JPH0468219B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は包装用の箱に関し、特に、箱体の上下
開口部を閉塞する蓋板及び底板が、それぞれ上下
互いに逆方向となつて起立開閉できるように構成
されており、しかも、前記した蓋板及び底板の先
端に形成した差し込みタツグは、タツグの内側面
が、箱体壁面の上端から内部に折り返した当接片
の内側面に貼着一体化されるように構成した開封
防止に有効な機能を有する包装用の箱に関する。

〔従来技術とその問題点〕

一般に包装用箱の構造は、箱本体を、前後壁及
び左右壁によつて四角い筒状体として形成し、そ
の筒状体を形成する前壁の上下両端部には、筒状
部の上下両端に形成される開口部を閉塞するため
の蓋板及び底板が連設され、蓋板及び底板の先端
部に連続せしめた差し込み用のタツグ（差し込み
舌片）が箱本体の内側に挿入された後タツグの前
面が箱体の上端内面に貼着されるような構成とな
つている。

このような包装用の箱、特にその用途が、薬品
などを収容する包装用箱の場合には、内部に収容
されている薬品に対してイタズラその他の細工を
施されたり、或いは内容物が抜き取られるような
危険を防止するために開封防止機能を有すること
が必要とされている。

このような問題に対応するために製薬業者等は
箱体に、開封防止或いは改竄を防止するための機
構を付加しており、特に、最も開封操作の行われ
易い蓋板及び底板部分に多くの注意を払つた機構
を付加している。

しかしながらこれらの構成部分に対して従来よ
り行われている開封或いは改竄を防止するための
具体的な構成は、殆どが蓋板部分或いは底板部分
を二重構造とし、万一開封された場合には開封の
痕跡が確認されやすいようにした構造を採用して
いるが、この場合には構造が複雑であるという問
題があるほか、たとえ二重蓋（底）構造としても
糊代部分を鋭利な刃物などで丁寧に開披すれば蓋
板或いは底板などに損傷を与えることなく内容物
を取り出すことができるという危険性が依然とし
て残るという欠点が指摘されている。

これらの問題を根本的に解決するものとして、
本願出願人によつて、第１４図に例示するように
蓋板或いは底板の先端に形成された差し込み用の
タツグが折り込まれる側の前面に位置する壁面の
上端からその内側に、所定長さの当接片を折り込
み形成し、この折り込まれた当接片の内側面と、
前記した蓋板若しくは底板の先端に形成した差し
込み舌片の内側（裏面側）とを接着剤により貼着
一体化させて開口部を閉止するという構成が発明
された。

上記した発明の場合、開封の意思を持つて閉止
された蓋板の上面から開封のためのぺーパーナイ
フ等を挿入してもナイフが摺動する面は貼着面と
は異なる背面側であり、貼着面は外部からは全く
触れることの出来ない面であるという点で従来の
封緘構造を飛躍的に改良されており、改竄防止の
趣旨に完全に沿うことができるものであつた。

しかしながら、上記した発明の場合、箱体を組
み立てるに際し、折り込み片となるタツグの内側
面に事前に接着剤を塗布しておく必要があり、こ
の接着剤を塗布したタツグを箱体の前壁面の上端
に折り返し形成した当接片の内側に挿入させる必
要があるために、タツグの内側に塗布した接着剤
が挿入操作の際に剥離除去されることが多く、こ
のために接着効果を低減させられるという問題が
あつたほか、接着剤の塗布面が箱の構成上外部か
ら看知できないようになつていたために接着剤の
塗布状態が全く鑑別できないという問題点も抱え
ていた。

〔発明の目的〕

本発明は上記した問題に対処しようとするもの
であり、箱本体の上下開口部を閉塞する蓋板及び
底板の先端部に形成した差し込み用のタツグが挿
入される側に面した壁面に接着剤の塗布を行うた
めの透孔若しくは切欠部を形成し、これによつて
接着剤は箱の組み立て時に、差し込みタツグが当
接する当接片の側に塗布することができるように
し、差し込みタツグの裏面に接着剤を塗布したこ
とによる組み立て時のトラブル発生等の問題点を
完全に解決することができた包装用の箱を提供せ
んとするものである。

