JPH1092630A - 酸化物超電導コイル - Google Patents

酸化物超電導コイル

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JPH1092630A
JPH1092630A JP24444396A JP24444396A JPH1092630A JP H1092630 A JPH1092630 A JP H1092630A JP 24444396 A JP24444396 A JP 24444396A JP 24444396 A JP24444396 A JP 24444396A JP H1092630 A JPH1092630 A JP H1092630A
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coil
wire
oxide superconducting
magnetic field
superconducting
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JP24444396A
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Kazuhide Tanaka
和英 田中
Michiya Okada
道哉 岡田
Keiji Fukushima
敬二 福島
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F27/00Details of transformers or inductances, in general
    • H01F27/28Coils; Windings; Conductive connections
    • H01F27/2847Sheets; Strips

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】強磁場下での電磁力や熱処理時の変形及び反応
による臨界電流密度特性の劣化を抑制する、酸化物超電
導コイルの製造方法を提供する。 【解決手段】金属シース酸化物超電導線材とAg基合金
テープを合わせ巻きするW&R方式の酸化物超電導コイ
ルであり、熱処理によりこれらを一体化することにより
コイル自身の強度を高める。 【効果】本発明によれば、液体窒素,液体ヘリウムなど
の冷媒、あるいは冷凍機を用いて作動する酸化物超電導
コイルが実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導コイ
ルに係わり、特に金属シース酸化物超電導線材を使用し
たワインド・アンド・リアクト方式のコイルに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】1986年に発見された酸化物超電導体
は、従来の金属系超電導体と比較して2つの有利な特長
を持つ。1つは超電導臨界温度(Tc)が高いことであ
り、これを利用すると安価で、かつ入手が容易となる液
体窒素を冷媒として用いることが可能となり、大幅なコ
スト低減を図ることができる。もう1つは液体ヘリウム
温度(4.2K)における上部臨界磁界(HC2)が高いこ
とであり、これを利用すると従来の金属系超電導マグネ
ットの最内層に酸化物超電導線材で作製したコイルを配
置することによって、25Tを越えるような強い磁場を
発生する強磁場装置が実現可能となる。
【0003】現在、酸化物超電導線材の作製方法とし
て、超電導粉末、あるいはその前駆体粉末をAg等の金
属シースに充填した後、伸線,圧延等の加工を施すパウ
ダー・イン・チューブ法、あるいは超電導粉末を含んだ
懸濁液の中に基板を連続的に浸し、その両面に懸濁液を
付着させるディップコート法等が用いられている。
【0004】これらの方法により得られた線材を使用
し、コイル成型後に熱処理を施すワインド・アンド・リ
アクト(W&R)法、あるいは熱処理後にコイル成型を
行うリアクト・アンド・ワインド(R&W)法によって
作製された超電導コイルは、4.2K では外部磁場なし
の条件下で3〜4T級、また、20Tを越える外部磁場
下でも2T級の磁場を発生するものが得られている。し
かしながら、実用化のためには更なる発生磁場の向上が
望まれている。
【0005】ワインド・アンド・リアクト法に関連する
ものとして、特開平5−121226 号公報記載のものがあ
り、リアクト・アンド・ワインド法に関連するものとし
て、特開平8−222430 号公報記載のものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】酸化物超電導コイル
は、強い磁場下での大きな電磁力、或いはコイル成型後
の熱処理工程における自重によるクリープ変形、更には
