JPH11126522A - 酸化物超電導線材及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材及びその製造方法

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JPH11126522A
JPH11126522A JP9288586A JP28858697A JPH11126522A JP H11126522 A JPH11126522 A JP H11126522A JP 9288586 A JP9288586 A JP 9288586A JP 28858697 A JP28858697 A JP 28858697A JP H11126522 A JPH11126522 A JP H11126522A
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wire
oxide superconducting
oxide
heat treatment
superconducting wire
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JP9288586A
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Kazuhide Tanaka
和英 田中
Michiya Okada
道哉 岡田
Keiji Fukushima
敬二 福島
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピンニングセンターを導入して超電導線材の
性能低下を低減させ、かつ、超電導線材の磁場特性を向
上させて、高い磁場中で高い臨界電流密度が得られる酸
化物超電導線材3及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 (Bi1-X PbX a Srb Cac Cu
d y (ただし、0.05≦X≦0.45、1.6≦a
≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦1.2、
1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)からなる組
成の酸化物超電導体を金属パイプに充填し、この金属パ
イプを伸線及び圧延加工を施して金属シーステープ線材
を形成する線材形成工程と、金属シーステープ線材を酸
化物超電導体の分解温度以上の温度で熱処理する第1熱
処理工程と、第1熱処理工程を行った金属シーステープ
線材を酸化物超電導体の分解温度以下の温度で熱処理す
る第2熱処理工程とを経て、酸化物超電導線材3を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導線材
及びその製造方法に係り、特に、液体窒素(N2)の沸
点温度77K以下の温度状態にして使用され、磁場中で
高密度の臨界電流を発生させることができる酸化物超電
導線材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超電導線材に用いられる超電導材
料としては、NbTi、Nb3 Sn等のニオブ(Nb)
金属系超電導材料が知られていた。ところが、ニオブ
(Nb)金属系超電導材料は、超電導臨界温度(Tc)
の最も高いNb3 Snにおいても23Kであるため、そ
の冷媒に高価な液体ヘリウム(He)を用いる必要があ
った。
【0003】その後、1986年になって酸化物系超電
導体が発見され、続いて、超電導臨界温度(Tc)が液
体窒素の沸点温度(77K)を超えるイットリウム
(Y)酸化物系、ビスマス(Bi)酸化物系、タリウム
(Tl)酸化物系というような各酸化物系超電導体が相
次いで発見された。これらの酸化物超電導体は、冷媒に
安価で入手容易な液体窒素(N2 )を用いることができ
るため、超電導線材を使用する各種の技術分野に大きな
影響を与えることになった。
【0004】これらの酸化物超電導体は、超電導臨界温
度(Tc)が高いだけでなく、超電導上部臨界磁界(H
2 )が高いという性質を兼ね備えている。特に、ビス
マス(Bi)酸化物系超電導体は、4.2K以下の極低
温における超電導上部臨界磁界(Hc2 )が50T(テ
スラー)乃至100T(テスラー)を超えるものである
ため、従来の金属系超電導材料では達成困難であった2
1T(テスラー)を超える高磁場を発生する超電導マグ
ネットの実現が可能となってきた。
【0005】最近になって、超電導材料粉末を銀(A
g)等の金属シース内に充填した後、その金属シースを
伸線加工及び圧延加工を施すパウダー・イン・チューブ
法によって製造された長さ30mmの短尺超電導線材
が、「第53回1995年春季低温工学・超電導学会講
演概要集」154頁に紹介された。この超電導線材は、
4.2Kの温度下で、23T(テスラー)の印加磁場の
元で、実用的な臨界電流密度(Jc)として、1710
A/mm2 が得られている。
【0006】さらに、超電導線材を用いる高磁場超電導
マグネットの分野においては、酸化物系超電導体と金属
系超電導体とで構成した複合マグネットを使用し、1G
Hz級の核磁気共鳴(NMR)装置等の開発が行われて
いる。この場合、現実に、1GHz級のNMR装置が開
発されれば、現存の750MHz級のNMR装置に比べ
て、大幅に画像の解像度を向上させることが可能にな
る。この1GHz級のNMR装置の実現には、23.5
T(テスラー)の定常磁場を発生させる必要があるた
め、酸化物系超電導コイルを高性能化して、1GHz級
のNMR装置の実現を図ることが必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】超電導線材を用いて、
より高い磁場を発生させる超電導コイルを実現するに
は、超電導線材の磁場発生機能を向上させる必要があ
る。
【0008】従来、超電導線材の製造手段においては、
より高い磁場中において、高い臨界電流密度(Jc)を
得るために必要なピンニングセンターの導入が行われて
いないという問題がある。
【0009】そして、そのピンニングセンターを導入す
る代わりに、超電導線材の中に第3の元素を添加させた
り、あるいは第3の元素を置換させたりする方法や、イ
オン照射等を行うことで、積極的に原子配列の欠陥を埋
めたり、原子配列の転移を行ったりする手段等が提案さ
れている。例えば、「第56回1997年春季低温工学
・超電導学会講演概要集」21頁において、ビスマス
(Bi)の2212単結晶に高濃度の鉛(Pb)を置換
することにより、特徴的な微細構造が現われ、臨界電流
密度(Jc)を改善するようにしている。
【0010】しかるに、前記臨界電流密度(Jc)の改
善手段を採用した場合、多結晶体からなる超電導線材に
おいては、非超電導相が多く介在するようになって、超
電導線材の性能が大幅に低下するようになり、超電導線
材の磁場特性が向上したとしても、磁場中で実際に得ら
れる臨界電流密度(Jc)は、従来の製造手段により製
造した超電導線材の臨界電流密度(Jc)に及ばないと
いう問題がある。
【0011】本発明は、これらの問題点を解決するもの
であって、その目的は、ピンニングセンターを導入して
超電導線材の性能低下を低減させ、かつ、超電導線材の
磁場特性を向上させて、高い磁場中で高い臨界電流密度
が得られる酸化物超電導線材及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明による酸化物超電導線材の製造方法は、(B
1-X PbX a Srb Cac Cud y (ただし、
0.05≦X≦0.45、1.6≦a≦2.4、1.6
≦b≦2.4、0.8≦c≦1.2、1.6≦d≦2.
