JPH048102Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は布等の移送手段の改良に関する。

布等の移送手段は、布の縫製・切断や、芯地と
表地との接着プレスなとなの自動化に不可欠なも
のとして、広く用いられている。そして、１枚の
布を移動させる手段としては、ベルトコンベアが
広く用いられている。第１０図はベルトコンベア
を接着プレス装置の出口側に設けた例であるが、
入口側テーブル１０１に芯地と表地とを重ねて載
置し、プレス本体１０２内を通過させて接着プレ
スを行い、出口から出て来た布地をベルトコンベ
ア１０３により、ストツカー１０４上につみ重ね
ていくものである。

ところが、ベルトコンベア１０３は、布地１０
５を直線的に移動させるにすぎないため、布地１
０５を位置ずれなくストツカー１０４上に積み重
ねていくためには、入口側テーブル１０１に芯地
と表地とを一定位置に正確に置かなければならな
い。そのため、位置決め用のゲージ等を入口側テ
ーブル１０１に配し、慎重に芯地と表地とを置い
ているのが現状である。しかも慎重に置いた場合
でも、接着プレス中、あるいはコンベアでの移送
中に少しのずれが生じ、ストツカー１０４に積み
重ねられたときには約１cmのずれが生じてしま
う。このように、ずれが生じた場合、後に行われ
る縫製作業等に支障が生じてしまう。特に、洋服
の縫製等にあつては１cmのずれは許されない大き
さであり、自動化への大きなさまたげとなる。

又、ベルトコンベア１０３の終端１０６におい
ては、布地からほつれ出た糸がコンベアベルトに
巻き込まれて詰まつてしまうという欠点も指摘さ
れている。さらに、ベルトコンベア１０３の幅を
大きくするために、複数のベルトを並設すること
もあるが、ベルト間に布地の端が挟まつてしまう
という課題も有する。

一方、実公昭44−17452号公報においては空気
浮上式の移送装置が提案されている。

このものは、天板に複数のエアー吹出口を穿設
するとともに、天板上のパン等の物品と当接して
所定位置に物品を移送するガイドとしての無限調
帯を設け、集合状態にある多数のパン等を例えば
一列の整列状態にして、これを包装すべき場所ま
で移送するようにしたものである。

しかしながら、このものにおいてはガイドが、
側面が平面状を呈する無限調帯であるため、移送
する物品が布等のシート体である場合にはシート
体の端部がエアーによつて他の部分より高く噴き
上げられてしまい、この状態で無限調帯の側面に
当接するとシート体の端部が巻き上がつてしまう
ことになる。この結果、シート体は、端部が折り
重なつた状態で移送されてくる場合があり、移送
後の積み重ねでずれを生じてしまうことになり布
等の縫製・切断や芯地と表地との接着プレスの際
に使用するには対応させ難いものであるという課
題を有する。

また、例えば実開昭53−95685号公報に開示さ
れているように、このガイド体を、天板に対し左
右前後方向に移動可能なものとしても端部が巻き
上がつてしまうことを防止できず、布等の移送の
自動化は難しいとされている。

＜考案が解決しようとする課題＞ 本考案は以上の実情に鑑み提案されたもので、
その目的とするところは移送する物品が布等のシ
ート体である場合に、シート体の端部が移送中に
巻き上がつて折り重なることなく所定位置に移送
でき、ずれなく積み重ねることのできる布等のシ
ート体移送テーブルを提供することにある。

＜課題を解決するための手段＞ 本考案は以下の特徴を有する布等のシート体移
送テーブルを提供することにより上記課題を解決
する。

本考案の布等のシート体移送テーブルは、布等
のシート体を載置する天板と、天板に明けられた
多数のエアー吹出口と、吹出口から吹き出すエア
ーによつて浮かされた布等のシート体を一定方向
に移動させる手段と、テーブル上に配され布等の
シート体の端部と接触することによりその移動位
置を制御するガイド体とを備えてなる。