超電導コアと絶縁材や補強材との熱的な反応などによ
り、素線性能から見積もられる性能に至ることが困難で
あるという問題点があった。
【0007】また、電磁力対策や変形の防止を目的とし
て、シース材に酸化物を微細に分散させた酸化物分散型
シースによる線材の高強度化の検討が進められている
が、線引きや圧延加工時に行う焼鈍などによってシース
材が硬化し、加工途中で断線が多発する問題点がある。
【0008】本発明は、上記問題点を考慮したものであ
り、長尺線材を用いて製作した酸化物超電導コイルの強
磁場下で受ける電磁力、及び熱処理工程で発生する変形
及び反応による臨界電流密度特性の劣化を防止すること
を可能にする、酸化物超電導コイルの提供を目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】高性能の酸化物超電導コ
イルを作製するためには、酸化物超電導コイルの使用温
度、或いは熱処理温度における機械的な強度の向上が不
可欠である。また、コイルの大型化が進んだ場合には、
酸化物超電導線材の長尺化も重要となってくる。
【0010】そこで本発明者等は、前記の如き実状に鑑
み鋭意検討した結果、以下の構成を有する酸化物超電導
コイルを発生するに至った。
【0011】即ち、本発明による酸化物超電導コイル
は、金属シース酸化物超電導線材をコイル状に巻線した
後、熱処理を施すワインド・アンド・リアクト方式の酸
化物超電導コイルであって、コイルの巻線工程におい
て、該酸化物超電導線材とコイルを補強するためのAg
基合金テープを合わせ巻きすることを特徴とする。つま
り、Agに酸化物を微細分散させた酸化物分散型シース
線材を用いず、従来のAgシース線材とAgを主成分と
する合金テープとを合わせ巻きしたワインド・アンド・
リアクト方式の酸化物超電導コイルである。
【0012】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、合わせ巻きした酸化物超電導線材とAg基合金テー
プを熱処理により一体化することを特徴とする。
【0013】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、高温強度が熱処理工程におけるコイルの自重による
クリープ変形を防止するに必要十分であり、かつ及び冷
却後の電磁力によるフープ力にも十分耐え得る強度を持
ち合わすことを特徴とする。
【0014】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、コイル全体に対するAg基合金テープの占積率が2
0%以上であることを特徴とする。
【0015】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、100MPa以上の電磁力が加わる条件下で用いる
ことを特徴とする。
【0016】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、10T以上の磁場中で用いることを特徴とする。
【0017】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、金属シース酸化物超電導線材に充填された粉末の組
成が、Bi2Sr2Ca1Cu2x又は(Bi,Pb)2
2Ca2Cu3x を主成分とする材料で構成されてい
ることを特徴とする。
【0018】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、酸化物超電導線材の金属シース材が銀シースである
ことを特徴とする。
【0019】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、金属シース酸化物超電導線材が多芯線材であること
を特徴とする。
【0020】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、補強材として用いるAg基合金の添加元素に、酸素
イオン強度比0.5〜2.5の範囲内の酸化物であること
を特徴とする。
【0021】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、補強材として用いるAg基合金の添加元素に、Mg
O,Al23,NiOのうちの少なくとも1種以上が含
まれていることを特徴とする。
【0022】また、本発明による酸化物超電導コイル
は、補強材として用いるAg基合金に、0.25重量%
以上,1.0重量%以下のMgOが含有されていること
を特徴とする。
【0023】また、本発明における酸化物超電導コイル
は、ターン間に用いる絶縁材の成分中に、少なくともA
23が90重量%以上含有されていることを特徴とす
る。さらにまた、本発明による酸化物超電導コイルは、