4、7.0≦y≦9.0)からなる組成の酸化物超電導
体を金属パイプに充填し、この金属パイプを伸線及び圧
延加工を施して金属シーステープ線材を得る線材形成工
程、金属シーステープ線材を酸化物超電導体の分解温度
以上の温度で熱処理する第1熱処理工程、第1熱処理工
程を行った金属シーステープ線材を酸化物超電導体の分
解温度以下の温度で熱処理する第2熱処理工程とを経て
酸化物超電導線材を製造する第1の手段を具備する。
【0013】また、前記目的を達成するために、本発明
による酸化物超電導線材は、前記第1の手段により製造
したものであって、4.2K以下の温度において、金属
シーステープ線材のテープ面に垂直に20T(テスラ
ー)以上の磁場を印加したときの臨界電流密度が磁場を
印加しないときの1/3以上あり、20K以下の温度に
おいて、前記テープ面に垂直に10T(テスラー)以上
の磁場を印加したときの臨界電流密度が磁場を印加しな
いときの1/5以上あり、77K以下の温度において、
前記テープ面に垂直に1T(テスラー)以上の磁場を印
加したときの臨界電流密度が磁場を印加しないときの1
/7以上ある特性を有するものである第2の手段を具備
する。
【0014】前記第1の手段によれば、ビスマス(B
i)系酸化物超電導材料であるBi2Sr2 Ca1 Cu
2 y 系超電導体の磁場特性を向上させるため、ビスマ
ス(Bi)サイトに鉛(Pb)を置換させた組成のも
の、即ち、(Bi1-X PbX aSrb Cac Cud
y 超電導体を用い、(Bi1-X PbX a Srb Cac
Cud y 超電導体の分解温度以上の温度で熱処理する
第1熱処理工程、それに続いて、(Bi1-X PbX a
Srb Cac Cud y 超電導体の分解温度以下の温度
で熱処理する第2熱処理工程を経ることにより、得られ
た酸化物超電導線材の性能を、従来のこの種の酸化物超
電導線材の性能に比べて、大幅に向上させることを可能
にしている。そして、この酸化物超電導線材において
は、鉛(Pb)がピンニングセンターとして働くことに
より、77K以下の温度領域において、従来のこの種の
酸化物超電導線材に比べ、磁場に対する臨界電流密度
(Jc)の劣化率が小さくなり、高い磁場中において、
高い臨界電流密度(Jc)が得られる酸化物超電導線材
を製造することできる。
【0015】また、前記第2の手段によれば、酸化物超
電導線材を前記第1の手段によって製造したことによ
り、従来のこの種の酸化物超電導線材に比べて、磁場に
対する臨界電流密度(Jc)の劣化率を小さくし、高い
磁場中において、高い臨界電流密度(Jc)が得られる
酸化物超電導線材を提供することができるもので、例え
ば、液体ヘリウム(H2 )で冷却した場合、20T(テ
スラー)を超えるような強い磁場中において、臨界電流
密度(Jc)を、従来のこの種の酸化物超電導線材の臨
界電流密度(Jc)に比べて約2倍にすることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態におい
て、酸化物超電導線材の製造方法は、(Bi1-X
X a Srb Cac Cud y (ただし、0.05≦
X≦0.45、1.6≦a≦2.4、1.6≦b≦2.
4、0.8≦c≦1.2、1.6≦d≦2.4、7.0
≦y≦9.0)からなる組成の酸化物超電導体を金属パ
イプに充填し、この金属パイプを伸線及び圧延加工を施
して金属シーステープ線材を形成する線材形成工程と、
金属シーステープ線材を酸化物超電導体の分解温度以上
の温度で熱処理する第1熱処理工程と、第1熱処理工程
を行った金属シーステープ線材を酸化物超電導体の分解
温度以下の温度で熱処理する第2熱処理工程とを経て、
酸化物超電導線材を製造するものである。
【0017】本発明の第1の実施の形態の1つにおい
て、酸化物超電導線材の製造方法は、第1熱処理工程を
0.5atm以上の酸素分圧下において行い、第2熱処
理工程を0.5atm以下の酸素分圧下において行って
いるものである。
【0018】本発明の第1の実施の形態の他の1つにお
いて、酸化物超電導線材の製造方法は、第1熱処理工程
の後及び第2熱処理工程の後に、それぞれ、酸化物超電
導体を800℃から室温に至るまで、10℃乃至20℃
/minの冷却速度で降温させる工程を有するものであ
る。
【0019】本発明の第1の実施の形態の他の1つにお
いて、酸化物超電導線材の製造方法は、(Bi1-X Pb
X a Srb Cac Cud y からなる組成の酸化物超
電導導体を金属パイプに充填する前に、この酸化物超電
導導体の平均粒径を5μm以下に粉砕する工程を有する
ものである。
【0020】本発明の第1の実施の形態の他の1つにお
いて、酸化物超電導線材の製造方法は、金属パイプを純
銀(Ag)あるいは銀(Ag)を主成分とする銀合金か
らなる組成のものからなるものである。
【0021】本発明の第1の実施の形態の他の1つにお
いて、酸化物超電導線材の製造方法は、金属シーステー
プ線材における断面部分の銀の含有比率を3.0乃至
4.5の範囲内にしているものである。
【0022】本発明の第1の実施の形態の他の1つにお
いて、酸化物超電導線材の製造方法は、第2熱処理工程
後の金属シーステープ線材の臨界電流を、第1熱処理工
程後の金属シーステープ線材の臨界電流に比べて少なく
とも2倍以上にするようにしているものである。
【0023】本発明の第2の実施の形態において、酸化
物超電導線材は、線材形成工程、第1熱処理工程及び第
2熱処理工程をそれぞれ経て製造されたものであって、
4.2K以下の温度において、金属シーステープ線材の
テープ面に垂直に20T(テスラー)以上の磁場を印加
したときの臨界電流密度が磁場を印加しないときの1/
3以上あり、20K以下の温度において、テープ面に垂
直に10T(テスラー)以上の磁場を印加したときの臨
界電流密度が磁場を印加しないときの1/5以上あり、
77K以下の温度において、テープ面に垂直に1T(テ
スラー)以上の磁場を印加したときの臨界電流密度が磁
場を印加しないときの1/7以上ある特性を有するもの
である。
【0024】本発明の第1の実施の形態のそれぞれによ
れば、酸化物超電導体として、ビスマス(Bi)系酸化
物超電導材料であるBi2 Sr2 Ca1 Cu2 y 系超
電導体においてビスマス(Bi)の一部を鉛(Pb)に
置換した、(Bi1-X PbXa Srb Cac Cud
y (ただし、0.05≦X≦0.45、1.6≦a≦
2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦1.2、
1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)の組成の酸
化物超電導体を用い、パウダー・イン・チューブ法等の
線材作成方法によって金属シーステープ線材を作成した
後、この金属シーステープ線材を(Bi1-X PbX a
Srb Cac Cud y 超導電体の分解温度以上の温度
