JPH0457893B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、工作機械のテーブル、位置決めテ
ーブル等の直線運動部分の案内に用いられる直線
運動用ボールベアリングに関する。

出願人は、従来の直線運動用ベアリングにみら
れるような、ボールを軸方向に循環させるために
ベアリング本体の軸方向にボール戻り穴を加工す
るとともに、その戻り穴の端部及び負荷ボール溝
の端部にはボールの方向変換を行わせるために曲
面加工を施し、各両端部にはボールを180度方向
変換させるための方向変換用溝を設けたリターン
キヤツプをかぶせる構成になつているものと全く
異なり、相対向するＪ字状溝を形成した上下部材
と相対向するＪ字状溝及びそのＪ字の先端同士を
連結する溝を上下に形成した中間部材を、負荷ボ
ール溝を形成したベアリング本体の脚部に積層状
に嵌め込んでボールの循環路を形成するようにし
た直線運動用ボールベアリングについて特許出願
（特願昭59−211514）をし、既に特許を得ている
（特公平１−54573号：特許第1570506号）。

この発明は、前記先出願に係る発明の更に改良
に関するものである。

以下本発明の実施例を添付図面に基づいて説明
する。

前記の積層式直線運動用ボールベアリングは、
前記先出願の主題であつて、本発明の主題ではな
いが、本発明を説明するため必要であるから、こ
れについてまず説明を加えることとする。

第３図乃至第５図は、前先記出願に係る発明の
上下部材及び中間部材がベアリング本体に対して
積層状に重ね合わされた状態を夫々三方向からみ
た場合を示すものである。このうち上下部材１，
１′は全く同じ形状のもので、第６図、第７図及
び第９図にその形状を示している。

この上下部材は、相対向するＪ字状の溝１ａが
形成されており、この溝の断面はほぼ半円状にな
つている。なお符号１ｂは後述する中間部材２の
穴２ｂに嵌合することによつて位置決めするため
のガイドピン、１ｃはボールの掬い出し爪であ
る。

一方、中間部材２は第８図、第１０図にその詳
細を示すように、上下部材１，１′の相対向する
Ｊ字状溝１ａと相補う形状の相対向するＪ字状溝
２ａ及びそのＪ字の先端同士を連結する溝２a′を
上下に形成している。対向Ｊ字状溝２ａの断面は
上下部材の対応する溝を補いあつて円周を形成す
るような半円状であり、連結部材の溝２a′はほぼ
４分の１の円周を有するような断面になつてい
る。

符号２ｂは上下部材の前記ガイドピン１ｂを嵌
合せるためのガイド穴である。

前記の上下部材１，１′及び中間部材２の組合
せは、第１１図に示すベアリング本体３の脚部３
ａに嵌め込み、断面半円状の負荷ボール溝３ｂ，
３b′の端面と接合させることによりボールの無限
循環路を形成する。

ボールの組込に際してはベアリング本体３を裏
返しにして組立治具の上に置き、まず、対向Ｊ字
状の溝を有する上側部材１を溝が上側にくるよう
に脚部３ａに嵌め、次いでボール４（第３図参照）
を入れ、その後中間部材２を重ね更にボールを入
れその上に対向Ｊ字状の溝を有する下側部材１′
を積み重ねたのち、ベアリング本体３の端部に上
下部材及び中間部材の積層後の端部の形状に適合
するような形状の溝を有するカバーを両端部から
ボルト締めする。

中間部材２のＪ字状溝のＪ字の先端同士を連結
する溝２a′を形成した部分２ｃは第１２図に示す
軌道台５の溝５ａに沿つて延びており、組み立て
られた状態ではボール４は約４分の１の部分が露
出するだけであるから、ベアリング本体３を軌道
台５から引抜いたときベアリング本体３の負荷ボ
ール溝３ｂ，３b′との間でボール４を保持し、ボ
ールリテーナとしての機能を果たす。そして、ボ
ールの方向変換路は、第３図に示すように径の大
きい円弧状にしてボールの方向変換に際しての抵
抗を著しく減少させることができる。

