JPH0455397B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、高解像の文字あるいは画像を印刷す
るのに好適な、転写媒体に関するものである。 従来の技術 近年、オフイスオートメーシヨンの発展により
種々の端末機が要求されている。中でも電気信号
を可視像に変換する記録装置、いわゆるプリンタ
の需要は大きいものであるが、性能的に満足のゆ
くものが少ない。例えば、一般的に用いられてい
る記録方式として、インクジエツト、電子写真方
式、熱転写方式等があるが、液体あるいはトナー
等の粉体を用いるため、装置の保守、操作性が複
雑であつたり、サーマルヘツドを用いるため、ヘ
ツド寿命が短い、印字速度が遅い等の問題があつ
た。 そこで高速で比較的解像度の良い文字あるいは
画像を得る方法として、放電転写法が知られてい
る。 例えば、特公昭45−19819号公報に示されてい
る。サーモグラフ複写法、特公昭57−22030号公
報の転写媒体等がある。 以下、従来の放電転写法を図面に従つて説明す
る。第２図は、転写媒体の断面図であり、１は支
持体、２は光反射層、３は熱転写層を示す。第３
図〜第５図は前記転写媒体を用いた印刷工程を示
す図であり、４は受像紙、５はキセノンランプ、
６は閃光を示す。印刷工程は、第３図の如く周知
の放電破壊記録の手段により光反射層２を情報の
パターンに応じて除去する。次に第４図の如く熱
転写層３を塗布した面と受像紙４を密着させキセ
ノンランプ５により赤外線を含む閃光６を照射す
ると、光反射層２が残つている部分に照射された
閃光は反射され、光反射層２が除去された部分に
照射された閃光は、支持体１を通過して熱転写層
３に吸収され熱に変換される。この熱により転写
層中の溶融性インクが加熱され、密着した受像紙
４に転写し定着される。この後、受像紙を転写媒
体から分離すれば、第５図の印刷物が得られる。 カラーの転写を行う場合、第６図の如く光熱変
換層７を設けた転写棒体が必要であり、白黒の場
合と同様の工程で、カラー転写を行うことうがで
きる。 また、第７図の如く光透過性の支持体上に放電
破壊記録で除去可能な光反射層を設けた放電破壊
記録シート８と支持体の一面に熱転写層を設けた
熱転写シート９とを互いの支持体同志が密着する
様に重ね合せて使用する分離型の形態も提案され
ている。 発明が解決しようとする問題点 しかしながら上記のような放電破壊記録シート
と熱転写シートとが一体化されている構成では、
転写媒体が多層のシートとなりシート圧が増し、
それによりシートの「腰」が強くなり、転写媒体
と受像紙とを密着させることが難しくなる。その
結果、受像紙の表面平滑性、受像紙と転写媒体と
の密着状態により転写後の品質が大きく影響され
る。つまり転写媒体と受像紙とが確実に接触して
いる部分の熱転写層だけが受像紙へ転写するた
め、高品質の文字や画像を得る為には、受像紙の
表面平滑性は高くなればならず、かつ受像紙と転
写媒体との密着を上げるため密着圧を大きくする
必要があつた。そのため受像紙は、平滑性の高い
上質紙を用いることが必要となり、また転写時の
密着圧を上げるため、記録装置が大がかりとなり
装置コストの上昇や、転写速度の低下につながつ
た。 また、放電破壊記録シートと熱転写シートを分
離した構成では、熱転写シートの厚みを薄くする
ことが出来るため、受像紙と熱転写シートが比較
的密着しやすくなり、密着圧の低減、受像紙の表
面平滑性の許容範囲の拡大など一体型の転写媒体
と比較すると、かなり良好な印字が得られるが、
密着圧は、それなりに必要であり受像紙の表面平
滑性もある程度高いものを選定することが、必要
であつた。本発明は上記問題点に鑑み、放電破壊
記録シートと熱転写シートを分離して用いる構成
の転写媒体に於て、高解像の文字や画像を表面平
滑性の低い受像紙に対しても、小さな密着圧で実
現可能な転写媒体を提供するものである。 問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明の転写媒体
は、シート上支持体の一面に熱転写層を形成し他
面に光熱変換物質を含有した熱分解性発泡層が設
けられている熱転写シートと放電破壊記録シート
とを重ねて用いる。さらに必要に応じて放電破壊
記録シートの支持体と光反射層の中間に、シリ
カ・アルミナ等を含む粗面化層を設けた構成と成
つている。 作 用 本発明は上記した構成の熱転写シートと放電破