異なる2種以上の金属で被覆した酸化物超電導線材を、
熱処理により合金化することを特徴とする。
【0024】本発明における酸化物超電導体の原料化合
物しては、例えばY−Ba−Cu−O系の場合には、イ
ットリウム化合物,バリウム化合物,銅化合物が用いら
れる。また、Bi−Sr−Ca−Cu−O系の場合に
は、ビスマス化合物,ストロンチウム化合物,カルシウ
ム化合物,銅化合物を用い、必要に応じて鉛化合物,バ
リウム化合物が用いられる。Tl−Sr−Ca−Cu−
O系及びTl−Ba−Ca−Cu−O系の場合には、タ
リウム化合物,ストロンチウム化合物,バリウム化合
物,カルシウム化合物,銅化合物を用いる。必要に応じ
てビスマス化合物,鉛化合物が用いられる。また、結晶
成長を促進するため、これらにカリウム化合物等のアル
カリ土類金属を添加することもある。この他、Hg系超
電導体やAg系超電導体などの酸化物超電導体を用いる
場合においても、これらに必要な化合物を用いる。各原
料化合物は、酸化物,水酸化物,炭酸塩,硝酸塩,ほう
酸塩,酢酸塩等の形で用いる。
【0025】酸化物超電導粉末の製造方法としては、そ
れぞれの化合物を粉砕,混合し、その混合物を焼成する
方法が挙げられる。この方法には、原料化合物のすべて
を一度に混合する方法や原料化合物の一部を予め混合し
た後、残りの原料粉末を混合する方法がある。
【0026】酸化物超電導粉末の合成及び中間焼成に際
しての熱処理温度は、700〜1200℃の範囲内が用いら
れる。また、必要に応じて部分溶融温度以上に加熱した
後、これを冷却する過程で、超電導相の結晶粒内に非超
電導相を分散させ最外層に非磁性の耐熱合金を構造補強
のために利用する。
【0027】酸化物超電導線材の作製方法は、これまで
に多くの方法が提案されているが、ここではその1つの
例として線引き−圧延法について詳しく述べる。
【0028】上述した様な方法で酸化物超電導体、ある
いは前駆体を合成した後、平均粒径0.001〜0.01
mm程度まで粉砕し、これを金属パイプに充填する。次
に、ドローベンチ,スエージャー,カセットローラーダ
イス、あるいは溝ロールを用いて断面減少率5〜20%
の線引き加工を行いその後必要に応じて線材の多芯化を
行う。多芯化を行う方法は、丸断面形状あるいは六角断
面形状に伸線加工した線材を金属パイプに組み込み、上
述したような装置を用いて断面減少率5〜20%で所定
の線径まで伸線する。ここでの工程は、線材を所望の形
状にすると同時に、シース内に充填された超電導粉末を
高密度化する作用がある。
【0029】次に、さらに緻密化を図るため、冷間ある
いは熱間圧延機で加工し、扁平断面のテープ状線材と
し、適切な温度や雰囲気で熱処理をすることによって高
い臨界電流密度を持った線材が得られる。また、より高
い電流密度を持つ線材を作製するには、圧延加工に際
し、線材の長手方向への伸びは最小限に留め、幅方向へ
の伸びを促進することが効果的であることを本発明者等
は実験により確認している。これは、超電導コア部の緻
密化が進むためである。使用用途によっては、圧延加工
を行わずに丸断面の線材を用いることもある。
【0030】酸化物超電導線材の最終的な熱処理温度と
しては、700〜1050℃の範囲内が用いられる。こ
の線材は、目的に応じて一本以上複合させてコイル状に
巻いたり、リード線状やケーブル線状に成形して利用す
る。また、この熱処理過程で超電導体の特性を高めるた
め、熱処理雰囲気が材料によって選択される。例えば、
Bi2Sr2Ca1Cu2x 系超電導体の場合、高い特性
を得るため最終熱処理の際には、低圧酸素雰囲気(例え
ば体積で1〜20%O2 )が選ばれる。しかしながら、
Tl2Ba2Ca2Cu3x 系超電導体の場合には、酸素
分圧が高いほど特性が向上することから、例えば純酸素
雰囲気が選ばれる。
【0031】上述した方法以外にも、例えば溶射法,ド
クターブレード法,ディップコート法,スプレーパイロ
リシス法、あるいはジェリーロール法等で作製した線材
を用いて同等の値を得ることは可能である。
【0032】上述した超電導線材のシース材や基板材料
には、主に熱処理に際して腐食等の問題を考慮しなくて
すむ銀,金,パラジウム,白金、重量で1〜50%の金
を含む銀基合金、重量で1〜50%のパラウジム,マグ
ネシウム,チタン,マンガン,ニッケル,銅を含む銀又
は金基合金等を用いる。また、必要に応じて最外層に非
磁性の耐熱合金を構造補強のために利用する。
【0033】本発明における酸化物超電導線材とともに
巻合わせる絶縁材は、コイル設計上密に巻線を行って発
生磁場を高めることが重要であることから、絶縁層の厚
みを0.3mm以下にすることが好ましく、さらに好まし
くは0.1mm以下にまで薄くする。また、熱処理後に超
電導特性を劣化させないことはもちろん、絶縁性,密着