なお、この積層式直線運動用ベアリングは第１
１図に示すような左右対象のベアリング形状のみ
ならず、ボールの循環機構を具えた片側のみのベ
アリング本体部と軌道台の部分と夫々ユニツト式
のモジユールとし、これらのモジユールを他の機
械部品（例えば、工作機械のテーブルとベツド）
に夫々ねじ止めすることによつて直線運動用ボー
ルベアリングとして用いることができる。そし
て、ボール溝の形状をサーキユーラー溝型とする
ことにより四方向に等しく荷重を受けるようにす
ることができることも当然である。この場合は、
第１２図に示す軌道台とボールの接触角αを水平
方向に対して約45°に設定する。

なお、上下及び中間部材の端部形状は半円形の
ものを図示しているが、矩形等にしてもよい。

ところで、本発明は、上記発明における上下部
材を半割チユーブに置き換えたものであり、第１
図に組合わせた状態の正面図を、第２図にチユー
ブのみの上面図を夫々示す。中間部材２は上記発
明のものと実質的に同一のものでよいが、上下部
材１の前記ガイドピン１ｂ，１ｂを嵌合させるた
めのガイド２ｂ，２ｂは不要となる。

半割チユーブ６は第２図に示すように対向Ｊ字
状をなし、ボールの掬い出し用の爪６ａを両端に
有している。

第１３図は、積層した上下部材と中間部材をベ
アリング本体３に取付けるためのカバー７を示す
ものである。上下部材と中間部材のボール方向変
換部と直線部分に嵌合する溝７ａがＬ字状に設け
てある。符号７ｂは環状の突起であつて、ベアリ
ング本体３の端面に設けられた穴３ｄに嵌め込め
ことによつて、カバー７の位置決めを容易にする
ようにしたものである。

このカバー７は、上方から見た形状がコの字型
をしていて、同一の形状をした一対のカバー７を
両端から、突起７ｃと穴７ｄが夫々相手の穴と突
起に嵌合するように組み合わせて用いるものであ
る。符号７ｅは潤滑剤供給用の一対の溝である。
このカバー７は環状突起７ｂを通して本体３にボ
ルト締めすることによつて、固定する。

本発明による直線運動用ボールベアリングを、
以下、詳細に説明する。

第１４図は、本発明に適用される中間部材２０
と、この中間部材２０に取付けられる半割チユー
ブからなる上下部材６，６とボール８とを示した
分解斜視図である。

中間部材２０の半円状突起２１は、上下部材６
のＪ字状の半円部内周縁６ｂに嵌合して、上下部
剤６，６の位置決め機能を果たす。中間部材２０
の上下貫通穴２２，２２と、上下部材６，６の切
欠６ｄ，６ｄは、潤滑グリース又はオイル等の潤
滑剤の供給路で、第１６図及び第１９図に示され
るグリースニツプル３１から、第１３図に示され
るカバー７に設けられた潤滑剤供給用の孔７ｈ及
び溝７ｅを通り、上側部材６の切欠６ｄ、中間部
材２０の上下貫通穴２２、下側部材６の切欠６ｄ
の順でボール８に供給される。なお、一対のカバ
ー７のうち、どちらかのカバーの穴７ｈに埋栓を
しておくことは言うまでもない。

なお、第１５図は本発明の直線運動用ボールベ
アリングに取付けられる一体型シール３０の斜視
図である。

第１６図は、ベアリング本体３、中間部材２
０、一対の上下部材６，６、一対のカバー７，
７、多数のボール８、及び一体型シール３０とを
有してなる本発明の直線運動用ボールベアリング
が軌道台５に挿通させたものの斜視図である。

第１７図及び第１８図は、夫々第１６図の直線
運動用ボールベアリングの断面図、第１９図は第
１６図の直線運動用ボールベアリングの一部断面
を含む上面図である。

第１６図乃至第１８図から明らかなように、中
間部材２０及び上下部材６，６は、積層状に重ね
られ、ベアリング本体３の脚部３ａにおける端面
３ｃと中間部材２０の軸方向内側端面２３とが接
するように、また、ベアリング本体３の外側面と
中間部材２０の内側側面２４とが接するように、
脚部３ａに嵌め込まれる。

