JPH0479706B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、遠心力を利用して微量の液体を過
するためのフイルターに関するものである。本発
明によるフイルターは、臨床分析，化学分析等の
前処理用フイルターとして、有用である。

〔従来の技術〕

臨床分析における血清あるいは血漿の除蛋白、
あるいは蛋白の濃縮には、従来、直径１cm程度の
フイルターを円筒の底部に装着したものが多用さ
れて来た。円筒底部に装着されたフイルター上に
試料液を注ぎ、遠心分離器でフイルター上の液体
に重力を与え、フイルターを通過させるものであ
る。この形式のフイルターには次の欠点があるこ
とが知られている。

(1) 必要試料量が0.5ml以上、と比較的多い。例
えばマウスから採血できる血液量約0.1mlには
対応できない。

(2) 使用する遠心分離器がスウイング型の場合、
液に働く遠心力ベクトルはフイルターに錐直で
あり、この結果、フイルターに阻止された物質
は、フイルター上にゲル層を形成し、フイルタ
ーの過速度は大幅に低下する。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、試料液が100μ（0.1ml）以
下の場合でも過可能であり、かつ、安定した
過速度を与えるフイルターを提供することにあ
る。

〔発明の構成〕

本発明は、中空糸型フイルターを用い、遠心力
によつて中空糸型フイルターの中空部に存在する
試料を該中空糸型フイルターの外部へ過する形
式の微量液体フイルターを提供することにある。

中空糸型フイルターは、通常内径が0.4mmから
４mm程度、外径が0.7mmから６mm程度のものであ
り、これを束ねてモジユール化したものは工業的
に広く使用されている。本発明者らは微量液体を
過するに際し、中空糸型フイルターの中空部へ
試料を入れ、該フイルターの外部へ液を過する
過形式が最も試料の損失が少なく、また、過
効率が良いことに着目し、本発明を完成するに至
つた。

次に、本発明を図面に基づいて説明する。第１
図から第４図は本発明の実施態様を断面図をもつ
て示すものである。第１図から第４図中、１は試
料皿、２は試料皿１の底を構成する中空糸型フイ
ルター保持体、３は中空糸型フイルター、４は外
筒を示し、５は第３図に示す様に中空糸型フイル
ター中空部へ直接試料を導入する場合に用いる注
射筒挿入用テーパー孔を示すものである。この注
射筒挿入用テーパー５は必要に応じ設ければよ
い。また、試料皿１の底部は、水平、すなわち外
筒４に垂直な面でも良いが、中空糸型フイルター
３の中空部分と試料皿とが導通する部分を最低点
とするような傾斜をつけることが望ましい。これ
は試料皿上の微量試料が残らず、中空糸型フイル
ターの中空部へ導入し易くなるからである。

試料皿１の底部を構成する中空糸型フイルター
保持体２は、少なくとも、中空糸型フイルター３
の一端を保持し、かつ、、その保持部分２は中空
糸型フイルター３の中空部と試料皿とが通ずるよ
う、設計される。試料皿１の材質としては、一般
の熱可塑性高分子、例えばポリエチレン，ポリプ
ロピレン，ポリ塩化ビニル，ポリスチレン，ポリ
カーボネート，ポリメチルメタクリレートなどの
殆んどが使用可能である。また、試料皿１は、エ
ポキシ樹脂やポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂
で、中空糸型フイルターの接着と同時に成型する
ことも可能である。試料皿１として熱可塑性樹脂
を用いる場合、中空糸型フイルター３との接着
は、一般の接着剤が使用できるが、特に、ウレタ
ン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好まし
い。使用する中空糸型フイルター３は、内径１mm
以上４mm以下であることが望ましい。特にその中
でも有効なのは、1.5mmmm以上3.0mm以内の範囲で
あり、この程度の内径を持つ中空糸型フイルター
３は、中空糸型フイルター保持体２と接着し易
い。装着する中空糸型フイルター３の形態は、棒
状，Ｕ字状，Ｖ字状等、種々の形態が可能であ
る。Ｕ字状，Ｖ字状の場合、中空糸型フイルター
３の両端を中空糸型フイルター保持体２に固定す
ることが望ましいが、先に述べたように、中空糸
型フイルター中空部と試料皿１との導通は、中空
糸型フイルター３の両端である必要は必ずしもな
い。

中空糸型フイルター３の長さは、任意である、
実用的な面、すなわち試料量あるいは使用する遠
心分離器の形態を考慮に入れると、直線状、すな
わち第１図又は第４図に示す形状で使用する場
合、３cm以上、10cm以下が好ましい。また、Ｕ字
状あるいはＶ字状の形態で使用する場合には、７
cm以上、25cm以下のものが実用的である。

中空糸型フイルター３は、走査型電子顕微鏡で
観察可能な微細孔を持つミクロフイルターに分類
されるものや、蛋白質，高分子等をも阻止する限
外過膜等、過目的によつて使い分けられる。
このような中空糸型フイルター３は、例えば再生
セルロース，セルロースアセテート，硝酸セルロ
ース等のセルロース系素材、あるいは、ポリ塩化
ビニル，アクリロニトリルと塩化ビニルの共重合
体，ポリアクリロニトリル，ポリエチレン，ポリ
プロピレン等の合成高分子素材から成る場合が多
い。外筒４は通常内径が３mm以上20mm以下の合成
樹脂製円筒が用いられる。本フイルターには、通
常液捕集用の底部容器が付属する。

〔発明の効果〕

以上、詳細に述べた本発明によるフイルター
は、中空糸型フイルターを用いることにより、微
量試料を効率よく過することができ、かつ、フ
イルター部分が、大部分遠心力に対して平行にな
つていることから、フイルター面で阻止された物
質は、遠心力により、中空系型フイルターの底部
へ落ち、目詰まりが少ない。

〔実施例〕

１ 第１図を参照し乍ら説明する。内径10mm，長
さ80mmのアクリルパイプを外筒４とした。外径
３mm，内径1.8mmのポリ塩化ビニル製中空糸型
限外過膜（分画分子量約５×10⁴）３の一端
をウレタン樹脂で封止し、他の一端をアクリル
樹脂製中空糸型フイルター保持体２のノズルに
ウレタン樹脂で固定した。該中空糸型フイルタ
ー保持体を、前述のアクリルパイプ中へ挿入
し、ウレタン樹脂で両者を固定し、断面が第１
図で示されるフイルターを得た。

〔使用例〕

実施例１で得たフイルターの試料皿に70μ
（0.07ml）のウシ血清を入れ、スウイング型遠心
分離器で40分間遠心した。この時の重力は、約
1200Gであつた。遠心器停止後、液皿には、約
30μの液が得られた。

【図面の簡単な説明】

第１図から第４図は本発明の実施態様を断面図
をもつて示したものである。 １……試料皿、２……中空糸型フイルター保持
体、３……中空糸型フイルター、４……外筒、５
……注射筒挿入用テーパー孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 遠心力を利用して液体を過するためのフイ
   ルターにおいて、過体として中空糸型フイルタ
   ーを用い、中空糸型フイルターの内部から外部へ
   液体を過することを特徴とする微量液体用フイ
   ルター。 ２ 中空糸型フイルターの中空部と試料導入用の
   試料皿の底部が通じ、これら全体が合成樹脂製円
   筒内に設置されていることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の微量液体用フイルター。 ３ 試料導入用の試料皿の底部が中空糸型フイル
   ター保持部分を最低点として勾配を持たせた試料
   皿を有する特許請求の範囲第１項又は第２項に記
   載の微量液体用フイルター。