JPH0458389B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、印刷物において印刷中の印刷物の状
態をインラインで、標準状態と比較し、印刷物の
異常を検出する印刷物検査装置のための仮の基準
データを設定する装置に関する。

従来、印刷物の検査はオフラインで人間の視覚
に頼つて行なわれる方法が主流であつた。これは
印刷物か１点１点絵柄が違うということや、印刷
物における検査項目が人間の視覚に頼らざるを得
ない微妙な差を問題にしていると考えられてきた
ことに由来している。一方、印刷中の印刷物を評
価したいという要望に答えて、印刷速度に同期し
たストロボ照明を行つたり、高速で同期回転する
ミラーを用いて印刷中の印刷物を静止画像として
判断しようとする試みが行なわれた。しかし、こ
れらの手段も人間の視覚に検査を依存していると
いう点では検査機と呼べる段階のシステムではな
かつた。また、印刷物の絵柄と同時にカラーパツ
チを印刷し、カラーパツチの検査を行うことによ
り印刷物の検査を代行させようという試みも行な
われている。しかし、この方法では印刷障害（油
タレ、汚れ等）が絵柄部に生じた場合、見逃して
しまうことになり、検査機の機能を十分果してい
るとはいえなかつた。

一方、最近特願昭55−1051号或いは特願昭57−
220515号等にて提案されている「印刷物検査装
置」に見られるように印刷物の検査をインライン
でラインセンサを利用して行なうというシステム
が提案されている。このシステムの概略を第１図
に基づき説明する。

印刷機のフイーダー部に取り付けられているロ
ール状の巻取用紙１より供給された帯状の印刷用
紙２は印刷部１で表裏４色（黄、赤、藍、墨）の
印刷が行なわれた後、ドライヤ、折機（図示せ
ず）へと搬送される。印刷物検査装置は表裏４色
印刷された後の印刷状態を検査するため、印刷部
にとりつけられたロータリーエンコーダ５でサン
プリングのタイミングをとりながら、絵柄情報を
検出部４のラインセンサより処理回路６へとりこ
み、判断作業を行う。この結果、印刷状態が異常
であると判別された場合には、アラーム、マーキ
ング、リジエクト等の手段で対応することが可能
となるわけである。

このようなシステムによれば、印刷物の絵柄全
面をインラインで自動検査できるため、前述の欠
点がなく、検査機としては優れた効果が期待でき
る。

ここで、検出部４より入力された画像情報は処
理回路６内で基準情報と検査情報の２種の役割り
を果すこととなる。基準情報とは印刷が正常であ
るとオペレータが判断した時点での印刷物の絵柄
の画像情報であり、該画像情報を基準情報メモリ
ー内に記憶し、検査の基準とするものである。一
方、検査情報とは、基準情報をメモリー内に記憶
した後、検出部４から入力される情報であり、前
記基準情報と比較（差分、微分等）を行い、あら
かじめ設けた許容範囲を越えたかどうかを判別す
ることによつて印刷物の良否を判定することによ
り、インラインでの印刷物の検査が可能となる。

この結果、このシステムでは基準情報の入力以
前、すなわち、印刷開始から正常印刷へ移行する
間は検査が不可能となつてしまうことが理解され
る。

実際の印刷において、不良印刷物は印刷開始か
ら正常印刷状態へ移行する間に大量に発生するた
め、特に、輪転印刷機では印刷用紙のロスが大き
いこともあり、印刷開始後、どの時点で正常印刷
に移行したかを自動的に判断したいという要望が
ある。この要望に対して前記発明の印刷物検査装
置は全く効果がないことは明白であり、この問題
の解決が望まれていた。

本発明は、かかる問題を解決すべくなされたも
のであり、その目的とするところは、印刷開始直
後から印刷物の検査を行ない得るよう検査用の基
準情報を印刷物検査装置に供給する基準情報設定
装置を提供することにある。

以下に、本発明を図面の実施例に基づき詳細に
説明する。

第２図は本発明にかかる基準情報設定装置の１
実施例の説明図である。

本発明は、印刷物検査装置に供給する仮の基準
情報を印刷用刷版から得ようとするものである。

第２図において、７は印刷用刷版であり、８は
この刷版７を照明する光源、９は刷版表面の絵柄
を撮影するCCDカメラ、１０はＡ／Ｄコンバー
タ、１１はCCDカメラ９から入力された画像情
報を検査用の仮の基準情報に変換するとともに、
装置全体の動作のタイミングを制御するCPU、
１２は外部メモリー、１３は求められた仮の基準
情報をフロツピーデイスク１３′に書き込むため
のフロツピーデイスクドライブ装置、１４は
CPU１１に外部から指示を与えるためのキーボ
ードである。

