JPS6326161Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の分野及び背景） 本考案は、中空繊維を利用したミニ分離器に関
する。さらに詳しくは、分画分子量が500〜5000
の中空繊維100〜500本の両末端を弾性体に埋め込
み、中空繊維の中空部の両末端が外部に開放して
いる成型物に於いて、中空繊維を取り囲む外筒部
が存在せず、かつその成型物の少なくとも一端は
注射器に直接接続可能な部品と一体化しているこ
とを特徴とする被過容量が1000ml以下のミニ分
離器に関する。

中空繊維は血液透析膜、限外過用膜、気体分
離用膜、逆浸透用膜として医療、医薬、食品、電
子工業など幅広い分野で利用されていて、その孔
径範囲は数10Å〜数μmまで目的に応じて各種製
造されている。

中空繊維は平面膜のものに比べて単位体積当り
の膜面積が大きく、補強用の支持体が不要であ
り、成型物として組み立てられているため取扱い
が容易であり、また過方法として、罷過流体
を流しながら過するいわゆる平行過が効率的
に実行できる等の優れた面がある。これらの利点
は分離流体の容積が大きくなるほど生かされてく
る。膜分離技術の急速な進歩に伴ない、優れた時
性の中空繊維が開発されている。

（従来技術） 従来、中空繊維の成型物は、ブラスチツクある
いは金属性の円筒状の外筒内に約10000本程度の
中空繊維が密に配置され、中空繊維の両末端を接
着剤等に埋め込んだ型のものが大半で、分離すべ
き流体の容積に応じた膜面積の自由な選択が出来
る成型物はなかつた。区筒状の外筒は中空繊維の
保護および力学的変形の防止、液等の回収回路
への接続を容易にする。従来の中空繊維の成型物
は有効過面積の最適化が出来ないことおよび円
筒状の外筒が不可欠なため、工業用以外の分離、
たとえば実験室レベルでの分離のように分離すべ
き流体の容積が少なくなると平面膜を用いる割合
が依然として高いのが現状で、平行過などの優
れた分離手段をこの分野に適用することは不可能
であつた。被過流体が微量である分野での分離
の例として、生化学分野での物質精製、医薬品や
食品工業分野での除菌あるいは酵母、細菌等の菌
体の分離などがある。

（考案の構成及び効果） 本考案は、被過量が1000ml以下で円筒状の
外筒がないため、被過流体が微量で、また回収
すべき液が微量である生化学分野や実験室レベ
ルでの分離に適している。中空繊維の分画分子
量が500〜5000であるため、ビタミンやある種の
蛋白質の分離に用いられる。中空繊維の成型物
の少なくとも一端は注射器に直接接続可能な部品
と一体化しているため、極微量な流体を迅速に分
離することが出来る。特に上記，の特徴を有
するため実験室あるいは野外等での簡便、迅速な
物質分離や試料採取が可能である。

以下、本考案を図面により詳しく説明する。

第１図〜第８図は本考案のミニ分離器に関する
実施態様を示す。第１図は、本考案のミニ分離器
の実施態様の模式図を示す。第２図ａの１は中空
繊維を弾性体中に埋め込むフランジＡ、第２図ｂ
の２は注射器と直接接続可能な部品フランジＢ、
第３図はフランジＡ１とフランジＢ２を接続した
状態、第４図は本考案のミニ分離器の実施態様を
示し、中空繊維３の両末端はフランジＡ１中の弾
性体４に埋め込まれており、そして注射器と直接
接続可能な部品フランジＢ２とネジ、接着剤など
で接続されている。第５図は中空繊維３がフラン
ジＡ１中に弾性体４により埋め込まれており、中
空繊維３の中空部の末端が外部に開放しているよ
うすを示す。第６図は中空繊維３の両末端をフラ
ンジＡ１中に弾性体４で埋め込み、フランジＡ１
と注射器が直接接続可能なフランジＢ２とを接着
剤で固定し、被過流体８を収容した注射器７を
フランジＢ２に接続したようすを示す。第７図は
第６図のミニ分離器を利用する被過流体８の分
離方法（減圧過）および液採取方法を示す。
中空繊維の素材としては生化学用には再生セルロ
ースが特に優れている。

本考案のミニ分離器においては、第２図のよう
に、フランジは中空繊維と弾性体を埋め込むフラ
ンジＡ１と注射器と直接接続可能なフランジＢ２
とから構成されており、フランジＡ１とフランジ
Ｂ２との接続態様は第３図に示す通りであり、第
１図に示すようにネジで固定すれば良い。またネ
ジのかわりに接着剤で固定しても良い。フランジ
Ｂ２は市販の注射器の先端部の径に合わせて設計
されているため、被過流体のもれを防ぐことが
可能である。ここで弾性体とは、ヤング率が
¹⁰dyn／cm²以下のプラスチツクあるいはゴム系材
料を意味し、この弾性体の例として、ウレタンあ
るいはシリコン系の接着剤が好ましい。本考案の
ミニ分離器は、中空繊維の成型物の少なくとも一
端は注射器に直接接続可能な部品と一体化してい
るため、注射器を接続（第６図）すれば実験室あ
るいは野外などでの物質分離や試料採取が容易に
行なえ、形が小さく、コンパクトであるため、持
ち運びが容易である。また本考案のミニ分離器に
用いている中空繊維の分画分子量が500〜5000で
あり、被過容量が1000ml以下で、かつ分離膜部
分の充てん容量が非常に少量であるため、被過
流体が微量である生化学分野や実験室でのビタミ
ンやある種の蛋白質等の分離、濃縮において、流
体の流れ方、分離方法を効率良く、容易に種々変
えて行なうことが出来る。

第７図のように、本考案のミニ分離器を用いて
被過流体８の分離を行なう際、左右の注射器７
を交互に押し下げることにより８の流体は中空繊
維３の中空部内を壁厚に平行に流れながら過さ
れ、いわゆる平行過を微量流体について行なう
ことが出来る。液は中空繊維３の外表面に透過
してくるので、中空繊維の部分のみ試験管又はそ
の他の容器に入れておくだけで液を採取するこ
とが可能である。第７図は減圧過方式による
液採取法の一例である。また、３の中空繊維の外
表面を水などに接触させることで、容易に濃度勾
配を利用した分離（透析）が可能である。本考案
のミニ分離器は円筒状の外筒がないため少量の
液でも完全に回収可能であり、中空繊維を用いた
従来の過器の不都合を解決した分離器である。

【図面の簡単な説明】

第１図、第４図、第６図は本考案のミニ分離器
の実施態様を示す。第２図、第３図はフランジ、
第５図は中空繊維の成型物の断面を示す。第７図
はミニ分離器を利用した減圧過方法の一例およ
び液採取方法を示す。 図中の番号はそれぞれ、１……フランジＡ、２
……フランジＢ、３……中空繊維、４……弾性
体、５……ネジ、６……流体注入出口、７……注
射器、８……被過流体、９……減圧容器、１０
……液を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 分画分子量が500〜5000で、繊維長全域並びに
   繊維の周囲全域にわたつて７〜30μmの均一な壁
   厚および100〜500μmの真円形外径を有する中空
   繊維100〜500本の両末端を弾性体に埋め込み、該
   中空繊維の中空部の両末端が外部に開放している
   成型物に於いて、中空繊維を取り囲む外筒部が存
   在せず、かつその成型物の少なくとも一端は注射
   器に直接接続可能な部品と一体化していることを
   特徴とする被過容量が1000ml以下のミニ分離
   器。