このガイド体は、布等のシート体の端部と接触
し移動位置を制御する側面と、布等のシート体の
端部が巻き上がつて折り重なるのを防止する端部
巻き上がり防止手段とを有する。

そして、この端部巻き上がり防止手段が側面の
上部及び下部に布等のシート体側に夫々突設され
る突出片からなるものである。

＜作用＞ 本考案においては、ガイド体に、布等のシート
体の端部と接触する側面に布等のシート体の端部
が巻き上がつて折り重なるのを防止する端部巻き
上がり防止手段を備え、そして、この端部巻き上
がり防止手段を側面の上部及び下部に布等のシー
ト体側に突出する突出片から構成する。

こうすることにより、側面の下部の突出片がシ
ート体の端部に、シート体の他の部分と同様に強
く吹出口からのエアーが吹きつけられるのを防止
することができ、端部が巻き上がるのを防止する
ことができる。

一方、側面の上部の突出片が、仮にシート体の
端部が巻き上がつてきた場合にも、その巻き上が
つてきた端部先端と当接してそれ以上の巻き上が
りを阻止して折り重なるのを防止することができ
る。

＜実施例＞ 以下図面に基づき、本考案の実施例を説明す
る。

第１図は一実施例のテーブルの平面図、第２図
は同断面図である。このテーブルは布を載置する
天板１が中空のエアーボツクス２の開放上面に取
り付けられてなる。テーブルの天板１の全面に
は、多数のエアー吹出口３……が上下面を貫通し
て明けられている。エアーボツクス２にはブロワ
ー４の吐出口が接続されており、エアーボツクス
２に送られたエアーがこのエアー吹出口３より吹
き出す。この実施例では、吹出口３は第２図に示
すように天板１の終端１１に向けて傾斜している
と共に、第１図に示すように図示始端１２上すみ
から終端１１下すみに向けて傾斜している。

天板１上面には、２本のガイド体５，６が配さ
れている。１本５は直線状で天板の側辺に沿つて
配されている。他の１本６は、天板の終端１１付
近が直線部分６１となつており、他は湾曲部分６
２となつて、始端１２に向けて広がつている。こ
のガイド体６は、摺動バー６３に支持され、摺動
バー６３は調整器具６４によつて、矢印ａ方向に
摺動自在となつている。従つて、摺動バー６３の
調整により、両ガイド５，６間の間隔を調整する
ことができる。

以上の構成からなる移送テーブルの使用方法に
ついて説明すると、この移送テーブルは、例えば
従来例で説明した接着プレス装置のベルトコンベ
ア１０３に替え、プレス本体１０２とストツカー
１０４との間に配することができる。そして、プ
レス本体１０２を通過した布地（図示実施例では
襟）１０５は、天板１の始端１２上に載る。する
と吹出口３から吹き出すエアーにより布地１０５
は天板１上からわずかに浮き上がると共に、前述
したエアーの吹き出し方向に従い、第１図図示矢
印ｂ方向に移動させられる。そして、布地１０５
は両ガイド５，６に接触しながら、天板の図示終
端下すみに移動し、直線状のガイド５と他のガイ
ド体６の直線部分６１間を通過する。ここで、布
地１０５の下側辺１０６は直線状のガイド体５に
沿わされ、上側両角１０７，１０７は他のガイド
体６の直線部分６１に接触する。これにより、布
地１０５の移動位置及び向きは完全に規制され、
天板の終端１１からストツカー１０４上に載置さ
れる。

尚、ストツカーへの載りうつりをスムーズに行
うため、天板の終端１１は、第２図に示すように
下方へ傾斜している。

又、ガイド体５，６は、第３図に示すように側
面の上部及び下部に布地１０５側に突出する突出
片が設けられてなる。これらの突出片は、布地１
０５の端部１０８巻き上がり防止手段としてのも
のであり、この実施例では断面コ字状をなしてい
る。側面の下部の突出片は、布地１０５の端部１
０８に、布地１０５の他の部分と同様に強く吹出
口からのエアーが吹きつけられるのを防止する。

