JP2575973Y2 - 無菌充填用プラスチックびん - Google Patents

無菌充填用プラスチックびん

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JP2575973Y2
JP2575973Y2 JP1993017981U JP1798193U JP2575973Y2 JP 2575973 Y2 JP2575973 Y2 JP 2575973Y2 JP 1993017981 U JP1993017981 U JP 1993017981U JP 1798193 U JP1798193 U JP 1798193U JP 2575973 Y2 JP2575973 Y2 JP 2575973Y2
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洋介 安田
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Toyo Seikan Kaisha Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、無菌充填用プラスチッ
クびんに関するもので、より詳細にはびん殺菌後におけ
る殺菌液の排出に際して残液量が少なく、その結果とし
て、洗浄を効率よく行えると共に、殺菌液の排出時間及
び全体としての殺菌処理時間を短縮して生産性を向上さ
せ得る無菌充填用プラスチックびんに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液体内容物の香味保持性に優れた
包装技術として、無菌(アセプティック)充填包装技法
が知られている。この技法は、一般に液体の内容物を高
温乃至超高温下で短時間殺菌後急冷し、別にびん等の包
装材料を殺菌液で殺菌処理し、この中に先に殺菌処理さ
れた液体内容物を充填し、密封するものである。包装材
料の殺菌処理に用いる殺菌液としては、過酢酸及び/又
は過酸化水素を含有するものが使用されており、容器内
に殺菌液をオーバーフローする迄充填し、倒立して殺菌
液を排出し、その後、無菌の洗浄水で洗浄している。
【0003】この無菌充填技法は、プラスチックびん等
の耐熱性に劣る容器に対して広く適用できるという利点
を有するものである。プラスチックびんは、プラスチッ
クのブロー成形乃至は延伸ブロー成形で形成されるが、
プラスチックの目付け量を小さくしてしかも必要な強度
をもたせるために、側壁部に周方向のビードを多段に設
けたものが使用されている。
【0004】
【考案が解決しようとする問題点】周方向の多段ビード
付きプラスチックびんに対して、上記無菌充填技法を適
用する場合には、未だ解決しなければならない問題があ
ることが分かった。即ち、多段ビード付きプラスチック
びんから、倒立状態で使用済み殺菌液及び洗浄水を排出
させる場合、殺菌液及び洗浄水が各段のビードに絡みな
がら流下するため、殺菌液及び洗浄水をびんから排出す
るのに長時間を必要とし、最終的には、洗浄後の洗浄水
が各段のビードに付着残留するため、その残留液量も多
くなるという欠点が認められる。一例として、2リット
ルの多段ビード付きプラスチックびんの場合、殺菌液の
残液量は8秒後でも3乃至5gにも達し、洗浄後の洗浄
水の残液量は5秒後でも3乃至7gである。
【0005】この様に殺菌液及び洗浄水の残液量が多い
ということは、残液量を少なくするために液の排出に長
時間を要するということであり、また殺菌後の洗浄に重
い負担がかかるということになる。かくして、無菌充填
用プラスチックびんの殺菌処理については、生産性の点
でも、殺菌液及び洗浄水を節約するという点でも、倒立
状態での液の排出性がよく、残液量の少ないプラスチッ
クびんが望まれている。
【0006】従って、本考案の目的は、従来の多段ビー
ド付きプラスチックびんにおける上記欠点が解消され、
びん殺菌後における倒立状態での殺菌液及び洗浄水等の
排出に際して、液の排出速度を高めると共に残液量を少
なくすることができ、その結果として、洗浄を効率よく
行えると共に、殺菌液及び洗浄水の排出時間及び全体と
しての殺菌処理時間を短縮して生産性を向上させ得る無
菌充填用プラスチックびんを提供するにある。
