】 第3表より、酸化物超電導体の部分溶融時の熱処理条件
として、酸素濃度が30%以上で、部分溶融温度からの
冷却速度が1.0℃/minより遅い条件のものは、4.2
K に於けるコイル発生磁場のばらつきは非常に小さく
再現性の良いことがわかる。従って、本発明品は比較品
に比べ、再現性の良いコイル発生磁場が得られることが
わかる。これは実施例1と同様に線材端部からの超電導
材料の流れ出しが無くなったためである。なお、Tl系
には超電導になる結晶相としてTl2Ba2Ca2Cu3Ox相の他
に、Tl2Ba2Ca1Cu2Ox,Tl1Ba2Ca2Cu3Ox,Tl1Ba2Ca1Cu2Ox
相があるが、これらいずれの結晶相に於いても本発明の
方法が有効であることが分かった。
【0024】実施例4 実施例1と同様の方法でY1Ba2Cu3Ag0.1Oxの組成になる
ようにY23,BaO,CuO及びAg2O 粉末を秤量
した後、混合,粉砕してアルミナるつぼに入れ、アルゴ
ン雰囲気中で900℃−10時間の仮焼成を2回行なっ
た後、粉砕した。この粉末を、外径6mm,内径4.5mm
の7本のAgシース中に封入した後、線引きし直径φ
2.5mm まで減少させた。この線材7本を外径9.6m
m,内径8.0mmのAgパイプ中に挿入した後再び線引き
を行い、外径1.5mm ,長さ20mの7本マルチAgシ
ース線材を製造した。この線材の表面をアセトン脱脂し
た後、内径1.5mmφ のシリカ繊維からなるスリーブに
通して、シリカ絶縁被覆した7本マルチAgシース線材
を製造した。
【0025】この線材を4本を100μmのアルミナ絶
縁皮膜を設けたステンレス製のコイルの巻き枠(内径1
0mm,外径60mm,コイル長さ35mm)に200ターン
巻いたコイルを製造した。第4表に示す、部分熱処理条
件の異なる試料番号1−5のコイルをそれぞれ5個ずつ
製造した。部分溶融熱処理条件の温度プロファイルとし
ては、1000℃まで3時間で昇温して10分間保持
し、更に940℃まで降昇した後、この温度で20時間
保持し、その後3時間で室温まで冷却した。なお、10
00℃から940℃まで冷却速度は0.85から1.2℃
/min に、部分溶融時の雰囲気酸素濃度も20%から1
00%に変化させた。異相であるBa−Cu−Oの組成
及び4.2K の温度で5個のコイルに通電した結果を第
4表に示す。
【0026】
【表4】 第4表より、酸化物超電導体の部分溶融時の熱処理条件
として、酸素濃度が30%以上で、部分溶融温度からの
冷却速度が1.0℃/minより遅い条件のものは、4.2
K に於けるコイル発生磁場のばらつきは非常に小さく
再現性の良いことがわかる。従って、本発明品は比較品
に比べ、再現性の良いコイル発生磁場が得られることが
わかる。本発明品は比較品に比ベ、再現性の良いコイル
発生磁場が得られることがわかる。これは実施例1,3
と同様に線材端部からの超電導材料の流れ出しが無くな
ったためである。なお、Y系超電導体には希土類元素の
種類を変更することによっても同様の特性を有する超電
導コイルを製造できる。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、長尺線
材に於いても短尺線材と同様の大きな臨界電流密度を有
する酸化物超電導線材を再現性良く得ることができ、酸
化物超電導線材の工業化に際して大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】部分溶融時の酸素濃度の違いによる酸素放出量
の違いを示す図。
【図2】部分溶融状態の酸素濃度及び、部分溶融状態か
らの冷却速度の違いによる生成結晶組成の変化を示す
図。図2(a)は、酸素濃度100%、冷却速度2.5
℃/min のSEM写真。図2(b)は、酸素濃度100
%,冷却速度0.25℃/min のSEM写真。図2
(c)は、酸素濃度20%、冷却速度2.5℃/minのS
EM写真。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 565 D 8936−5G

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属シースと、それに内包された酸化物超
    電導体とから構成される酸化物超電導線材に於いて、少
    なくとも該酸化物超電導体を構成する一種以上のアルカ
    リ土類金属とCuを主成分とする物質と、高温に於いて
    酸素を吸蔵する能力がありしかも上記酸化物超電導体と
    反応しない物質とを含有することを特徴とする酸化物超
    電導線材。
  2. 【請求項2】請求項1の酸化物超電導体が、組成式 BiaSrbCacCudx …(1) (ただし、1.7≦a≦2.3,1.7≦b≦2.3,0.
