JPH0450429Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はターボチヤージヤと容積型圧縮機とが
設けられた内燃機関の過給装置に関する。

〔従来技術と問題点〕

機関低回転時の吸入効率を向上させるため、吸
気通路にターボチヤージヤと容積型圧縮機（例え
ばスーパーチヤージヤ）とを直列に介装すると共
に、その容積型圧縮機をバイパスするようにバイ
パス吸気通路を設け、内燃機関の回転速度が定値
以下のとき閉じる開閉弁を介装して、低速回転時
に両者により吸入空気を圧縮するようにし、低速
回転時の吸入効率を向上させた過給装置が実開昭
59−67537号で開示されている。

しかしながらこの過給装置においては機関低回
転時、スーパーチヤージヤによつて加圧され、昇
温した吸気はターボチヤージヤのコンプレツサに
よりさらに加圧、昇温するためノツキングが発生
し易くなり、又機関低回転から高回転への移行の
際のスーパーチヤージヤ、オン・オフ切換時に開
閉弁が開くと、バイパス通路を介して大気圧の吸
気が導入されるためその吸気圧力変化に伴つてト
ルクシヨツクが発生する。本考案は係る問題点に
鑑みなされたものであつて、機関低回転時には低
温高圧の吸気を供給してノツキング発生を防止
し、又スーパーチヤージヤの切換の際の圧力変化
を減少させて、以つてトルクシヨツクを軽減させ
る過給装置を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的のため本考案によれば、吸気通路に容
積型圧縮機とターボチヤージヤとを直列に介装す
ると共に、該容積型圧縮機をバイパスするように
設けられたバイパス吸気通路に、内燃機関の回転
速度が一定値以下のとき閉じる開閉弁を介装した
内燃機関の過給装置において、上記ターボチヤー
ジヤと容積型圧縮機との間の吸気通路に上記ター
ボチヤージヤと連動するタービンを介装し、上記
バイパス吸気通路をタービンとターボチヤージヤ
との間の吸気通路に開口せしめ、さらに上記ター
ビンと容積型圧縮機との間の吸気通路にインター
クーラを設けたことを特徴とする過給装置が提供
される。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は容積型圧縮機としてエンジンにより駆
動されるスーパーチヤージヤを使用した実施例を
示す機関の過給装置の概略図であつて、１はエン
ジン本体、２は排気通路３の一部を成す排気マニ
ホールド、４はこの排気通路３に介装した排気タ
ービン、５はターボチヤージヤの回転軸６を介し
て排気タービン４により駆動されるコンプレツサ
を示し、通常、ターボチヤージヤ７はこの排気タ
ービン４、コンプレツサ５、及び回転軸６から構
成される。即ち、ターボチヤージヤ７の排気ター
ビン４はエンジン本体１からの排気エネルギによ
つて回転されこの回転力は回転軸６を介してコン
プレツサ５に伝達されコンプレツサ５の回転によ
り吸気が加圧される。

ターボチヤージヤ７より吸気上流側の吸気通路
８内には、スーパーチヤージヤ９がターボチヤー
ジヤ７に対して直列に介装され、さらにこの吸気
通路８にはスーパーチヤージヤ９をバイパスする
ようにバイパス通路１０が設けられ、バイパス通
路１０内には開閉弁１１が介装される。この開閉
弁１１は例えば図示しない制御回路（ECU）に
よつて開閉制御されている。スーパーチヤージヤ
９はエンジン本体１のクランクシヤフト１２によ
りプーリ１３、ベルト１４、及び電磁クラツチ１
５により断接されるプーリ１６を介して駆動さ
れ、電磁クラツチ１５も開閉弁１１同様、ECU
によつて作動制御される。

本実施例によれば、ターボチヤージヤ７の回転
軸６は、コンプレツサ５より外部に延長して形成
され、この端部が位置する吸気通路８内には低温
高圧空気により回転するタービン１７が介装さ
れ、タービン１７とターボチヤージヤ７が回転軸
６を介して連動するように構成される。このター
ビン１７はターボチヤージヤ７の排気タービン４
に類似したラジアルタービン構造をしており、回
転駆動することにより空気を膨張せしめる働きを
する。

ところで従来のインタークーラ付過給装置にお
いてインタークーラは、コンプレツサ下流の吸気
通路内に介装されるが、本実施例ではコンプレツ
サ５下流の吸気通路８内インタークーラ１８に加
え、タービン１７とスーパーチヤージヤ９との間
にもう１つのインタークーラ１９が設けられる。
又、前述したバイパス通路１０は、タービン１７
と、ターボチヤージヤ７のコンプレツサ５との間
の吸気通路８に開口するように配置される。尚、
本図において２０はエアフロメータ、２１はスロ
ツトル弁２２は吸気マニホールドを示している。

以下、本実施例による過給装置の作動を第１図
を参照して説明する。尚、図中矢印は吸気及び排
気の流れを示す。機関の回転速度が一定値以下、
即ち低回転になつたとき回転速度センサ（図示せ
ず）からの信号を入力したECUの出力により電
磁クラツチ１５はオンにされてクランクシヤフト
１２の出力によりスーパーチヤージヤ７が駆動さ
れ、同時に開閉弁１１を閉じる。このためエアフ
ロメータ２０を介して導かれた新気はバイパス通
路１０を通らずに吸気通路８を通つてスーパーチ
ヤージヤ７に導かれて圧縮され、高圧、高温とな
つてインタークーラ１９に入る。次いで吸気は、
インタークーラ１９の放熱作用により冷却され、
高圧状態をある程度保持したままタービン１７に
導かれる。そしてこの高圧空気はタービン１７を
駆動することで、所謂膨張仕事をする。従つてそ
の吸気のエネルギの幾分かはタービン１７と、回
転軸６を介したターボチヤージヤ７とを駆動する
仕事として消費され、吸気温度はさらに低下する
ことになる。次に吸気はターボチヤージヤ７のコ
ンプレツサ５により過給されインタークーラ１８
を経てエンジン本体１へ供給される。