【0007】本考案によれば、プラスチックのブロー成
形乃至は延伸ブロー成形で形成され且つ側壁部に周方向
のビードが多段に形成されているプラスチックびんにお
いて、前記ビードが水平面に対する傾斜角度の大きい下
側テーパ部と傾斜角度の小さい逆向きの上側テーパ部と
を備え且つ最凹部が上側に偏ったビードであり且つ側壁
上部のビードの深さを側壁下部のビードの深さよりも小
さい寸法としたことを特徴とする無菌充填用プラスチッ
クびんが提供される。
【0008】本考案のプラスチックびんにおいて、下側
テーパ部の傾斜角度(α)は60乃至80度、特に60
乃至70度の範囲にあり、一方上側テーパ部の傾斜角度
(β)は15乃至55度、特に40乃至50度の範囲に
あるのがよい。
【0009】また、側壁上部のビードの深さは、側壁下
部のビードの深さの2分の1乃至4分の3、特に3分の
2乃至4分の3の寸法とするのがよい。
【0010】本考案は、種々のプラスチックびんに適応
できるが、プラスチックがエチレンテレフタレート単位
を主体とする熱可塑性ポリエステルで形成され且つ少な
くとも側壁部が延伸ブロー成形で二軸方向に分子配向さ
れているびんの場合に特に有用である。
【0011】
【作用】本考案の多段ビード付きプラスチックびんにお
けるビードを説明するための図1において、Aは正立状
態のビードを、またBは倒立状態のビードを示し、この
ビード10は水平面に対する傾斜角度の大きい(傾斜角
度αの)下側テーパ部11と傾斜角度の小さい(傾斜角
度β)の逆向きの上側テーパ部12とを備えている。こ
のビード10は深さdの最凹部13を有しているが、こ
の最凹部13は上側に偏っている。
【0012】また、側壁下部のビードと側壁上部のビー
ドとを比較して示す図2において、側壁上部のビード1
0aの深さd1 を側壁下部のビード10bの深さd2
りも小さい寸法とする。
【0013】本考案によれば、上記の形状及び寸法の多
段ビードをびんの側壁に形成させることにより、びん殺
菌後における倒立状態での殺菌液や洗浄水の排出に際し
て、液の排出速度を高めると共に残液量を少なくするこ
とができる。
【0014】後述する実施例及び比較例を参照された
い。即ち、側壁に設けるビードが上下方向に対称な傾斜
を有する多段ビード付きプラスチックびんの場合、殺菌
液3分間オーバーフロー処理、倒立8秒間保持後におけ
る殺菌液の残液量は、3gよりも大であり、続いて3秒
間洗浄し、倒立状態で5秒間保持した場合にも洗浄後の
残水量は約3乃至7gにも達する。洗浄後の残水量を1
gのオーダーにするためには、倒立状態で11秒間の保
持を必要とする。
【0015】これに対して、本考案に従い、側壁に設け
るビードが上下方向に特定の非対称な傾斜を有する多段
ビード付きプラスチックびんの場合、殺菌液3分間オー
バーフロー処理、倒立8秒間保持後における殺菌液の残
液量は、殆ど2gよりも小であり、続いて3秒間洗浄
し、倒立状態で5秒間保持した場合の洗浄後の残水量も
1gのオーダーに低減させることが可能となるのであ
る。
【0016】本考案の多段ビード付きプラスチックびん
において、ビードの傾斜を上記のようにすることによっ
て、液の排出速度を早め、液の残留量を低減させ得る理
由は、倒立状態では、傾斜角度の大きい下側テーパ部1
1が上側となり、この上側に位置するテーパ部11で流
速の高められた液が、下側に位置するテーパ部12の液
を随伴して流下させ、液切れを良好にさせるためと思わ
れる。これは、真に以外の知見である。即ち、従来の常
識からすると、下側に傾斜の少ない部分が存在すると、
この部分に液が溜まり易いと予測されるのであるが、事
実は、上側の傾斜角度を大、下側の傾斜角度を小とする
ことによって、ビードからの液切れが向上したのであ
る。
【0017】本考案では、特に上部ビードは殺菌液及び
洗浄水が付着しやすい為、側壁上部のビードの深さを側
壁下部のビードの深さよりも小さい寸法とすることも重
要である。ビードの深さは、容器の強度と残液量との両
方に関係する。本考案では、側壁下部のビードの深さを
深くすることにより、容器の強度上重要な側壁下部に十
分な横剛性及び耐軸荷重強度の補強効果を付与すると共
に、側壁上部のビードの深さを浅くすることにより、倒