一方、側面の上部の突出片は、仮に布地１０５
の端部１０８が巻き上がつてきた場合にも、その
巻き上がつてきた端部１０８先端と当接してそれ
以上の巻き上がりを阻止して端部１０８が折り重
なるのを防止する。

こうすることによつてストツカー１０４上にず
れることなく積み重ねることができる。

従つて、布地１０５が突出片間の側面を接触し
つつ移送する際、２点鎖線で示すように端部１０
８が巻き上つてしまうことがない。２点鎖線で示
すように端部１０８が巻き上がつてしまうような
ことがない。これは、布はもとより、テツシユペ
ーパーによる実験によつても、確認されている。
尚、シート体の厚みが変わつた場合、ブロアーの
吐出量を変化させることにより、より良好な結果
を得ることができる。そして、上記実施例におい
ては、布１０５を移送させる実験を前述の接着プ
レス装置（入口側テーブル１０１プレス本体１０
２及びストツカー１０４に配して行つた場合、ス
トツカーへのつみ重ね精度が最大５mmの誤差に止
め得ることが確認された。しかも従来と異なり、
入口側テーブル１０１に布地を載置する位置は全
く自由でよく、ゲージ等により正確な位置決めを
して布地を置く必要は全くなくなつたものであ
る。

尚、上記の実施例では、エアー吹出口３は、天
板に貫通孔を明けただけであるが、角度調整自在
のノズルを配し、エアーの吹出方向を変更し得る
ようにしてもよい。又、ガイド体の突出片の形状
については図示したものに限らず、適宜変更でき
るものである。さらに、エアーの供給方法も、エ
アーボツクスを用いず、エアーパイプを吹出口に
接続する等、種々変更し得る。

さらに、本考案は、第４図及び第５図に示す実
施例のようにも変更し得る。

この実施例では、エアー吹出口３は垂直方向に
設け、エアーは単に布地１２１を浮き上らせる作
用を果たす。そして布地１２１の移動は、天板１
の上面を傾斜させ、重力により行うものである。
尚、布地１２１はエアーにより浮き上つているた
め、天板１の上面の傾斜角度はわずかでも布地１
２１はスムーズに移動する。この実施例では、傾
斜角度を６度としたが、これに限定されるもので
はなく、天板の始端１２に昇降手段を設け、傾斜
角度を自由に調整できるようにしてもよい。さら
に、天板の四すみに独立した昇降手段を設ければ
傾斜角度のみならず、傾斜方向も調整可能とな
る。

次にこの実施例では、直線部分６１及び湾曲部
分６２を有するガイド体６を対称に移動可能に配
し、天板のほぼ中央に布地１２１を移動させるよ
うにした。この布地１２１は全体に湾曲した襟地
であるが、３点１２２，１２３，１２４でガイド
体６，６の直線部分６１，６１に接触することに
より、正しい位置決めが行われる。

さらに、第６図は他のガイド体の配設例を示す
もので、２本の直線のガイド体５，５を交差させ
たもので、図中矢印方向に移動する布地１３１を
天板１のすみに停止させるものである。この布地
１３１は長方形であるが、他の形状の場合には、
ガイド体５，５の交差角度を変更させたり、他の
形状のガイド体を用いればよい。そして、定位置
で停止した布地には、同位置に配された縫製機
（図示せず）により縫製作業が行われる等、次の
加工が施される。

又、布の移送手段としては、エアーの吹出方向
と天板の傾斜とを組合せて実施することも可能で
ある。

以上の如く、本考案の移送テーブルは移送位置
が極めて正確に設定できるため、この移送テーブ
ルを用いることにより、全工程の合理化も図るこ
とができる。その一例を次に説明する。

例えば、表地100枚と芯地100枚とを張り合わ
せ、所定形状に切断された小布地1000枚を得る場
合、本考案の移送テーブルを用いることにより、
貼着工程が100回で済む。これを第７図に基づき
説明する。準備された長方形の大型の表地100枚
と芯地100枚とを、貼着する。この際、プレス本
体１０２とストツカー１０４との間には本考案の
移送テーブルを配する。すると表地、芯地が貼着
された布地２０１は、各布地２０１がずれなく正
確に100枚つみ重ねられる。そして、これら布地
２０１を切断機により小布地２０２……に切断す
る。この切断工程は切断機の能力に応じ、１回或
は２回に分けて行われる。

