JPH047289B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、二軸延伸中空成形されてなる熱可塑
性プラスチツク缶の製造方法及びプラスチツク缶
に関する。更に詳しくは、熱可塑性ポリエステル
からなる透明性及び機械的強度に優れた二軸延伸
中空成形缶の製造方法及び缶に関する。 清涼飲料水容器等として、従来のガラス瓶、金
属缶の代わりに、耐衝撃性に優れ、且つ軽量でし
かも廃棄処理が簡単なプラスチツク缶が提案され
ている。しかしながら従来の容器は通常射出中空
成形により溶融状態で成形されているので、樹脂
が殆ど配向されておらず、機械的強度が低く、と
くに耐圧性は殆どないといつてよい。また、とく
に耐圧容器として用いる為に、金属蓋を巻締する
際にも口部は全く配向されていないので巻締部か
ら破損する虞れもあつた。 一方、樹脂を配合させてプラスチツク缶を成形
する方法として、真空・圧空成形等の熱成形によ
る方法が知られているが、かかる方法により成形
されたプラスチツク缶は、縦方向の配向が大き
く、小さい衝撃でも破損し易く、また口部が厚肉
となり、金属蓋との巻締めが困難であつた。 かかる状況に鑑み、本発明者らは、機械的強
度、特に口部及び底部の機械的強度が優れ、しか
も金属蓋との巻締めが容易なプラスチツク缶を得
るべく、鋭意検討した結果、本発明に到達した。 すなわち本発明は、予め成形された熱可塑性プ
ラスチツクからなる予備中空成形体を二軸延伸中
空成形により、胴部周囲に段差部を有する容器を
成形し、次いで段差部より切断して、該切断部を
口部とすることを特徴とする二軸延伸中空成形プ
ラスチツク缶の製造方法及び胴部及びフランジ状
の口部が縦方向に1.5ないし３倍及び横方向に３
ないし５倍に二軸延伸されてなり、前記口部は二
軸延伸により胴部周囲に形成された段差部を切断
してフランジ状に形成されていることを特徴とす
る機械的強度に優れたプラスチツク缶を提供する
ものである。 本発明の方法に用いる熱可塑性プラスチツク
は、射出中空成形ができ、且つ二軸延伸可能な熱
可塑性プラスチツクであれば、とくに限定はされ
ず、具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブテン、ポリ４−メチル−１−ペン
テン及びエチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリ
オレフイン、ポリ塩化ビニル、フツ素樹脂、ポリ
スチレン、ポリビニルアセタール及びポリメタク
リル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン−
６、ナイロン−６，６、ナイロン−６，10、ナイ
ロン−６，12、ナイロン−11及びナイロン−12等
のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、、
ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンイ
ソフタレート・テレフタレート共重合体等のポリ
エステル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネ
ート、ポリイミド及びABS等が挙げられるが、
中でも二軸延伸中空成形することにより、剛性、
透明性に優れたプラスチツク缶が得られる。ポリ
プロピレンあるいはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート・イソフタレート共重合体等のポ
リエステルが好ましく、とりわけポリエステル
は、耐ガス透過性、耐圧性に優れる点で特に好ま
しい。 本発明の方法は、前記熱可塑性プラスチツクを
通常の射出成形機により成形された予備中空成形
体（パリソン、プリフオーム）あるいは押出成形
機により成形されたパイプの一端端を有底化して
得られた予備中空成形体を二軸延伸中空成形、好
ましくは縦方向に1.5ないし３倍、横方向に３な
いし５倍延伸して、胴部周囲に段差部を有する容
器を成形し、次いで段差部より切断して、該切断
部を口部とすることからなる二軸延伸中空成形プ
ラスチツク缶の製造方法である。 予備中空成形体を得る方法としては、前記二方
法が挙げられるが、射出成形機を用いる方法が得
られる予備中空成形体にウエルド部を生じること
がなく、とくに耐圧性等に優れるので好ましい。 本発明の方法の特徴とするところは、第１図な
いし第３図に示す様に胴部に段差部１を有する容
器２を成形して、次いで段差部Ａ−A′より切断
して該切断部、すなわち二軸延伸配向された段差
切断部をプラスチツク缶のフランジ状の口部とす
るところであり、従来の射出中空成形あるいは胴
部のみを幾分配向して得られる二軸延伸中空成形
に見られる様に第４図の如く広口の予備中空成形
体を用いる方法では、口部５が全く配向されない
ので機械的強度に劣り、金属蓋等を巻締め加工す
る場合に破損したり、あるいは使用時に破損した
