JP2008124081A - 超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents

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甲平 東川
Taketsune Nakamura
武恒 中村
Shigeo Nagaya
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Naoki Hirano
直樹 平野
Koji Shikimachi
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Abstract

【課題】使用線材長の大幅な増加を招くことなく、フープ応力の低減が可能な超電導コイルおよびその製造方法を提供する
【解決手段】超電導線材もしくは超電導線材を束状にしてなるバンドル導体21aを、複数ターン巻回したものからなる超電導コイルであって、そのターン間の距離が、上記超電導線材もしくはバンドル導体21aの厚さに、それらの層間を絶縁する絶縁材21bの必要厚さを加えた値よりも大きくなっていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、超電導コイルおよびその製造方法に関し、詳しくは超電導コイルの巻線構造に関する。
従来、超電導線材もしくは超電導線材を束状にしてなるバンドル導体を複数ターン巻回したものからなる超電導コイルが、超電導磁気エネルギー貯蔵(Superconducting Magnetic Energy Storage:SMES)装置、磁気共鳴画像撮影(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置や核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)分析装置等に使用されている。このうち、例えばSMESに関しては、国家プロジェクトが進行中であり、大容量SMESをターゲットとした精力的な研究開発が進められている。
SMESをはじめとする磁界応用機器に使用されるコイルでは、半径方向に広がろうとする電磁力(フープ力)が生じ、これに応じて線材中に引張応力(フープ応力)が発生する。このフープ応力は一般に、大容量コイルになるほど大きくなり、当該応力が線材の弾性限界を超えると、コイルが破壊されるといった深刻な事故を生じさせる。
この強大なフープ応力を補償する技術として、従来、超電導線材を補強テープと重ね合わせて共巻きする技術(例えば、特許文献1参照)等が提案されてきた。
しかしながら、補強テープを共巻きする方法では、補償できるフープ応力に限界があって、高容量コイルには不十分という問題があった。
さらに、上記の従来技術は、生じたフープ応力に対して対症療法的に解決しようとするものであり、発生するフープ応力の低減を図るようなものではなかった。
そこで、フープ応力が「電流密度J×磁束密度B×線材曲げ半径r」で与えられることに鑑み、線材の曲げ半径rを小さくすべく、超電導コイル全体を小型化することでフープ応力を大幅に低減する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2000−348926号公報 H.Hayashi at el, "Design study of a 1GJ class HTS-SMES/Conceptual design of a magnet system", Physica C, vol. 357-360 (2001), pp. 1327-1331.
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、フープ応力を大幅に低減できるものの、現状非常に高価である超電導線材の使用長さが著しく増大してしまい、コスト高を招いていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用線材長の大幅な増加を招くことなく、フープ応力の低減が可能な超電導コイルおよびその製造方法を提供することにある。
従来の超電導コイルを製造する際は、蓄積エネルギー密度を高くすべく、極力ターン間距離を小さくして密巻きにするのが一般的であった。これに対し、本発明者らは、磁界が最大となるコイル内径部の線材曲げ半径rを小さくすべく、積極的にターン間距離を大きくした疎巻きとすることで、線材使用長の大幅増加を招くことなく、フープ応力低減を可能にする本発明に想到した。
すなわち、上記課題を解決するために本発明は、(1)超電導線材もしくは超電導線材を束状にしてなるバンドル導体を、複数ターン巻回したものからなる超電導コイルであって、そのターン間の距離が、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の厚さに、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の層間を絶縁する絶縁材の必要厚さを加えた値よりも大きくなっていることを特徴とする超電導コイルを提供するものである。