一対のカバー７，７は、ベアリング本体３の脚
部３ａに嵌め込まれた中間部材２０及び上下部材
６，６を固定するためのものであり、溝７ａ内で
中間部材２０及び上下部材６，６を抱持するよう
に軸方向両端から嵌め合わされる。第１９図に示
されるように、カバー７，７の環状突起７ｂ，７
ｂは、ベアリング本体３の端面３ｃに設けられた
穴３ｄに嵌合し、カバー７，７の位置決めを容易
にしている。また、突起７ｃと穴７ｄも互いに嵌
合する。

次に、本発明の直線運動用ボールベアリングの
組立方法を第２０図を参照して説明する。組立に
は第２１図及び第２２図に示される２つの治具が
使用される。

まず、一方の組立治具４０の第１凹部４０ａ内
にベアリング本体３を裏返しに置く。ベアリング
本体３の脚部３ａの間に他方の組立治具４１を差
し入れる。これらの組立治具４０，４１はナイロ
ン等の合成樹脂製である。組立治具４１の長さは
ベアリング本体３の長さより長く、第２０図に示
すように、組立治具４０の第２凹部４０ｃ内にこ
れを置いたとき、組立治具４１が水平になるよう
に凹部４０ａの高さが設定されている。

半割チユーブの上側部材６は、溝が上向きにな
るように脚部３ａに嵌め込まれる。上部部材６は
組立治具４０の段部４０ｂに置かれ、水平に維持
される。このとき、上側部材６のＪ字状溝の先端
は、ベアリング本体３の脚部３ａにおける負荷ボ
ール溝３ｂの端面に整列する。

次いで、半割チユーブの溝内にボール８が充填
される。また、ベアリング本体３の負荷ボール溝
３ｂにもボールが充填される。負荷ボール溝３ｂ
内のボールは組立治具４１の傾斜部４１ａによつ
て脱落を防止される。すなわち、第２３図に示さ
れるように、組立治具４１の傾斜部４１ａは、負
荷ボール溝３ｂからボール８が脱落しないように
機能する。

次に、中間部材２０がベアリング本体３の脚部
３ａに嵌め込まれる。中間部材２０軸方向内側端
面２３，２３がベアリング本体３の脚部３ａの端
面３Ｃ接し、中間部材２０のＪ字状溝２５（第２
０図において下側）と、Ｊ字状溝２５の先端同士
を連結する溝２６にボール８が嵌まる。ベアリン
グ本体３の脚部３ａの負荷ボール溝３ｂでは、第
２４図に示されるように、ボール８が完全に抱持
され、ボール８が脱落することはなくなる。

第２０図において上側に位置する中間部材２０
のＪ字状溝２５及びこのＪ字状溝２５を連結する
溝２６に、ボール８が入れられる。また、ベアリ
ング本体３の脚部３ａの負荷ボール溝３b′には、
負荷ボール溝３b′の端面からボール８が入れられ
る。なお、負荷ボール溝３b′内のボール８は、負
荷ボール溝３b′が半円であること、及びＪ字状溝
を連結する溝２６が４分の１の円周を有すること
から、第２５図に示されるように、これらの部材
の協働作用によつてボール８は脱落しないように
保持される。

次に、半割チユーブの下側部材６が溝を下側に
して積み重ねられる。第２６図に示されるよう
に、上下部材６，６と中間部材２０が積層して取
付けられたベアリング本体３を、治具４０の凹部
４０ａからベアリング本体３の長さの約３分１程
度押し出し、裏返しにしたカバー７の溝７ａ内に
上下部材６，６及び中間部材２０の積層物を嵌め
込む。そして、第１９図に示すように、カバー７
の環状突起７ｂとベアリング本体３の端面３Ｃの
穴３ｄとが互いに嵌合して、カバー７とベアリン
グ本体３とが端面において接し合うまでベアリン
グ本体３を押し出す。