〔発明の要点〕

本発明は、筒状体からなる箱本体の上下両端部
を、先端に差し込み用のタツグ（舌片）を連設し
た蓋板及び底板でそれぞれ閉止するように構成し
てなる箱体において、前記した蓋板及び底板を互
いに逆方向に起立させられるようにして壁面の上
端若しくは下端に連設せしめ、また、蓋板若しく
は底板の先端に形成した差し込み用のタツグが折
り込まれる側の前面に位置する壁面の上端部（若
しくは下端部）には、筒状体を構成する壁面に連
続するようにして、その内側に折り込むための閉
止用当接板を所定の長さで連設し、閉止当接板の
折り返し部には前記差し込みタツグを挿入するた
めの挿入口を形成し、折り曲げられた閉止用当接
板の内側には挿入口より挿入された差し込み用の
タツグの折り込み内面を貼着できるように構成す
るとともに、閉止用当接片の前面に位置する壁面
には閉止当接板の内側に接着剤を塗布するための
透孔若しくは切欠部を形成したことを考案の要点
としている。

〔実施例〕

以下に本発明の実施の一例を図面を参照して説
明する。

総括的にＡで示す箱体は、左側壁片１、後壁片
２、右側壁片３及び前壁片４を、折り曲げ線１１
……１１を介して順次連続するように形成してお
り後壁片２の上端には、先端に差し込みタツグ５
１を有する蓋板片５を、また前壁片４の下端には
先端に差し込みタツグ６１を有する底板片６をそ
れぞれ折り曲げを自在とするようにして連設して
いる。

左側壁片１及び右側壁片３は、その上下にそれ
ぞれ折り込み閉止片１２，１２，３２，３２を連
設している。

２１は、後壁片２の上端中央部にミシン目を以
て剥離できるように刻設形成した半円弧状の切欠
部であり、この切欠部２１の両端部は、蓋板片５
との境界部に同じくミシン目を以て刻設形成した
切り取り線５２と合致するようにしている。

４１は、前壁片４の側端部に連設した糊代であ
り、左側壁片１の端部内側に当接して一体的に接
着するようにしている。

７，７は、前壁片４の上端部及び後壁片２の下
端部に、それぞれ折り畳みを自在とするようにし
て連設した閉止用当接板であり、その先端部は、
前壁片４若しくは後壁片２の裏面中央部に接着剤
７３，７３を介して貼着できるようにしている。

閉止用当接板７の折り曲げ部には蓋板片５或い
は底板片６に連設した差し込みタツグ５１、或い
は６１を挿入するための差し込み孔７１，７１を
裂設している、なお、差し込み孔７１の裂設開口
部には、差し込みタツグ５１，６１が挿入された
場合にそのタツグの先端部が差し込み孔７１に正
確に案内されるための挿入案内用起立片７２を起
立させることが望ましい。

なお、蓋板片５及び底板片６に連設する差し込
みタツグ５１，６１の裏面は閉止用当接板７の内
側面（壁片と対する面）に当接して接着するもの
であり、当該面には接着剤が塗布できるようにな
つている。

８，８は後壁片１及び前壁片４に穿設した接着
剤の塗布孔であり、その穿設位置は内側に折り込
まれた閉止用当接板７と対応する前面位置を選択
することが肝要である。

なお、接着剤の塗布孔８，８は、これに代えて
第８図以降に例示するような切欠部８１，８１と
して構成することも自由である。但しこの場合に
は切欠部８１の形成位置は閉止用の当接板７の折
り返し線に接して切欠するようになる。

上記のように構成した箱体は以下のようにして
組み立てる。

先ず、後壁片２の下端部及び前壁片４の上端部
に折り曲げを自在とするように連設した閉止用当
接板７，７を、予め後壁片２及び前壁片４の内側
に折り込んだ後、当接板７，７の先端裏面部に塗
布した接着剤７３部分を、これと対応する壁面の
裏面中央部に、当接板７が多少の湾曲をするよう
にして貼着一体化させておく（第２図及び第９図
参照）。

