JPH0451Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ワークの移送路上を移動して来た環
状のワークを嵌合支持し、このワークを移送路外
に位置する高周波焼入れ装置に向けて搬送し、焼
入れ後再び移送路に戻す高周波焼入れ用ワークの
搬送装置に関するものである。

（従来の技術） 従来の技術として第３図に示す構造のものがあ
つた。

即ち、環状のワーク１が移送される移送路２
に、シリンダ３を下方向から接続し、シリンダ３
の上端部にエアシリンダ等の往復動機構（図示省
略）に連結されたピストン４を摺動可能に嵌合
し、このピストン４は、その上部をワーク１の内
径よりも小径の嵌合部４ａに、その下部をワーク
１の内径よりも大径の押出し部４ｂに形成した段
付きピストンとし、上記往復動機構によりピスト
ン４を移送路２に向けて出没させることにより、
嵌合部４ａでワーク１を嵌合支持するとともに、
押出し部４ｂでワーク１の下端を上方に押圧して
ワーク１を移送路２の上方に配置した高周波焼入
れ装置５に向けて搬送する構造のものがあつた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来のものは、ピストン４が小径の嵌合部
４ａと大径の押出し部４ｂとを有する段状に形成
されていたため、シリンダ３の前端部に、嵌合部
４ａと押出し部４ｂとによる間隙部アが発生する
ことになる。

このため、ワーク１の肉厚が薄い場合には、高
周波焼入れ装置５で焼入れしたしたワーク１をピ
ストン４により再び移送路２に戻す際に、該ワー
ク１が上記間隙部ア内に嵌入し、移送路２上を下
流方向に移送できなくなる欠点があつた。

本考案は、上記欠点を解消した新規な高周波焼
入れ用ワークの搬送装置を得ることを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記目的を達成するために、以下の
如く構成したものである。

即ち、ワークの移送路にその直交方向から高周
波焼入れ装置とシリンダとを対向配置し、シリン
ダの前端部に筒状の押出しピストンを摺動可能に
嵌合するとともに後進時にその前端部を移送路の
底面に対応させ、押出しピストン内に往復動機構
に連結した嵌合ピストンを摺動可能に嵌挿し、嵌
合ピストンを含む往復動機構側に、嵌合ピストン
が所定量前進した際に押出しピストンを前進作動
させる押出し体を設けるとともに、押出しピスト
ンを常時後進付勢する弾性体を設ける構成にした
ものである。

（作用） 本考案は上記構成にしたものであるから、往復
動機構が前進すれば、まず嵌合ピストンが前進し
て移送路のワークの内周に嵌合し、この嵌合ピス
トンが所定量前進すると、押出し体によつて押出
しピストンが前進してワークを移送路から高周波
焼入れ装置に搬送することになる。

また、往復動機構が後進すれば、嵌合ピストン
および押出し体が後退し、これに伴つて押出しピ
ストンが弾性体の反力により嵌合ピストンととも
に後退することになる。そして押出しピストンが
最後進した際には、その前端が移送路の底面に対
応することになる。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基いて説明する。

まず、図面において、第１図は本考案の実施例
を示す作動初期状態の断面図、第２図はその作動
状態の要部断面図である。

第１図において、１０は例えば左方から右方に
向かつて下り傾斜した移送路であり、この移送路
１０の底面１０ａには、環状のワーク１１がその
軸心を上下方向に仕向けて載置され、ワーク１１
の自重により左方から右方に向かつて移送され
る。１０ｂは上記ワーク１１を移送路１０の移送
終端部で停止させるストツパである。

上記移送路１０の移送終端部には、その直交方
向から上部側に位置する高周波焼入れ装置のコイ
ル１２と下部側に位置するワーク搬送装置１３と
を対向配置する。

上記コイル１２は、筒状に形成したワーク嵌合
部１２ａを移送路１０の上方に起立配置してな
る。また、上記ワーク搬送装置１３は以下の如く
なつている。

即ち、搬送路１０の下方に筒状のケース１４を
起立させてブラケツト１５に固定し、このケース
１４にベアリング１６を介してシリンダ１７を回
転可能に支持する。

上記シリンダ１７の前端部つまり上部内径は、
その下部に対して段状に大径となるピストン孔１
７ａを形成し、この部に筒状の押出しピストン１
８を軸方向（上下方向）に摺動可能に嵌合する。
この押出しピストン１８は、その下端１８ｂがピ
ストン孔１７ａの下端１７ｂに当接した際にその
上端１８ａが移送路１０の底面１０ａと略同一レ
ベルになる長さに設定する。

