JPH047962Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、写真の表面に立体感を出すためのレ
リーフ層が設けられた積層体に関するもので、応
接室やロビーの壁面の装飾に利用される。

（従来技術） 従来より、会社の応接室又はホテルや会館など
のロビーの壁面の装飾のために写真が用いられる
ことがあり、この場合の写真は、大型のパネル写
真としたり、又は写真を布面に糊で貼り付けたり
して用いられている。しかし従来のこれらの写真
は平面的なものであつて、本来的な写真としての
装飾効果のみしか期待できず、壁面の装飾用とし
ては単調なものとなる傾向がある。

一方、光学的な作用により写真に立体感を出す
ようにした立体写真は、そのような立体感を得る
ためには見る位置に制限があつたり、又は特殊な
装置を必要とし、上述のような壁面の装飾用とし
ては必ずしも適当なものではなく、またこれらは
光学的に立体的に見えるというにとどまり、手で
触れれば平面的なものであることに変わりはな
い。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上述の事情に鑑みて成されたもので、
写真に立体感を付与して壁面等の装飾用に適した
積層体を提供することを目的としている。

（技術的手段） 本考案の技術的手段は、一定寸法の板状の基材
よりなる基材層２と、支持体がグラスフアイバー
の織布で置換された現像済み写真印画紙よりなる
写真層であつて、前記織布が前記基材層２の片方
の面に接着されている写真層３と、該写真層３の
画像面上の適所に盛上がつた状態に塗布されて硬
化した透明な合成樹脂よりなるレリーフ層５とを
有する積層体である。

（実施例） 以下、本考案を実施例に基づいて図面を参照し
ながら説明する。

第１図は、ある大木の写真を用いて本考案の一
実施例である積層体１を構成したものであつて、
これは縦約1.5メートル、横約0.8メートルのもの
である。第２図はこの積層体１の断面の一部を拡
大して示すものである。これら第１図及び第２図
において、積層体１は、板状の基材からなる基材
層２と、基材層２の片方の面に印画写真の画像面
を外方に向けて接着層４により接着された写真層
３と、写真層３の画像面上の適所に盛上がつた状
態に塗布されて硬化した透明な合成樹脂よりなる
レリーフ層５とから成つている。

基材層２は、写真層３及びレリーフ層５にしわ
が寄つたり折れ曲がつたりしないような、且つ積
層体１の使用場所に応じた強度及び材質を有する
ものであることが必要であり、適当な厚さのアル
ポリツク板、アルミ板、鉄板、ベニア合板、アク
リル板等が使用される。

写真層３は、支持体とこれの片方の面に形成さ
れた写真乳液層とからなる現像済みの写真印画紙
ではあるが、一般に使用される写真印画紙、即ち
その支持体が紙シートよりなる写真印画紙とは異
なり、そのような紙シートの支持体が引張強度及
び弾性率の大きいグラスフアイバーの織布で置き
換えられた写真印画紙よりなるものである。つま
り、この写真層３は、現像済み写真印画紙の紙シ
ート支持体から剥離された写真乳剤層と、グラス
フアイバーの織布よりなる支持体とからなるもの
である。そして、この織布が前記基材層２の片方
の面に接着層４を介して接着される。

上記のように現像済み写真印画紙の紙シート支
持体を他の材料よりなる支持体に置換して積層材
を形成する方法は、本考案と同一出願人により出
願された特願昭58−154408号（特公平１−35953
号）の明細書に記載されており、したがつてその
方法と同様にして上記写真層３を形成することが
できる。即ち、先ず、所望の画像が焼付られ現像
された写真印画紙、つまり、紙シートの両面に極
薄の樹脂膜がコーテイングされた支持体と、この
支持体の片方の面に銀塩系の写真乳剤を塗布乾燥
させた写真乳剤層と、からなる写真印画紙を用意
する。そしてこの写真印画紙の写真乳剤層の表面
に、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の熱可塑性
を有する材料よりなり多数の針穴が穿設された透
明フイルムを被せ、このフイルムの上面より熱圧
を加えると、そのフイルムは熱により溶けて写真
乳剤層に溶着すると共に、前記針穴も消滅して均
一な透明フイルム層となる。次に、この透明フイ
ルム層を前記紙シート支持体から離れる方向に引
つ張ることより、この透明フイルム層と一体重合
状態の写真乳剤層が、紙シート支持体から容易に
剥離される。こうして紙シート支持体から剥離し
た写真乳剤層をグラスフアイバーの織布に接着剤
を介して例えば熱圧着することにより、グラスフ
アイバーの織布で置換された現像済み写真印画紙
よりなる写真層３を形成することができる。