壊記録シート及び受像紙を重ね合せて、キセノン
ランプ等の閃光の短時間照射により鮮明な文字や
画像を受像紙に印刷するものである。まず放電破
壊記録シートを通常の放電破壊記録装置にて、所
望のパターンを記録し光反射層を除去する。受像
紙と熱転写シートの熱転写層を重ね合わせ、さら
に放電破壊記録シートの光反射層側が表面に成る
ように３枚のシートを重ね、光反射層側から閃光
を照射する。照射された閃光は、光反射層が除去
された部分を通過し、熱転写シートへ到達する。 到達した閃光は、熱転写シートノ光熱変換物質
の働きにより光から熱に変換され、熱溶融性イン
クを溶かす、さらにその熱により熱分解性発泡剤
が分解し、分解ガスを発生する。発生した分解ガ
スは、熱転写シートを強く受像紙に押し付け、表
面平滑性の低い受像紙に対しても高解像の文字や
画像が得られるものである。さらに、平滑性の良
好な受像紙を用いると、これまで転写品質の大き
な低下の原因であつた、白抜け・転写むらが、改
善され、高品質の転写品像が得られた。また、こ
の転写媒体は、熱溶融性インクをカラー化するこ
とにより、カラー転写媒像も白黒と同様の転写エ
ネルギーで、高品質の転写像が、得られた。 実施例 第１図は、本発明の転写媒体の断面図であり、
１０は光透過性のの支持体上に放電破壊で除去可
能な光反射層を設けた放電破壊記録シートで、１
１の熱転写シート重ねて用いられる。１３は、光
透過性の支持体であり、ポリエチレンテレフタレ
ート（以下PETと称する）、ポリカーボネート等
の各種耐熱性樹脂フイルムが用いられる。 １２は、光反射層で放電破壊により除去可能
な、アルミニウム・亜鉛等の金属蒸着膜が適用さ
れる。 その際、放電記録特性を良好にするために、シ
リカ・アルミナ・水和アルミ等の微粒子を含有し
た透明性の高い粗面化層を支持体と光反射層の中
間に設けた方が、好ましい。 １１の熱転写シートは、光透過性にこだわらな
い支持体１５の一面に、カーボンや黒鉛等の光熱
変換物質と熱分解性発泡剤を耐熱性の良好なエポ
キシ樹脂、フエノール樹脂、ポリスルホン、エス
テル系樹脂等の結着剤を用いて塗布し、他面に熱
転写層１６を設けた構成となつている。熱分解性
発泡剤は、ある温度以上で発泡が生じるものが好
適に使用され、アゾジカルボンアミド・ジニトロ
ソペンタテトラミン等の有機発泡剤、或いは炭酸
水素ナトリウム・カルシウムアジド等の無機発泡
剤をもちいる。熱転写層１６は、通常の熱転写に
用いられる熱溶融性インクが適用され、カーボ
ン、フタロシアニン系顔料や無機染料、及びカル
ナバワツクス、パラフインワツクス等の各種ワツ
クス類、及びブチラール樹脂、酢酸ビニル樹脂等
の熱可塑性樹脂類、また必要に応じて、オイル可
塑性剤等が添加されている。以下実施例を用いて
説明する。 実施例 １ 厚さ25μｍのPETフイルムの一面に微細シリカ
を含む透明に近い粗面化層を10μｍの厚さで設
け、その上にアルミニウムウを500Åの厚さで真
空蒸着を施して、放電破壊記録が可能な放電破壊
記録シートを得た。さらに6μｍのPETフイルム
一面に下記の処法の光熱変換物質を含有した熱分
解性発泡層を乾燥後3μｍの厚さになる様、ワイ
ヤーバーにて塗布した。 ポリエステル樹脂（バイロン200） 東洋紡績(株) ９ｇ イソシアネート（コロネートＬ） 日本ポリウレタン １ｇ カーボン ２ｇ 発泡剤 （セルマイクＨ・三協化成(株)） ２ｇ トルエン 86ml さらに他の一面に下記の処法の熱溶融解性イン
クを3μｍの厚さになる様に塗布し、熱転写シー
トを作製した。 カルナバワツクス 3.5ｇ パラフインワツクス 3.5ｇ カーボン（20％トリエン分散液） ５ｇ トルエン 40ml 比較例 １ 厚さ6μｍのPETフイルムの一面に実施例１で
用いた熱溶融性インクを3μｍの厚さになるよう
に塗布し熱転写シートを得た。 実施例で得られた放電記録シートを通常の放電
破壊記録装置を用いて、印加電圧−45V、解像度
８本／mmで、文字とベタの２種類の放電記録を行
つた。 転写装置として、ゼノフアツクスFX−180（理
想科学(株)）を用い、転写時の密着圧と印字品質、
及び受像紙の表面平滑性と印字品質の関係を明ら
かにした。 転写方法は、記録剤の放電記録シートの支持体
と熱転写シートの熱分解性発泡層が密着する様に
重ね、さらに受像紙を熱転写シートに重ね、放電
記録シートの光反射層側から閃光を照射し、受像
紙に熱溶融性インクを転写させた。表１に転写結
果を示す。