このような装置構成を、第３図に示したCPU
１１における制御プログラムのフローチヤートに
即しながらさらに詳しく説明する。

まず、印刷用刷版７は、通常キ、アカ、アイ、
スミの４色に分かれているため、各印刷用刷版７
の情報を順次色指定しながら入力することが必要
とされる（ステツプS₁、ステツプS₂）。

ここで印刷用刷版７は４色に分かれているた
め、その相対的位置関係を４版で合致させるため
には固定ピン等の利用が考えられる。４版の印刷
用刷版７は４方向からの光源（例えば蛍光灯等の
棒状光源）８による照明にて照度ムラを抑えるよ
うな形式で、照明され、印刷用刷版７上の絵柄は
CCDカメラ９にて撮影されて画像情報ISとして
入力される。ここで、CCDカメラ９は、488×
380画素エレメントを有するCCDエリアセンサ等
の利用が入力スピードの点で望ましいが、他の手
段、即ち、CCDラインセンサを移動して全面を
スキヤンする方法や、撮像管等を利用する方法、
レーザービームを光源として印刷用刷版７上を面
スキヤニングを実行し、その反射光をセンサーに
て受光する方法等を利用しても同等の効果があれ
ば問題はない。もちろん、画像情報の入力の際は
外乱即ち、外光の影響を抑えるため、前記測定光
学素を暗室化した方がより大きな効果がある。入
力された画像情報ISはＡ／Ｄコンバータ１０を介
してデジタル化されCPU１１に転送された後、
CPU１１にて入力系における光量補正（ステツ
プS₃）、位置補正（ステツプS₄）が施されて一旦、
内部メモリー１２に記憶される。画像情報ISのデ
ータ量は、CCDラインセンサ９から入力され
Ａ／Ｄ変換された状態では、１画素に８ビツトの
階調（256階調）を与えるものとすると488×380
画素のCCDエリアセンサ９では185Kバイトとか
なり大容量になつてしまうが、実際には印刷用刷
版７上を検査領域と非検査領域に区分するため、
例えば、Ｂ縦半裁オフ輪の有効絵柄部分（幅880
ｍ／ｍ×長さ534ｍ／ｍ）を１画素２ｍ／ｍφ、
８ビツトとして入力するならば分色版１版当りに
必要な記憶容量は、117Kバイトとなる。この結
果、キ、アカ、アイ、スミ４版での必要な画像情
報は117×４＝468Kバイトであり、固定デイス
ク、フロツピイデイスク等の外部メモリーを利用
すればキ、アカ、アイ、スミの４版の印刷用刷版
７の絵柄情報を記憶することが十分に可能とな
る。当然、４色以上の印刷の際は前記記憶容量以
上の外部メモリーが必要であるし、印刷用刷版７
のサイズがＢ縦半裁以上の場合も同様であるが容
量的には十分である。

ここで、入力系における光量補正は、画像情報
ISがそのままでは照明ムラ、或いはCCDカメラ
９の各素子の感度ムラ等を含んだものとなつてい
るので、これらを除去する目的で行なわれる。

入力系における光量補正のための補正式は、 IS′＝G_M.N（IS） IS′：光量補正後の画像情報 IS：光量補正前の画像情報 G_M,N：画素位置（Ｍ、Ｎ）の光量補正係数 で表現される。

また、位置補正は、印刷機に取り付けられた印
刷物検査装置の検出部にて取り込まれる検査情報
と前記画像情報ISとの位置関係を正確に対応づけ
るために行なわれる。

続いて、外部メモリー１２に記憶されたキ、ア
カ、アイ、スミの印刷用刷版７の画像情報
（ISY、ISM、ISC、ISK）に対して、印刷物検査
装置側で必要とされる仮の基準情報へ変換するた
めCPU１１にて次のような処理を行う（ステツ
プS₇）。

第１には、キ、アカ、アイ、スミの分色情報か
ら印刷物検査装置側で必要な総合的な情報（検査
装置において色分解することなく検査することを
前提とした場合）へと変換することが必要であ
る。すなわち、印刷物検査装置が単一の検出部４
を有しているとすれば、前記検出部４から入力さ
れた画像情報は、キ、アカ、アイ、スミの各イン
キが刷り重ねられた状態で印刷物表面よりの反射
光を検出部４にて光電変換した信号であるため、
かかる変換が必要となる。この変換を一般式で表
現すると、 ISN＝f₅×f₆（f₁（ISY）×f₂（ISM）×f₃（ISC）×f₄
（ISK）） ISN：印刷物検査装置側に与える仮の基準情報 ISY：印刷用刷版（キ）からの画像情報 ISM：印刷用刷版（アカ）からの画像情報 ISC：印刷用刷版（アイ）からの画像情報 ISK：印刷用刷版（スミ）からの画像情報 f₁：キインキによる分光反射特性関数 f₂：アカインキによる分光反射特性関数 f₃：アイインキによる分光反射特性関数 f₄：スミインキによる分光反射特性関数 f₅：検出部の分光感度特性関数 f₆：光源の分光強度特性関数 で表現される。

