JPH047841Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、突切りバイト用等の切刃として用
いて好適なスローアウエイチツプに関するもので
ある。

［従来の技術］ 第５図〜第８図は、上記従来の突切りバイト用
のスローアウエイチツプ（以下、チツプと略称す
る。）を示すものである。

このチツプ１は、一対の側面２，２間が巾狭に
形成された超硬合金やサーメツト等からなる板状
のもので、上面３の側面２に沿う方向の一端部に
は、切刃５とこの切刃５に沿うすくい面６が形成
されている。

そして上記上面３は、切刃５側の端部から他端
部に向けて下面４側に所定の傾斜角度θ₁で傾斜し
て上記下面４と共にくさび状をなす傾斜面状に形
成されている。ここで、上記上下面３，４のなす
角度θ₁は、第９図に示すように、このチツプ１が
装着されるホルダ７の先端部に形成された取付孔
８内の、基端部から先端開口部に向けて漸次巾広
になるように互いに形成された取付面９，１０が
なす角度θ₂と等しくなるような角度とされてい
る。

また上記上下面３，４は、それぞれ側面２，２
と直交する方向に向けて中央部が僅かに窪む凹Ｖ
字状に形成されている。そして、これら上下面
３，４のなす凹Ｖ字状は、それぞれ上記ホルダ７
の取付面９，１０のなす凸Ｖ字状と密に係合する
ような形状とされている。

以上の構成からなる上記従来のチツプ１は、第
９図に示すように、上記ホルダ７の先端部の取付
孔８内に押し込まれ、くさび状をなす上下面３，
４をそれぞれ上記取付面９，１０に当接させたう
えで、さらにプラスチツクハンマ等によつて切刃
５側からホルダ７側に向けて軽く叩き込まれるこ
とによりこのホルダ７に固定され、その切刃５で
回転する被削材（図示せず）の外周面を半径方向
に向けて切削してこれを切断する。

この場合において上記チツプ１は、上下面３，
４を対応するホルダ７の取付面９，１０にそれぞ
れの凹凸をなすＶ字形状を互いに係合させること
により、その切刃５に沿う方向の移動が阻止され
て上記ホルダ７に装着されている。またこのチツ
プ１は、切削中においては切削によつて生じる切
刃５の分力によつてホルダ７の基端部側に押圧さ
れることにより、上下面３，４によつて形成され
るくさびの効果により上記ホルダ７の取付面９，
１０間に強固に固定されている。

したがつてこのようなチツプ１は、その装着が
容易で、しかもホルダ７側に複雑な固定具を必要
としないという利点がある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら上記従来のチツプ１にあつては、
一般に焼結で成形されるものであるために、焼結
時の熱変形等によりその上下面３，４の傾斜角度
θ₁およびこれら上下面３，４の凹Ｖ字形状を、そ
れぞれ対応するホルダ７の取付面９，１０側の傾
斜角度θ₂およびそれらの凸Ｖ字形状と一致させる
ことが難しいという欠点があつた。これに加えて
焼結時に押圧されることにより、これら上下面
３，４が平滑な面に成形されるてしまため、装着
時に上記プラスチツクハンマ等を用いてホルダ７
側に叩き込んでもこれら上下面３，４と取付面
９，１０との間に隙間が生じてしまつてこれらを
十分に密着させることができない。この結果、切
削を開始する前に何物かが上記ホルダ７に触れた
りあるいは上記ホルダ７が振動したりすると、上
記ホルダ７から脱落してしまうという問題があつ
た。

［考案の目的］ この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、
ホルダに容易かつ確実に装着することができるチ
ツプを提供することを目的とするものである。

［問題点を解決するための手段］ この考案のチツプは、ホルダの取付孔内の対向
する取付面に当接させる、くさび状をなす上下面
のうちの少なくとも一方の表面を梨地状に形成し
たものである。

［実施例］ 第１図〜第４図は、この考案のチツプの一例を
示すもので、第５図〜第８図に示したものと共通
する部分には同一符号を付してその説明を省略す
る。

第１図〜第４図において、このチツプ２０にお
いては、その上下面２１，２２が梨地状に形成さ
れている。

すなわちこのチツプ２０は、従来のものと同様
に焼結によつて一旦所定の形状に成形された後、
その上下面２１，２２にシヨツトブラストが施さ
れることにより、平滑であつたこれら上下面２
１，２２が全面に亙つて粗くされ、それぞれ細か
い凹凸をなす梨地状に形成されている。

このような構成からなる上記チツプ２０にあつ
ては、この上下面２１，２２を梨地状に形成して
いるので、装着時にこれをホルダの取付孔内に軽
く押し込んでこれらを対応するホルダの取付面に
当接させた際におけるこれらの面間の摩擦力を大
幅に増加させることができる。このため、切削を
開始する前に何物かがホルダに触れたり、あるい
はホルダが振動したりしても上記チツプ２０が脱
落する恐れがなく、よつて極めて容易かつ確実に
上記ホルダに装着することができる。

なお、上記実施例においては、チツプ２０の上
下面２１，２２にシヨツトブラストを施すことに
よつてこれら上下面２１，２２を梨地状に形成し
たが、これに限るものではなく、例えば液体ホー
ニング等の他の方法によつてこれら上下面２１，
２２を梨地状に形成してもよい。

また。チツプ２０の上下面２１，２２の両表面
を梨地状に形成したがこれに限るものではなく、
例えば比較的小さなチツプにあつてはこれら上下
面２１，２２の一方の表面のみを梨地状に形成し
てもよい。

［考案の効果］ 以上説明したようにこの考案のチツプは、ホル
ダの取付孔内の対向する取付面に当接させる、く
さび状をなす上下面のうちの少なくとも一方の表
面を梨地状に形成してものであるので、このチツ
プとホルダとの間の摩擦力を大幅に増加させるこ
とができる。このため、装着初期においてホルダ
が振動などしても上記チツプがホルダから脱落す
る恐れがなく、よつて上記ホルダへの装着をより
一層容易かつ確実に行うことができる等の効果を
得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図はこの考案のチツプの一実施例
を示すもので、第１図は正面図、第２図は側面
図、第３図は平面図、第４図は底面図、第５図〜
第８図は従来のチツプを示すもので、第５図は正
面図、第６図は側面図、第７図は平面図、第８図
は底面図、第９図はこの種のチツプが装着される
突切りバイトのホルダを示す概略図である。 ２０……チツプ（スローアウエイチツプ）、２
１……上面、２２……下面、５……切刃、７……
ホルダ、９，１０……取付面、８……取付孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ホルダの先端部に形成された取付孔の、基端部
   側から先端開口部側に向けて漸次巾広となる取付
   面に、くさび状をなす上下面をそれぞれ当接させ
   て着脱自在に装着されるスローアウエイチツプに
   おいて、上記上下面のうちの少なくとも一方の表
   面を梨地状に形成したことを特徴とするスローア
   ウエイチツプ。