【表】 ラフ紙は、表面平滑性がベツクで平滑度で４秒
のボンド紙を用い、密着圧は、受像紙と転写媒体
間の押圧を測定した。評価基準は、文字の場合
は、線の途切れや濃度不足の場合を×、一部文字
のかすれがみられる場合を△、目視にてほぼ正常
の文字と認めた場合を○とした。 ベタの場合、マクベス濃度計で、1.0以上の濃
度が得られた場合を○とした。表−１の転写結果
より明らかな様に、本発明の実施例の転写媒体を
用いると、密着圧５ｇ／cm²というわずかな押圧
で、表面平滑度４秒という粗い受像紙を用いても
高品位の文字が得られ、またベタの転写濃度もマ
クベス濃度計で1.0以上の濃度が得られた。 これに対し従来例では、明らかに密着圧と印字
品質とに相関があり、コピー用紙に鮮明な文字を
得るためには、500ｇ／cm²の押圧が必要となる。 また平滑度４秒というラフ紙に対しては、１
Kg／cm²以上の強力な押圧が必要となり、記録装置
も大がかりとなるばかりか、記録速度も大幅に低
下してしまう。 実施例 ２ 6μｍ厚のPETフイルムの一面に、実施例１で
用いたと同様の処方の光熱変換物質を含有した熱
分解性発泡層を3μｍの厚さになるうように塗布
した。 さらに下記の処法で熱溶融性インクを配合し、
ホツトメルトコータで、厚さ3μｍになるように
塗布した。 パラフインワツクス ６ｇ カルナバワツクス ２ｇ ステアリン酸 １ｇ レーキーレツド ２ｇ 得られたマゼンタ色の転写媒体を用いて実施例
１で用いた放電記録シートを重ねて転写実験を行
つたところ、実施例１と同様の転写エネルギー
で、鮮明なマゼンタ色の印刷物を得た。また受像
紙の表面平滑度及び密着圧との関係も実施例１の
白黒の場合と同様の結果を得た。 また発泡層に含有される熱分解性発泡剤は、前
工程の処理条件から70℃以上の発泡開始温度を有
し、転写ネエルギーの点から150℃以下の発泡開
始温度を有しているものが望ましい。また熱分解
により発生するガスは、臭いが無く、腐食性もな
い、チツ素ガス等が望ましい。光熱変換物質とし
ては、カーボンもしくは黒鉛が一般的に用いられ
る。なお本実施例では、転写に用いる閃光をキセ
ノンフラツシユとしたが、本発明は、これに限定
されるものでは無く、赤外線を含む熱線であれば
良い。 発明の効果 以上のように本発明は、シート状支持体の一面
に熱転写層を形成し、他面に光熱変換物質を含ん
だ熱分解性発泡層を設けた熱転写シートと、光透
過性の支持体状に放電破壊で除去可能な光反射層
を設けた放電記録シートと重ねて用いることによ
り、表面平滑性の低いラフ紙に対しても、小さな
密着圧で、高品位の印刷が可能となる。 それにより記録装置の小型化、高速化が図れ、
カラー画像も白黒の場合と同様の転写エネルギー
で、高品質の印刷ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の転写媒体の断面図、第２図
は従来の転写媒体の断面図、第３図、第４図、第
５図は記録方式を示した断面図、第６図は、従来
のカラー用の転写媒体の断面図、第７図は、分離
型の転写媒体の断面図である。 １……支持体、２……光反射層、３……熱転写
層、４……受像紙、５……キセノンフランプ、６
……閃光、７……転写された熱溶融性インク、
８，１０……放電記録シート、９，１１……熱転
写シート、１２……光反射層、１３……光透過性
支持体、１４……光熱変換物質を含む熱分解性発
泡層、１５……支持体、１６……熱転写層、１７
……受像紙。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支持体の一面に熱分解性発泡剤を含有した光
   熱変換層、他面に熱転写層をそれぞれ形成した熱
   転写シートと、光透過性支持体上に放電破壊記録
   で除去可能な光反射層を設けた放電破壊記録シー
   トとを重ねて用いることを特徴とする転写媒体。 ２ 光熱変換物質として、カーボンもしくは、黒
   鉛を用いることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の転写媒体。 ３ 熱分解性発泡層に用いている熱分解性発泡剤
   の発泡開始温度が、70℃以上かつ150℃以下であ
   ることを特徴とした特許請求の範囲第１項記載の
   転写媒体。 ４ 光透過性の支持体と光反射層の支持体と光反
   射層の中間に粗面化層を設けたことを特徴とする
   特許請求の範囲第１から３項のいずれかに記載の
   転写媒体。