JPH048846Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は、ダニ等の虫害の発生を防止し、かつ
クツシヨン材の微塵の放出を防止する衛生枕に関
する。 （従来の技術） 従来より、枕のクツシヨン材としては、小豆等
の種子、パンヤ、ソバガラ等が用いられている。
これらの天然素材のクツシヨン材は各種の害虫、
カビが発生しやすく、また互いの接触により微塵
を発生しやすいものである。 （考案が解決しようとする問題点） しかしながら上記の天然素材のクツシヨン材を
用いた枕については虫害防止および防塵に対する
配慮が払われていないのが現状である。即ち、最
近、ダニ等の住居内に於る繁殖が問題視されてい
るが、特に枕は毛髪、フケ、汗、整髪用油等の昆
虫の栄養となる要素が多く、何らかの対応が必要
であるにもかかわらず、薬剤等の含浸では人体に
有害な影響が懸念される品物であるため、有効な
虫害防止枕は生産されていない。また、クツシヨ
ン材が使用中に破壊したり、ダニ等の死骸やフン
等が側生地を通して細かい微塵として放出され、
それが場合によつては喘息の原因となつている。 本考案の目的は、クツシヨン材中等での虫害の
発生を防止し、クツシヨン材の微塵の放出を防止
する衛生枕を提供することにある。 （問題を解決するための手段） 本考案は、メルトブローン法によつて得られた
合成繊維不織布または該不織布を少なくとも１層
とする積層体でクツシヨン材を包被してなる衛生
枕である。 本考案の衛生枕においては、ダニ等の昆虫の繁
殖の温床となり易い枕の部位のうち、その容積の
大半を占めるクツシヨン材をダニ等の昆虫の通過
を妨げるに十分な極細繊維よりなるメルトブロー
ン法による不織布で覆う事により、クツシヨン材
への昆虫の出入りを完全に防止する事により、昆
虫の棲息区域を大巾に減少させる事が可能であ
る。枕カバー等枕表面に棲息する昆虫について
は、枕の日向干し或は洗濯等により、簡単に除去
する事が可能である。即ち、ダニ等の体長は0.1
mm〜0.5mmであるのに対し、メルトブローン法に
よる不織布の繊維間空〓は通常0.02〜0.05mm程度
である。またフイルターとしての効果を考える
と、濾材を空気が通過するとき濾過される物質
は、構成される繊維の直径の約10分の１程度まで
除去されるといわれ、メルトブローン法で得られ
る不織布の単繊維の太さは、２〜5μであり、0.2
〜0.5μの塵りまで除去できる。すなわち、枕の中
より発生する塵りの殆んどは除去される事にな
る。 本考案の衛生枕において単独でまたは積層体の
形で必ず使用される不織布は、メルトブローン法
によつて得られた不織布である。かかる不織布
は、例えば特開昭49−48921号公報に記載れさて
いるメルトブローン法によつて得られるものであ
り、本考案の衛生枕のためには、その構成繊維の
太さが２〜5μで、繊維間空〓の大きさが20〜50μ
程度の範囲にあるのが望ましい。かかる不織布
は、透気性、透湿性にすぐれ、この点でも、枕の
カバー地として有用なものである。 メルトブローン法により不織布とされる合成重
合体としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポレエチレン、ポリプロピレン等の熱
可塑性重合体が好ましく、伸縮特性、柔軟性など
の点からポリウレタンなどのエラストマーが好ま
しい。 本考案の衛生枕において、クツシヨン材の包被
材としては、上記のメルトブローン法による不織
布だけで構成されていてもよいが、強伸度特性の
点から、前記メルトブローン法による不織布に、
織物または編物等の布帛、メツシユ状フイルムま
たはスパンボンド法による不織布のようなメルト
ブローン法以外の方法による不織布を積層して使
用するのが好ましい。なかでも、風合、柔軟性を
考慮して、綿、レイヨン、ポリエステル、ナイロ
ン、ビニロンアセテート等の繊維からの布帛を使
用するのが望ましい。 積層体の形で包被材を形成する場合には、第１
図に示す如く、メルトブローン法による不織布が
包被材の内側に構成されているようにするのが望
ましい。包被材の製造にあたつては、従来の方法
のようにより糸により縫製してもよいが、針穴を
通つて昆虫が出入りしないように、また、布帛等
が元来有するすぐれた風合、柔軟性が損なわれな
いように、ヒートシール等による熱接着、または
ホツトメルト樹脂による接着で接合して製造する
のが望ましい。 本考案の衛生枕は、クツシヨン材が小豆、パン
ヤ、ソバガラ等の天然素材である場合に特に有用
である。 本考案の衛生枕を図面で説明する。第１図は本
考案の衛生枕の断面模式図であるが、該枕はメル
トブローン法によつて得られた不織布１を内側に
積層、熱接着してなる布帛２を包被材とし、その
内にクツシヨン材４が封入されてなるものであ
る。図中３は接合部を示す。 （実施例） 以下、実施例によつて本考案を具体的に説明す
る。 実施例 １ 平均数平均分子量1000のポリ（３−メチル−
１，５−ペンタンアジペート）ジオール、１，４
−ブタンジオールおよび４，4′−ジフエニルメタ
ンジイソシアネートからの熱可塑性ポリウレタン
をメルトブローン法により目付34ｇ／m²の不織布
とした。該不織布は、構成繊維の平均直径が２〜
5μで、繊維間空〓の大きさが約30μであり、透湿
度（JIS Z0208）および透気度（JIS P8117）が
表１に示す値を示すものであつた。 この不織布を用い、ソバガラの枕を製造した。
なお、比較のために、表１に示す透湿度、透気度
を有する微多孔ポリエチレンフイルムを用い、上
記と同様、ソバガラ枕を製造した。

【表】 枕の場合、古来「頭寒足熱」といわれる如く、
透湿度、透気性の高い事が必要とされるが、メル
トブローン不織布と同じく微多孔を有するポリオ
レフインフイルム（例三井東圧化学商標エスポア
ール等）と比較すると表−１の如く、メルトブロ
ーン不織布の性能が優つている。又フイルムに較
べ「カシヤ・カシヤ」という不快音の生ぜぬ点も
メルトブローン不織布の利点である。 実施例 ２ 実施例１で用いたのと同様のメルトブローン法
による不織布とポリエステル・綿混タフタをヒー
トシールにより貼り合わせ、第１図のように貼り
合わされた不織布を内側にして袋をつくり、その
内にソバガラを入れ、ソバガラ入口をヒートシー
ルにより貼り合わせた。 このようにして得られた枕は、ソバガラからの
微塵が枕から出てこないものであつた。 （考案の効果） 本考案の衛生枕は、クツシヨン材中等での虫害
の発生を防止し、クツシヨン材の微塵の放出を防
止するものであり、極めて衛生的なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の衛生枕の断面模式図の１例
を示すものであり、図中、１はメルトブローン法
による不織布、２は布帛、３はヒートシール法に
よる接着部、４はクツシヨン材を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ メルトブローン法によつて得られた合成繊維
   不織布または該不織布を少なくとも１層とする
   積層体でクツシヨン材を包被してなる衛生枕。 ２ 合成繊維がポリウレタン繊維である実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の衛生枕。 ３ メルトブローン法によつて得られた合成繊維
   不織布と積層体を構成するものが、布帛、メツ
   シユ状フイルムまたはメルトブローン法以外の
   方法によつて得られた不織布である実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の衛生枕。 ４ 積層体の接合部が熱接着またはホツトメルト
   接着剤による接着で接合している実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の衛生枕。 ５ クツシヨン材が天然素材である実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の衛生枕。