下において熱処理し、それに続いて、(Bi1-X
X a Srb Cac Cud y 超電導体の分解温度以
下の温度下において熱処理し、酸化物超電導線材を製造
するようにした製造プロセスを経ているので、酸化物超
電導線材の性能を、従来のこの種の酸化物超電導線材の
性能に比べて大幅に向上させることが可能になる。そし
て、この製造プロセスにおいては、一部のビスマス(B
i)と置換された鉛(Pb)がピンニングセンターとし
て働くので、製造された酸化物超電導線材は、77K以
下の温度下において、従来のこの種の酸化物超電導線材
に比べて、磁場に対する臨界電流密度(Jc)の劣化率
が小さくなり、高い磁場中において、高い臨界電流密度
(Jc)を達成できるものになる。
【0025】また、本発明の第2の実施の形態によれ
ば、本発明の第1の実施の形態に従った製造プロセスに
よって製造された酸化物超電導線材は、4.2K以下の
温度において金属シーステープ線材のテープ面に垂直に
20T(テスラー)以上の磁場を印加したときの臨界電
流密度が磁場を印加しないときの1/3以上、20K以
下の温度においてテープ面に垂直に10T(テスラー)
以上の磁場を印加したときの臨界電流密度が磁場を印加
しないときの1/5以上、77K以下の温度においてテ
ープ面に垂直に1T(テスラー)以上の磁場を印加した
ときの臨界電流密度が磁場を印加しないときの1/7以
上ある特性を有しているもので、従来のこの種の酸化物
超電導線材に比べ、磁場に対する臨界電流密度(Jc)
の劣化率が小さくなり、高い磁場中において高い臨界電
流密度(Jc)を達成可能な酸化物超電導線材を得るこ
とができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0027】図1は、本発明に係わる酸化物超電導線材
の一実施例の構成を示す斜視図である。
【0028】図1において、1は金属シーステープ線
材、2は銀(Ag)製被覆、3は酸化物超電導線材であ
る。
【0029】そして、酸化物超電導線材3は、横長の偏
平な断面形状を有する線状体を構成しているもので、そ
の内部に同じく横長の偏平な断面形状を有する19本の
金属シーステープ線材1が偏平方向を一致させた状態で
配置されており、19本の金属シーステープ線材1の周
囲に銀(Ag)製被覆2が充填され、かつ、外装に銀
(Ag)製被覆2を備えた構造のものである。この場
合、19本の金属シーステープ線材1は、酸化物超電導
線材3の断面の横長方向の中央部分に縦方向に並んで5
本が、その両端部分に同じく縦方向に並んでそれぞれ3
本が、中央部分と両端部分との間の中間部分に同じく縦
方向に並んでそれぞれ4本配置されている。
【0030】ここで、金属シーステープ線材1は、(B
1-X PbX a Srb Cac Cud y (ただし、
0.05≦X≦0.45、1.6≦a≦2.4、1.6
≦b≦2.4、0.8≦c≦1.2、1.6≦d≦2.
4、7.0≦y≦9.0)からなる組成の酸化物超電導
体の粉末を、円形の断面形状を有する銀(Ag)製のパ
イプに充填し、この銀(Ag)製のパイプを伸線加工を
施すことによって縮径を行った後、以下に述べるような
伸線及び圧延加工を施すことによって、断面形状が偏平
になるように構成されたものである。また、酸化物超電
導線材3は、19本の縮径した銀(Ag)製のパイプ
を、図1に示すような本数分布になるような形態で、円
形の断面形状を有するさらに別の銀(Ag)製のパイプ
に充填し、この別の銀(Ag)製のパイプを伸線及び圧
延加工を施すことによって、断面形状が偏平な金属シー
ステープ線材1及び酸化物超電導線材3を構成するよう
にしているものである。
【0031】次いで、断面形状が偏平にされた酸化物超
電導線材3は、まず、(Bi1-X PbX a Srb Ca
c Cud y からなる組成の酸化物超電導体の分解温度
以上で、その分解温度に近い温度下において第1熱処理
を行い、次に、(Bi1-X PbX a Srb Cac Cu
d y からなる組成の酸化物超電導体の分解温度以下
で、その分解温度に近い温度下において第2熱処理を行
うことによって、超導電特性が付与されるものである。
【0032】前記構成の酸化物超電導線材は、次のよう
な手段によって製造される。
【0033】この酸化物超電導線材の製造する製造方法
における一実施例においては、まず、純度が99%以上
の酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(C
aO)及び酸化銅(CuO)の各酸化物を出発原料と
し、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、銅
(Cu)の原子モル比がそれぞれ2.0:1.0:2.
0の組成になるように秤量し、それらの混合体を作成す
る。次に、この混合体を遠心ボールミルに入れ、20分
間にわたって混合した後、大気中において、温度900
℃で、20時間にわたる熱処理を行う。次いで、熱処理
した混合体を室温まで冷却した後、再度、遠心ボールミ
ルに入れ、20分間にわたって粉砕及び混合し、粉末状
態にする。続いて、得られた粉末に、ビスマス(B
i)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)、カルシウ
ム(Ca)、銅(Cu)の原子モル比がそれぞれ1.
6:0.4:2.0:1.0:2.0の組成になるよう
に酸化ビスマス(Bi2 3 )及び酸化鉛(PbO)を
秤量して加え、それらの粉末を遠心ボールミルに入れ、
1時間にわたって混合する。そして、得られた混合粉末
を、大気中において、温度830乃至850℃で、10
時間にわたる熱処理を行い、超電導材粉末を形成する。
この超電導材粉末は、X線回析の結果及び走査型電子顕
微鏡の観察結果によれば、超電導相以外に酸化ストロン
チウム(SrO)、酸化銅(CuO)及びCaPbO3
の異相も若干認めるものである。
【0034】次に、この超電導材粉末を遠心ボールミル
に入れ、平均粒径が5μm以下になるように粉砕及び混
合し、超電導材微粉末を形成する。次いで、超電導材微
粉末を外径21.0mm、内径17.5mmの円形の断
面形状を有する純銀(Ag)パイプに充填する。続い
て、この純銀(Ag)パイプを、ドローベンチを用い
て、断面減少率11乃至13%の伸線加工を施し、外径
が3.40mmになるまで縮径する。次に、縮径した純
銀(Ag)パイプを長さ方向に19等分になるように切
断し、19本の切断純銀(Ag)パイプを形成する。次
いで、この19本の切断純銀(Ag)パイプを、外径2
1.0mm、内径18.2mmの円形の断面形状を有す
る別の純銀(Ag)パイプに組み込む。続いて、この別
の純銀(Ag)パイプを、ドローベンチを用いて、断面
減少率11〜13%の伸線加工を施し、外径1.52m
mになるまで縮径する。次に、縮径した別の純銀(A
g)パイプに圧延加工を施すことによって、厚さが0.