次いで、この状態において接着剤の塗布孔８，
８若しくは接着剤塗布用の切欠部８１，８１部分
から裏面に位置する閉止用当接板６の内側面に接
着剤を塗布する。

このように事前処理された箱体は、公知の筒状
箱を組み立てる場合と同様に、左側壁片１、後壁
片２、右側壁片３、前壁片４が折り曲げ線１１…
…１１に沿つて順次折り曲げられたのち、前壁片
４の端部に連設した糊代４１を左側壁片１の側端
部裏面に当接接着して角型の筒状体となるように
形成する。

筒状体とされた箱体は、左側壁片１及び右側壁
片３の上下に連設された閉止片１２及び３２を、
箱体の開口部を閉塞するようにして内側にそれぞ
れ倒したのち、更に蓋板５および底板６によつて
開口部を閉塞させる、蓋板片５および底板片６に
はその先端部に差し込みタツグ５１および６１が
それぞれ連設されているので、当該タツグ５１，
６１を閉止用当接板７の差し込み孔７１，７１に
挿入したのち、差し込みタツグ５１，６１の裏面
部分を、予め接着剤を塗布している閉止当接板７
の塗布面に当接糊着させることによつてその一体
化を図り、組み立てを完了させることができる。

〔発明の効果〕

上記のように構成した本発明の特徴を述べれば
以下の通りである。

(1) 組み立て完了後の箱体は、蓋板片５及び底板
片６の先端に連設した差し込みタツグ５１，６
１の裏面が、閉止用当接板７，７の裏面（接着
剤の塗布面）に当接して接着されるように構成
したので、組み立て完了後の箱に（差し込みタ
ツグの取付基端部側から）開封の目的でナイフ
等の鋭利な刃物類を差し込んでも差し込まれた
刃物類は差し込みタツグ５１，６１の背面と前
壁面４の内側面との間を移動するだけであり、
接着剤の塗布面には全く触れることができな
い、従つて封緘後の箱体は絶対に開封をされる
心配がないという優れた特徴を有しており、従
来の箱体が有していた差し込みタツグ部分から
開封されるという危険を完全に除去することが
できた。

(2) 本発明は閉止用の当接板７，７に対する接着
剤の塗布を、当接板の連設基端部に位置する壁
面（前側壁片４若しくは後側壁片２）に穿設し
た接着剤塗布用の孔８，８を介して外側から行
えるように構成したので、機械化による製箱作
業を行う場合の糊付け作業を著しく簡略化させ
ることが可能となる。

(3) 本発明によれば、接着剤の塗布孔８若しくは
切欠部８１部分が外部から監視することができ
るため、閉止当接板７の面に接着剤が正確に塗
布されているかどうかの確認が極めて容易とす
ることができる。

(4) 接着剤の塗布孔８に対する確認手段は目視に
よる場合のほか光電管等のセンサーによる確認
手段も利用することができるため、接着剤の塗
布不良或いは未塗布物件を極めて簡単に識別し
て製造ラインの系外へ排出することが可能とな
る。

(5) 従来構造の場合には、接着剤が差し込みタツ
グの内側面に予め塗布されており、この塗布済
みのタツグを当接板に裂設した開口部に挿入す
るように構成していたため、タツグの裏面に塗
布されている接着剤が裂溝に挿入する際に削り
取られるようなトラブルが発生するほか、削り
取られた接着剤が収容品等に付着する虞があつ
たが、本発明ではこのような問題を完全に解決
することができた。

(6) また、従来構造の場合には万一差し込みタツ
グが当接板に裂設した挿入用の開口部に挿入さ
れていない場合でもそれを確認する手段がなか
つたが、本発明によれば、接着剤の塗布孔８若
しくは切欠部８１部分に必ず差し込みタツグの
表面側が露出するので、差し込みタツグの挿入
不良によるトラブルの発生を未然に防止するこ
とができる。

