JPH0464651B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は水耕栽培方法に関する。

従来の技術 通常、水耕栽培では、トレー内に培養液を流し
この培養液中に植物の根を泳がせ、この根から水
分、養分、酸素を吸収させている。この場合にお
いて、重要なことは根への酸素供給不足による根
腐れの発生を防止することであり、この為に従来
より種々な対策が取られている。例えば、培養液
中の溶存酸素量を増やすとか、培養液の液面を定
期的に下げて根を空気中に曝すとか、或いは根の
大部分を培養液上の湿つた空気中に位置させ、こ
の部分にルートマツトを発達させる等の方法が取
られている。しかし、いずれにしてもトレー内に
培養液を流し、その培養液中に根の大部分或いは
一部を浸漬させていた。

発明が解決しようとする問題点 ところがこの方法ではトレー内に培養液を流す
為、トレーを所定の勾配に据付けねばならず据付
作業が困難であり、またトレーに大量の培養液を
流すためトレーに強度を必要とし、しかも培養液
循環用のポンプ、配管等の設備が大型化して、結
局設備費が高くなるという問題点があつた。

しかして、本発明の目的は簡単な設備で良好な
水耕栽培を可能とする水耕栽培方法を提供するに
ある。

問題点を解決するための手段 本発明者は上記問題点を解消すべく水耕栽培に
おける植物の成長を種々検討した結果、次の事項
を見出した。即ち、培養液中に浸漬した根（水中
根）では水中でぐんぐん伸びるけれどもその表面
は極めて平滑であまり水分や養分の吸収に寄与し
ておらず、養分吸収は殆どが水中根の先端で行わ
れること、培養液上の湿つた空気中に形成される
ルートマツトは小さな無数の根毛を有し水分、酸
素吸収に極めて貢献すること、従つて、植物の成
長には主としてルートマツトの生育が重要であ
り、根の先端が培養液に接触して養分を吸収しう
る状態にあれば水中根はなくてもよいこと等を見
出した。

かかる知見に基づいてなされた本発明は、第１
図、第２図に示すように、トレー１の底面に吸水
性のシート状材料２を配置し、該シート状材料に
培養液を供給して常時湿潤状態に保ち、前記トレ
ー１の上面をフタ３で覆い、該フタ３を貫通して
植物４を配置し、植物４の根の先端５が前記湿潤
状態のシート状材料２に接触して養分を吸収する
とともに該シート状材料２とフタ３との空間６に
ルートマツト７が発育するようにしたことを特徴
とする水耕栽培方法である。

本発明に用いるトレー１にはその中のシート状
材料２が濡れる程度の培養液を入れるのみである
ので、あまり強度を必要とせず、プラスチツクの
フイルム或いはシートで安価に製造することがで
きる。トレー内に入れるシート状材料２は少量の
培養液を供給することにより、トレー底面が均一
に濡れた状態になるように配置するものであり、
根を絡み付かせる程の厚みはなくてもよい。シー
ト状材料２としては、織布、不織布、編織布、プ
ラスチツクフオーム（例えばウレタンフオーム）
等が使用可能である。

シート状材料２に培養液を供給してこれを常時
湿潤状態に保つ手段として、トレー１の底面に供
給管８が配置される。供給管８としては、第３図
に断面を示すように給水路８Ａと該給水路に通じ
る散水路８Ｂと散水用小孔８Ｃを有する二重構造
のものが長いトレー１に沿つて均一に水を供給で
きるので、好適である。供給管８は図示の如くシ
ート状材料２の下に配置される場合に限定され
ず、他の場所に配置されてもよい。また供給管８
の構造も適宜変更可能である。供給管８にはポン
プによつて、或いはヘツドタンクによつて培養液
が供給される。

フタ３はトレー２内の空間６が高温状態に保た
れるよう設けるものであり、且つシート状材料２
の上にルートマツト７が十分生育するだけの空間
を残すようシート状材料２から離して配置され
る。このフタ３には植穴９が形成され、植物４が
植穴９を通つて伸びる。植穴９には植物４をフタ
３に固定するウレタン等のポツト１０が挿入され
ている。なお、フタ３はトレー１と別個の部材と
して形成される必要はなく、トレーと一体に形成
してもよい。換言すればトレーの一部がトレー内
を高湿状態に保つフタの役割を果たす構造であつ
ても良い。また、フタの形状は図示の平坦なもの
に限定されず、適宜変更可能である。

作 用 供給管８から培養液がシート状材料２に供給さ
れ、シート状材料２は常時湿潤状態に保たれる。
この為、シート状材料２上方の空間は高湿状態に
保たれる。植物４の根の先端５は湿潤状態にシー
ト状材料２に接触しているので、根が水中に浸漬
してなくてもシート状材料２から水分、養分を吸
収して成長する。また、根の成長に際し、根の先
端は常に水を求めて伸びる為、根の先端は常にシ
ート状材料２に接触状態となつている。一方、シ
ート状材料２の上方は高湿状態に保たれている
為、この部分に、小さな根毛を無数に持つた湿気
中根が成長してルートマツト７を形成する。この
ルートマツト７は水分、酸素良好に吸収する。か
くして、根を培養液中に浸漬させた場合に生じ勝
ちであつた酸素供給不足が生じることなく、根は
養分、水分、酸素を吸収することができ、植物は
極めて良好に生育する。

発明の効果 以上の如く、本発明では根を培養液中に浸漬さ
せなくても良好に植物を育成できる。このため、
トレーに大量の培養液を流す必要がなく、トレー
内のシート状材料を培養液で濡らすのみでよいの
で、トレーに大きい強度を必要とせず、且つトレ
ーの据付が容易であり、本発明方法の実施に用い
る水耕栽培装置全体を安価に製造することができ
る。更に培養液に供給量が少なくてよいので、運
転費を低減できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本発明方法の実施に用いる水
耕栽培装置の１例を示す斜視図及び断面図、第３
図は供給管８の断面図である。 １…トレー、２…シート状材料、３…フタ、４
…植物、５…根の先端、６…空間、７…ルートマ
ツト、８…供給管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ トレー底面に吸水性のシート状材料を配置
   し、該シート状材料に培養液を供給して常時湿潤
   状態に保ち、前記トレーの上面をフタで覆い、該
   フタを貫通して植物を配置し、植物の根の先端が
   前記湿潤状態のシート状材料に接触して養分を吸
   収するとともに該シート状材料とフタとの空間に
   ルートマツトが発育するようにしたことを特徴と
   する水耕栽培方法。