さらに、このようにして合成された仮の基準情
報ISNは印刷物検査装置側の照明光源と印刷物検
査用基準情報設定装置側の光源８の検出画素位置
による光量補正を行う必要がある（ステツプS₈）。

光量補正のための補正式は ISN′＝g_M.N（ISN） ISN′＝光量補正後の仮の基準情報 ISN：仮の基準情報 g_M,N：画素位置（Ｍ，Ｎ）の光量補正係数 で表現される。

光量が補正された仮の基準情報ISN′に対して、
次に入力ボード１４にて、絵柄として有効な範囲
を、検査領域の寸法として指示したり、或いは予
め印刷機毎にサイズを設定しておき印刷機の番号
を指示すること等により決定する（ステツプS₉）。

さらに、仮の基準情報に基づく検査を印刷物検
査装置にて実行する際の検査基準を設定する（ス
テツプS₁₀）。

即ち、仮の基準情報は本質的に印刷物とは異な
る刷版から得ているものであるため、避け得ない
誤差を含んでいる可能性がある。従つて、仮の基
準情報による検査では正規の基準情報での検査に
比べて許容誤差を大きくとつて実行した方が良い
場合が多い。このステツプS₁₀ではこの許容誤差
を決定する。

また、仮の基準情報は、正規の検査における画
素サイズより粗くとも問題はなく、この場合は印
刷物検査装置の複数画素を仮の基準情報の同一デ
ータに相当させれば良い。

以上の変換及び補正等を終えた仮の基準情報
ISN′は、フロツピーデイスクドライブ装置１３
にて記録媒体としてフロツピーデイスク１３′に
記録され、（ステツプS₁₁）印刷物検査装置に受け
渡される。

この情報量は４色分のデータが１つにまとめら
れるため、Ｂ縦半裁で117Kバイトであり、フロ
ツピーデイスク程度で十分である。印刷物検査装
置においては、フロツピーデイスクドライブ装置
が装備され、これが基準情報メモリーに接続され
ており、仮の基準情報はDMA割込回路の信号に
基づきフロツピーデイスクから基準情報メモリー
に転送記憶される。

また、情報伝達手段として他の記録媒体を利用
しても良いし、ワイヤリングを行なつて、オンラ
インで仮の基準情報を印刷物検査装置に転送して
も問題はない。

仮の基準情報を受け取つた印刷物検査装置は、
印刷開始当初この仮の基準情報と印刷物から検出
される検査情報とを比較し、印刷状態を検査する
ことになる。

なお、上記説明は本発明の一実施例についての
ものであり、本発明は何等この実施例に限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲
での変更は可能である。

以上に述べた如く、本発明にかかる印刷物検査
用基準情報設定装置によれば、従来においては検
査が不可能であつた印刷開始から正常印刷までの
間の印刷物検査装置による検査が可能となり、こ
のため正常印刷移行時点を容易に判断でき、印刷
機オペレータの看視業務等の作業負荷を軽減する
ことが可能となり、かつ印刷物の品質基準の安定
化が図れ、さらに印刷開始時に発生する不良印刷
物の早期発見とフイードバツクによつて不良印刷
物を最小部数に抑えることができるために印刷用
紙、印刷インキ等の材料費の節減が可能となるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の対象となる印刷物検査装置を
輪転印刷機に取り付けた状態を示す説明図であ
り、第２図は本発明の印刷物検査用基準情報設定
装置の１実施例を示す説明図であり、第３図は
CPUにおける処理のフローチヤートである。 ４…検出部、６…処理回路、９…CCDカメラ、
１１…CPU、１２…外部メモリー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 印刷用刷版の画像情報を各分解版毎に画素単
   位で読み取る手段と、 前記読み取られた画像情報を記憶する記憶手段
   と、 前記各分解版毎の画像情報に基づいて、前記各
   刷版によつて全てのインキが刷り重ねられた状態
   に変換した仮の基準情報を算出する手段と、 前記仮の基準情報を印刷物検査装置に伝達する
   手段と から構成されることを特徴とする印刷物検査装
   置用基準情報設定装置。