また、上記押出しピストン１８は、その下部に
軸心方向に突出する環状の係止フランジ１８ｃを
形成する。

１９は上記押出しピストン１８内に摺動可能に
嵌挿した嵌合ピストンであり、上部側の頭部１９
ａを密閉し、下部側の胴部１９ｂを筒状に形成し
てなり、エアシリンダ等の往復動機構に（図示省
略）連結された作動ロツド２０の上端部に嵌合
し、ボルト２１により固定する。

この嵌合ピストン１９の長さは、上記作動ロツ
ド２０が最下動した際にその頭部１９ａが移送路
１０の底面１０ａと略同一レベルになる如く設定
する。

また、上記嵌合ピストン１９の胴部１９ｂ内外
周には、一端が頭部１９ａの裏面に係止され他端
が押出しピストン１８の係止フランジ１８ｃに係
止されたコイルばねからなる弾性体２２を収容
し、これにより押出しピストン１８を嵌合ピスト
ン１９に対して常時下方に移動付勢する。

そして、上記作動ロツド２０には、その最下動
時にシリンダ１７のピストン孔１７ａ下端１７ｂ
よりも若干下方に位置して、段状に大径にした押
出し体２３を形成し、これにより嵌合ピストン１
９が所定量上方に前進した際に、上記押出し体２
３が押出しピストン１８の下端１８ｂに衝突して
該押出しピストン１８を前進作動させる。

次に上記実施例の作動態様について説明する。

往復動機構を介して作動ロツド２０が上方に前
進すれば、まず嵌合ピストン１９が前進して移送
路１０の移送終端部に位置するのワーク１１の内
周に嵌合し、この嵌合ピストン１９が所定量上方
に前進すると、第２図に示すように押出し体２３
が押出しピストン１８の下端１８ｂに衝突して該
押出しピストン１８を上方に前進作動させ、上記
ワーク１１下端を押圧する。

これにより、上記ワーク１１は移送路１０から
コイル１２のワーク嵌合部１２ａに搬送され、こ
の部で焼入れされることになる。

また、上記作動ロツド２０が下方に後進すれ
ば、嵌合ピストン１９および押出し体２３が下方
に後退し、これに伴つて押出しピストン１８が弾
性体２２の反力により嵌合ピストン１９とともに
下方に後退し、上記ワーク１１は移送路１０方向
に戻されることになる。

そして押出しピストン１８の上端１８ａが移送
路１０の底面１０ａと同一レベルまで後退する
と、この押出しピストン１８は、その下端１８ｂ
がピストン孔１７ａの下端１７ｂに当接してそれ
以上の後退が阻止され、その後は嵌合ピストン１
９のみが後退し、その頭部１９ａが移送路１０の
底面１０ａと略同一レベルになつた段階で停止
し、上記ワーク１１は移送路１０に還元されるこ
とになる。

（考案の効果） 以上の説明から明らかな如く、本考案は、ワー
クの移送路に対面するシリンダの前端部に、ワー
クに嵌合する嵌合ピストンと、これの後位置から
前進して上記ワークを前進させる筒状の押出しピ
ストンとを設け、該押出しピストンの後進時にそ
の前端部を移送路の底面に対応させるようにした
から、ピストンが出没する移送路底部に間隙部が
発生しなくなり、ワークの肉厚の変化に関係なく
該ワークを円滑に高周波焼入れ装置に対して搬
送・還元することができる効果を奏する。

また、押出しピストンは、弾性体と押出し体と
によつて嵌合ピストンと所定のタイミングでもつ
て作動させるようにしたので、構造が簡単になる
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す作動初期状態の
断面図、第２図はその作動状態の要部断面図、第
３図は従来例を示す要部断面図である。 １０……移送路、１０ａ……底面、１１……ワ
ーク、１２……高周波焼入れ装置のコイル、１２
ａ……ワーク嵌合部、１３……ワーク搬送装置、
１４……ケース、１７ａ……ピストン孔、１７ｂ
……下端、１８……押出しピストン、１８ａ……
上端、１８ｂ……下端、１８ｃ……係止フラン
ジ、１９……嵌合ピストン、１９ａ……頭部、１
９ｂ……胴部、２０……作動ロツド、２２……弾
性体、２３……押出し体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワークの移送路にその直交方向から高周波焼入
   れ装置とシリンダとを対向配置し、シリンダの前
   端部に筒状の押出しピストンを摺動可能に嵌合す
   るとともに後進時にその前端部を移送路の底面に
   対応させ、押出しピストン内に往復動機構に連結
   した嵌合ピストンを摺動可能に嵌挿し、嵌合ピス
   トンを含む往復動機構側に、嵌合ピストンが所定
   量前進した際に押出しピストンを前進作動させる
   押出し体を設けるとともに、押出しピストンを常
   時後進付勢する弾性体を設けたことを特徴とする
   高周波焼入れ用ワークの搬送装置。