立状態での排液時に下部の液切れを良好にして残液量を
少なくすることができる。
【0018】本考案において、傾斜角度の大きい下側テ
ーパ部と傾斜角度の小さい逆向きの上側テーパ部とで多
段ビードを形成することは、付加的な利点をもたらす。
多段ビード付きプラスチック容器の一つの欠点は、ビー
ドの上向きの傾斜面に埃が堆積しやすいことであるが、
本発明ではビードの上向きの傾斜面の勾配を大きくする
ことでこの傾向が緩和される。
【0019】本考案のプラスチックびんにおいて、下側
テーパ部の傾斜角度(α)は60乃至80度、特に60
乃至70度の範囲にあるのがよく、上記範囲よりも小さ
いと、倒立状態での排液時に液切れが悪くなり、残液量
も増大する傾向がある。一方上記範囲よりも大きいと、
ビードが浅くなりすぎて、満足すべき補強効果が得られ
なくなる。一方上側テーパ部の傾斜角度(β)は15乃
至55度、特に40乃至50度の範囲にあるのがよく、
上記範囲よりも小さいと、倒立状態での排液時に液切れ
が悪くなり、残液量も増大する傾向がある。一方上記範
囲よりも大きいと、単位高さ当たりのビードの本数が低
下し、満足すべき補強効果が得られなくなる。
【0020】また、側壁上部のビードの深さは、側壁下
部のビードの深さの2分の1乃至4分の3、特に3分の
2乃至4分の3の寸法とするのがよく、上記範囲よりも
小さいと、ビードが浅くなりすぎて、満足すべき補強効
果が得られなくなり、一方上記範囲よりも大きいと、倒
立状態での排液時に液切れが悪くなり、残液量も増大す
る傾向がある。
【0021】
【考案の好適態様】(びんの形状及び構造) 本考案のプラスチックびんの構造の一例を示す図3(正
面図)、図4(側面図)及び図5(上面図)において、
この具体例の容器1は、熱可塑性ポリエステルの二軸延
伸ブロー成形で形成されており、口部(ノズル部)2、
台錐状の肩部3、筒状の胴部4及び閉ざされた底部5か
ら成っている。台錐状の肩部3には補強リブ9が扇型に
設けられている。
【0022】この筒状胴部4の全面には、多段に周状の
ビード10が形成されており、これらのビード10は水
平面に対する傾斜角度の大きい(傾斜角度αの)下側テ
ーパ部11と傾斜角度の小さい(傾斜角度β)の逆向き
の上側テーパ部12とを備えている。このビード10は
深さdの最凹部13を有しているが、この最凹部13は
上側に偏っている。比較のために従来の多段ビード付き
びんを示す図14(正面図)及び図15(側面図)で
は、多段に周状のビード10が形成されており、これら
のビード10では下側テーパ部11でも上側テーパ部1
2でも傾斜角度が同じであり、ビードの形状が上下対称
である。
【0023】胴部側壁の多段ビード10は、側壁上部6
と側壁下部7とでビードのサイズが異なっており、側壁
上部のビード10aの深さd1 は浅く、側壁下部のビー
ド10bの深さd2 は深い。この具体例では、側壁上部
6と側壁下部7との間には、補強の目的で最も深さの大
きいビード10cが設けられている。
【0024】本考案において、側壁に設けるビードの大
きさ(深さ)は、前述した条件を満足する範囲内で、全
周にわたって一定していてもよいし、周の部分部分で変
化していてもよい。例えば、断面が長方形のびんでは、
図3及び4に示すとおり、補強の程度がより強く必要と
なる長辺のビードを深くし(図3)、短辺のビードを浅
くする(図4)ことができる。また、補強が必要とされ
るびんの角の部分のビードを大きくすることもできる。
【0025】側壁下部のビードの深さは、びんの容積や
目付けによっても相違するが、一般的に言って、1乃至
4mm、特に2乃至3mmの範囲にあることが補強効果
と液切れとの兼ね合いから好ましく、一方ビードとビー
ドとの間隔は13乃至25mm、特に18乃至20mm
の範囲にあるのがよい。
【0026】ビードの最凹部13は、滑らかな凹面上に
形成されているのがよく、この凹面に下側テーパ部11
と上側テーパ部12とが接線状に接続している。凹面の
曲率半径(R)は、一般に0.5乃至6mm、特に2乃
至4mmの範囲にあることができる。下側テーパ部11
及び上側テーパ部12と筒状胴部4との間にも小さな曲
率部を設けることができ、この曲率部の曲率半径は2乃
至10mm、特に3乃至5mmの小さな範囲にあるのが