ここで、「ターン間の距離」とは、コイルの1ターン分の厚さを意味し、「層間」とは、あるターンの超電導線材もしくはバンドル導体と、次のターンの超電導線材もしくはバンドル導体との間を意味する。
また本発明は、上記構成において、(2)前記ターン間の距離は、ターン毎に異なっていることを特徴とする超電導コイルを提供するものである。
また本発明は、上記構成のいずれかにおいて、(3)前記ターン間の距離は、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の層間にスペーサを配置することによって形成されていることを特徴とする超電導コイルを提供するものである。
また本発明は、上記構成のいずれかにおいて、(4)前記超電導線材は、金属系低温超電導体、金属系高温超電導体、または酸化物系高温超電導線体からなっていることを特徴とする超電導コイルを提供するものである。
また、上記課題を解決するために本発明は、(5)超電導線材もしくは超電導線材を束状にしてなるバンドル導体を、複数ターン巻回したものからなる超電導コイルの製造方法であって、そのターン間の距離を少なくとも含む、製造すべき超電導コイルに関する設計変数を、予め定められた制約条件下において、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の使用長さが最小化するように、最適化する設計工程を有していることを特徴とする超電導コイルの製造方法を提供するものである。
また本発明は、上記構成(5)において、(6)前記制約条件は、前記製造すべき超電導コイルの蓄積エネルギーまたは発生磁界の値と、前記製造すべき超電導コイルに関するフープ応力の許容値と、前記製造すべき超電導コイルの外径寸法と、に関する条件を含んでいることを特徴とする超電導コイルの製造方法を提供するものである。
上記のように構成された本発明によれば、ターン間距離の大きい疎巻きとすることにより、最も磁界が強くなるコイル内径部の線材曲げ半径rを小さくすることができ、「電流密度J×磁束密度B×線材曲げ半径r」で与えられるフープ応力を低減することができる。
一方、従来の密巻き超電導コイルにおいて、最も磁界が強くなるコイル内径部の線材曲げ半径rを小さくすることでフープ応力を低減する場合、コイル全体が小型化することでエネルギー密度が高くなり、その結果、磁界の強さが高くなることで、超電導体の特性から流せる電流が小さくなり、使用線材長が大幅に増大する。
これに対し、ターン間距離の大きい本発明に係る超電導コイルでは、許容フープ応力を含めた同一制約条件を満たす従来の密巻き超電導コイルと比べて、エネルギー密度が小さくなり、その結果、磁界の強さが低くなり、超電導体の特性から流せる電流が増大する。したがって、ターン間距離を大きくすることで、(コイルの体格は若干大きくなるものの、)使用線材長を低減することができる。
すなわち、ターン間距離の大きい本発明に係る超電導コイルでは、使用線材長の大幅な増加を招くことなく、フープ応力を低減することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい一実施形態につき説明する。
図1は本発明に係る超電導コイルを使用した大容量SMESを示す概略斜視図、図2は本発明に係る超電導コイルの巻線構造を示す概略斜視図および概略断面図、図3は本発明に係るトロイダル型超電導コイルの設計変数を示すための図、図4は本発明に係る超電導コイルの各設計変数の最適化手順を示す図、図5は図4の最適化手順のステップS3における計算手順を示す図である。
まず、本発明に係る超電導コイルを適用した大容量SMESの構成につき説明する。
本実施形態に係るSMES1は主に、図1に示す如く、トロイダル型超電導コイル(以下、トロイダルコイルと称する)2と、トロイダルコイル2を収容するクライオスタット3と、トロイダルコイル2を冷却する冷凍機(不図示)とから構成されている。
トロイダルコイル2は、図1に示す如く、トロイダル状に等間隔に配置された複数の要素コイル21が、選択的に接続されて構成されている。
要素コイル21は、図2に示す如く、テープ状のY系酸化物超電導線材21a、絶縁材21bおよびステンレス鋼からなるスペーサ21cを、パンケーキ状に巻回して構成されている。
したがって、本発明に係る要素コイル21は、スペーサ21cを共巻きしている分、従来の超電導コイルの巻線構造よりもターン間距離の大きい疎巻きになっている。
なお、本実施形態におけるスペーサ21cは、対症療法的な補償を目的として従来用いられてきた補強テープと同様のステンレス鋼からなっているが、ここではフープ応力自体の低減を目的として、ターン間距離を大きくするために用いられているのであって、スペーサ21cが補強機能を具備していなければならないわけではない。
