JPH0480077B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

１ 産業上の利用分野 本発明はアルコールと中間留分を均一に混合し
貯蔵並びに輸送に安定な燃料組成物と、その製造
方法に関するものである。 ２ 従来の技術 近時、原油の価格上昇と重質化という問題で産
業界は資源面、エネルギー面で新しい対応をせま
られている。既にアメリカ、ブラジルではガソリ
ン中に約10％のエタノールを混合し、これをガソ
ホールとして使用している。又メタノールをガソ
リン中間留分と混合する研究開発も各国で行われ
ていることも公知である。しかし、メタノールを
これら石油製品に均一に混合し、長期間保存性、
輸送安定性に優れた組成物は現在まで、得られて
いない。即ち、日本に於いても中間留分の長期需
要見通しに立脚し、この中間留分にアルコールを
混合して安定供給を考え、通産省、野村総研等が
各種の検討を実施している。 しかし、いずれの場合も安定性に優れた組成物
は得られていない。 ３ 発明が解決しようとする課題 本発明者は先に、アルコール可溶性で水に親和
性を有する化合物、及びアルコール可溶性で水に
親和性を有する化合物とアルコール可溶性で液状
炭化水素に親和性を有する化合物を、アルコール
と液状炭化水素に混合する場合、優れた保存安定
性を示し、輸送に対する安定性も良好であること
を見出し、これを特許化しようとした。（特開昭
56−103293） 特開昭56−103293で、アルコールと液状炭化水
素の混合物を安定化する方法として部分鹸化ポリ
ビニルアセテート、酢酸ビニル−エチレン−ビニ
ルアルコールの３元共重合物等が有効であること
は見出していた。 更に本発明者は、鋭意この研究を継続した結果
中間留分とアルコールの混合物の保存安定性と輸
送安定性に更に顕著に有効な化合物を見出した。
その化合物とは、重合度200〜1950、鹸化度20〜
60モル％の部分鹸化ポリビニルアセテートであ
る。 その製造方法としては、液体流を高速にて流動
させ、邪魔板に当てて流れを遮断し急激な乱流状
態を造り、均一な混合組成物を造る方法、並びに
液体混合物を加圧し、急激に細孔より噴出させて
乱流状態を造り、均一な混合組成物を造る方法が
適当である。 前者は、高速液体流を一方向に流し邪魔板にて
液体流を遮断し、液体流を部分的に逆方向に引き
戻すことを強要する事より成り立つ、乱流状態を
造る方法である。 一方後者は、濾過布の如き細孔を有する抵抗物
を通すことにより液体流を遮断し、細孔を通る時
の抵抗を増加し、恰も粘度上昇したが如くにする
ことにより乱流状態を造る方法である。 本出願の場合、殆ど完全流体に近い低粘度液状
混合物を高速で流動し、その流動方向を変更、阻
害する手段、或は、液状混合物を濾過布の如き細
孔を保持する抵抗体中を流動させることにより、
流動抵抗を受け、その結果、流動阻害が起こり、
乱流状態が生起し、この乱流状態が均一に混合に
有効に利用される。 殆ど完全流体に近い低粘度の液状混合物が、流
動に際し上記の如き流動を阻害された状態になり
恰も液体の粘度が上昇したが如き状態を造る場合
この流動を本技術では乱流、更に液体がその状態
にある場合、乱流状態にあると規定する。 流動阻害による乱流状態下、分散状組成物を製
造する目的に利用される機器としては、デイスパ
ーミル、並びにスパクラーフイルターが有効に利
用される。 ここでいう中間留分とは、通常家庭で一般燃料
として用いている灯油、自動車用途に用いている
軽油、デイーゼル発電に用いているＡ重油でよく
特別な指定は無い。 又、アルコールに関しても、通常のメタノー
ル、エタノールでよく、若干の水、アルデヒド、
エーテルの如き不純物を含有していてもよい。 次に部分鹸化ポリビニルアセテートは、重合度
200〜1950、好ましくは200〜600、鹸化度（20〜
60）モル％、好ましくは（30〜50）モル％が適当
である。 中間留分とアルコールの混合物に対する部分鹸
化ポリビニルアセテートの添加量は、（0.01〜
0.5）重量％、好ましくは（0.05〜0.3）重量％で
よい。 製造方法としては、デイスパーミルＤ−１型の
如き高速混合機、この複数台直結方式、デイスパ
ーミルとスパクラーフイルターの組合せの装置に
予め規定量の中間留分を入れ、これに予め部分鹸
化ポリビニルアセテートを含むアルコールを滴下
混合することにより行われる。 以下、実施例により本発明を説明する。 実施例 １ 軽油としてJIS−K22042号を、メタノールとし
てJIS−K8891特級を用いた。 軽油とメタノールの比率は、重量％で95：５で
あり、この双方の重量に対して0.3％の以下に示
す添加剤をメタノール溶液で添加した。 混合はデイスパーミルＤ−１型2.2〜
3.7kw8000rpmを用い温度は常温である。 実験結果を下表に示す。 但し、×は安定性不良、△は安定性稍良好、○
は安定性非常に良好なことを示している。