15乃至0.20mmの範囲内、幅が4.8乃至5.1
mmの範囲内、長さが200乃至300mの範囲内の偏
平な断面形状を持つが銀(Ag)シースビスマス(B
i)−2212/19芯の金属シーステープ線材1を構
成する。なお、この金属シーステープ線材1は、単芯及
び多芯線材の加工途中において、温度が350℃で、1
0分にわたる焼鈍を適宜1乃至3回程度行っている。
【0035】この金属シーステープ線材1は、始めに、
第1熱処理工程として、純酸素(酸素分圧が1atm)
中において、金属シーステープ線材1のコア部、即ち、
(Bi1-X PbX a Srb Cac Cud y からなる
組成の酸化物超電導体の分解温度より僅かに高い温度で
ある860乃至865℃の範囲内の温度で、10乃至3
0分の範囲内にわたる熱処理を行い、前記酸化物超電導
体を部分溶融させ、その後で、温度800℃に至るまで
0.05乃至0.5℃/minの範囲内の速度で降温さ
せ、冷却する。次に、第2熱処理工程として、1乃至2
0%(酸素分圧が0.01乃至0.2atm)の酸素濃
度雰囲気中において、前記酸化物超電導体の分解温度よ
り僅かに低い温度である800℃の温度で、10乃至2
0時間の範囲内にわたるアニール処理を行い、このアニ
ール処理を行った後で、温度800℃から常温に至るま
で10乃至20℃/minの範囲内の速度で降温冷却さ
せ、酸化物超電導線材3が得られる。
【0036】前記製造方法の実施例において、(Bi
1-X PbX a Srb Cac Cud y からなる組成の
酸化物超電導体の原料化合物には、ビスマス(Bi)化
合物、ストロンチウム(Sr)化合物、カルシウム(C
a)化合物及び銅(Cu)化合物が用いられ、必要に応
じて、鉛(Pb)化合物やバリウム(Ba)化合物が用
いられる。各原料化合物は、酸化物、水酸化物、炭酸
塩、硝酸塩、ほう酸塩、酢酸塩等の形のものが用いられ
る。
【0037】また、前記製造方法の実施例において、酸
化物超電導粉末を合成したり、中間焼成を行ったりする
際の熱処理温度は、700乃至1200℃の範囲内の温
度が利用される。また、必要に応じて、(Bi1-X Pb
X a Srb Cac Cud y からなる組成の酸化物超
電導体を部分溶融温度以上に加熱した後、これを冷却す
る過程おいて、超電導相の結晶粒内に非超電導相を分散
させ、ピンニング力を高める方法を用いてもよい。
【0038】さらに、前記製造方法の実施例において
は、金属シーステープ線材1及び酸化物超電導線材3を
形成するために、パウダー・イン・チューブ法を利用し
ているが、本発明の酸化物超電導線材の製造方法におけ
る金属シーステープ線材1及び酸化物超電導線材3の形
成方法は、パウダー・イン・チューブ法に限られるもの
ではなく、他の方法、例えば、溶射法、ドクターブレー
ド法、デイップコート法、スプレーパイロリシス法ある
いはジェリーロール法等を用いてもよい。
【0039】また、前記製造方法の実施例における金属
シーステープ線材1及び酸化物超電導線材3における伸
線加工を施す工程においては、金属シーステープ線材1
及び酸化物超電導線材の断面形状を所望のものにすると
同時に、金属シーステープ線材1のコア部に充填された
(Bi1-X PbX a Srb Cac Cud y からなる
組成の酸化物超電導粉末を高密度化する働きがある。
【0040】さらに、前記製造方法の実施例における金
属シーステープ線材1及び酸化物超電導線材3における
圧延加工においては、金属シーステープ線材1及び酸化
物超電導線材の断面形状を所望のものにすると同時に、
金属シーステープ線材1のコア部に充填された前記酸化
物超電導粉末を一層高密度化する働きがある。なお、こ
の圧延加工時に、金属シーステープ線材1及び酸化物超
電導線材3の長手方向への伸びを最小限に抑え、横幅方
向への伸びを促進させることにより、前記酸化物超電導
粉末の高密度化を促進させることができる。この場合、
酸化物超電導線材の用途によっては、圧延加工を行わず
に、断面形状が円形の酸化物超電導線材を製造するよう
にしてもよい。
【0041】この他に、前記製造方法の実施例において
は、シース材料や外装材料に純銀(Ag)を用いら例を
挙げて説明したが、本発明の酸化物超電導線材の製造方
法におけるシース材料や外装材料は純銀(Ag)である
場合に限られず、熱処理に際して腐食等を生じない金属
であれば他の金属でもよく、銀(Ag)の他にも、金
(Au)、パラジウム(Pa)、白金(Pt)、重量で
1乃至50%の金(Au)を含む銀(Ag)基合金、重
量で1乃至50%のパラジウム(Pa)、マグネシウム
(Mg)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、ニッケ
ル(Ni)、銅(Cu)を含む銀(Ag)または金(A
u)基合金等を用いることができる。この場合、必要に
応じて、構造補強のために最外層に非磁性の耐熱合金か
らなる層を設けるようにしてもよい。
【0042】続く、図2は、本実施例の製造方法によっ
て製造された酸化物超電導線材における印加磁場と臨界
電流密度との関係を示す特性図であって、比較のため
に、Bi2 Sr2 Ca1 Cu2 y 系酸化物超電導体を
用い、その他は本実施例の製造方法とほぼ同一の製造プ
ロセスを用いて製造した酸化物超電導線材における印加
磁場と臨界電流密度との関係をあわせて示したものであ
る。
【0043】図2において、縦軸はA/mm2 で表す臨
界電流密度であり、横軸はT(テスラー)で表す印加磁
場である。また、実線は本実施例の製造方法によって製
造された酸化物超電導線材(以下、これを本実施例線材
という)の特性であり、点線はBi2 Sr2 Ca1 Cu
2 y 系酸化物超電導体を用い、その他は本実施例の製
造方法とほぼ同一の製造プロセスを用いて製造した酸化
物超電導線材(以下、これを比較例線材という)の特性
である。
【0044】この場合、本実施例線材と比較例線材につ
いて、電気抵抗がゼロになる超電導臨界温度(Tc)を
直流四端子法で測定したところ、本実施例線材は85
K、比較例線材89Kでそれぞれ超電導臨界温度(T
c)に達したことが確認された。
【0045】図2に示されるように、本実施例線材と比
較例線材の臨界電流密度(Jc)の磁場依存性を、温度
77K、20K、4.2Kのそれぞれで測定すると、い
ずれの温度77K、20K、4.2Kにおいても、印加
磁場が比較的小さい間は、本実施例線材の臨界電流密度
(Jc)より比較例線材の臨界電流密度(Jc)が高く
なっているが、印加磁場が増加するに伴って、本実施例
線材の臨界電流密度(Jc)が比較例線材の臨界電流密
度(Jc)よりも高くなっている。
【0046】また、図2に示されるように、印加磁場に
対する臨界電流密度(Jc)の劣化の度合は、比較例線
材に比べて本実施例線材の方が明らかに小さいものであ
る。即ち、温度77Kの場合、本実施例線材は、印加磁
場がゼロのときに臨界電流密度(Jc)が150A/m
2 、1T(テスラー)の磁場を金属シーステープ線材
のテープ面に垂直に印加したときに臨界電流密度(J
c)が300A/mm2であるのに対し、比較例線材
は、印加磁場がゼロのときに臨界電流密度(Jc)が3
00A/mm2 、1T(テスラー)の磁場を金属シース
テープ線材のテープ面に垂直に印加したときに臨界電流
密度(Jc)が15A/mm2 である。また、温度20
Kの場合、本実施例線材は、印加磁場がゼロのときに臨
界電流密度(Jc)が1400A/mm2 、10T(テ
スラー)の磁場を金属シーステープ線材のテープ面に垂
直に印加したときに臨界電流密度(Jc)が500A/
mm2であるのに対し、比較例線材は、印加磁場がゼロ
のときに臨界電流密度(Jc)が1800A/mm2
10T(テスラー)の磁場を金属シーステープ線材のテ
ープ面に垂直に印加したときに臨界電流密度(Jc)が
300A/mm2 である。さらに、温度4.2Kの場
合、本実施例線材は、印加磁場がゼロのときに臨界電流
密度(Jc)が3500A/mm2 、20T(テスラ
ー)の磁場を金属シーステープ線材のテープ面に垂直に
印加したときに臨界電流密度(Jc)が1800A/m
2 であるのに対し、比較例線材は、印加磁場がゼロの
ときに臨界電流密度(Jc)が4900A/mm2 、2
0T(テスラー)の磁場を金属シーステープ線材のテー
プ面に垂直に印加したときに臨界電流密度(Jc)が1
100A/mm2 である。
【0047】このように、本実施例の製造方法によって
製造した酸化物超電導線材(本実施例線材)は、比較の
ために製造した酸化物超電導線材(比較例線材)に比べ
て、印加磁場中において優れた超電導特性を有している
ものである。
【0048】次に、本実施例の製造方法によって酸化物
超電導線材を製造する場合に、(Bi1-X PbX a
b Cac Cud y (ただし、0.05≦X≦0.4
5、1.6≦a≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8
≦c≦1.2、1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.