よい。下側テーパ部11及び上側テーパ部12はびん軸
方向断面で直線状となっているのが一般的であるが、こ
の断面で、円、楕円、放物線、双曲線等の曲線となって
いても勿論よい。これらの曲線である場合の傾斜角度
は、各テーパ部について、筒状胴部の接続部と、最凹部
の接続部とを結ぶ線の傾斜角度とする。
【0027】びん胴部の断面は、角の丸められた正方
形、角の丸められた長方形、円形、楕円形、六角形等の
任意の形状を取り得る。図3、4及び5に示したもの
は、角の丸められた長方形のもので、図6,7及び8に
示したものは同種の他の例、図9(正面図)及び図10
(上面図)に示したものは角が丸められた正方形のもの
の例である。
【0028】本考案のびんにおいて、ビードは多段に設
けられているが、これらのビードは側壁全周に設けても
よいし、全周の一部に設けてもよい。本発明のプラスチ
ックびんの構造の更に他の例を示す図11(正面図)、
図12(側面図)及び図13(上面図)において、この
具体例の容器1は、熱可塑性ポリエステルの二軸延伸ブ
ロー成形で形成されて、口部(ノズル部)2、台錐状の
肩部3、筒状の胴部4及び閉ざされた底部5から成って
いること、及びびん胴部の断面は、角の丸められた長方
形のものであることでは、図3、4及び5に示したもの
と共通するが、図9に示すとおり、側壁の内、短辺部に
は全面にわたって、側壁上部の浅いビード10aと、側
壁下部の深いビード10bとを設け、一方図8に示すと
おり、側壁の内長辺部には、中央に内容積変化を緩和さ
せるためのパネル部乃至デザイン部14を設け、両端に
のみ、ビード10a,10bを多段に設けることもでき
る。
【0029】(びんの製造) 本考案において、びんを構成するプラスチックとして
は、熱成形可能な熱可塑性樹脂材料であれば任意のもの
を用いることができ、例えば低−、中−及び 高−密度
ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、結
晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性エチレン−
ブテン共重合体、結晶性エチレン−プロピレン−ブテン
共重合体或いはこれらのブレンド物等のオレフィン系樹
脂;スチレン系樹脂;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン
樹脂;熱可塑性ポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロ
ン66、これらの共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;
ハイニトリル樹脂等を単独又は2種以上の組合せで用い
ることができる。
【0030】これらの樹脂は、成形法に応じて、適宜選
定して使用することができ、例えば、ポリエチレン等は
ダイレクトブロー成形法に適しており、また、ポリエス
テル樹脂、ハイニトリル樹脂等は延伸ブロー成形法に適
している。ポリプロピレンはダイレクトブロー成形法に
も延伸ブロー成形法にも適用することができる。
【0031】これらの樹脂は単独で用いることができる
が、高い内容物保存性が要求される場合には、酸素ガス
バリヤー性樹脂と積層体の形で組合せて用いることもで
きる。酸素バリヤー性樹脂としては、酸素透過係数が
5.5×101 2 cc・cm/cm2 ・sec・cm Hg以下(37℃、
0%RH)である樹脂、例えばエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体、ポリアミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、
ハイニトリル樹脂等が使用される。
【0032】本考案に用いるプラスチックには、それ自
体公知のプラスチック用配合剤、例えば酸化防止剤、熱
安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤等
を配合することができる。成形容器を不透明化する目的
には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ、
シリカ、各種クレイ、焼せっこう、タルク、マグネシヤ