即ち、タービン１７における膨張仕事による吸
気温度低下によりノツキング発生は抑えられ、又
タービン１７と連動するコンプレツサ５による過
給作用により吸入空気量が増加することで出力が
向上する。又タービン１７、コンプレツサ５間の
吸気通路８内ではタービン１７による空気の膨張
で圧力が減少し、大気圧或いは大気圧に近似する
負圧となるため、機関が高回転の際に開閉弁１１
が開いても開閉弁１１上流側の圧力（大気圧）と
ほとんど差がなくスーパーチヤージヤ９作動オ
ン・オフに伴うトルクシヨツクは低減される。即
ち、本考案による装置は、機関が低回転であつ
て、排気エネルギが不足している状態からターボ
チヤージヤ７は強制的に回転されるため過渡特性
は向上し、ターボラグは無くなる。

一方、機関の回転速度が一定値以上、即ち高回
転の時は、電磁クラツチ１５はECUによりオフ
にされてスーパーチヤージヤ７は駆動停止され、
同時に開閉弁１１は開く。従つて新気はバイパス
通路１０を通り、通常通りターボチヤージヤ７に
より過給されることになる。

第２図は、第１図の主要構成部を具体的に示し
た部分的断面図であつて、以上説明したような低
回転時における各部の吸気温度変化及び圧力変化
を示す。即ち、本図に示すように新気はスーパー
チヤージヤ９、インタークーラ１９、タービン１
７を経由することで圧力がほとんど変化しない状
態で冷却することが出来、又タービン１７と同軸
のコンプレツサ５の過給作用により加圧してエン
ジン本体１へ供給することが可能となる。尚、コ
ンプレツサ５により吸気温の上昇が考えられるが
これは従来のターボチヤージヤのみを有する過給
装置やターボチヤージヤ、スーパーチヤージヤを
備えた過給装置に比べコンプレツサ５上流の吸気
温度はかなり低く、又、コンプレツサ５も従来の
排気エネルギのみによる回転に対しタービン１７
駆動による高回転のため圧縮効率も高く、従つて
コンプレツサ駆動損失に伴う温度上昇も低いこと
が明らかである。

第３図は本考案の効果を一層確実にするため提
案する別実施例であつて、前述したようにタービ
ン１７、コンプレツサ５間の吸気通路８内圧力が
コンプレツサ５の吸引作用により負圧となるのを
防止するため、スーパーチヤージヤ９、コンプレ
ツサ５間にはタービン１７をバイパスする第２バ
イパス通路２３が設けられ、通路内には制御弁２
４が介装され、この制御弁２４の開き度合により
スーパーチヤージヤから９の高圧空気を導き吸気
通路８内が負圧になるのを防止している。その結
果チヤージヤ切換え時のトルクシヨツクはさらに
低減されることになる。

以上、本考案の実施例を説明したが、当然スー
パーチヤージヤとなるポンプは機関により駆動さ
れなくとも良く、例えば図示しない電源により駆
動される通常の容積型圧縮機でもその作用・効果
は同等である。

〔効果〕

本考案によれば、機関低回転域からターボチヤ
ージヤのコンプレツサを強制的に駆動することに
より、過渡特性は向上し、従来のターボラグが解
消され、又同軸を成す排気タービンの回転により
吸出し効果が働き排気効率の向上をもたらす。加
えて本考案によればスーパーチヤージヤ下流にイ
ンタークーラ及びタービンを設けたことでコンプ
レツサに導入される吸気が冷却され、従つてノツ
キング発生を防止することができる。又、コンプ
レツサ上流の吸気圧力はタービンでの膨張仕事に
より大気圧或いは大気圧に近似した負圧となるた
め低−高回転のスーパーチヤージヤ切換えに伴う
トルクシヨツクは低減されドライバビリテイは向
上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の過給装置を示す機関概略図；
第２図は本考案の主要構成部を具体化し、吸気温
度及び圧力変化例を示す部分的断面図；第３図は
本考案の効果を一層確実にする別実施例を示す
図； ７……ターボチヤージヤ、８……吸気通路、９
……容積型圧縮機（スーパーチヤージヤ）、１０
……バイパス通路、１１……開閉弁、１７……タ
ービン、１９……インタークーラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸気通路に容積型圧縮機とターボチヤージヤと
   を直列に介装すると共に、該容積型圧縮機をバイ
   パスするように設けられたバイパス吸気通路に、
   内燃機関の回転速度が一定値以下のとき閉じる開
   閉弁を介装した内燃機関の過給装置において、上
   記ターボチヤージヤと容積型圧縮機との間の吸気
   通路に上記ターボチヤージヤと連動するタービン
   を介装し、上記バイパス吸気通路をタービンとタ
   ーボチヤージヤとの間の吸気通路に開口せしめ、
   さらに上記タービンと容積型圧縮機との間の吸気
   通路にインタークーラを設けたことを特徴とする
   過給装置。