JPH0462045B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明はシヤツターハウジングにより前群レン
ズ系と後群レンズ系とが分割されるカメラ用レン
ズのレンズ保持枠に関するものである。

従来技術及びその問題点 合焦に関与する前群レンズを直進移動可能な状
態でシヤツターハウジングの前端に配置し、後群
レンズをシヤツターハウジングの後端に固定した
カメラ用レンズにおいては、前群レンズと後群レ
ンズとの光軸偏芯精度を0.05mm以下にすることに
より満足な光学特性を得ることができることはよ
く知られている。

従来、この光軸偏芯精度は構成部品の結合時の
調整或いは個々の部品精度に依存していたが、構
成部品数及びその要求精度の高さから所望の精度
を得ることは非常に困難であつた。また、このよ
うなカメラ用レンズの後群レンズとしては、レン
ズ形状と加工性から一般にプラスチツクの成形品
が用いられており、このプラスチツクレンズを収
納するレンズ枠は、レンズの材質による熱膨張或
いは収縮により発生する応力歪、レンズのガタ等
を吸収しないと光学特性が劣化するという問題が
あつた。

目 的 本発明は上述の点に鑑みてなされたものであ
り、容易に光軸調整を行なうことができ、温度変
化によるレンズの膨張或いは収縮の結果生じる応
力歪、レンズのガタ等をも吸収するカメラ用レン
ズのレンズ保持枠を提供することを目的とする。

実施例 第１図は本発明に係る実施例の断面図である。

シヤツターハウジング１の前端内径には前群レ
ンズＬ１と一体な前群レンズ枠２が摺動可能に嵌
合し、外径には駆動環３が回動可能に嵌合してい
る。シヤツターハウジング１と一体な柱４に固設
した押え板５と前群レンズ枠２との間には板バネ
６が設けてあり、前群レンズ枠２が図中右方へ附
勢され、前群レンズ枠２の端面に設けたスラスト
カム面７と駆動環３の端面に設けた接点８とが常
時接触している。

前群レンズ枠２の外方へ設けたスリツト９に嵌
入したピン１０は、調整板１１と一体に構成さ
れ、調整板１１に設けた図示しない長穴に嵌入し
たビス１２により柱４へ固定される。この状態で
駆動環３を回動させると、前群レンズ枠２はピン
１０により直進案内されて移動する。

シヤツターハウジング１の後端には、シヤツタ
ー制御及び駆動環３の回動制御をする図示しない
回路部品が設置された基板１３が固設されてい
る。

取付けビス１４によりシヤツターハウジング１
の後端に設置したレンズ保持枠は、後群レンズ枠
１５と押え枠１６とから構成されている。後群レ
ンズ枠１５は、後群レンズＬ２の外周縁に当接す
る第１当接部としての内径１７と後群レンズＬ２
に光軸方向から当接する第２当接部としての突起
３０とが設けられ、後群レンズＬ２が嵌入し、後
端にはシヤツターハウジング１と一体な柱１８に
固定されフイルム室と一体な遮光筒１９の円周状
突起２０が入るとともに、後群レンズＬ２に前群
レンズＬ１との光軸調整に用いられる操作部とし
ての窪み部２１が設けられている。また、後群レ
ンズ枠１５の外径２２には押え枠１６が嵌合して
いる。

以下、後群レンズ枠１５及び押え枠１６につい
て第２図乃至第４図を用いて説明する。

第２図は第１図におけるレンズ保持枠の構成を
示す斜視図、第３図は後群レンズ枠１５と押え枠
１６との結合状態を示す断面図、第４図は第３図
の矢視断面図である。

上述の後群レンズ枠１５及び押え枠１６には、
夫々外方に突出した後群レンズ枠１５の押え枠１
６への係止部としての結合部２３と押え枠１６の
後群レンズ枠１５への係止部としての結合部２４
が設けてある。

後群レンズ枠１５の結合部２３には、取付けビ
ス１４のネジ径より大きな径及び幅の溝２６が設
けてあり、一方、押え枠１６の結合部２４には、
取付けビス１４のネジ径より大きな径の取付け穴
２５と、前記後群レンズ枠１５の溝２６が係合す
る突起２７と、前記結合部２３の先端が挿入され
る切欠き部２８とが設けてある。

そして、前記結合部２３，２４において結合さ
れた後群レンズ枠１５と押え枠１６とを、前記取
付け穴２５と溝２６とに亘つて遊挿される取付け
ビス１４によつてシヤツターハウジング１の後端
に設置した状態では、第１図に示すように、取付
け穴２５や溝２６と取付けビス１４の外周面との
間に隙間が生じ、また、シヤツターハウジング１
や基板１３の内周面と、これらに臨む部分におけ
る押え枠１６の外周面との間にも隙間が生じてい
る。