等の充填剤やチタン白、黄色酸化鉄、ベンガラ、群青、
酸化クロム等の無機顔料や有機顔料を配合することがで
きる。
【0033】本考案のびんは、エチレンテレフタレート
系熱可塑性ポリエステルで形成されていることが、容器
を軽量化しつつ、しかも無菌充填を生産性よく行うため
に好ましい。エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエ
ステルは、エステル反復単位の大部分、一般に60モル
%以上、特に80モル%以上をエチレンテレフタレート
単位を占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50
乃至90℃、特に70乃至90℃で、融点(Tm)が2
20乃至260℃、特に240乃至 260℃にある熱
可塑性ポリエステルが好適である。ホモポリエチレンテ
レフタレートが機械的特性の点で好適であるが、エチレ
ンテレフタレート単位以外のエステル単位の少量を含む
共重合ポリエステルも使用し得る。
【0034】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;の1種
又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール
以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,
6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の
1種又は2種以上が挙げられる。
【0035】用いるエチレンテレフタレート系熱可塑性
ポリエステルは、少なくともフィルムを形成するに足る
分子量を有するべきであり、用途に応じて、射出グレー
ド或いは押出グレードのものが使用される。その固有粘
度(I.V.)は一般的に0.4乃至1.5dl/g、
特に0.5乃至1.5dl/gの範囲にあるものが望ま
しい。
【0036】本考案のプラスチックびんは、上記の容器
形状に対応するブロー金型を使用する点を除けば、それ
自体公知のブロー成形乃至は延伸ブロー成形法で製造す
ることができる。ブロー成形(ダイレクトブロー成形)
場合には、押し出される溶融パリソンを金型でピンチオ
フすると共に、このパリソン中に流体を吹き込んでブロ
ー成形する。本考案では、延伸ブロー成形法が好まし
く、この場合、プラスチックを、口部と底部とを有する
非晶質の有底プリフォームに溶融成形し、プリフォーム
を軸方向及び周方向に延伸成形し、必要により、延伸成
形部を熱固定する。プリフォームへの成形は、射出成形
や押出成形で行うことができる。
【0037】プリフォームからの延伸成形には、一旦過
冷却状態のプリフォームを製造し、このプリフォームを
延伸温度に加熱して延伸成形を行う方法や、成形される
プリフォームに与えられた熱、即ち余熱を利用して、予
備成形に続いて延伸成形を行う方法等が採用される。
【0038】その延伸温度は、80〜200℃、特に9
0〜120℃の範囲が適当である。延伸温度にあるプリ
フォーム乃至パリソンをブロー成形金型内で軸方向に引
っ張り延伸すると共に、流体吹き込みにより周方向に膨
張延伸する。延伸倍率は、軸方向延伸倍率を1.0乃至
5.0倍、特に1.5乃至 4.0倍、周方向延伸倍率
を2.0乃至6.0倍、特に2.5乃至5.5倍とする
のがよい。
【0039】(びんの殺菌洗浄) 無菌充填びん詰製品の製造に際して、本発明のびんをび
ん殺菌工程で殺菌、次いで水洗し、無菌充填・密封工程
に送る。用いる殺菌液は、過酢酸及び/又は過酸化水素
を含有するものであり、好適な殺菌液組成は、過酢酸
(CH3 COOOH)及び/又は過酸化水素(H2 O)
を0.5乃至5%の濃度で含有するものである。また、
殺菌液として、高濃度オゾン水を使用することもでき
る。
【0040】びん殺菌工程において、先ずびんを正立状
態において、殺菌液を満注し、オーバーフローさせる。
この保持時間は、容器の内容積によっても相違するが、
一般に60乃至180秒のオーダーである。次いでびん
を倒立させ、殺菌液を排出させる。本発明のびんでは、
この殺菌液の排出を、残液量を少なくして短時間の内に
