JPH045442B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水平に折畳んで、たとえば劇場や競
技場等の階段状の床台の下方に設けた空洞に収納
しうる椅子に関するものである。

〔従来の技術〕

床台上に、椅子の脚柱の下端を、前倒しうるよ
うに枢支して、使用時にはほぼ垂直にロツクし、
不使用時にはロツクを解除して、座板と背板を重
合させて水平とし、階段状の床台の下方に収納す
る際に便利な椅子は、たとえば実公昭59−126号
公報および実公昭59−1555号公報等により公知で
ある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし従来の椅子は、座板の下方に設けたレバ
ーの操作により、脚柱のロツクを解除するように
なつているので、座板を折畳んだ椅子を水平とす
る際、椅子を保持しながら行なうレバー操作が面
倒であり、また着席中に、なんらかの原因でレバ
ーが作動すると、着席したまま椅子が前倒する危
険があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、床台の直下に設けた左右１対のサス
ペンシヨンレールの、床台より前方に出没する走
行片の前部同士を、前方より順に前方停止杆と支
軸と後方停止杆をもつて連結するとともに、支軸
の下方に係合ピンを内向突設し、支軸に、椅子の
左右１対の脚柱の、脚柱垂直時の下部に突設した
脚柱と同方向に長手の長孔を係合し、かつ脚柱の
下端に、脚柱が下降した時、係合ピンが後方より
係合する切欠部を切設し、さらに、各脚柱の内側
面における脚柱垂直時の長孔の上方に、上下方向
を向いて下端が支軸に当接する押圧杆を昇降自在
に設けて、その上端に、上面がへ字形に凹入する
押圧カムを固着し、両脚柱の前部かつ脚柱垂直時
の押圧カムの上方を連結する枢軸に、左右１対の
支板を枢設して、各支板における枢軸の後方、か
つ枢軸と押圧カムの上面凹入部の最奥部までの間
隔より若干長寸の個所に、押圧ピンを内向突設
し、前記両支板に座板を架設することにより、上
述の課題の解決を図つたものである。

〔作用〕

本発明の椅子は、着席可能時は支板の押圧ピン
が押圧カムの後上方に位置し、サスペンシヨンレ
ールの支軸が脚柱の長孔の上部に係合し、脚柱下
部の切欠部が係合ピンに係合するとともに、脚柱
は、前後回動不能にサスペンシヨンレールに支持
されている。

この状態の椅子の座板を上方に回動させると、
押圧ピンが前下方に回動して、押圧カムと押圧杆
を押し下げようとするが、押圧杆の下端が支軸に
当接しているので、脚柱が上昇して、下端の切欠
部が係合ピンより離脱する。従つて、脚柱と座板
の支軸まわりに前倒すれば、脚柱は前方支持杆に
水平に支持されて、床台の下に収納することがで
きる。

床下に収納された椅子を引き出して、脚柱を座
板とともに垂直に引き起し、ついで座板のみを水
平に前倒すれば、各部材は上述と逆に作動して、
脚柱と座板は、着席可能な状態に固定される。

〔実施例〕

図面は、観覧席の階段状の床台１に設置した本
発明の椅子を示すもので、第１図において、前方
の椅子A₁は、着席可能な状態、中央の椅子A₂は、
垂直に折畳まれた状態、後方の椅子A₃は、折畳
んで前倒した状態を示すものである。

各床台１の下方には、水平をなし、かつ前端が
開口する空洞２が形成され、その左右両側面に
は、互いに対向する１対のサスペンシヨンレール
３が装設されている。

第２図と第３図に示すように、両レール３の走
行片３ａの対向面の前下端同士は、前方停止杆４
をもつて、その後上方同士は、支軸５をもつてま
たその後上端同士は、後方停止杆６をもつて連結
され、前方停止杆４の後方、かつ支軸５の下方に
は、係合ピン７が突設されている。

第２図に示す椅子A₁におけるほぼ上下方向を
向き、かつ上端に背板８が架設された、左右１対
の脚柱９は、その下端近くに穿設した長手方向を
向く長孔１０の上端において、上記支軸５に枢支
されている。

脚柱９の下端に設けた切欠部１１は、前方より
係合ピン７に係合し、かつ脚柱９の後縁下部が、
前方より後方停止杆６に当接することにより、前
後回動不能としてレール３に支持されている。

両脚柱９の対向面における長孔１０の上方に
は、軸受板１２をもつて、上下方向を向き、かつ
下端が支軸５に当接する押圧杆１３、昇降自在に
支持されている。

押圧杆１３の上端には、前後方向を向き、かつ
上面に、側面形が下向へ字形に凹入する受圧溝１
５は切設された押圧カム１４が固着されている。
押圧杆１３における軸受板１２と押圧カム１４の
間には、圧縮ばね１６が巻装されている。