ところが、同様の工程を従来のベルトコンベア
１０３を用いて行おうとした場合、ストツカーに
つみ重ねられる布地２０１，２０１には、第８図
に示すようにずれが生じる。そのため、貼着後、
布地をつみ重ねて小布地２０２に切断しようとし
ても、各布地が正確に切断できず、不良品が多数
発生してしまう。

そのため従来では第９図に示すように、表地
100枚、芯地100枚を夫々別に切断した後、貼着す
る。しかし、この貼着時には表地100枚、芯地100
枚は夫々他布地の形状に切断されているため、
1000枚の小表地と1000枚の小芯地とを1000回貼着
しなければならない。

よつて、本考案は従来1000回の貼着工程をその
10分の１に短縮合理化し得たものである。

尚、本考案の移送テーブルは、接着プレス装置
と組み合わせる他、縫製装置、切断装置等々、
種々装置と組み合わせ、或は単体で使用し得るも
である。

＜考案の効果＞ 以上、実施例で述べたように本考案はガイド体
に、側面の上部及び下部に布等のシート体側に突
出する突出片を設けることにより、側面の下部の
突出片がシート体の端部に、シート体の他の部分
と同様に強く吹出口からのエアーが吹きつけられ
るのを防止して端部が巻き上がるのを防止するこ
とができ、一方、側面の上部の突出片が、仮にシ
ート体の端部が巻き上がつてきた場合にも、その
巻き上がつてきた端部先端と当接してそれ以上の
巻き上がりを阻止して折り重なるのを防止するす
ることができる。

これにより、布等のシート状体をエアーの吹き
つけによつて端部が折り重なることなく所定位置
まで移送するすることができ、移送後、ずれなく
積み重ねることができるものとなる。

従つて、移送前の正確な位置決め作業が不要と
なると同時に、後工程も極めてスムーズに行うこ
とができ、布等の縫製・切断や芯地と表地との接
着プレス等の作業全体の合理化に大きく貢献出来
るものとなる。

以上、本考案は布等のシート状体を端部が折り
重なることなく所定位置まで移送することができ
る有用且つ実用的なものを提供しえたものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は一実施例の移送テーブルの平面図、第
２図は同断面図、第３図はガイド体の説明図、第
４図は他の実施例の移送テーブルの平面図、第５
図は同断面図、第６図は他のテーブルの平面図、
第７図は本考案の移送テーブルを用いた貼着切断
工程の説明図、第８図は従来のベルトコンベアを
用いた貼着切断工程の問題点の説明図、第９図は
同従来例の工程の説明図、第１０図は従来例の平
面図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 布等のシート体を載置する天板と、天板に明
   けられた多数のエアー吹出口と、吹出口から吹
   き出すエアーによつて浮かされた布等のシート
   体を一定方向に移動させる手段と、テーブル上
   に配され布等のシート体の端部と接触すること
   によりその移動位置を制御するガイド体とを備
   え、 このガイド体が、布等のシート体の端部と接
   触し移動位置を制御する側面と、布等のシート
   体の端部が巻き上がつて折り重なるのを防止す
   る端部巻き上がり防止手段とを有し、 この端部巻き上がり防止手段が側面の上部及
   び下部に布等のシート体側に夫々突設される突
   出片からなるものであることを特徴とする布等
   のシート体移送テーブル。 ２ テーブルが一定方向に傾斜させられているこ
   とにより、布等のシート体をテーブルの傾斜方
   向に移動させるものであることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の布等のシー
   ト体移送テーブル。 ３ エアー吹出口が一定方向に向けられているこ
   とにより、布等のシート体をエアー吹出口の向
   けられた方向に移動させるものであることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   布等のシート体移送テーブル。