0)からなる組成の酸化物超電導体の組成範囲、即ち、
数値x、a、b、c、d、yを0.1刻みに変えた組み
合わせにより得られた酸化物超電導体を用いて各別に酸
化物超電導線材を製造した。このとき、製造された各別
の酸化物超電導線材のそれぞれについて、温度77K、
20K、4.2Kのそれぞれで、印加磁場と臨界電流密
度(Jc)との関係を測定したところ、温度77Kの場
合、1T(テスラー)の磁場を金属シーステープ線材の
テープ面に垂直に印加したときの臨界電流密度(Jc)
は、磁場を印加しない場合の臨界電流密度(Jc)の1
/7以上の値を示すものであり、また、温度20Kの場
合、10T(テスラー)の磁場を金属シーステープ線材
のテープ面に垂直に印加したときの臨界電流密度(J
c)は、磁場を印加しない場合の臨界電流密度(Jc)
の1/5以上の値を示すものであり、さらに、4.2K
の場合、20T(テスラー)の磁場を金属シーステープ
線材のテープ面に垂直に印加したときの臨界電流密度
(Jc)は、磁場を印加しない場合の臨界電流密度(J
c)の1/3以上の値を示すものであった。
【0049】これに対し、(Bi1-X PbX a Srb
Cac Cud y (ただし、0.05≦X≦0.45、
1.6≦a≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c
≦1.2、1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)
からなる組成の酸化物超電導体の組成範囲において、そ
の数値x、a、b、c、d、yの中の少なくとも1つま
たはそれ以上を組成範囲外の値に選ぶことによって得ら
れた酸化物超電導体を用いて各別に酸化物超電導線材を
製造した。このときも前の場合と同様に、製造された各
別の酸化物超電導線材のそれぞれについて、温度77
K、20K、4.2Kのそれぞれで、印加磁場と臨界電
流密度(Jc)との関係を測定したところ、77Kの場
合、1T(テスラー)の磁場を金属シーステープ線材の
テープ面に垂直に印加したときの臨界電流密度(Jc)
は、磁場を印加しない場合の臨界電流密度(Jc)の1
/7を超える値を示すものでなく、また、20Kの場
合、10T(テスラー)の磁場を金属シーステープ線材
のテープ面に垂直に印加したときの臨界電流密度(J
c)は、磁場を印加しない場合の臨界電流密度(Jc)
の1/5を超える値を示すものでなく、さらに、4.2
Kの場合、20T(テスラー)の磁場を金属シーステー
プ線材のテープ面に垂直に印加したときの臨界電流密度
(Jc)は、磁場を印加しない場合の臨界電流密度(J
c)の1/3を超える値を示すものでなかった。
【0050】このように、本発明による酸化物超電導線
材は、(Bi1-X PbX a SrbCac Cud
y (ただし、0.05≦X≦0.45、1.6≦a≦
2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦1.2、
1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)からなる組
成の酸化物超電導体を用いることにより、印加磁場中に
おいて優れた超電導特性を示す酸化物超電導線材を得る
ことができる。
【0051】次いで、図3は、本発明の酸化物超電導線
材の製造方法における第1熱処理工程の酸素分圧と酸化
物超電導線材の臨界電流密度と関係を示す特性図であ
る。
【0052】図3において、縦軸はA/mm2 で表す臨
界電流密度であり、横軸はatmで表す酸素分圧であ
る。
【0053】ここでは、純度が99%以上の酸化ストロ
ンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸
化銅(CuO)の各酸化物を出発原料とし、例えば、ビ
スマス(Bi)、鉛(Pb)、ストロンチウム(S
r)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)の原子モル比が
それぞれ1.6:0.4:2.0:1.0:2.0の組
成となるように秤量し、それらの混合体を作成する。こ
の混合体を作成した後、前記実施例の製造方法と同様の
製造プロセスを経て酸化物超導電線材3を製造する際の
第1熱処理工程において、温度を酸化物超導電体の分解
温度よりもやや高い温度下で、酸素分圧を0乃至3at
mの範囲内の種々の値に選び、選んだそれぞれの酸素分
圧で第1熱処理工程を行い、各別に酸化物超導電体を製
造した。このとき得られたそれぞれの酸化物超導電線材
について、温度4.2Kにし、印加磁場をゼロにして、
臨界電流密度(Jc)を測定したのが図3に示される特
性図である。
【0054】図3の特性図から判るように、第1熱処理
工程時の酸素分圧が0乃至1.0atmの範囲内におい
ては、酸素分圧が高い程、得られた酸化物超導電線材の
印加磁場ゼロ時の臨界電流密度(Jc)は高くなる傾向
を示すが、酸素分圧が0.5atmを超えると、得られ
た酸化物超導電線材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度
(Jc)はそれほど大きくならず、実際の臨界電流密度
(Jc)の最大値は、酸素分圧が1atmの場合に得ら
れた1200A/mm2 である。
【0055】これらのことから、本発明の酸化物超導電
線材の製造方法において、第1熱処理時における酸素分
圧を0.5atm以上に選ぶことが効果的であって、臨
界電流密度(Jc)の高い酸化物超導電線材が得られる
ようになる。
【0056】続く、図4は、本発明の酸化物超電導線材
の製造方法における第2熱処理工程の酸素分圧と酸化物
超電導線材の臨界電流密度と関係を示す特性図である。
