JPH0452892Y2

JPH0452892Y2 -

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Publication number: JPH0452892Y2
Application number: JP1983086692U
Authority: JP
Priority date: 1983-06-06
Filing date: 1983-06-06
Publication date: 1992-12-11
Also published as: JPS59190018U

Description

【考案の詳細な説明】〔考案の技術分野〕本考案は、難燃性に優れ、かつ燃焼時には有害
な腐蝕性ガスを全く発生せず、煙の発生が少ない
難燃、低煙同軸ケーブルに関する。

〔考案の背景〕

近年、ビルデイング用配線や機器内配線の難燃
性に対する要求は益々厳しくなつており、難燃性
であることは言うまでもなく、発煙性も少なく、
その上人体及び機器に悪影響を及ぼす有害なガス
を発生しないことが求められている。

通常ビルデイングの内部配線に用いられる電線
被覆材料として難燃性、低煙性に優れたフツ素樹
脂が用いられることが多い。しかし、フツ素系の
樹脂は、燃焼時にフツ酸等の腐蝕性の強い有害な
ガスを発生することが知られている。

その上、フツ素樹脂が高価であるという経済的
な問題もある。そこで、難燃性、低煙性に優れ、
かつ腐蝕性ガスが発生しないという材料が必要と
なるのである。有害な腐蝕性ガスを出さないとい
うことから、ポリ塩化ビニル等の分子内にハロゲ
ンを有する樹脂や、ハロゲン系の難燃剤を添加す
るという方法は、不適当である。一般に、ハロゲ
ンを含まないポリオレフイン樹脂をベースに、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和
金属酸化物を多量に添加することがよく知られて
いる。今難燃性の評価方法の１つである酸素指数
法（JIS−Ｋ−7201）によつて、水和金属酸化物
及び金属炭酸塩を充填したポリオレフイン樹脂組
成物の酸素指数を測定し、第１図に示した。

第１図において、１は炭酸マグネシウム、２は
水酸化マグネシウム、３は水酸化アルミニウム、
４はホウ酸亜鉛の充填剤量に対する酸素指数の変
化を示す。一般に難燃性を酸素指数で表わす場
合、水平難燃程度で酸素指数は22〜25，垂直難燃
で27〜30以上必要と言われている。今、垂直難燃
の難燃度である酸素指数30を達成するに必要な充
填剤量を第１図から求めると、100重量部以上の
添加が必要である。

発煙性については、NBSスモークデンシンテ
イーチヤンバーを用いて測定し、フレーミングで
の最大煙密度（Dm）を求めた。低煙材料として
用いられるフツ素樹脂のDmは、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
（FEP）では40程度、ポリビニリデンフルオライ
ド（PVDF）では125程度である。一方、同じフ
ツ素樹脂であるエチレン−四フツ化エチレン共重
合体（ETFE）は、発煙性が高く低煙材料として
は使用できないと言われており、そのDmは150
程度である。このことから、低煙材料として必要
なDmは125以下であると言える。

第２図に、水和金属酸化物及び金属炭酸塩を充
填したポリオレフイン樹脂組成物のフレーミング
でのDmを示した。第２図における符号は、第１
図と同様の充填剤を示す。この図から、明らかな
様に、発煙量は充填剤添加量が増加するに従い減
少してゆく。従つて、大きな減煙効果を得る為に
は、多量の充填剤の添加が必要となる。又、減煙
効果の最も高いのは第２図より、ホウ酸亜鉛であ
ることがわかる。しかし、第１図の酸素指数から
ホウ酸亜鉛は難燃性に劣り、単独での使用ができ
ないこともわかつた。

次に使用するポリマーとしては、充填剤が多量
に添加出来るもので、ハロゲン等の腐蝕性ガス発
生の原因となるものを含まないものが望ましい。
この様なポリマーとして、EPゴム等のゴム類、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−
オレフイン共重合体等がある。これらのポリマー
の中でも、酢酸ビニル含有量が50重量％以上であ
るエチレン−酢酸ビニル共重合体は、200〜300重
量部の充填剤を添加しても成形出来きベースポリ
マーとして適している。ベースポリマーとして、
エチレン−酢酸ビニル共重合体単独で使用するこ
とが好ましいが、要求される特性により他のポリ
マー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体（酢酸ビニル含有量
50重量％未満）エチレン−エチルアクリレート共
重合体、エチレン−α−オレフイン共重合体、
EPゴム（EPDM）、ブチルゴム、ポリブタジエン
等とブレンドして使用することも可能である。