行い得ることが利点である。殺菌液の排出のための保持
時間は、容器の内容積によっても相違するが、一般に5
乃至15秒のオーダーである。ついで、びんを倒立状態
で、洗浄水を噴霧し、洗浄と洗浄水の排出とを行う。こ
のための保持時間は、容器の内容積によっても相違する
が、一般に3乃至7秒のオーダーである。洗浄後のびん
には、無菌の空気を吹き付けて、脱液を促進させること
もできる。
【0041】無菌充填・密封工程に際し、予め内容物を
熱交換機(UHT装置)に供給して、超高温下で極く短
時間殺菌し、次いで急冷して、無菌充填・密封工程に送
る。無菌充填・密封工程は無菌環境下に保持されてお
り、殺菌洗浄されたびんに、UHT装置からの殺菌済内
容物が充填し、次いで同様に殺菌洗浄したキャップを打
栓し密封を行う。
【0042】
【実施例】本考案を次の実施例で更に説明する。 実施例1 固有粘度(I.V.)が0.75dl/gのポリエチレ
ンテレフタレート(PET)を、射出成形機により29
0℃の射出温度でプリフォーム(口径28mm、重量6
3g)を成形した。このプリフォームを115℃に再加
熱し、ブロー成形機の金型内に搬送、ストレッチロッド
により軸方向に延伸し直ちに高圧空気を吹き込んで、図
3乃至5に示す形状のボトルを成形した(内容積205
0m1、胴部の平均肉厚0.4mm)。
【0043】各部の諸寸法は次の通りである。 容器の高さ 305mm、 側壁下部の高さ 150mm、 側壁上部の高さ 95mm、 胴部の長辺部の長さ 105.5mm、 長辺部の側壁下部ビード 最凹部の深さ 2.5mm、 下側テーパ部の傾斜角度 63度、 上側テーパ部の傾斜角 45度、 ビード間の間隔 10.5mm、 長辺部の側壁上部ビード 最凹部の深さ 2.0mm、 下側テーパ部の傾斜角 63度、 上側テーパ部の傾斜角 45度、 ビード間の間隔 11mm、 胴部の短辺部の長さ 87mm、 短辺部の側壁下部ビード 最凹部の深さ 2.0mm、 下側テーパ部の傾斜角度 68度、 上側テーパ部の傾斜角度 50度、 ビード間の間隔 10.5mm、 短辺部の側壁上部ビード 最凹部の深さ 1.5mm、 下側テーパ部の傾斜角度 68度、 上側テーパ部の傾斜 50度、 ビード間の間隔 11mm。
【0044】このびんを、殺菌装置に正立状態で保持
し、殺菌液として4%濃度の過酸化水素水を流下させ、
オーバーフロー状態で3分間保持した。その後びんを倒
立させ、8秒間殺菌液を排出させた後、この状態で無菌
水を3秒間噴霧して洗浄を行った。洗浄後3秒間この状
態で保持し、洗浄水を排出させた。殺菌液排出後の殺菌
液の残液量及び洗浄水排出後の洗浄水の残水量を、10
個の試料について測定し、その結果を表1に示した。
【0045】
【表1】 上記表中、Xは平均値、Sは標準偏差、Maxは最大
値、Minは最小値、Rは偏差を示す。
【0046】比較例1 実施例1において、各ビードの寸法を下記の通り変更す
る以外は実施例1と同様にして、図14及び図15に示
す上下対称のテーパ部を備えた多段ビード付き無菌充填
用プラスチックびんを製造した。
【0047】 長辺部の側壁下部ビード 最凹部の深さ 2.5mm、 下側テーパ部の傾斜角度 45度、 上側テーパ部の傾斜角度 45度、 ビード間の間隔 13mm、 長辺部の側壁上部ビード 最凹部の深さ 2mm、 下側テーパ部の傾斜角度 53度、 上側テーパ部の傾斜角度 53度、 ビード間の間隔 13mm、 短辺部の側壁下部ビード 最凹部の深さ 2.5mm、 下側テーパ部の傾斜角度 45度、 上側テーパ部の傾斜角度 45度、 ビード間の間隔 13mm、 短辺部の側壁上部ビード 最凹部の深さ 2mm、 下側テーパ部の傾斜角度 53度、 上側テーパ部の傾斜角度 53度、 ビード間の間隔 13mm。
【0048】このびんに付いて、実施例1と同様の殺菌
及び洗浄試験を行った結果を表2に示す。尚洗浄後の排
出のための保持時間は、表2の通り変更した。
【0049】
【表2】
【0050】実施例2 実施例1において、びんの口径を38mmに変更する以
外は実施例1と同様にして、多段ビード付き無菌充填用
プラスチックびんを製造した。このびんに付いて、実施
例1と同様の殺菌及び洗浄試験を行った結果を表3に示
す。
【0051】
【表3】
【0052】
