JPH0475349B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は扉などの開閉連結部に装着して使用さ
れる、新規な型式の蝶番の製造方法及びその製品
に関するものである。

（従来の技術） 従来、扉など開閉連結部に装着して使用される
蝶番は第５図に示す如く、幅方向の一方側端部を
夫々管状に折り曲げて管部３１，３１′を形成し
た両羽根板３２，３２′を、填め合せた両管部３
１，３１′に嵌挿した軸棒３３で回動自在に保持
し、さらに該軸棒３３が脱落しないよう両管部３
１，３１′の開放端に脚部３４を圧嵌入して平擬
宝珠３５を固定したものである。尚３６は軸棒３
３に外嵌し、両管部３１，３１′の間に配設され
た滑動良好で摩耗しにくいナイロンなどの合成樹
脂からなるリング、３７は両羽根板３２，３２′
を装着するためのネジ孔である。羽根板３２′を
柱などに固定し、他方の羽根板３２を扉などに固
定して使用される。

（発明が解決しようとする問題点） この種の蝶番３８においては、両羽根板３２，
３２′の一方の側端部に軸心の通つた管部３１，
３１′を形成しなければならないため、両羽根板
３２，３２′の製作に数工程を要して加工費が高
くなり、特に大形の蝶番では羽根板３２，３２′
の材料が厚くなるため、その加工が一層難しくな
り加工時間も多く要して原価の高いものになつて
しまう。又蝶番３８を長年使用していると平擬宝
珠３５がとれて軸棒３３が脱落することにより蝶
番３８や扉などの破損事故を起したりする欠点が
ある。この軸棒３３の脱落を防止するため平擬宝
珠３５を、管部３１，３１′に溶接したり或は管
部３１，３１′の側面からピンで止めたりして固
定したものもあるが、これらのものは加工が難し
くなり原価上昇を招くことになる。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、このような従来の問題点に着目して
なされたものであつて、従来の常識を破つて管状
に折曲した管部のない従つて軸棒を使用しない画
期的な構造を有し、工作及び組立が容易なため安
価に製作することにより上記の問題点を解決する
ことを目的としている。

本発明は幅方向の一方側端に延出された１個ま
たは複数の軸板を備えた一方の羽根板と、幅方向
の一方側端に延出された、該軸板の１個に重合或
は複数個に間挿填合せられる１個または該軸板の
複数個に間挿填合せられる複数個の相手軸板を備
えた他方の羽根板とに；填合せた前記軸板と該相
手軸板との軸心上で相接する接合端部の夫々に相
対する半円状の係止孔を設けると共に、該係止孔
に該接合端部間に間挿されたワツシヤーを外嵌し
たボールを装着して；前記各軸板及び相手軸板の
両面に、前記ワツシヤーで区切られて前記ボール
を保持する芯軸を、合成樹脂またはダイカスト用
合金で成形することにより前記両羽根板を回動自
在に連結したことを特徴とする蝶番の製造方法、
又は幅方向の一方側端に延出された１個または複
数の軸板を備えた一方の羽根板と、該軸板に填合
せ可能なように、幅方向の一方側端の延出された
１個または複数個の相手軸板を備えた他方の羽根
板とを；填合せた前記軸板と該相手軸板との軸心
上で相接する接合端部の夫々に設けられた相対し
た係止孔に、該接合端部間に間挿されたワツシヤ
ーを外嵌したボールを装着して；前記各軸板及び
相手軸板の両面に合成樹脂またはダイカスト用合
金で成形された、前記ワツシヤーで区切られ且つ
前記ボールを保持する芯軸で前記両羽根板を回動
自在に連結されたことを特徴とする蝶番である。

（作用） 本発明に係わる蝶番は、従来の蝶番のように管
部を設けた羽根板を使用していないので、両羽根
板の製作が極めて容易で、その製作工数を著しく
低減し、さらに従来の蝶番のように軸棒の脱落を
防止するのに管部の開放端に擬宝珠を固定する困
難な加工を必要とせず、ワツシヤー及びボールを
各軸板及び相手軸板の接合端部間に装着して、合
成樹脂で芯軸を成形するだけで組立てできるの
で、組立てが極めて容易である。

又蝶番は、ボールに装着されたワツシヤーを介
して回動するので、その開閉が極めて円滑であ
り、さらに芯軸を介してワツシヤーに荷重が負荷
されるので偏荷重になる恐れがない。