【0057】図4において、縦軸はA/mm2 で表す臨
界電流密度であり、横軸はatmで表す酸素分圧であ
る。
【0058】ここでも、純度が99%以上の酸化ストロ
ンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸
化銅(CuO)の各酸化物を出発原料とし、例えば、ビ
スマス(Bi)、鉛(Pb)、ストロンチウム(S
r)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)の原子モル比が
それぞれ1.6:0.4:2.0:1.0:2.0の組
成となるように秤量し、それらの混合体を作成する。こ
の混合体を作成した後、前記実施例の製造方法と同様の
製造プロセスを経て酸化物超導電線材3を製造する際の
第2熱処理工程において、温度を酸化物超導電体の分解
温度よりもやや低い温度下で、酸素分圧を0乃至3at
mの範囲内の種々の値に選び、選んだそれぞれの酸素分
圧で、20時間にわたって第2熱処理工程を行い、各別
に酸化物超導電体を製造した。このとき得られたそれぞ
れの酸化物超導電線材について、温度4.2Kにし、印
加磁場がゼロの状態で、臨界電流密度(Jc)を測定し
たのが図4に示される特性図である。
【0059】図4の特性図から判るように、第2熱処理
工程時の酸素分圧が0乃至0.5atmの範囲内におい
ては、得られた酸化物超導電線材の印加磁場ゼロ時の臨
界電流密度(Jc)はほぼ飽和した状態を示すが、酸素
分圧が0.5atmを超えると、得られた酸化物超導電
線材の印加磁場ゼロ時の臨界電流密度(Jc)は酸素分
圧の大きさに従って順次減少し、実際の臨界電流密度
(Jc)の最大値は、酸素分圧が0.2atmの場合に
得られた3500A/mm2 である。
【0060】これらのことから、本発明の酸化物超導電
線材の製造方法において、第2熱処理時における酸素分
圧を0.5atm以下に選ぶことが効果的であって、臨
界電流密度(Jc)の高い酸化物超導電線材が得られる
ようになる。
【0061】続いて、(Bi1-X PbX a Srb Ca
c Cud y (ここで、0.05≦x≦0.45、1.
6≦a≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦
1.2、1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)か
らなる組成の酸化物超電導体を用い、前記実施例の製造
方法と同様の製造プロセスを経て酸化物超導電線材を製
造する際に、第1熱処理工程として、純酸素(酸素分圧
が1atm)中において、コア部を構成する前記酸化物
超導電材の分解温度より僅かに高い温度である860乃
至865℃の温度にし、10乃至30分の範囲内の時間
にわたる熱処理を行い、前記酸化物超導電材を部分溶融
させた後、温度815℃に至るまで、0.05乃至0.
5℃/minの速度で降温させ、次に、室温に至るまで
15℃/minの速度で降温冷却した。その後、一方の
酸化物超導電線材は、これ以上の熱処理(第2熱処理)
を行わず、もう一方の酸化物超導電線材は、第2熱処理
工程として、20%(酸素分圧が0.2atm)の酸素
濃度雰囲気中で、温度800℃で、20時間のアニール
処理を施し、その後、温度800℃から室温に至るま
で、の冷却は、10乃至15℃/minの速度で降温冷
却させた。
【0062】このとき得られた酸化物超導電線材につい
て、温度4.2Kで、印加磁場ゼロの状態で臨界電流密
度(Jc)を測定したところ、第1熱処理と第2熱処理
を行った酸化物超導電線材の臨界電流密度(Jc)は、
第1熱処理だけを行った酸化物超導電線材の臨界電流密
度(Jc)に比べて高い値になり、第1熱処理と第2熱
処理を行った酸化物超導電線材は、第1熱処理だけを行
った酸化物超導電線材よりも少なくとも臨界電流密度
(Jc)を2倍以上にすることができる。具体的には、
第1熱処理だけを行った酸化物超導電線材は、臨界電流
密度(Jc)が550乃至1200A/mm2 の範囲内
であるのに対し、第1熱処理と第2熱処理を行った酸化
物超導電線材は、臨界電流密度(Jc)が2500乃至
3500A/mm2 の範囲内にまで増大している。この
場合、臨界電流密度(Jc)が増大した理由は、低い酸
素分圧中で第2熱処理を行ったことにより、酸化物超導
電材の結晶内で酸素欠損が進んだためであると考えられ
る。
【0063】これに対して、本発明の酸化物超導電線材
の製造方法の製造プロセスと同じ製造プロセスで酸化物
超導電線材を製造する場合に、第2熱処理時の温度を第
1熱処理時の温度とほぼ同じ温度、即ち、酸化物超導電
材の分解温度よりやや高い温度で行って酸化物超導電線
材を製造したもの(前者)、または、第1熱処理時の温
度を第2熱処理の温度とほぼ同じ温度、即ち、酸化物超
導電材が分解する温度よりやや低い温度を行って酸化物
超導電線材を製造したもの(後者)について、温度4.
2Kで、印加磁場ゼロの状態で臨界電流密度(Jc)を
測定したところ、前者及び後者のそれぞれの臨界電流密
度(Jc)は、200A/mm2 程度の低い臨界電流密
度(Jc)が得られたに過ぎなかった。
【0064】これらのことから、本発明の酸化物超導電
線材の製造方法においては、第1熱処理時の温度は酸化
物超導電材の分解温度よりもやや高い温度に選び、一
方、第2熱処理時の温度は酸化物超導電材の分解温度よ
りもやや低い温度に選ぶ必要がある。
【0065】次に、(Bi1-X PbX a Srb Cac
Cud y (ここで、0.05≦x≦0.45、1.6
≦a≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦1.