また、トロイダルコイル2に関する設計変数、すなわち要素コイル21の数n、位置p、内半径r、外半径r、および高さh(図3参照)は、使用線材長Lの最小化を目的として、例えば、遺伝アルゴリズムおよび有限要素法を用いた手法により最適化される。以下、図4を参照しつつ、その最適化手順を説明する。
[ステップS1]
まず、制約条件を設定する。制約条件は、運転温度Top、蓄積エネルギーWop、許容総発熱Pop、ならびに空間制約、すなわちトロイダルコイル2が占める空間の半径Rmaxおよびトロイダルコイル2が占める空間の高さHmax(図3参照)に関する条件からなっている。また、同時に、目標となる使用線材長Ltの初期値を決定する。なお、本手法では、後述するように、総発熱量Pの最小化を行い、その最小値が許容総発熱Popを下回るたびに使用線材長Ltを減らす手法をとるため、使用線材長Ltの初期値としては比較的大きな値を設定するのが好ましい。
[ステップS2]
次いで、初期世代における個体集合を生成する。ここで、個体とは、設計変数「要素コイルの数n、位置p、内半径r、外半径r、高さh」の組を意味する。これらの変数の値は、上記空間制約内で無作為に決定し、その後、内半径rと外半径rのいずれか一方を、使用線材長L=Ltの条件を満足するように他の4つの設計変数から算出する。
[ステップS3]
次いで、各個体に対して、対応するコイル形状における総発熱Pを計算する。同計算には、有限要素法に加えて、局所的な熱暴走対策として熱解析を適用した手法を採用しており、詳細は後述する。
[ステップS4]
次いで、各個体のうち、総発熱Pが許容総発熱Popを下回るものが1つでも存在すれば、使用線材長Ltを減らしてステップS7へ進む。そうでなければステップS5へ進む。
[ステップS5]
次いで、総発熱Pの最小化の収束判定を行う。収束条件は、その世代における総発熱Pの標準偏差が設定値以下になったこととする。収束条件を満たす場合は、ステップS8へ進む。一方、収束条件を満たしていなければ、ステップS6へ進む。
[ステップS6]
次いで、エリート戦略を適用した遺伝アルゴリズムの典型的な処理により、個体集合を変更する。すなわち、最適解を有する個体の確保と、それ以外の個体への選択、交叉、突然変異を適用する。
[ステップS7]
次いで、各個体において、使用線材長Ltの条件を満足するよう内半径rと外半径rの中で無作為に選んだ一方を再計算する。
[ステップS8]
そして、使用線材長Ltを1つ前の値に戻し、個体集合を新たに生成してその使用線材長Ltの下で総発熱Pの最小化を行い、計算を終了する。
[ステップS3の詳細]
ステップS3は、有限要素法によって得られた磁界分布を基に、磁界依存性・磁界印加角度依存性を考慮した、電界(E)−電流密度(J)超電導特性解析式による計算が行われるステップであり、主に発熱分布計算と温度分布計算の繰り返しで構成されている。同計算が収束すれば、定常的に実現できる発熱分布ならびに温度分布が存在することになり、熱暴走を起こさないことが保証されることになる。
一方、コイル内の最大温度Tmaxが上限値TL(ここでは、TL=Top+10.0Kとしている)を超えるコイル構成・形状は実行不可能解として処理する。
以下、ステップS3における計算手順について、図5を参照しつつ説明する。
[ステップS3a]
まず、各個体に対応するコイル形状・構成の有限要素モデルを作成する。
[ステップS3b]
次いで、有限要素法によって、コイルのインダクタンスを計算する。
[ステップS3c]
次いで、上記インダクタンスから、蓄積エネルギーWopの条件を満たす通電電流を算出する。
[ステップS3d]
次いで、上記電流通過時におけるコイル内の発熱分布を有限要素法によって計算する。
[ステップS3e]
次いで、上記発熱分布を基に、次式を満足するコイル内の温度分布を有限要素法により計算する。
ここで、λは熱伝導率であり、qは発熱密度である。
[ステップS3f]
次いで、最大温度Tmaxと上限値TLとを比較する。その結果、最大温度Tmaxが上限値TLを超えていなければステップS3gへ進み、超えていれば計算を終了する。このとき、対応するコイル構成・形状は、実行不可能解として処理する。
[ステップS3g]
次いで、温度分布に関して収束判定を行う。収束条件は、コイル巻線部の全ての位置において
となれば、収束とする。ここで、Toldは発熱分布計算時に各要素に与えられていた温度であり、Tnewは同要素で新たに計算された温度である。なお、ここでは、ε=10−3としている。上記収束条件を満たさなければ、得られた温度分布を基に、発熱分布を再計算する(ステップS3dに戻る)。
以上の最適化手順により、トロイダルコイル2は制約条件を満たす形状となっている。
そして、トロイダルコイル2は、スペーサ21cを共巻きしている分、同一制約条件を満たす従来の密巻き超電導コイルよりも、ターン間距離の大きい疎巻きとなっている。つまり、トロイダルコイル2は、最も磁界が強くなるコイル内径部の線材曲げ半径rが小さくなっているため、「電流密度J×磁束密度B×線材曲げ半径r」で与えられるフープ応力を低減することができる。