【表】 これより重合度として200〜1950、好ましくは
300〜600、鹸化度に関しては30〜50が好ましい。
この傾向は通常の工業用軽油−工業用メタノール
の組合せ、軽油−エタノールの組合せ、Ａ重油−
エタノールの組合せ、Ａ重油−エタノールの組合
せでも変わりが無い。 実施例 ２ 軽油（95重量％）、メタノール（５重量％）の
混合物（Ｍ−５と称す）、並びに軽油（90重量％）
メタノール（10重量％）の混合物（Ｍ−10と称
す）を製造するに際し、実施例−１と同じ混合機
を用いた。添加剤は、予め実施例−１にてスクリ
ーンして良好なＧ−４，Ｏ−７を用いて添加適量
を求めた。 結果は実施例−１と同じ表現で示している。

【表】

【表】 Ｍ−５，Ｍ−10共、添加剤Ｇ−４，Ｏ−７に関
した差はなく、添加剤量は0.05％以上が好ましい
様である。Ｇ−４，Ｏ−７に関し0.1％添加剤を
添加した混合物は、双方とも２ヶ月以上安定であ
る。 実施例 ３ Ｍ−５に関し、鹸化度による安定性を求める目
的で、実施例−１の記号の添加剤を混合し安定性
を調査した。結果は、実施例−１と同じ表現を用
いている。

【表】 エタノールとメタノールの差はあまり無い様で
あり、混合物で重合度を変え鹸化度を変えてみて
も、この様な差では余り大きい差異は出ない。 実施例 ４ 灯油とメタノールを混合する。灯油95：メタノ
ール５（各重量％、Ｍ−5′と称す）、灯油90：メタ
ノール10（各重量％、Ｍ−10′と称す）の製造に際
し、Ｍ−5′に関しては灯油、メタノール混合物に
対しＯ−７を0.1％、Ｍ−10′に関してはＯ−７を
0.3％添加し、デイスパーミルＤ−１型で混合し
た。 この際、混合時間を短縮し、分散を均一にする
目的で、Ｄ−１型１台で混合する場合と、Ｄ−１
型２台を直列に結ぶ場合、Ｄ−１型の直後にスパ
クラーフイルターを置く場合について実験した。
結果は、実施例−１と同じ表現で示している。

【表】 これより、デイスパーミルＤ−１型１台単独よ
りも、２台以上直列にする場合、Ｄ−１型＋スパ
クラーフイルター直列の方が遥かに短時間で安定
な分散物を得ることが判明した。又、Ｄ−１型ナ
スパクラ−フイルター直列の場合は、肉眼的には
透明であり、これはＤ−１型１台、Ｄ−１型２台
では見られない現象である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 50重量％未満のメタノール、エタノール、お
   よびこれらの混合物から選ばれるアルコールと、
   50重量％以上の石油精製の中間留分、即ち灯油軽
   油、又はＡ重油からなる燃料組成物に対し、重合
   度200〜1950、鹸化度20〜60モル％の部分鹸化ポ
   リビニルアセテートを、0.01〜0.5重量％添加混
   合してなる、保存並びに輸送安定性にすぐれた燃
   料組成物。 ２ 50重量％未満のメタノール、エタノール、お
   よびこれらの混合物から選ばれるアルコールと、
   50重量％以上の石油精製の中間留分、即ち灯油軽
   油、又はＡ重油からなる燃料組成物に対し、重合
   度200〜1950、鹸化度20〜60モル％の部分鹸化ポ
   リビニルアセテートを、0.01〜0.5重量％を添加
   した混合溶液を均一に混合させるに当たり、該混
   合溶液を高速混合機により乱流状態とし充分に混
   合させることを特徴とする燃料組成物の製造方
   法。 ３ 混合機がデイスパーミルＤ−１型で示される
   如き高速混合機で、これを複数台直列につなぐ
   か、又は混合機とスパクラーフイルターの如き
   過機を直列につなぎ短時間に安定な燃料組成物を
   製造する特許請求の範囲第２項の製造方法。