一つのカバー７を取付けたベアリングを組立治
具４０から抜き取り、他方のカバー７を同様に嵌
合させる。他方のカバー７の環状突起７ｂとベア
リング本体３の端面３Ｃの穴３ｄとが嵌合すると
ともに、カバー７，７の突起７ｃ，７ｃと穴７
ｄ，７ｄとが嵌合する。そして、第１６図及び第
１９図に示されるように、シール３０を取付け、
ボルト２１で両端からシール３０及びカバー７，
７をベアリング本体３にボルト締めする。一方の
カバー７の穴７ｈにグリースニツプル３１を取付
け、他方のカバー７の穴７ｈに埋栓を取付ける。
そして、軌道台５に組立の完了したベアリングを
差し込むと第１６図に示す直線運動ベアリングが
完成する。

なお、本発明において、「Ｊ字状」とは〓形の
角（かど）の部分にＲをもたせた形状も含むもの
である。

発明の効果 本発明は以上のように構成されているから、従
来必要とされていたリターンキヤツプが不要とな
つて、部品点数が少なくてすむほか、ベアリング
本体のボール戻り穴の加工及びボール出入部の曲
面加工の必要性がなくなり、製造コストが安くな
る効果がある。

また、ボールリテーナを別途設ける必要がない
ことからも部品点数が少なくなるし、ボールの方
向転換部の形状を理想的な大径の円弧状とするこ
とにより、ボールの方向変換に対する抵抗が著し
く減少する効果がある。更に、上下及び中間部材
の溝内に樹脂コーテイングを施すことにより、ボ
ールを滑り易く騒音を小さくすることもできる。

そして、製造工程においても組立が極めて容易
になるとともに、樹脂、プレス成形、切削、精密
鍛造等の方法で上下又は中間部材を製造すること
ができるので、この点からも製造コストの減少を
はかることができる。

また、上下部材は強度を要求されるボールの掬
い出し爪部を有するのでこれを金属製半割チユー
ブとし、中間部材は樹脂製とすれば、強度にすぐ
れかつボールの走行騒音の少ないものを製造する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による積層体の正面図、第２図
は半割チユーブの上面図、第３図乃至第１３図は
先願に係る発明を示し、第３図乃至第５図は、上
下部材及び中間部材をベアリング本体に対して組
立た場合の夫々上面図、正面図及び側面図、第６
図、第７図は上下部材の夫々上面図及び側面図、
第８図は中間部材の上面図、第９図は上下部材の
斜視図（ただし、第６図のものを裏側から見てい
る）、第１０図は中間部材の斜視図、第１１図は
ベアリング本体の正面図、第１２図は軌道台の正
面図、第１３図は取付カバーの斜視図、第１４図
乃至第２６図はさらに本発明の実施例を示し、第
１４図は上下部材及び中間部材の分解斜視図、第
１５図は一体型シールの斜視図、第１６図は軌道
台と一部を破断した直線運動用ボールベアリング
の斜視図、第１７図は第１６図の１７−１７線断
面図、第１８図は第１７図の１８―１８線断面
図、第１９図は一部を破断した直線運動用ボール
ベアリングの上面図、第２０図は直線運動用ボー
ルベアリングの治具を使用した組立状態を示す斜
視図、第２１図は一方の組立治具の斜視図、第２
２図は他方の組立治具の斜視図、第２３図は他方
の組立治具によつて負荷ボール溝内のボールが脱
落を防止されている状態を説明する断面図、第２
４図及び第２５図は負荷ボール溝内のボールが中
間部材によつて抱持されている状態を示す断面
図、第２６図は上下部材及び中間部材が取付けら
れたベアリング本体をカバーに挿入する状態を示
す正面図である。 ２，２０……中間部材、２ａ……相対向するＪ
字状溝、２a′……連結溝、３……ベアリング本
体、３ａ……脚部、３ｂ，３b′……負荷ボール
溝、６……上下部材（半割チユーブ）、７……カ
バー、８……ボール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 相対向するＪ字状の半割チユーブから成る上
   下部材と相対向するＪ字状溝及びそのＪ字の先端
   同士を連結する溝を上下に形成した中間部材を、
   負荷ボール溝を形成したベアリング本体の脚部に
   積層状に嵌め込んで、ベアリング本体の脚部を囲
   む上下２列のボールの循環路が形成されるように
   したことを特徴とする直線運動用ボールベアリン
   グ。