（実施例） 本発明を一実施例を示す第１図〜第４図に基づ
いて以下詳述する。１は羽根板本体２の一方側端
で所定長さの上・下端部を、羽根板本体２と段違
平行に折曲せしめて所定幅に延出した上・下部軸
板３，４を備えた左羽根板５、及び羽根板本体６
の幅方向の一方側端で、上・下部軸板３，４の間
に填め合わされる所定長さの中央端部を、左羽根
板５と同じ側で上・下部軸板３，４と同様に、羽
根板本体６と段違い平行に折曲せしめて上・下部
軸板３，４と同一幅で延出した中部軸板７を備え
た右羽根板８からなる蝶番である。

９は上・下部軸板３，４と中部軸板７との相接
する接合端部間に嵌挿された、中央に鋼製ボール
１０を嵌挿できる貫通孔１１を有する鋼、ステン
レスなどの金属からなる所定厚さのワツシヤー、
１２はワツシヤー９の上下両側でボール１０を保
持し且つ軸心を各軸板３，４，７の軸心ａと一致
させて各軸板３，４，７の両面に、ポリアミド、
ポリアセタール、ポリエステルなどの合成樹脂で
円柱状に成形された芯軸、１３は各軸板３，４，
７の軸心ａ上に夫々適宜の間隔で複数個穿設され
た連結孔で、各軸板３，４，７の両面を連結孔１
３に充填された合成樹脂の連結軸１２′で連結さ
せて芯軸１２の強度を高める役目をする。

１４は各軸板３，４，７の軸心ａ上で上・下部
軸板３，４と中部軸板７との相接する各接合端部
に、ワツシヤー９を挟持して上下を合致させたと
き円形が形成されるよう半円形状に穿設された、
ボール１０を嵌着する係止孔、１５は蝶番１を装
着するさいに用いる複数のネジ孔である。

この蝶番１の製造方法を第４図に基づき以下説
明する。先づ、真鍮、鋼、ステンレスなどの金属
板を打抜き板金などにより、上・下部軸板３，４
或は中部軸板７の軸心ａ上に、複数の連結孔１３
と係止孔１４を夫々備えると共に、羽根板本体２
或は６に複数のネジ孔１５を備えた平板状の左羽
根板５或は右羽根板８を製作する。（第４図−イ） 次に樹脂成形の下型の所定位置に、左羽根板５
を設置し、さらに中央にワツシヤー９を外嵌させ
たボール１０を上・下部軸板３，４の係止孔１４
に嵌入させて設置し（第４図−ロ）たのち、上下
のボール１０を中部軸板７の係止孔１４に嵌入さ
せるよう中部軸板７を設置し（第４図−ハ）て、
上型を下型に嵌合させる。

左・右羽根板５，８、ワツシヤー９及びボール
１０を設置した型に、従来行なわれていると同様
な方法で所定の合成樹脂を射出成形して、各軸板
３，４，７の両面に合成樹脂からなる芯軸１２を
形成したのち、型から取り出す。（第４図−ニ） 続いてプレス加工により各軸板３，４，７の基
部を設計通りに折り曲げて蝶番１を完成させる。
（第４図−ホ） この蝶番１は、各係止孔１４に嵌入したボール
１０が芯軸１２により固定されているので、両羽
根板５，８が外れることなく、両ワツシヤー９，
９を境にして互いに回動するので、従来の管部の
ある蝶番と同様にネジ孔１５を介して装着して使
用される。

この場合、蝶番１に用いる両羽根板５，８は、
従来の羽根板のように管部を必要とせず、平板材
料から両羽根板５，８を打ち抜き後で各軸板３，
４，７の基部を折曲するだけなので、その製作が
極めて容易でその製作工数を著しく低減し（従来
のものは３工程以上必要とし、加工する板の厚さ
が厚くなると加工作業が非常に困難であるが、本
発明のものは一工程でできる）、さらに従来の蝶
番のように軸棒の脱落防止するのに管部の開放端
に擬宝珠を固定する困難な加工を必要とせず、ワ
ツシヤー９及びボール１０を各軸板３，４，７の
相接する係止孔１４に嵌着して合成樹脂で芯軸１
２を大量生産に適する射出成形するだけで組立て
できるので、組立てが極めて容易である。

又蝶番１は、ボール１０に装着されたワツシヤ
ー９を介して回動するので、その開閉が極めて円
滑であり、さらに円柱状芯軸１２を介してワツシ
ヤー９に荷重が負荷されるので偏荷重になる恐れ
がなく、そのうえ合成樹脂の芯軸１２と鋼板など
のワツシヤー９とが摺動するので摩耗が少なく、
極めて長寿命である。又従来の蝶番に見られない
特異な形状を有し、合成樹脂によるカラフルな外
観を呈して需要家の購買意慾を刺戟する。