つまり、これらの隙間の最短ストロークに見合
う分だけ、前記後群レンズ枠１５と押え枠１６と
が一体的にシヤツターハウジング１に対して、後
群レンズＬ２の径方向に調整移動可能となつてい
る。

このため、例えば後群レンズ枠１５の後端に設
けられた前記窪み部２１に、後群レンズＬ２の径
方向にスライド可能なピン（不図示）等を係合さ
せ、取付けビス１４の締め付けを緩めて前記不図
示のピンをスライドさせれば、後群レンズ枠１５
と押え枠１６とが一体的に、シヤツターハウジン
グ１に対して後群レンズＬ２の径方向にスライド
し、シヤツターハウジング１に対して径方向に調
整移動不能に設けられた前群レンズＬ１に対する
後群レンズＬ２の光軸調整がなされる。

一方、切欠き部２８と結合部２３との光軸方向
の寸法設定は、第３図に示す状態で後群レンズＬ
２に対して光軸方向の附勢力を与えるように結合
部２３，２４の一方または両方が弾性変形するよ
うにしている。また、後群レンズ枠１５と押え枠
１６が結合された状態では突起２７と溝２６とが
係合しているため、後群レンズ枠１５と押え枠１
６との回動が規制されて結合が不用意に外れるこ
とはない。

したがつて、後群レンズ枠１５は、後群レンズ
Ｌ２の径方向に外力を加えることにり、結合部２
３，２４の後群レンズＬ２の径方向の弾性変形に
よつて、後群レンズＬ２の径方向に押え枠１６に
対して相対移動が可能となる。

第５図は後群レンズ枠１５と押え枠１６の他の
結合状態を示す断面図であり、押え枠１６と後群
レンズＬ２との間に板バネ２９を配設し、後群レ
ンズＬ２の材質等から後群レンズＬ２への光軸方
向の附勢力を減少（或いは増加）する必要がある
場合の例である。

効 果 以上のように、本発明に係るレンズ保持枠は収
納されたレンズに対して常に光軸方向に附勢力が
作用する弾性的なレンズ保持のため、温度変化に
よるレンズの膨張或いは収縮に対しても後群レン
ズ枠と押え枠が光軸方向に移動し、レンズの応力
歪或いはレンズのガタ等を吸収することができ
る。

また、このレンズ保持枠はシヤツターハウジン
グに対して、該レンズ保持枠に保持されるレンズ
の径方向に調整移動可能に設置されているため、
後群レンズ枠の後端に設けた窪み部へ光軸方向に
対して垂直な面にて微動可能なピン等を係合させ
ることにより、シヤツターハウジングの回路基板
に設置された回路部品の取付け位置に関係なく前
群レンズに対する光軸調整が可能である。

更に、後群レンズがレンズ枠に嵌入した状態で
押え枠を押し込むだけでレンズ保持枠と一体とな
るため、レンズに直接触れることなくシヤツター
ハウジングに取付け可能となり組み立て作業が容
易となるばかりか、レンズ枠及び押え枠の材質を
黒色プラスチツク等の不透明な材料で成型するこ
とにより、シヤツターハウジング外方からの漏光
に対してもモケツト等の遮光部材を必要とせずに
前群レンズからフイルムに至るまでの漏光が防止
できる。

尚、上記実施例における後群レンズ枠と押え枠
の結合部の構成は、各々交換しても本発明の目的
を達成することができることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る実施例の断面図、第２図
は第１図におけるレンズ保持枠の構成を示す斜視
図、第３図は後群レンズ枠と押え枠との結合状態
を示す断面図、第４図は第３図の矢視断面図、第
５図は後群レンズ枠と押え枠との他の結合状態を
示す断面図である。 １……シヤツターハウジング、１５……後群レ
ンズ枠、１６……押え枠、２１……窪み部（操作
部）、１７……内径（第１当接部）、３０……突起
（第２当接部）、２３，２４……結合部、Ｌ１……
前群レンズ、Ｌ２……後群レンズ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ レンズを保持しカメラのハウジング側に取り
   付けられるレンズ保持枠であつて、 前記レンズ保持枠は、前記レンズが嵌合される
   レンズ枠と、該レンズ枠と協働して前記レンズを
   狭持する押え枠とで構成され、 前記レンズ枠及び押え枠の各々の外周には、前
   記レンズの光軸方向に弾性変形可能で前記レンズ
   枠と押え枠とを相互に結合する結合部が設けら
   れ、 前記結合部において、前記レンズ枠及び押え枠
   が前記レンズの径方向へ調整移動可能に前記ハウ
   ジング側に取り付けられている、 ことを特徴とするレンズ保持枠。