両脚柱９の対向面前部における押圧カム１４の
上方は、枢軸１７をもつて連結され、枢軸１７の
両端には、前方を向く左右１対の支板１８が枢支
されている。

支板１８の外面後端には、側方を向く押圧ピン
１９が突設され、同じく上面には座板２０が架設
されている。

押圧ピン１９と枢軸１７の間隔は、第２図に示
す状態における枢軸１７と押圧溝１５の最凹部ま
での間隔より若干長寸に定められている。

上述状態の椅子A₁は、その座板２０を跳ね上
げて、背板８と重合させると、第４図に示す椅子
A₂のように、支板１８とともに、押圧ピン１９
が前下方に回動して、受圧溝１５の最凹部に突入
し、押圧カム１４とともに押圧杆１３を、ばね１
６に抗して押し下げようとする。

しかし、押圧杆１３の下端が支軸５に当接して
いるので、支板１８に枢軸１７をもつて枢着さ
れ、かつ下端の長孔１０が支軸５に係合する両脚
柱９は、押圧ピン１９及び支板１８とともに上昇
し、その切欠部１１は係合ピン７より離脱する。

従つて、第５図に示す椅子A₃のように、椅子
全体を、支軸５まわりに、脚柱９の前縁下部が、
前方停止杆４に当接するまで、水平に前倒するこ
とができる。

そして、図示を省略したが、レール３に沿い、
第５図矢印で示すように、椅子A₃を、後方の床
台１下方の空洞２に収納することができる。

収納された椅子A₃は、これを引き出して椅子
A₂のように垂直とした後、椅子A₁のように、座
板２０を水平に倒せば、脚柱９が自動的にロツク
されて、着席可能の状態となる。

〔本発明の効果〕

上述のように、本発明の椅子は、着席していた
状態から離席して、単に座板を跳ね上げるだけ
で、脚柱のロツクが自動的に解除されて、前倒さ
せることができる。

また、水平に折り畳まれた椅子は、これを垂直
に立て起こして、座板を水平とするだけで、脚柱
がロツクされるので、その操作が、従来の同種の
椅子に比し、甚だ簡単である。

さらに、着席中は、絶対に脚柱のロツクが解除
されることがないので安全であり、競技場等の観
覧席の階段状の床台に設置して、不使用時には、
床台下面に設けた空洞に収納する椅子として甚だ
優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図は、階段状の床台に設置した本発明の椅
子の側面図、第２図は、第１図における前方の椅
子の要部拡大中央縦断側面図、第３図は、同じく
拡大前面図、第４図は、第１図における中央の椅
子の要部拡大中央縦断側面図、第５図は同じく後
方の椅子の要部拡大中央縦断側面図である。 A₁，A₂，A₃……椅子、１……床台、２……空
洞、３……サスペンシヨンレール、３ａ……走行
片、４……前方停止杆、５……支軸、６……後方
停止杆、７……係合ピン、８……背板、９……脚
柱、１０……長孔、１１……切欠部、１２……軸
受板、１３……押圧杆、１４……押圧カム、１５
……受圧溝、１６……圧縮ばね、１７……枢軸、
１８……支板、１９……押圧ピン、２０……座
板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 床台の直下に設けた左右１対のサスペンシヨ
   ンレールの、床台より前方に出没する走行片の前
   部同士を、前方より順に前方停止杆と支軸と後方
   停止杆をもつて連結するとともに、支軸の下方に
   係合ピンを内向突設し、支軸に、椅子の左右１対
   の脚柱の、脚柱垂直時の下部に突設した脚柱と同
   方向に長手の長孔を係合し、かつ脚柱の下端に、
   脚柱が下降した時、係合ピンが後方より係合する
   切欠部を切設し、さらに、各脚柱の内側面におけ
   る脚柱垂直時の長孔の上方に、上下方向を向いて
   下端が支軸に当接する押圧杆を昇降自在に設け
   て、その上端に、上面がへ字形に凹入する押圧カ
   ムを固着し、両脚柱の前部かつ脚柱垂直時の押圧
   カムの上方を連結する枢軸に、左右１対の支板を
   枢設して、各支板における枢軸の後方、かつ枢軸
   と押圧カムの上面凹入部の最奥部までの間隔より
   若干長寸の個所に、押圧ピンを内向突設し、前記
   両支板に座板を架設してなる観覧席用椅子。