この様な背景のもとに、難燃性に優れ、燃焼時
に有害な腐蝕性ガスを発生せず、煙の発生も少な
い難燃、低煙同軸ケーブルを検討した。

〔考案の具体的な説明〕

本考案は、絶縁層および外部被覆層が、酢酸ビ
ニル含有量が50重量％以上であるエチレン−酢酸
ビニル共重合体を主体とするポリオレフイン樹脂
組成物100重量部に、水和金属酸化物又は、金属
炭酸塩とホウ酸亜鉛とを両者合せて100重量部以
上添加し、かつ充填剤中のホウ酸亜鉛の比率が
0.25〜0.75である樹脂組成物から成り、放射線照
射により架橋した難燃、低煙同軸ケーブルに関す
る。

難燃、低煙樹脂組成物のベースポリマーとして
酢酸ビニル含有量が50重量％以上のエチレン−酢
酸ビニル共重合体を使用する理由は、フイラー高
充填が可能であることになる。又、要求される特
性によつて他のポリマーとのブレンドも可能であ
る。

添加する充填剤が100重量部以上である理由は、
酸素指数を30以上にする為である。又、充填剤中
のホウ酸亜鉛の比率が0.25〜0.75である理由は、
0.25未満の場合、第３図よりDmが125以上とな
り、0.75を越える場合は、第４図から酸素指数が
30に満たなくなる為である。放射線照射による架
橋が必要な理由は、充填剤を多量に添加する為
に、そのままでは強度が低くく架橋により機械的
強度を向上させる為である。放射線架橋が適して
いる理由は、有機ペルオキシドを用いた化学架橋
では、充填剤が多く押出時のトルクが高く、有機
ペルオキシドの分解温度（120℃〜200℃）以下で
は成形が困難である。

以下に本考案を具体例をもつて説明する。

第５図に本考案の実施例の１つを示した。図中
１は、外径1.8mm（1.9/0.36）の錫メツキ導体で
あり、この上に酢酸ビニル含有量が60重量％であ
るエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部、ホ
ウ酸亜鉛100重量部、炭酸マグネシウム100重量
部、酸化防止剤0.5重量部から成る樹脂組成物を
絶縁層（図中２）として厚さ３mmで押出した後、
錫メツキ導体の編組（図中３）を打ち、更に絶縁
層と同一樹脂組成物を外部被覆層（図中４）とし
て厚さ0.8mmで被覆した。その後、電子線加速器
を用いて、電子線を20Mrad照射し、絶縁層被覆
層を架橋せしめ、同軸ケーブルを製造した。な
お、電子線照射は、絶縁層押出後と外部被覆層押
出後の２回に分けてもよい。

こうして得られた同軸ケーブルは、難燃性であ
り燃焼中発煙量も少なく、有害な腐蝕性ガスも発
生しなかつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、各種充填剤添加量と酸素指数の関係
を示すグラフである。第２図は、各種充填剤添加
量と発煙量の関係を示すグラフである。第３図
は、充填剤中のホウ酸亜鉛の添加比率と発煙量の
関係を示すグラフである。第４図は、充填剤中の
ホウ酸亜鉛の添加比率と酸素指数の関係を示すグ
ラフである。第５図は、同軸ケーブルの断面図
で、１は金属導体、２は絶縁層、３は金属導体編
組、４は外部被覆層である。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】 (1) 絶縁層および外部被覆層に、酢酸ビニル含有
量が50重量％以上のエチレン−酢酸ビニル共重
合体を主体とするポリオレフイン樹脂組成物
100重量部に、充填剤として水和金属酸化物あ
るいは金属炭酸塩とホウ酸亜鉛とを両者合せて
100重量部以上添加し、かつ充填剤中のホウ酸
亜鉛の比率が0.25〜0.75である樹脂組成物を用
い、放射線により架橋することを特徴とする難
燃、低煙同軸ケーブル。 (2) 水和金属酸化物が、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化
バリウムから成る群より選ばれたものである実
用新案登録請求の範囲第(1)項記載の難燃・低煙
多芯ケーブル。 (3) 金属炭酸塩が炭酸マグネシウム、炭酸マグネ
シウム炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウ
ムから成る群より選ばれたものである実用新案
登録請求の範囲第(1)項記載の難燃・低煙多芯ケ
ーブル。