性,強度及び耐熱性も良好であることが重要である。
【0034】本発明において、金属系超電導マグネット
の内層に酸化物超電導コイルを具備する構造にすること
で、より強い磁場を発生する超電導マグネットが実現で
きる。このときの金属系超電導体としては、NbTi系
合金,Nb3Sn 系化合物,Nb3Al系化合物,V3
a系,シェブレル系化合物を用い、必要に応じて2種以
上のマグネットを配置する。内層に具備する酸化物超電
導体は、ビスマス系超電導体が望ましい。それがパンケ
ーキコイルで、コイル間で特性にばらつきがある場合、
コイルの高さ方向において、両端より磁場の高い中心部
に特性の高いコイルを配置する。これにより、18Tを
越える強い磁場を発生することが可能な超電導マグネッ
トを容易に得ることができる。
【0035】このようにして、所望の構造に加工された
導体は、コイル,電流リード,ケーブルとして加工変形
された後、熱処理が行われる。超電導線材は、超電導マ
グネットのほか、ケーブル,電流リード,MRI装置,
NMR装置,SMES装置,超電導発電機,超電導モー
タ,磁気浮上列車,超電導電磁推進船,超電導変圧器,
超電導限流器などに用いることができる。また、その使
用温度が液体窒素温度以上であれば、一層効果的であ
る。
【0036】本発明の酸化物超電導コイルによると、従
来生じていた強磁場下での電磁力や熱処理工程で発生す
る変形及び反応等によるJc特性の劣化の問題が解消さ
れる。
【0037】また、W&R法によるコイル化の際、通常
のセラミックス不織布や繊維をコイルの絶縁材として使
用した場合、焼成工程において超電導線材と絶縁材とが
反応し、超電導特性が劣化することが明らかとなってい
る。この原因は、通常のセラミックス不織布や繊維に
は、酸性の高いSiO2 が約25〜50重量%含有され
ているため、超電導線材内のアルカリ土類金属であるS
rやCa等と反応しやすくなるためである。
【0038】このため、線材のターン間に用いる絶縁材
は耐熱性の酸素イオン強度化が0.5〜2.5 の範囲内の
酸化物を少なくとも1種以上含有し、且つその含有率が
90〜100重量%であるセラミックス不織布や繊維を
用いることが望ましい。酸素イオン強度化とは、イオン
の荷電数及びイオン半径で決定される強さの尺度であ
り、一般に、酸素イオン強度比が小さく塩基性酸化物同
士や酸素イオン強度比が大きい酸性酸化物同士は反応し
にくく、塩基性と酸性の酸化物は著しく反応しやすいこ
とが知られている。実際のコイルでの反応は、加工時に
発生する被覆材のピンホールを介して起きているものと
推察される。
【0039】以上述べたように、本発明によれば、加工
の難しい酸化物分散型強化シース等を用いる必要がな
く、強磁場下での電磁力や熱処理時の反応及び変形によ
るJc特性の劣化を防止し、コイル化した後も100%
の素線性能を発揮することが可能となる酸化物超電導コ
イルを製造することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例により具体
的に説明する。
【0041】[実施例1]Bi23,SrO,CaO及
びCuOの各酸化物を出発原料とし、Bi,Sr,C
a,Cuの原子モル比がそれぞれ2.00:2.00:
1.00:2.00となるように秤量した。これに、純水
を加え遠心ボールミルで1時間混合した後、脱水,乾燥
処理後、840℃,20時間の熱処理を大気中で行い、
Bi−2212超電導粉末を得た。粉末X線回折及び走
査型電子顕微鏡観察結果から、超電導相以外のSrO,
CuOの異相も若干認められた。
【0042】得られた粉末を平均粒径が0.01mm 以下
になるようにArガス気流中のらいかい機で粉砕,混合
し、外径6.0mm,内径5.0mmのAgパイプに充填し
た。その後、ドローベンチで断面減少率11〜13%の
加工を施し、外径1.03mm まで線引きした。これを、
19等分長さに切断し、外径6.0mm,内径5.2mmのA
gパイプに19本組み込んだ後、ドローベンチと圧延機
を用いて、断面減少率11〜13%の加工を施し、最終
的に厚さ0.14〜0.22mm,幅4.85 〜5.0mm ,
長さ70〜85mのBi−2212/19芯テープ状A
gシース線材を得た。単芯及び多芯線材の加工途中に
は、300℃,10〜30分の焼鈍を適宜1〜3回行っ
た。
【0043】次に、コイルの機械強度を向上させる目的
で行う、Ag基合金の合わせ巻きによる補強に関し、そ
れに適する合金テープを探索するため、Mgの添加量を
変えた熱処理後のAg−Mg合金テープの機械特性を引
張試験機を用いて室温で測定した。表1にその結果を示
す。
【0044】
【表1】
【0045】比較のために、熱処理後のBi−2212
/19芯テープ線及びAgテープについても同様の測定
を行った。今回検討したMgの添加量は、重量で0.1