りする虞れがある。 本発明の方法における段差部１の形成は、プラ
スチツク缶の口部すなわち金属蓋等と巻締めする
ためのフランジ部にするために加工するものであ
り、その形状は胴部周囲に段差部１が形成されれ
ば、要は第１図の如く段差部のみ、第２図の如く
突出部３の一部に段差部１を形成するもの、ある
いは第３図の如く括れ部４の一部に段差部１を形
成するもの等種々の態様を示すことができる。 本発明のプラスチツク缶は、胴部及びフランジ
状の口部が縦方向に1.5ないし３倍、好ましくは
２ないし2.5倍、横方向に３ないし５倍、好まし
くは４ないし4.5倍に二軸延伸されてなり、前記
口部は二軸延伸により胴部周囲に形成された段差
部を切断してフランジ状に形成されている缶であ
る。 延伸倍率が1.5倍及び３倍未満では、機械的強
度に優れた缶が得られず、均一肉厚とならない。
一方、３倍及び５倍を越えると、延伸倍率が高過
ぎるために容器、特に段差部の形状が出にくくな
る。 本発明のプラスチツク缶の厚さは、用途に応じ
て適宜選択されるが、通常200ないし700μ、好ま
しくは300ないし500μの範囲である。 また本発明のプラスチツク缶の形状は、用途に
応じて適宜選択されるが、耐圧性及び自動販売機
への充填性等から第５〜７図に示す様に、底部が
凹状６あるいは凸状７の缶あるいは金属蓋８を巻
締めた際に口部が缶胴部に比べて小径になる様に
した缶であることが好ましい。 本発明のプラスチツク缶は、必ずしも単一の熱
可塑性プラスチツクからなるものに限らず、耐ガ
ス透過性、耐水性、耐熱性等に優れたものを得る
為に種々の熱可塑性プラスチツクを複合したも
の、具体的には、例えばポリエチレンテレフタレ
ート／ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフ
タレート／ポリエチレン・ビニルアルコール共重
合体、ポリプロピレン／ナイロン、PET／ポリ
エステル・コポリマー等が挙げられるが、これら
の例に制約されるものではない。また異種の熱可
塑性プラスチツクを複合する際に接着性を改良す
るために、コロナ放電処理あるいはイソシアネー
ト化合物、チタネート化合物等により表面処理を
行つたり、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体
により変性したポリオレフイン等を使用してもよ
い。又、同容器は広口である為に内部に収縮防止
用芯材を挿入し、熱処理を施すことにより耐熱性
に優れた容器を得ることも可能である。 本発明の方法に用いる熱可塑性プラスチツクに
は、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、核剤、顔
料、染料あるいは無機充填剤を本発明の目的を損
わない範囲で添加しておいてもよい。 本発明の方法及びそれによつて製造されるプラ
スツク缶は、従来のプラスチツク缶に比べて機械
的強度、とりわけ口部及び底部の強度が優れるの
で炭酸飲料、小型ビール容器等の耐圧容器に適し
ている。 次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明
する。 実施例 １ 第８図に示す様な予め成形されたポリエチレン
テレフタレート製の予備中空成形体を用いて、二
軸延伸中空成形体により縦2.6倍、横3.5倍に延伸
を行い第３図の成形品を得た。 この容器を突出部Ａ−A′から切断し容量が約
260mlのポリエチレンテレフタレート製容器を得
た。同容器の胴部の密度を測定した結果は1.363
ｇ／c.c.であつた。 同容器に呼称径202のアルミニウム製罐蓋８を
巻締めした結果、透明性及び強度に優れた第７図
に示すプラスチツク罐９を得た。 同容器の物性は以下の通りである。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図及び第３図は本発明に係わる二
軸延伸中空体の断面図、第４図は従来の射出中空
成形で用いられる予備中空成形体の断面図、第５
図〜第７図は本発明に係わる二軸延伸中空プラス
チツク缶の断面図及び第８図は本発明に係わる予
備中空成形体の断面図を表わす。 １……段差部、２……容器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 予め成形された熱可塑性プラスチツクからな
   る予備中空成形体を二軸延伸中空成形により、胴
   部周囲に段差部を有する容器を成形し、次いで段
   差部より切断して、該切断部を口部とすることを
   特徴とする二軸延伸中空成形プラスチツク缶の製
   造方法。 ２ 胴部及びフランジ状の口部が縦方向に1.5な
   いし３倍及び横方向に３ないし５倍に二軸延伸さ
   れてなり、前記口部は二軸延伸により胴部周囲に
   形成された段差部を切断してフランジ状に形成さ
   れていることを特徴とするプラスチツク缶。 ３ フランジ状の口部に金属蓋が巻締めされてな
   ることを特徴とする特許請求の範囲２項記載のプ
   ラスチツク缶。