一方、従来の密巻き超電導コイルにおいて、最も磁界が強くなるコイル内径部の線材曲げ半径rを小さくすることでフープ応力を低減する場合、コイル全体が小型化することでエネルギー密度が高くなり、その結果、磁界の強さが高くなることで、超電導体の特性から流せる電流が小さくなり、使用線材長が大幅に増大する。
これに対し、ターン間距離が大きな疎巻き超電導コイルでは、許容フープ応力を含めた同一制約条件を満たす密巻き超電導コイルよりも磁界の強さが低く、超電導体の特性から通電電流を大きくでき、その結果、使用線材長を低減することができる。
すなわち、ターン間距離の大きい本発明に係る超電導コイルでは、使用線材長の大幅な増加を招くことなく、フープ応力を低減することが可能となる。
次に、本発明に係るトロイダルコイル2が、フープ応力を低減し、かつ使用線材長の増加を抑制できることを実証すべく、従来例および実施例に係るトロイダルコイルを設計し、解析した。以下、図面を参照しつつ、その解析結果について説明する。
なお、図6は、(A)従来例1に係るトロイダルコイルを示す概略斜視図、(B)従来例2に係るトロイダルコイルを示す概略斜視図、(C)実施例1に係るトロイダルコイルを示す概略斜視図であり、図7は、図6における(A)従来例1に係るトロイダルコイルにおける要素コイルの断面を示す概略図、(B)従来例2に係るトロイダルコイルにおける要素コイルの断面を示す概略図、(C)実施例1に係るトロイダルコイルにおける要素コイルの断面を示す概略図である。
[従来例1]
使用する超電導線材をY系酸化物超電導線材のYBCO導体とし、ターン間距離gを0.25mm(線材厚さ:0.2mm、絶縁材厚さ:0.05mm)とし、さらに制約条件を次のとおりとして、上記実施形態に記載した計算手順により、従来例1に係るトロイダルコイル2’の最小使用線材長Lおよび最大フープ応力Smaxを計算した。その結果を表1に示す。
なお、従来例1に係る制約条件は、当該トロイダルコイルの大容量SMESへの適用を考慮すると共に、道路交通法上適法に運搬可能な大きさ(約3m×3m)を考慮して設定した。
さらに、有限要素法による計算部分は、有限要素法パッケージソフト(PHOTO−THERMO:登録商標)を用いて行った。
(制約条件)
運転温度T:20K、蓄積エネルギーW:70MJ、最大電解Emax:1μV/cm以下、総発熱P:100W以下、トロイダルコイル2が占める円筒空間の半径Rmax:1.50m以下、トロイダルコイル2が示す円筒空間の高さHmax:3.00m以下
[従来例2]
次に、比較のために要素コイル数nおよび要素コイル高さhを従来例1の計算結果に合わせ、かつ最大フープ応力Smaxが900MPaとなるように設定した以外は、従来例1と同様の手順により、従来例2に係るトロイダルコイル2’’の最小の使用線材長Lを計算した。その結果を表1に示す。
[実施例1]
そして、要素コイル数nおよび要素コイル高さhを従来例1の計算結果に合わせると共に、最大フープ応力Smaxが900MPaとなるように設定し、さらに、ターン間距離gを0.55mmとした(すなわち疎巻きにした)以外は、従来例1と同様の手順により、実施例に係るトロイダルコイル2の最小となる使用線材長Lを計算した。その結果を表1に示す。
表1より、従来例1に係るトロイダルコイル2’は、最大フープ応力Smaxが1660MPaと非常に大きくなっており、YBCO線材の弾性限界が1000MPa程度であることを考慮すると、何らかのフープ応力補償を行わなければ成立しないことがわかる。
また、従来例2に係るトロイダルコイル2’’は、従来例1と同じ制約条件に加えて最大フープ応力を上記弾性限界を超えない900MPaに設定し、最小の使用線材長Lを計算したもの、すなわち、従来の密巻きコイルでフープ応力低減を図るべく、コイル全体を小型化した場合を想定したものであるが、この場合、使用線材長が184kmとなって、従来例1の164kmに比べて大幅に増加していることがわかる。
これに対し、実施例1に係るトロイダルコイル2は、ターン間距離gを0.55mmとして要素コイル21を疎巻きにしたことで、最大フープ応力を900MPaに維持したまま、使用線材長Lを184kmから176kmまで低減できていることがわかる。
すなわち、本発明に係るトロイダルコイル2は、蓄積エネルギー70MJという高容量超電導コイルとして使用できると共に、最大フープ応力を低減することができ、さらに、それに伴う使用線材長の増加を最小限に抑えることができる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記実施形態および実施例においては、本発明に係る超電導コイルをトロイダル型のコイルとしたが、これに限定されず、例えばソレノイド型のコイルとしてもよい。
また、使用できる超電導線材は、Y系酸化物超電導線材に限定されるものではなく、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、ビスマス系に代表される酸化物系高温超電導体、あるいは二ホウ化マグネシウムに代表される金属系高温超電導体からなっていてもよい。