また、上記写真層３の表面に適当な樹脂フイル
ムの保護膜を形成しておいてもよい。接着層４
は、主として合成樹脂等の接着剤が用いられ、場
合によつては接着剤を樹脂フイルムの両面に塗布
したいわゆる両面テープのような態様で用いても
よい。

レリーフ層５は、写真層３の画像のもつデイテ
ールをそのまま生かしながら、その画像に光学的
な立体感を付与し、且つ物理的な凹凸を形成して
手の感触によつても立体感が得られるようにする
もので、画像の意味内容やデイテールの輪郭、陰
影、明暗、色彩等に応じて適所に塗布されてい
る。

これに用いられる合成樹脂は、例えば、不飽和
ポリエステル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等に
光増感剤を加えた透明な光硬化性樹脂を用いるこ
とができ、このような光硬化性樹脂を塗布した後
で紫外線または電子線を照射することにより硬化
させる。このレリーフ層５は透明であるから、写
真層３の画像のもつデイテールはそのまま生かさ
れるとともに、写真層３の画像は平面であるにも
かかわらず、レリーフ層５のもつ凹凸が光学的に
はあたかも画像の凹凸であるかのように見え、視
覚的な立体感が得られるとともに、手の感触によ
つても物理的な立体感を得ることができる。しか
も、視覚的な立体感は、光線の状態や視角によつ
て変化するので、より一層立体感を増すことにな
るとともに、装飾的効果も増大する。

写真層３には現在の写真技術において撮影可能
なあらゆる画像を適用することができ、基材層２
の材料や形状寸法、写真層３やレリーフ層５の表
面仕上げ状態等を適宜選択処理しておくことによ
つて、建築物室内の装飾を兼ねた壁装材として、
又は、装飾用の壁掛け写真パネルとして利用する
ことができる。また、航空写真にその画像である
地形に応じてレリーフ層を形成し、地形モデル等
の教材として利用することも可能である。

（効果） 本考案によると、写真層の画像のもつデイテー
ルがそのまま生かされ、且つ光学的にも物理的に
も立体感が得られ、壁面等の装飾用に適した積層
体を得ることができる。

また本考案によると、写真層が、一般に使用さ
れるような写真印画紙、即ちその支持体が紙シー
トよりなる写真印画紙とは異なり、そのような紙
シートの支持体をグラスフアイバーの織布で置き
換えた写真印画紙よりなるものであるから、支持
体はその引張強度及び弾性率が大きく、伸性の小
さいものとなり、このため写真層を基材層に接着
する際に、写真層が伸びて画像に歪みや変形を生
ぜず、写真印画紙を接着前と何ら変わりなく表示
せしめることができ、また何枚も写真をつなぎ合
わせて使用する場合につなぎ目を容易に一致させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の積層体の一実施例を示す斜視
図、第２図は第１図の部分断面拡大図である。 １……積層体、２……基材層、３……写真層、
４……接着層、５……レリーフ層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一定寸法の板状の基材よりなる基材層と、支持
   体がグラスフアイバーの織布で置換された現像済
   み写真印画紙よりなる写真層であつて、前記織布
   が前記基材層の片方の面に接着されている写真層
   と、該写真層の画像面上の適所に盛上がつた状態
   に塗布されて硬化した透明な合成樹脂よりなるレ
   リーフ層とを有する積層体。