JPH045008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は血液過装置に関する。更に詳しくは
操作性が良好で、血球由来の共雑物が少なく、か
つ過性能の優れた血液過装置に関する。

従来、血液より除蛋白された血清を得るには、
採取した血液を試験管内で凝固させた後、遠心分
離して上清に血清を得、該血清にトリクロル酢酸
等の蛋白凝固剤を加え、血清蛋白を凝固させた後
再び遠心分離により、上清に除蛋白血清を得るの
が一般的であつた。しかし、最近シート状は半透
膜を合成樹脂製円筒内に装着し、遠心分離機を利
用して、血清を除蛋白する装置が開発されてい
る。この装置を血液過に利用すると、膜面に血
餅が付着し、過効率が極めて悪い。また、比較
的血餅による目詰まりの少ない中空糸型フイルタ
ーを使用した微量血液過装置を用いて血液過
をおこなうと、液中に血球内に特異的に存在す
る物質が含有される。これは、遠心力による血球
の破壊による血球内容物の流出に奇因する。本考
案者らは、このような中空糸型フイルターを利用
した血液過装置の欠点を改良するため、鋭意研
究を重ねた結果、本考案を完成するに至つた。

すなわち、本考案は中空糸型フイルター１を円
筒３内に納め、該中空糸型フイルターのみが貫通
する仕切壁４を設けた血液過装置において、該
血液過装置に血液を入れ遠心した際、沈澱した
血球成分に覆れるべき中空糸型フイルターの部分
に該中空糸型フイルター微細孔の閉塞処理を施し
た中空糸型フイルターを用いることを特徴とする
血液過装置に関する。

本考案による効果は過操作が容易でかつ遠心
力により破壊された血球より流出する成分の膜透
過を防ぐことにある。

以下、本考案を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の一実施態様を表わす斜方透視
図である。

２の部分を予めエポキシ樹脂等に浸漬すること
により、その微細孔を閉塞せしめた中空糸型フイ
ルター１を円筒３（例えば合成樹脂製）の中へ納
め、４の部分で中空糸型フイルターの中空部のみ
が開孔するように片側を封止することにより、本
考案の一形態が得られる。中空糸型フイルター
は、棒状あるいはＵ字型、Ｖ字型等種々の形態が
可能であるが、少なくとも封止部分で末端が開孔
していることが必要である。中空糸型フイルター
の部分的微細孔閉塞処理は、閉塞すべき部分を接
着剤等に浸漬し、目的とする部分に接着剤を塗布
した後、硬化させる等、種々の手法が適用可能で
ある。但し、閉塞させるべき中空糸型フイルター
の部分の長さは、血液を遠心分離した場合、その
体積の約60％が血球成分であることを考慮すべき
である。

すなわち、円筒片末端封止部分４の長さは ｛（閉塞させるべき中空糸型フイルターの部分
２の長さ）−（円筒の片末端封止部分４の長さ）｝×
（円筒３の断面積）＞（過に供する血液量）×（血
球成分の体積割合）になるように決められる。

中空糸型フイルターの素材は通常、ポリ塩化ビ
ニル樹脂、ポリスルフオン樹脂、ポリアクリロニ
トリル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリ
ビニルアルコール系樹脂から選ばれる。

中空糸型フイルターの外径は、0.6mmから1.8mm
の範囲が好ましいが、これ以外でも目的の血液量
により、自由に選ぶことができる。円筒３の中へ
挿入される中空糸の数も任意であるが、本装置
が、微量血液過を目的としていることから、１
本以上15本以下が普通である。同様な理由から、
円筒の内径も２mm以上12mm以下が望ましいが、い
ずれの場合も過に供する血液量により、この範
囲外に設定することが必要な場合もある。

また、円筒３の長さは過に供する血液量によ
つて任意に決められるが、通常最大内容積２〜３
c.c.に対応する長さが用いられる。

装置の片末端封止およびフイルター微細孔閉塞
に用いる材料は、エポキシ樹脂やウレタン樹脂
等、熱硬化性樹脂が適当であるが、ベーストポリ
塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂による封止も可
能である。

以下、本発明を実施例および使用例により説明
する。

実施例 内径0.8mm、外径1.3mmの再生セルロース製中空
糸型限外過膜（分画分子量５×10⁴）を長さ５
cmに切断した。この中空糸型限外過膜３本を熱
硬化性ウレタン樹脂液中に0.3秒間、片末端から
2.5cmの長さ、浸漬し、ただちに引き上げ膜表画
のウレタン液を拭き取つた。24時間後、該中空糸
型限外過膜３本を、内径５mm、長さ５cmのアク
リル樹脂製円筒へ同一方向に納め、中空糸型フイ
ルターの微細孔閉塞処理が施された側がある円筒
内に、注射器でウレタン樹脂を0.6c.c.注入し、ア
クリル樹脂製円筒の片末端を封止した。24時間
後、硬化したウレタン部分をアクリル樹脂製円筒
ごと精密のこぎりで切断し、ウレタン封止末端に
３本の中空糸型限外過膜の中空部分が開孔した
血液過装置を得た。

使用例 実施例で製作した血液過装置内に、血液凝固
防止剤としてクエン酸ナトリウムを添加したヒト
血液200μを入れ、50分間、2500Gで遠心し、
20μの液を得た。液中のアデノシン３リン
酸をルシフエラーゼ法で定量した。（ルシフエラ
ーゼ法は、B.L.StrehlerとJ.R.Totter編、
Method of Biochemical Analysis，Vol.1、341
頁、Wiley社刊、1954年に記載されている）。そ
の結果、液中にアデノシン３リン酸は、実質的
に含まれなかつた（定量下限10^-5mg／ml）。

比較例 実施例に用いた中空糸型フイルターの表面微細
孔閉塞処理を施さず、実施例と同様に血液過装
置を製作した。該血液過装置で使用例と同様に
して、ヒト血液過をおこない、得られた20μ
の液中のアデノシン３リン酸の定量をおこなつ
た。その結果、アデノシン３リン酸の液中の濃
度は0.08mg／mlであつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施態様を表わす斜方透
視図である。 １は中空糸型フイルター、２は中空糸型フイル
ターであり、微細孔閉塞処理を施された部分、３
は合成樹脂製円筒、４は封止部分。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中空糸型フイルター１を円筒３内に納め、該中
   空糸型フイルターのみが貫通する仕切り壁４を設
   けた血液過装置において該血液過装置に血液
   を入れ遠心した際、沈澱した血球成分に覆われる
   べき中空糸型フイルターの部分に該中空糸型フイ
   ルター微細孔の閉塞処理を施した中空糸型フイル
   ターを用いることを特徴とする血液過装置。