2、1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)からな
る組成の酸化物超電導体を用い、前記実施例の製造方法
と同様の製造プロセスを経て酸化物超導電線材を製造す
る際に、第1熱処理工程として、純酸素(酸素分圧が1
atm)中において、コア部を構成する酸化物超導電材
の分解温度よりもやや高い温度である860乃至865
℃の温度で、10乃至30分の時間にわたり熱処理を行
い、酸化物超導電材を部分溶融させ、次いで、温度80
0℃に至るまで、0.05乃至0.5℃/minの速度
で降温させ、その後、温度800℃から室温に至るま
で、2乃至8℃/minと前記実施例の製造方法よりも
1.25乃至5倍程度遅い速度で降温冷却した。次に、
第2熱処理工程として、0.05atm以下の酸素分圧
下において、温度800℃で、10乃至20時間にわた
るアニール処理を施し、次いで、温度800℃から室温
に至るまで、10乃至20℃/minの速度で降温冷却
し、酸化物超電導線材を製造した。このとき得られた酸
化物超電導線材について、温度4.2Kで、印加磁場ゼ
ロの状態で臨界電流密度(Jc)を測定したところ、臨
界電流密度(Jc)は2000A/mm2 で、前記実施
例の製造方法で得られた酸化物超電導線材の臨界電流密
度(Jc)の約1/2程度に低下していた。この場合、
臨界電流密度(Jc)が低下した原因は、第1熱処理時
の温度800℃から室温に至るまでの降温速度によるも
のと考えて、走査型顕微鏡で酸化物超電導線材の横断面
の組織観察を行ったところ、前記降温速度を遅くしたこ
とにより、非超電導相が最大30μmまで粗大化してい
た。即ち、この非超電導相の結晶層が成長し、電流パス
を遮断しているものと考察される。
【0066】一方、前記の場合とは逆に、第1熱処理時
における温度800℃から室温に至るまでの降温速度を
10℃/minより速くし、第2熱処理時における温度
800℃からの降温速度を10℃/minより遅くした
場合においても、得られた酸化物超電導線材の非超電導
相が粗大化しており、4.2Kの温度で、印加磁場ゼロ
の状態における臨界電流密度(Jc)は、1800A/
mm2 で、前記実施例の製造方法で得られた酸化物超電
導線材の臨界電流密度(Jc)の約1/2程度に低下し
ていた。
【0067】これらのことから、本実施例の製造方法に
おいて、第1熱処理工程の後及び記2熱処理工程の後
で、それぞれ、酸化物超電導体を温度800℃から室温
に至るまで10℃乃至20℃/minの速度で降温冷却
させることが好ましい。
【0068】次いで、(Bi1-X PbX a Srb Ca
c Cud y (ここで、0.05≦x≦0.45、1.
6≦a≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦
1.2、1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)か
らなる組成の酸化物超電導体を用い、前記実施例の製造
方法と同様の製造プロセスを経て酸化物超導電線材を製
造する際に、純銀(Ag)パイプに充填する超電導体粉
末の平均粒径を5μmから10μmに変更させた以外、
前記実施例の製造方法と全く同様にして酸化物超電導線
材を製造した。そして、第1熱処理及び第1熱処理を施
した長さ3mの酸化物超電導線材について、4.2Kの
温度、印加磁場ゼロの状態で臨界電流密度(Jc)を測
定し、ここでは酸化物超電導線材の長手方向における各
部の臨界電流密度(Jc)の分布状態を調べた。同時
に、純銀(Ag)パイプに充填する超電導体粉末の平均
粒径を5μmにした前記実施例の製造方法によって製造
した長さ3mの酸化物超電導線材についても、同様の臨
界電流密度(Jc)測定及び各部の臨界電流密度(J
c)の分布状態の調査を行った。その結果、超電導体粉
末の平均粒径を10μmにした酸化物超電導線材は、各
部の臨界電流密度(Jc)が非常に不均質であって、最
も高い部分の臨界電流密度(Jc)は3400A/mm
2 であったが、最も低い部分の臨界電流密度(Jc)は
その1/7以下の450A/mm2 に低下している。こ
れに対して、超電導体粉末の平均粒径を5μmにした酸
化物超電導線材は、各部の臨界電流密度(Jc)が均質
であって、2900乃至3500A/mm2 の範囲内に
収まり、しかも、高い値の臨界電流密度(Jc)が得ら
れるものである。
【0069】この臨界電流密度(Jc)のバラツキの原
因を調査するため、走査型電子顕微鏡で酸化物超電導線
材の横断面の組織を観察した。その結果、超電導体粉末
の平均粒径を10μmにした酸化物超電導線材には、超
電導体粉末の平均粒径を5μm以下にした酸化物超電導
線材で全く認められなかった20μm以上に粗大化した
非超電導相が析出していることが判った。酸化物超電導
線材における臨界電流密度(Jc)が低い部分は、この
粗大化した非超電導相が析出しており、その非超電導相
が電流パスを遮断しているものと考察される。
【0070】これらのことから、本実施例の製造方法に
おいて、超電導体粉末の平均粒径は5μm以下であるこ
とが好ましい。
【0071】続いて、(Bi1-X PbX a Srb Ca
c Cud y (ここで、0.05≦x≦0.45、1.
6≦a≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦
1.2、1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)か
らなる組成の酸化物超電導体を用い、前記実施例の製造
方法と同様の製造プロセスを経て酸化物超導電線材を製
造する際に、酸化物超導電粉末を充填する純銀(Ag)
パイプを用いる代わりに、それぞれ、銀−0.5重量%
金合金パイプ、金パイプ、金−5重量%のパラジウム合
金パイプを用いて各別に酸化物超導電線材を製造した。
このとき得られた酸化物超導電線材について、4.2K
の温度で、印加磁場ゼロの状態で臨界電流密度(Jc)
を測定したところ、銀−0.5重量%金合金パイプを使
用した酸化物超導電線材は臨界電流密度(Jc)として
3000乃至3300A/mm2 が得られるものの、金
パイプ及び金−5重量%のパラジウム合金パイプを使用
した酸化物超導電線材は臨界電流密度(Jc)として4
00乃至700A/mm2 程度の低い値の臨界電流密度
(Jc)が得られただけであった。
【0072】これらのことから、本実施例の製造方法に
おいて、酸化物超導電粉末を充填するパイプの材料は、
純銀(Ag)パイプまたは銀−0.5重量%金合金パイ
プであることが好ましい。
【0073】引き続いて、本実施例の酸化物超導電線材
の製造方法において、圧延加工後の金属シーステープ線
材1の銀比が、それぞれ、2.5、3.0、4.5、
5.0になる4種類の酸化物超導電線材を本実施例の製
造方法に従って製造した。この場合、4種類の酸化物超
導電線材は、酸化物超導電粉末の充填密度に対する調整
銀比を変化させることによって得ている。
【0074】ここで、図5は、金属シーステープ線材の
銀比と、酸化物超導電線材をコイル状に形成した際のコ
イルの発生磁場との関係を示す特性図である。
【0075】この場合のコイルは、酸化物超導電線材を
巻回して内径が15mm、外径が45mm、高さが10
mmのダブルパンケーキ型コイルをそれぞれ3個づつ作
製したもので、左側の数値は金属シーステープ線材の銀
比であり、右側の数値は4.2Kの温度で、15T(テ
スラー)の印加磁場の中においてそれぞれのコイルに通
電して得られた磁場の大きさをT(テスラー)で表した
ものである。
【0076】図5に示されるように、金属シーステープ
線材の銀比が3.0及び4.5である酸化物超導電線材
を用いて作成したコイルは、金属シーステープ線材の銀
比が2.5及び5.0である酸化物超導電線材を用いて
作成したコイルよりも高い磁場を発生させることができ
る。そして、金属シーステープ線材の銀比が2.5であ
る酸化物超導電線材を用いて作成したコイルの破壊検査
を行ったところ、酸化物超導電線材の欠陥部から酸化物
超導電材のコアが大量に溶出していることが確認され
た。これは、金属シーステープ線材の銀比が小さいため
に生じたものと思われる。同様に、金属シーステープ線
材の銀比が5.0である酸化物超導電線材を用いて作成
したコイルの破壊検査を行ったところ、酸化物超導電材
のコアの溶出等は認められなかった。このことから、金
属シーステープ線材の銀比が5.0であるの酸化物超導
電線材を用いて作成したコイルは、単に、酸化物超電導
体の割合の減少に伴い発生磁場が低下したことによるも
のと考えられる。
【0077】これらのことから、本実施例の製造方法に
おいて、金属シーステープ線材の銀比を3.0乃至4.