%,0.5%,1.0%,2.0%である。
【0046】Mgの添加量が1.0 重量%を超えると、
添加量が増えるに従い強度的には脆くなる傾向が認めら
れ、測定の際、塑性域に達する前に断線が生じた。一
方、Mgの添加量が1.0 重量%以下では、添加量の増
加に伴い機械特性が向上する傾向が認められた。今回の
測定の結果から、コイルの補強材としてBi−2212テー
プ線と合わせ巻きするのに好適な材料は、Ag−0.5
重量%Mg合金テープであると考えられ、以後、これを
使用することにした。
【0047】そして、得られたBi−2212線材1と
厚さ0.1mm,幅5.0mmのAg−0.5 重量%Mg合金
テープ2を巻芯であるAgリング3に合わせ巻きし、パ
ンケーキコイルを作製した。比較のために、Ag−Mg
合金テープによる補強を行わないコイルも製作した。タ
ーン間の絶縁は厚さ0.1mm のAl23ペーパー4を用
いた。コイルサイズは、両者とも外径100mm,内径3
0mmである。本発明のコイルの模式図を図1に、断面図
を図2に示す。巻線直後の発生磁場を室温で測定する
と、両者とも計算値通りの磁場が得られ、巻線工程にお
ける短絡は生じていないことが分かった。
【0048】作製したコイルの熱処理は、純酸素雰囲気
中で880℃,10分の部分溶融を施し、0.25℃/
分 の速度で815℃まで降温し、その後室温まで3時
間で降温した。さらに、超電導特性を高めるため低圧酸
素(1〜20体積%)雰囲気中で800℃,20時間の
アニール処理を行い、Bi−2212超電導コイルを得
た。同様にして、パンケーキコイルをそれぞれ4個作製
した後、それら4個のコイルを積層し、800℃,10
時間でコイル間の接続処理を施した。接続に用いた線
は、コイル巻線に使用したBi−2212テープ線1と
同様のものであり、拡散接合によってコイル間の接続を
行った。熱処理後、室温において発生磁場を測定した結
果、両者とも計算値と一致する磁場が得られた。よっ
て、コイル間や線材間での短絡はないと言える。また、
熱処理後のコイル形状は、Ag−Mg合金テープで補強
したコイルは全く変化していなかったものの、補強を行
わなかったコイルはその外側で変形が認められた。これ
は、コイルの強度が不十分であったために発生した熱歪
みによる変形と考えられる。熱処理した各々の積層コイ
ルは、真鍮性の容器に挿入し、エポキシ系樹脂をターン
間や層間などの隙間に流し込むことによりコイル全体を
補強した。
【0049】コイルと同様に熱処理した長さ50mmのB
i−2212/19芯短尺テープ線の零磁場における臨
界電流を四端子抵抗法にて20Kと4.2K で測定した
ところ、20Kでは300A,4.2K では550Aが
得られた。なお、このときの臨界電流の定義は、1μV
/cmとした。
【0050】さらに、両コイルの臨界電流を外部磁界零
の条件下で四端子抵抗法にて20Kと4.2Kで測定し
た。その結果、Ag−0.5重量%Mg合金テープで補
強したコイルの臨界電流は20Kでは235A,4.2
K では450Aであった。一方、補強を行わなかった
コイルは20Kでは245A、42Kでは440Aであ
った。短尺線に比べてコイルの特性が低いのは、自己磁
場の影響であると考えられる。なお、このときの臨界電
流の定義は、1×10~13Ω・mとした。
【0051】次に、18Tの外部磁場を印加し、両コイ
ルの臨界電流を四端子抵抗法を用いて4.2K で測定し
た。同時に、ホール素子を用いて、コイル中心部の発生
磁場も実測した。その結果、Ag−0.5 重量%Mg合
金テープで補強したコイルの臨界電流は1×10~13Ω
・m で定義すると228Aであり、そのときの発生磁
場は1.6T を実測した。これにより、外部磁場と本発
明のコイルを組み合わせて19.6T の中心磁場を発生
したことになる。
【0052】その後、18Tから磁場を徐々に下げてい
きながら、臨界電流の磁場依存性を評価した結果、図3
に示すような特性が得られた。図3において、5が本発
明の酸化物超電導コイルの臨界電流−外部磁場特性であ
る。臨界電流は、素線性能から予想される磁場依存性と
ほぼ一致するものであり、電磁力によるコイルの劣化は
生じていないことが分かった。18T中で積層コイルが
受けた電磁力を見積もると103MPaであり、Bi−
2212テープ状Agシース線材とAg−Mg合金テー
プとを合わせ巻きすることにより、100MPaを超え
るような強大な電磁力にも充分耐える構造となった。コ
イルの0.2% 耐力を複合則から見積もると、163M
Paであることから、今回受けた電磁力に対しては十分
な強度を有していたと言える。
【0053】一方、補強を行わなかったコイルの臨界電
流は、18T中では170Aであったが、100A程度
の通電でコイルのV−I曲線の勾配が明らかに変化し、