    8≦c≦1.2,1.7≦d≦2.3 )で表される材料で
    あることを特徴とする酸化物超電導線材。
  3. 【請求項3】請求項1の酸化物超電導体が、組成式 TlaBabCacCudx …(2) (ただし、0.3≦a≦1.2,0.6≦b≦1.2,0.
    4≦c≦0.8,0.9≦d≦1.2 )で表される材料で
    あることを特徴とする酸化物超電導線材。
  4. 【請求項4】請求項1の酸化物超電導体が、組成式 YaBabCucx …(3) (ただし、0.8≦a≦1.2,1.8≦b≦2.2,2.
    8≦c≦3.2 )で表される材料であることを特徴とす
    る酸化物超電導線材。
  5. 【請求項5】請求項1の高温に於いて酸素を吸蔵する能
    力がありしかも上記酸化物超電導体と反応しない物質が
    銀であることを特徴とする酸化物超電導線材。
  6. 【請求項6】請求項2の酸化物超電導線材に於いて、異
    相として少なくとも(Sr,Ca)−Cu−Oを主成分
    とする物質と、銀とを含有することを特徴とする酸化物
    超電導線材。
  7. 【請求項7】請求項3の酸化物超電導線材に於いて、異
    相として少なくとも(Ba,Ca)−Cu−Oを主成分
    とする物質と、銀とを含有することを特徴とする酸化物
    超電導線材。
  8. 【請求項8】請求項4の酸化物超電導線材に於いて、異
    相として少なくともBa−Cu−Oを主成分とする物質
    と、銀とを含有することを特徴とする酸化物超電導線
    材。
  9. 【請求項9】請求項6,7,8の(アルカリ土類元素の
    1種以上)−Cu−Oを主成分とする異相が、組成式 (アルカリ土類元素の1種以上)eCufx …(4) の表記で1<f/e<2の組成範囲内にあることを特徴
    とする酸化物超電導線材。
  10. 【請求項10】金属シースと、それに内包された酸化物
    超電導体とから構成される酸化物超電導線材に於いて、
    少なくとも該酸化物超電導体を構成する一種以上のアル
    カリ土類金属とCuを主成分とする物質と、高温に於い
    て酸素を吸蔵する能力がありしかも上記酸化物超電導体
    と反応しない物質とを含有する酸化物超電導線材が、該
    酸化物超電導体の粉末を製造する工程と、該酸化物超電
    導粉末を金属シースに充填する工程と、該金属シースを
    線引きする工程と、得られた前記線材を熱処理する工程
    とからなることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方
    法。
  11. 【請求項11】請求項10の酸化物超電導体の粉末を製
    造する工程に於いて、粉末はAgを含有し、組成式
    (5) BiaSrbCacCudAgyx …(5) (ただし、1.7≦a≦2.3,1.7≦b≦2.3,0.
    8≦c≦1.2,1.7≦d≦2.3,0<y≦0.3)で
    表される粉末であることを特徴とする酸化物超電導線材
    の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項10の酸化物超電導体の粉末を製
    造する工程に於いて、粉末はAgを含有し、組成物
    (6) TlaBabCacCudAgyx …(6) (ただし、0.3≦a≦1.2,0.6≦b≦1.2,0.
    4≦c≦0.8,0.9≦d≦1.2,0<y≦0.3)で
    表される粉末であることを特徴とする酸化物超電導線材
    の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項10の酸化物超電導体の粉末を製
    造する工程に於いて、粉末はAgを含有し、組成式
    (7) YaBabCucAgyx …(7) (ただし、0.8≦a≦1.2,1.8≦b≦2.2,2.
    8≦c≦3.2,0<y≦0.2 )で表される材料であ
    ることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項11で示した粉末を用いて、請求
    項10の酸化物超電導線材の熱処理する工程に於いて、
    雰囲気酸素濃度が30%O2 以上で、しかも金属シース
    内部の酸化物超電導体が部分的に溶融温度で部分溶融す
    ることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  15. 【請求項15】請求項10の酸化物超電導線材の熱処理
    する工程に於いて、部分溶融温度からの冷却速度Rが1
    ℃/min より遅い条件で合成することを特徴とする酸化
    物超電導線材の製造方法。
  16. 【請求項16】請求項10の酸化物超電導線材の熱処理
    する工程に於いて、部分溶融熱処理をした線材を、30
    %O2以下1.0%以上の酸素濃度雰囲気中で熱処理する
    ことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0753212A (ja) * 1993-08-13 1995-02-28 Agency Of Ind Science & Technol 高温超伝導体およびその作製法

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