5の範囲内の値に選ぶことが好ましい。
【0078】以上のように、本実施例の酸化物超導電線
材の製造方法によって得られた酸化物超導電線材は、高
い臨界電流密度(Jc)を有する酸化物超導電線材を得
ることができ、しかも、この酸化物超導電線材は、冷媒
としての液体窒素(N2 )や冷凍機を用いることが可能
でなるため、酸化物超導電線材を用いた装置の運転コス
トが低減し、クエンチの発生を防止のための措置が簡略
化され、そのためのコストを大幅に低減することが可能
になり、同時に、酸化物超導電線材の超電導特性の信頼
性が高められる。
【0079】
【発明の効果】本発明の酸化物超電導線材の製造方法に
よれば、ビスマス(Bi)系酸化物超電導材料であるB
2 Sr2 Ca1 Cu2 y 系超電導体の磁場特性を向
上させるため、ビスマス(Bi)サイトに鉛(Pb)を
置換させた組成のもの、即ち、(Bi1-X PbX a
b Cac Cud y 超電導体を用い、(Bi1-X Pb
X a Srb Cac Cud y 超電導体の分解温度以上
の温度で熱処理する第1熱処理工程、それに続いて、
(Bi1-X PbX a Srb Cac Cud y 超電導体
の分解温度以下の温度で熱処理する第2熱処理工程を経
ることにより、得られた酸化物超電導線材の性能を、従
来のこの種の酸化物超電導線材の性能に比べて、大幅に
向上させることができるという効果がある。
【0080】また、本発明の酸化物超電導線材の製造方
法によれば、この酸化物超電導線材において鉛(Pb)
がピンニングセンターとして働くことにより、77K以
下の温度領域において、従来のこの種の酸化物超電導線
材に比べ、磁場に対する臨界電流密度(Jc)の劣化率
が小さくなり、高い磁場中において、高い臨界電流密度
(Jc)が得られる酸化物超電導線材を製造することが
できるという効果がある。
【0081】本発明の酸化物超電導線材によれば、酸化
物超電導線材を前記製造方法によって製造したことによ
り、従来のこの種の酸化物超電導線材に比べて、磁場に
対する臨界電流密度(Jc)の劣化率を小さくし、高い
磁場中において、高い臨界電流密度(Jc)が得られる
酸化物超電導線材を提供することができるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる酸化物超電導線材の一実施例の
構成を示す斜視図である。
【図2】本実施例の製造方法によって製造された酸化物
超電導線材における印加磁場と臨界電流密度との関係を
示す特性図である。
【図3】本発明の酸化物超電導線材の製造方法における
第1熱処理工程の酸素分圧と酸化物超電導線材の臨界電
流密度と関係を示す特性図である。
【図4】本発明の酸化物超電導線材の製造方法における
第2熱処理工程の酸素分圧と酸化物超電導線材の臨界電
流密度と関係を示す特性図である。
【図5】金属シーステープ線材の銀比と酸化物超導電線
材をコイル状に形成した際のコイルの発生磁場との関係
を示す特性図である。
【符号の説明】
1 金属シーステープ線材 2 銀(Ag)製被覆 3 酸化物超導電線材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (Bi1-X PbX a Srb Cac Cu
    d y (ただし、0.05≦X≦0.45、1.6≦a
    ≦2.4、1.6≦b≦2.4、0.8≦c≦1.2、
    1.6≦d≦2.4、7.0≦y≦9.0)からなる組
    成の酸化物超電導体を金属パイプに充填し、前記金属パ
    イプを伸線及び圧延加工を施して金属シーステープ線材
    を形成する線材形成工程と、前記金属シーステープ線材
    を前記酸化物超電導体の分解温度以上の温度で熱処理す
    る第1熱処理工程と、前記第1熱処理工程を行った金属
    シーステープ線材を前記酸化物超電導体の分解温度以下
    の温度で熱処理する第2熱処理工程とを経て、酸化物超
    電導線材を製造することを特徴とする酸化物超電導線材
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1熱処理工程は0.5atm以上
    の酸素分圧下において行われ、前記第2熱処理工程は
    0.5atm以下の酸素分圧下において行われることを
    特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記第1熱処理工程の後及び前記第2熱
    処理工程の後に、それぞれ、前記酸化物超電導体を80
    0℃から室温に至るまで10℃乃至20℃/minの冷
    却速度で降温させる工程を有することを特徴とする請求
    項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸化物超電導導体を前記金属パイプ
    に充填する前に、前記酸化物超電導導体の平均粒径が5
    μm以下になるまで粉砕する工程を有することを特徴と
    する請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属パイプは、純銀あるいは銀を主
    成分とする銀合金からなる組成のものであることを特徴
    とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記金属シーステープ線材における断面
    部分の銀の含有比率は、3.0乃至4.5の範囲内にあ
    ることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2熱処理工程後の金属シーステー
    プ線材の臨界電流は、前記第1熱処理工程後の金属シー
    ステープ線材の臨界電流に比べて少なくとも2倍以上に
    なっていることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超
    電導線材の製造方法。
  8. 【請求項8】 線材形成工程、第1熱処理工程及び第2
    熱処理工程をそれぞれ経て製造された酸化物超電導線材
    であって、4.2K以下の温度において、金属シーステ
    ープ線材のテープ面に垂直に20T(テスラー)以上の
    磁場を印加したときの臨界電流密度が磁場を印加しない
    ときの1/3以上あり、20K以下の温度において、前
    記テープ面に垂直に10T(テスラー)以上の磁場を印
    加したときの臨界電流密度が磁場を印加しないときの1
    /5以上あり、77K以下の温度において、前記テープ
    面に垂直に1T(テスラー)以上の磁場を印加したとき
    の臨界電流密度が磁場を印加しないときの1/7以上あ
    る特性を有するものであることを特徴とする酸化物超電
    導線材。
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