上記の一実施例において、蝶番１は平板部材か
ら打抜いた両羽根板５，８の各軸板３，４，７
に、合成樹脂で芯軸１２を形成したのち各軸板
３，４，７の基部を折り曲げて造つたが、最初か
ら各軸板３，４，７の基部を折り曲げた両羽根板
を用いても良く、さらに使用目的によつては平板
状そのまゝで製品としても良い。又芯軸１２は円
柱状に形成したが、ボール１０が確実に保持され
るなら必らずしも円柱状でなくとも良い。又芯軸
１２は合成樹脂を射出成形して形成したが、合成
樹脂の代わりに亜鉛、錫、鉛、アルミニウム、銅
などのダイカスト用合金をダイカスト鋳造法で形
成しても良い。又ワツシヤー９はボール１個に１
枚を使用したが、２枚にしてもその機能を損なう
ことがない。又上・下部軸板３，４に間挿填合せ
された中部軸板７の３枚の軸板３，４，７を備え
た蝶番１について説明したが、この軸板が２枚
（第５図で示した従来例の如く一方の軸板に他方
の軸板を上下に重合させる）、一方軸板２枚或は
３枚に他方の軸板２枚を間挿填合せれた、軸板が
４枚或は５枚の場合の蝶番についても同様な構成
を適用することができる。

（発明の効果） 本発明は上記の構成を有するので次の効果を奏
することができる。

(1) 蝶番の主体である両羽根板が管部を必要とせ
ず単なるプレス加工で製作可能となつたため、
加工々数を著しく低減できる。

(2) 軸棒を使用することによる難しい軸棒脱落防
止のための工作が不用となり、そのうえ組立を
大量生産に適した合成樹脂またはダイカスト用
合金の成形によりできるので、組立工数を著し
く節減できる。

(3) 前記(1)，(2)が相俟つて蝶番の原価低減に寄与
して、安価で需要家に提供できる。

(4) 蝶番はボールに装着されたワツシヤーを介し
て回動するので、その開閉が極めて円滑で、さ
らに偏荷重の負荷される恐れがないので、長寿
命である。

(5) 従来の蝶番に見られない特異な形状と、合成
樹脂によるカラフルな外観を有しているので、
需要家の購買意欲を刺戟して、販売増大に貢献
する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本発明に係る蝶番の一実施例
を示し、第１図は正面図、第２図は平面図、第３
図は右側面図、第４図は製造方法を説明するため
の概略組立系統図、第５図は従来の蝶番の正面図
である。 １……蝶番、３，４，７……軸板、５，８……
羽根板、９……ワツシヤー、１０……ボール、１
２……芯軸、１４……係止孔、ａ……軸心。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 幅方向の一方側端の延出された１個または複
   数個の軸板を備えた一方の羽根板と、幅方向の一
   方側端に延出された、該軸板の１個に重合或は複
   数個に間挿填合せられる１個または該軸板の複数
   個に間挿填合せられる複数個の相手軸板を備えた
   他方の羽根板とに、重合または填合せた前記軸板
   と該相手軸板との軸心上で相接する接合端部の
   夫々に相対する半円状の係止孔を設けると共に、
   該係止孔に該接合端部間に間挿されたワツシヤー
   を外嵌したボールを装着して；前記各軸板及び相
   手軸板の両面に、前記ワツシヤーで区切られて前
   記ボールを保持する芯軸を、合成樹脂またはダイ
   カスト用合金で成形することにより前記両羽根板
   を回動自在に連結したことを特徴とする蝶番の製
   造方法。 ２ 各軸板及び相手軸板の両面に形成された芯軸
   を連結する連結孔を、該軸板及び相手軸板の所要
   箇所に夫々複数個を設けた両羽根板を用いたこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の蝶番の
   製造方法。 ３ 幅方向の一方側端に延出された１個または複
   数個の軸板を備えた一方の羽根板と、幅方向の一
   方側端に延出されて、該軸板の１個に重合或は複
   数個に間挿填合せられる１個または該軸板の複数
   個に間挿填合せられる複数個の相手軸板を備えた
   他方の羽根板とを；重合または填合せた前記軸板
   と該相手軸板との軸心上で相接する接合端部に
   夫々設けられた相対した係止孔に、該接合端部間
   に間挿されたワツシヤーを外嵌したボールを装着
   されて；前記各軸板及び相手軸板の両面に合成樹
   脂またはダイカスト用合金で形成された、前記ワ
   ツシヤーで区切られ且つ前記ボールを保持する芯
   軸で前記両羽根板を回動自在に連結されたことを
   特徴とする蝶番。 ４ 軸板と相手軸板との接合端部の夫々に２枚の
   ワツシヤーを間挿したことを特徴とする特許請求
   の範囲第３項記載の蝶番。