発生電圧の緩やかな立ち上がりが認められた。その後、
磁場を下げていきながらコイルの臨界電流の磁場依存性
を評価した。図3にその結果を示す。図3において、6
が従来の作製法である補強なしの酸化物超電導コイルの
臨界電流−外部磁場特性である。図3から明らかなよう
に、18T中で受けた電磁力によりコイルの臨界電流が
大幅に変化しており、17T中では18Tの時の臨界電
流の1/5以下である30Aまで劣化していた。なお、
18T中で積層コイルが受けた電磁力は87MPaであ
り、V−I曲線の勾配が明らかに変化した時の電磁力は
51MPaであった。複合則を用いて見積もったコイル
の0.2% 耐力が55MPaであることを考慮すると、
ほぼ妥当な性能と言える。
【0054】測定後に、コイルの外観観察を行ったとこ
ろ、補強を行わなかったコイルは、電磁力による変形が
明らかに認められた。
【0055】[実施例2]Bi23,PbO,SrO,
CaO及びCuOの各酸化物を出発原料とし、Bi,P
b,Sr,Ca,Cuの原子モル比がそれぞれ1.7
4:0.34:2.00:2.20:3.00 となるよう
に秤量した。これに、エタノールを加え遠心ボールミル
で1時間混合した後、脱水,乾燥処理後、790℃,2
0時間の熱処理を大気中で行い、Bi−2223前駆体
を得た。得られた粉末は、X線回折及び走査型電子顕微
鏡観察結果から主成分がBi−2212相であった。そ
の他に結晶構造が同定できないSr−Ca−Cu−Oを
含む物質及びSrO,CuO,Ca2PbO4などが含まれ
ていた。得られた粉末を粒径が0.1mm 以下になるよう
にらいかい機で粉砕し、外径6.0mm,内径5.0mmのA
gパイプに充填した。これを実施例1と同様にして加工
し、厚さ0.5mm,幅2.6mmの線材を得た。この線材を
外径50cmのSUS製ドラムに巻き、大型電気炉を用い
て838℃,50時間の熱処理を大気中で行った。熱処
理後、10%以下の加工度で線材の厚さが0.3mm にな
るまで圧延し、上述した方法でさらに838℃,50時
間の熱処理を行った。その後、同様に線材の厚さが0.
2〜0.25mmになるまで圧延し、838℃,50時間
の熱処理を行った。そらにまた、加工度15%以下の加
工度で圧延し、最終的に厚さが0.14〜0.20mm,幅
4.9〜5.1mm,長さ100mのBi−2213/19
芯テープ状Agシース線材を得た。
【0056】次に、得られたBi−2223線材1と厚
さ0.1mm,幅5.0mmのAg−0.5重量%Al合金テー
プ、或いはAg−0.5 重量%Pt合金テープ、或いは
Ag−0.5 重量%Pd合金テープ2を巻芯であるAg
リング3に合わせ巻きし、図1に示すようなパンケーキ
コイルを作製した。コイルサイズは、外径100mm,内
径30mmである。コイルの断面図を図2に示す。ターン
間の絶縁は厚さ0.1mmのAl23ペーパー4を用い
た。巻線直線の発生磁場を室温で測定すると、計算値通
りの磁場が得られ、巻線工程における短絡は生じていな
いことが分かった。
【0057】作製したコイルは、20体積%酸素雰囲気
中で840℃,48時間熱処理を施し、その後室温まで
炉冷した。このようにして作製した、Bi−2223超
電導コイルを真鍮性の容器に挿入し、最後に液状に溶か
したシリコン系樹脂でコイル全体を補強した。熱処理
後、室温において発生磁場を測定した結果、計算値の9
0〜94%の磁場が得られた。よって、線材間、或いは
コイル間の短絡が多少発生したと言える。しかしなが
ら、コイル形状は、熱処理前後で全く変化しておらず、
熱歪み等による変形は認められなかった。
【0058】コイルと同様に熱処理した長さ50mmの短
尺線の零磁場における臨界電流を四端子抵抗法にて20
Kと4.2Kで測定したところ、20Kでは118A,
4.2Kでは190Aであった。なお、このときの臨界
電流の定義は、1μV/cmとした。
【0059】さらに、各コイルの臨界電流を外部磁界零
の条件下で四端子抵抗法にて20Kと4.2Kで測定し
た。その結果、Ag−0.5重量%Al合金テープで補
強したコイルは、20Kで75A,4.2Kでは135
Aであった。また、Ag−0.5重量%Pt合金テープ
で補強したコイルは、20Kで1A,4.2K では3A
という非常に低い値であった。さらに、Ag−0.5 重
量%Pd合金テープで補強したコイルは20Kで7A,
4.2K では25Aであった。臨界電流が極端に劣化し
た原因を走査型電子顕微鏡等を用いて検討した結果、P
tやPdが酸化物コアと反応しためであることが分かっ
た。
【0060】測定後に、コイルの外観観察を行ったとこ
ろ、電磁力や冷却における変形等は特に認められなかっ
た。
【0061】[実施例3]実施例1と同様にして得られ
たBi−2212超電導粉末を外径6.0mm ,内径5.