(7) 接着剤の塗布孔８若しくは切欠部８１を形成
したために、使用者に特異な外観を有するもの
として認識させることが可能となり、これによ
つて心理的に改竄意欲を規制することができ
る。

(8) 箱体は一枚の紙の折り畳みによつて組み立て
をすることができるので、箱体を構成するに際
して、カートナー等の自動製箱機の操作にも馴
染むことができる。

(9) 緘後の箱体の開封は、第７図に例示するよう
に、蓋板片５と前壁片４との境界部分に刻設形
成した切り取り線を開披して切欠部２１を引き
上げることによつて開放を図ることができる、
但しこの場合には蓋板片５の再度の閉止はでき
ない。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すものであり、第１図
は第１の実施例を示す展開平面図、第２図は閉止
用当接板部分のみを折り曲げて貼着した状態を示
す展開平面図、第３図は組み立て時における要部
の位置関係を示すため蓋板及び底板を解放し糊代
部分を解放して示す斜視図、第４図は同上図にお
ける組み立てを進行させた状態で示す一部を切欠
した斜視図、第５図は箱体の縦断面図、第６図は
同上図における一点鎖線で囲まれた部分の拡大斜
視図、第７図は使用のために蓋板を開披した状態
を示す斜視図、第８図は第２の実施例を示す展開
平面図、第９図は第２の実施例における閉止用当
接板部分のみを折り曲げて貼着した状態を示す展
開平面図、第１０図は第２の実施例の組み立て時
における要部の位置関係を示すため蓋板及び底板
を開放し糊代部分を解放して示す斜視図、第１１
図は同上図における組み立てを進行させた状態で
示す一部を切欠した斜視図、第１２図は箱体の縦
断面図、第１３図は同上図における一点鎖線で囲
まれた部分の拡大斜視図、第１４図は従来品の構
造を示すため蓋板及び底板を解放し側壁の一部を
切欠して示す斜視図である。 Ａ……箱体、１……左側壁片、１１……折り曲
げ線、１２，３２……折り込み片、２……後壁
片、２１……切欠部、３……右側壁片、前……後
壁片、４１……糊代、５……蓋板片、６……底板
片、５１，６１……差し込みタツグ、５２……切
り取り線、７……閉止用当接板、７１……差し込
み孔、７２……案内用起立片、８……接着剤の塗
布孔、８１……接着剤の塗布用切欠部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 右側壁片、前壁片、左側壁片、後壁片を折り
   曲げ線を介して順次折り畳んで筒状体を構成し、
   後壁片の上端部には先端に差し込みタツグを連設
   した蓋板片を、また、前壁片の下端には、同じく
   先端に差し込みタツグを連設した底板片をそれぞ
   れ折り曲げを自在とするように連設し、前記蓋板
   片及び底板片の折り曲げによつて筒状体の上下開
   口部を閉塞できるようにして箱体を構成し、 箱本体の筒状部を構成する前壁片の上端部及び
   後壁片の下端部には、それぞれ内側に折り込むこ
   のできる閉止用当接板を折り畳みを自在とするよ
   うにして連設し、 前記したそれぞれの閉止用当接板の折り曲げ部
   には、蓋板片及び底板片の先端に連続するように
   して形成した差し込みタツグを挿入させるための
   挿入孔を穿設し、 前記した閉止用当接板が対応する壁面には接着
   剤を塗布するための透孔若しくは切欠部を形成す
   るとともに、 閉止用当接板の折り込み時における内側（後壁
   片と接する側の面）には、蓋板片及び底板片の先
   端に連設した差し込みタツグの裏面を当接貼着せ
   しめるように構成してなる開封防止機構を具えた
   包装用の箱。 ２ 壁面に形成する接着剤の塗布孔が透孔である
   特許請求の範囲第１項記載の開封防止機構を具え
   た包装用の箱。 ３ 壁面に形成する接着剤の塗布孔が切欠部であ
   る特許請求の範囲第１項記載の開封防止機構を具
   えた包装用の箱。