JP2529554Y2 - 植物栽培装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、室内でも屋外でも植物
を簡易に栽培することができる植物栽培装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、植物栽培装置に関する多くの提案
がなされ、種々のものが市販されている。例えば、培地
の下面に液肥を貯え、不織布等の揚液材の上に培地材を
設け、そこで育成するものや、通常の鉢のように培地材
の下の水はけがきわめて良いものなどがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
植物栽培装置は一般に水管理が難しく、植物によっては
灌水が少なすぎて枯れたり、逆に水を与えすぎて根腐れ
を起こしたりするものがある。

【０００４】本考案はこのような問題に鑑みてなされた
もので、容器内の水が適度に根元に吸い上げられ、余分
な水は培地外に流下し、常に植物に適度な水分を与える
ことができる植物栽培装置を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案の植物栽培装置は、貯水用有底容器の側壁に
通水孔を設け、該通水孔より高位置に栽培槽を張設し、
該栽培槽の底壁の中央部が高くなるように底壁を傾斜さ
せると共に、該底壁の中央部及び両端部にスリットを穿
設し、該中央部スリットから上記有底容器内に揚水布を
垂下させ、且つ該布を底壁の全面もくしは一部に敷設
し、該布上に浸潤可能な培地材を設けたものである。

【０００６】

【作用】本考案の構成によると培地材上に供給された水
は培地材に吸収され、また余剰の水が底壁の両端部スリ
ットから容器内に流下し、容器内で所定量貯えられる。
しかし該容器の側壁に設けられた通水孔まで水が溜まる
と、それ以上の水は該通水孔から排出される。また栽培
槽は、該通水孔よりも高い位置に張設されているため、
容器内に多量の水か流れ込んでも、直接栽培槽が水につ
かることはない。従って植物の根が水につかって根腐れ
を起こすこともない。しかも栽培槽の底壁が傾斜してい
るため水が底壁に溜まることもなく、この点においても
根腐れを起こしにくいものである。

【０００７】一方、栽培槽の底壁の中央部にはスリット
が穿設されており、該スリットから有底容器内に揚水布
が垂下されているため、水分は毛細管現象等により該布
を伝って上昇し、底壁の全面もしくは一部に敷設された
布を湿らして湿潤可能な培地材に適度な水分を供給する
ことができる。従って灌水を忘れても、有底容器内に充
分の水を貯えておけば植物に水を供給することができ
る。また、有底容器内の水量が少なくなれば、側壁の通
水孔から給水ホース等を挿入して水を補給してやればよ
い。

【０００８】

【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施例を説明
する。

【０００９】図１は本考案の一実施例による植物栽培装
置の一部切欠断面斜視図である。図１において、１は矩
形の箱状の貯水用有底容器であり、その側壁２には所定
の高さの位置に円形の通水孔３が穿設されている。該通
水孔３は給水ホースを挿入できる大きさであれば、その
数や形状について特に限定されるものではない。本考案
において、貯水用有底容器の形状は特に限定されない
が、側壁面には必ず開孔された通水孔が必要であり、通
水孔の高さは後述する栽培槽の下方に位置させ、且つ水
や液肥が充分貯えられるだけの体積を確保できる位置で
あることが重要である。

【００１０】図において、通水孔３より高い所に栽培槽
４の底壁の最下端部１７が位置するように貯水用有底容
器の上端部から周壁１４によって吊りさげられた構造と
なっている。即ち、該栽培槽４は底壁５及び周壁１４に
よって囲まれた容器状のものであり、特に底壁５はその
中央部が他の部分より高くなっており、該中央部から左
右に適度な流れ勾配を有する傾斜した板状体から成って
いる。そして該左右の板状体の最頂部間は間隙があり、
スリット６が形成されている。また該左右の板状体の両
端の最下端部には格子状のスリット７が穿設されてい
る。このような底壁５の上の全面もしくは一部には、揚
水布８が敷設されている。そして該揚水布８の端部は中
央のスリット６を通って容器１の中に貯えられた水ある
いは液肥の中に浸されており、容器１の底１１に到達す
る長さを有している。また、底壁５の上に敷設された揚
水布８の上にはポリエチレン等の合成樹脂製のネット１
５等が敷設される場合がある。

【００１１】図２は栽培槽４の底壁５の周辺だけ取り出
した斜視図であり、該ネット１５は揚水布８の上に略全
面に設けられる。これは揚水布８に沿って流れる水の流
れをより良くするためと、砂等の流下防止及び通気性を
得るためのものであるが、必ずしも必要ではない。また
揚水布８としては、不織布、織布や綿、パルプなどの合
成繊維や天然繊維類のように毛細管現象により水や養液
を吸い上げる機能を有する基材の表面に特殊な処理を施
した紙等よりなるシート状物が好適に使用される。該揚
水布８には容器１内に貯えられた水や液肥１０を栽培槽
４の底壁５まで吸い上げる機能と植物の根が容器内の下
方に侵入しないように防止する機能が必要であり、紙や
目の詰んだ布等が用いられる。また遮根用の酸化銅など
の粉末を上記の布等に担持させたもの等も使用可能であ
る。

【００１２】そして、栽培槽４の中には浸潤可能な培地
材９が容器１の上端部付近まで充填されている。培地材
９としては植物２０を保持できしかも苗床として使用で
きる程度の保水性があり、また培地材９の下端の水分を
吸い上げ可能なものであれば、その材質は特に限定され
るものではない。例えばロックウールや砂を含む培養土
など通常使用されているものであればほとんど使用可能
である。

【００１３】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
の植物栽培装置は栽培槽の底壁が傾斜しており、植物の
根のある所に水が溜まることがなく、しかも底壁の両端
にはスリットがあるため下方に流下して容器内に水を貯
えることができ、また、多量に雨が降ったり灌水し過ぎ
たとしても、容器内の側壁には通水孔が設けてあるため
栽培槽が水に浸ることはなく、根腐れ等を起こす心配が
ないという効果がある。そして、栽培槽の底壁には揚水
材が敷設され、該揚水材が容器内の水などに一端が浸し
てあるので、常に適量の水分が培地材に供給されて植物
に水分や養分を与えることができ、また容器内の水量が
少なくなれば通水孔から簡単に水を補給できるという効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の植物栽培装置の一実施例を示す一部切
欠断面斜視図である。

【図２】栽培槽の底壁部の部分斜視図である。

【符号の説明】

１ 貯水用有底容器 ２ 側壁 ３ 通水孔 ４ 栽培槽 ５ 底壁 ６ 中央部スリット ７ 端部スリット ８ 揚水布 ９ 培地材

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】貯水用有底容器の側壁に通水孔を設け、該
   通水孔より高位置に栽培槽を張設し、該栽培槽の底壁の
   中央部が高くなるように底壁を傾斜させると共に、該底
   壁の中央部及び両端部にスリットを穿設し、該中央部ス
   リットから上記有底容器内に揚水布を垂下させ、且つ該
   布を底壁の全面もしくは一部に敷設し、該布上に浸潤可
   能な培地材を設けたことを特徴とする植物栽培装置。