また、上記実施形態および実施例においては、ターン間距離を等距離としたが、例えばコイルの内側に向かうにつれて当該距離を大きくするまたは小さくする等、ターン毎に異なるようにしてもよい。この場合、設計変数の自由度が大きくなり、さらにフープ応力および使用線材長の低減が可能となる。
また、上記実施形態において、スペーサ21cの材質をステンレス鋼としたが、これに限定されるものではなく、線材のターン間距離を大きくし得るものであれば、どのようなものであってもよい。ただし、スペーサ21cにステンレス鋼等の高強度材料を用いた場合は、超電導コイルの補強効果を得ることができる。また、スペーサ21cに低熱抵抗、大熱容量の材料を用いた場合は、超電導コイルの冷却機能を強化することができる。
また、上記実施形態においては、スペーサ21cを線材21aおよび絶縁材21bと共巻きにしたが、線材21aの層間に点在等させることによって配置してもよい。
また、上記実施形態および実施例においては、ターン間距離を指定値とし、最適化する設計変数に含めていなかったが、これを最適化する設計変数に加えて最適化しても当然よい。
また、上記実施形態および実施例においては、設計変数を最適化するアルゴリズムとして遺伝アルゴリズムを用いたが、これに限定されず、例えば焼きなまし法(シミュレーテッド・アニーリング)等の、局所的最適解の影響を受けにくい大域的最適化手法を用いることができる。
本発明に係る超電導コイルを使用した大容量SMESを示す概略斜視図である。 本発明に係る超電導コイルの巻線構造を示す概略斜視図および概略断面図である。 本発明に係るトロイダル型超電導コイルの設計変数を示すための図である。 本発明に係る超電導コイルの各設計変数の最適化手順を示す図である。 図4の最適化手順のステップS3における計算手順を示す図である。 トロイダル型超電導コイルを示す概略斜視図であって、(A)従来例1に係るトロイダル型超電導コイル、(B)従来例2に係るトロイダル型超電導コイル、(C)実施例1に係るトロイダル型超電導コイル、を示す概略斜視図である。 図6におけるトロイダル型超電導コイルにおける要素コイルの概略断面図であって、(A)従来例1に係る要素コイル、(B)従来例2に係る要素コイル、(C)実施例1に係る要素コイルの概略断面図である。
符号の説明
1 SMES
2、2’、2” トロイダル型超電導コイル
3 クライオスタット
21、21’、21” 要素コイル
21a Y系酸化物超電導線材(超電導線材もしくはバンドル導体)
21b 絶縁材
21c スペーサ

Claims (6)

  1. 超電導線材もしくは超電導線材を束状にしてなるバンドル導体を、複数ターン巻回したものからなる超電導コイルであって、そのターン間の距離が、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の厚さに、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の層間を絶縁する絶縁材の必要厚さを加えた値よりも大きくなっていることを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記ターン間の距離は、ターン毎に異なっていることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記ターン間の距離は、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の層間にスペーサを配置することによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導コイル。
  4. 前記超電導線材は、金属系低温超電導体、金属系高温超電導体、または酸化物系高温超電導線体からなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイル。
  5. 超電導線材もしくは超電導線材を束状にしてなるバンドル導体を、複数ターン巻回したものからなる超電導コイルの製造方法であって、
    そのターン間の距離を少なくとも含む、製造すべき超電導コイルに関する設計変数を、予め定められた制約条件下において、前記超電導線材もしくは前記バンドル導体の使用長さが最小化するように、最適化する設計工程を有していることを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  6. 前記制約条件は、前記製造すべき超電導コイルの蓄積エネルギーまたは発生磁界の値と、前記製造すべき超電導コイルに関するフープ応力の許容値と、前記製造すべき超電導コイルの外径寸法と、に関する条件を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の超電導コイルの製造方法。
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