0mmの酸化物(MgO)を微細分散させたAg−0.5
重量%Mg合金パイプに充填した。その後、ドローベン
チで断面減少率11〜13%の加工を施し、外径3.5m
m まで加工した。ここで、線材が加工硬化し、チャック
部で線材の断線が頻繁に生じたので、600℃,10分
で焼鈍を行った。すると、焼鈍前に比べて更に線材自身
の硬度が増し、外径2.5mm まで線引き加工を行ったも
のの、線材の断線が多発し、これ以上の線引き加工はで
きなかった。
【0062】その後、焼鈍を加工途中に行わないもの、
及び外径3.5mmまで加工した後に、300℃,350
℃,400℃,500℃(時間は10分)で焼鈍した線
材を線引き加工した。しかし、いずれの場合も外径1.
9mm〜2.5mmの時に断線が多発し、これ以上の線引き
加工はできなかった。
【0063】[実施例4]実施例1におけるパンケーキ
コイルの絶縁材を厚さ0.1mm,幅5.05mmのセラミッ
クス製絶縁テープ(75重量%Al23−25重量%S
iO2 )に変えた以外は、実施例1と全く同様にして、
Bi−2212超電導コイルを作製した。その後、実施
例1と同様に部分溶融熱処理を行った結果、コイルが緑
色に変色し、しみ出しも極端に多い外観であった。室温
において、5Aの通電を行い、発生磁場を測定すると、
計算値の60%の発生磁場しか得られかった。この原因
を走査型電子顕微鏡等で検討した結果、超電導体中のア
ルカリ土類金属であるSrやCaと絶縁材に含有されて
いるSiO2 とが熱処理によって反応したためであるこ
とが分かった。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、線材の
加工が非常に困難で、100mを超えるような長尺線材
が得られにくい、酸化物分散型強化シース等を用いる必
要がなく、強磁場下での電磁力や熱処理時の反応及び変
形による臨界電流密度特性の劣化を抑制し、コイル化し
た後も100%の素線性能を発揮することができる酸化
物超電導コイルを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物超電導コイルの熱処理前の模式
図である。
【図2】本発明の酸化物超電導コイルの熱処理前の断面
図である。
【図3】本発明及び従来法で作製した酸化物超電導コイ
ルの臨界電流値−外部磁場相関図である。
【符号の説明】
1…金属シース酸化物超電導線材、2…Ag基合金テー
プ、3…巻芯、4…アルミナペーパー、5…本発明の酸
化物超電導コイルの磁場中における臨界電流、6…従来
の酸化物超電導コイルの磁場中における臨界電流。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属シース酸化物超電導線材をコイル状に
    巻線した後、熱処理を施すワインド・アンド・リアクト
    方式の酸化物超電導コイルであって、コイルの巻線工程
    において、該酸化物超電導線材とコイルを補強するため
    のAg基合金テープを合わせ巻きすることを特徴とする
    酸化物超電導コイル。
  2. 【請求項2】異なる2種以上の金属で被覆した酸化物超
    電導線材を、熱処理により合金化することを特徴とする
    合金シース酸化物超電導コイル。
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