【考案の効果】本考案によれば、側壁部に周方向のビー
ドが多段に形成されているプラスチックびんにおいて、
このビードを、水平面に対する傾斜角度の大きい下側テ
ーパ部と傾斜角度の小さい逆向きの上側テーパ部とを備
え且つ最凹部が上側に偏ったビードとしてことにより、
倒立状態では、傾斜角度の大きい下側テーパ部が上側と
なり、この上側に位置するテーパ部で流速の高められた
液が、下側に位置するテーパ部の液を随伴して流下さ
せ、液切れを良好にさせることができる。
【0053】本考案ではまた、側壁下部のビードの深さ
を深くすることにより、容器の強度上重要な側壁下部に
十分な補強効果を付与すると共に、側壁上部のビードの
深さを浅くすることにより、倒立状態での排液時に下部
の液切れを良好にして残液量を少なくすることができ
る。
【0054】本考案において、傾斜角度の大きい下側テ
ーパ部と傾斜角度の小さい逆向きの上側テーパ部とで多
段ビードを形成することは、付加的な利点をもたらす。
多段ビード付きプラスチック容器の一つの欠点は、ビー
ドの上向きの傾斜面に埃が堆積しやすいことであるが、
本発明ではビードの上向きの傾斜面の勾配を大きくする
ことでこの傾向が緩和される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の多段ビード付きプラスチックびんにお
けるビードを説明するための拡大説明図であって、Aは
正立状態のビードを、またBは倒立状態のビードを示
す。
【図2】本考案の多段ビード付きプラスチックびんにお
ける側壁下部のビードと側壁上部のビードとを比較して
示す拡大説明図である。
【図3】本考案のプラスチックびんの構造の一例を示す
正面図である。
【図4】「図1」のびんの側面図である。
【図5】「図1」のびんの上面図である。
【図6】本考案のプラスチックびんの構造の他の例を示
す正面図である。
【図7】「図6」のびんの側面図である。
【図8】「図6」のびんの上面図である。
【図9】本考案のプラスチックびんの構造の更に他の例
を示す正面図である。
【図10】「図9」のびんの上面図である。
【図11】本考案のプラスチックびんの構造の更に他の
例を示す正面図である。
【図12】「図11」のびんの側面図である。
【図13】「図11」のびんの上面図である。
【図14】比較のために従来の多段ビード付きびんを示
す正面図である。
【図15】「図14」のびんの側面図である。
【符号の説明】
1 容器(びん) 2 口部(ノズル部) 3 台錐状の肩部 4 筒状の胴部 5 閉ざされた底部 6 側壁上部 7 側壁下部 9 補強リブ 10 周状のビード 10a 側壁上部のビード 10b 側壁下部のビード 11 下側テーパ部 12 上側テーパ部 13 最凹部

Claims (4)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックのブロー成形乃至は延伸ブ
    ロー成形で形成され且つ側壁部に周方向のビードが多段
    に形成されているプラスチックびんにおいて、前記ビー
    ドが水平面に対する傾斜角度の大きい下側テーパ部と傾
    斜角度の小さい逆向きの上側テーパ部とを備え且つ最凹
    部が上側に偏ったビードであり且つ側壁上部のビードの
    深さを側壁下部のビードの深さよりも小さい寸法とした
    ことを特徴とする無菌充填用プラスチックびん。
  2. 【請求項2】 下側テーパ部の傾斜角度(α)が60乃
    至80度であり、上側テーパ部の傾斜角度(β)が30
    乃至55度である請求項1記載の無菌充填用プラスチッ
    クびん。
  3. 【請求項3】 側壁上部のビードの深さを側壁下部のビ
    ードの深さの2分の1乃至4分の3の寸法としたことを
    特徴とする請求項1記載の無菌充填用プラスチックび
    ん。
  4. 【請求項4】 プラスチックがエチレンテレフタレート
    単位を主体とする熱可塑性ポリエステルで形成され且つ
    少なくとも側壁部が延伸ブロー成形で二軸方向に分子配
    向されている請求項1記載の無菌充填用プラスチックび
    ん。
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