JPH0450286B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は重合度10〜300である水溶性ポリグル
タミン酸塩を含有してなる化粧用保湿剤に関し、
その目的とするところは安全性が高く、しかも吸
保湿性にすぐれた化粧料用保湿剤および化粧料を
提供することにある。 一般に化粧品、軟膏の如く製品中より水分が失
われると品質を損なう製品あるいは皮膚用ローシ
ヨン、クリーム、靴クリームなどの如く保湿性を
付与することを目的として用いる製品には吸湿性
の高い物質が保湿剤として用いられている。吸湿
能力の高い物質には有機物、無機物を合わせると
かなりの種類があるが、安全性あるいは製品の形
態安定性への影響が低いものであること等の必要
性から実際に用いられる保湿性の種類は限られて
いる。さらに保湿剤の備えるべき性質としては保
湿性すなわち水分の蒸発を防ぐ能力と同時に吸湿
性すなわち水分を吸収する能力が求められる。一
般に用いられる保湿剤はこれれの諸特性を所要の
ものとするために多くの場合複合して用いられ
る。しかしながら通常用いられる保湿剤のうち乳
酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸（PCA）
ナトリウム等の吸湿性の大なる物質は電解質であ
るために乳化阻害作用等の製品配合上好ましくな
い性質があり、使用量、用途が制限される。一
方、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリ
コール等のポリオール系保湿剤は保湿性が比較的
良好であるが、製品にべたつきが生じやすく化粧
品等に用いた場合使用感に難点がある。また、最
近適度な吸保湿性を持ち、使用感の良好な保湿剤
としてヒアルロン酸が注目されているが、原料が
鶏冠、ヒトの臍帯等の稀少天然物であり極めて高
価のため、その用途は自ずから限定される。 そこで本発明者は吸保湿性に富み、しかも使用
感の良好な化粧料用保湿剤を開発すべく鋭意検討
の結果、ヒアルロン酸に比べて廉価なポリグルタ
ミン酸塩のすぐれた特性を見い出し、本発明を完
成した。 本発明の保湿剤として用いるポリグルタミン酸
塩としてグルタミン酸エステルーＮカルボン酸無
水物の重合体から誘導される合成ポリグルタミン
酸あるいは各種菌株からの発酵生産物として得ら
れる天然ポリグルタミン酸のいずれでもよく、塩
としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩、エタノールアミ
ン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールア
ミン塩、塩基性アミン酸塩等の水溶性塩が用いら
れる。またポリグルタミン酸塩は多塩基酸であ
り、本発明に用いる塩の中和度はその水溶液がPH
３〜10の範囲で目的に応じて任意に選ぶことがで
きる。 また、本発明に用いられるポリグルタミン酸塩
の重合度は10〜300の範囲であるが、吸保湿性の
観点からは20〜100のものがより優れている。 本発明の保湿剤は後記実施例に示すごとく優れ
た吸保湿性を示すとともに、高分子構造に由来す
る皮膜形成力により被塗布物にべとつかずしつと
りした感じを賦与する。従つて、本発明の保湿剤
を大気中にさらして水分を失う傾向のある製品、
例えば靴クリーム、塗料、紙製品等に添加するこ
とによつて品質の維持向上に役立つばかりでな
く、繊維製品、複写紙、レコードなど帯電性を嫌
う製品に添加ないしは本発明に用いる保湿剤溶液
に浸漬するなどの処理を施すことによつて製品に
適度の吸湿性を賦与し、さらにこのような処理を
施した繊維製品はしつとり感が増し風合いも改良
される。 このように本発明の保湿剤はいずれも製品にも
有効であるが、安全性の高い物質であることか
ら、食品、化粧料等に添加することができる。特
にポリグルタミン酸塩は皮膚の天然保湿因子
（NMF）の成分であるポリペプチドの一種であ
ることから化粧料用保湿剤として用いることによ
り製品形態の維持のみならず、使用後の皮膚に適
度な潤い、滑らかさを賦与し、皮膚あれを防ぐ効
果を奏する。 このような化粧料としてはヘアスプレー、整髪
剤、クレンジングクリーム、化粧水、シヤンプ
ー、リンス、ヘアートリートメント、乳液、ロー
シヨン、ひげそり用クリーム、コールドクリー
ム、ハンドクリーム、パーマ液、固形洗剤、液状
洗剤、汗とり剤などがあげられ、製品の形態によ
らず適用することができる。本発明の保湿剤を各
種製品に添加した場合その添加量に応じた保湿性
を賦与することができるが、通常0.01〜10重量
％、好ましくは、0.05〜５重量％用いれば所期の
目的を達成することができる。 さらに本発明の保湿剤は他の保湿剤、例えばグ
リセリン、プロピレングリコール、ソルビトー
ル、PCAナトリウム、乳酸ナトリウム、アミン
酸等を併用しても効果を損なわれることはない。
さらに必要に応じ各種界面活性剤、可溶化剤、油
剤等と併用することもできる。 以下実施例により具体的に説明する。 実施例 １ 本発明の保湿剤および対照とした保湿剤の10％
溶液の吸湿保湿性を広巾パルスNMR法にて−20
℃における保湿剤乾燥重量当りの不凍水量として
測定した。（フレグランスジヤーナル10（５），59
（1982））。 表１から明らかなように本発明のポリグルタミン
酸塩の吸保湿性は、グリセリン、PCAナトリウ
ム等の保湿剤に匹敵する値を示し、比較的低分子
量のものが良好であり、さらに弱酸性（PH５付
近）のものの吸保湿性がすぐれていた。

【表】

【表】 実施例 ２ 本発明の保湿剤および対照の１％水溶液３ｇを
湿度25％の空気を10L／minで導入した25℃の恒
温中における水の乾燥による減量から保湿性を調
べた。その結果を図１に示す通り、本発明の保湿
剤はPCAナトリウムおよびヒアルロン酸と同等
の保湿性を示した。 実施例 ３ ミルクローシヨン 次の処方のミルクローシヨンを下記に示す方法
で調製した。 油相 流動パラフイン 31.6ｇ 固形パラフイン 4.5ｇ セタノール５ 4.5ｇ ソルビタンモノステアレート 1.8ｇ ポリオキシエチレン（20） 2.8ｇ ソルビタンモノオレエート 水相 ポリグルタミン酸ナトリウム 1.0ｇ （重合度30） PCAナトリウム 1.0ｇ 水 50.0ｇ 防腐剤 0.1ｇ 油相、水相を各々80℃に加温し、油相を攪拌しつ
つ水相を徐々に加え、40℃まで攪拌し冷却してミ
ルクローシヨンを得た。 30人の成人女子を２組に分けて、上記配合品お
よび対照として上記処方からポリグルタミン酸ナ
トリウムのみを除いた配合品を使用したところ、
本発明の配合品を用いた組から使用感ならびに使
用後の感じがしつとりして良いとの評価を得たの
に対して、ポリグルタミン酸ナトリウム無添加品
を用いた組は肌がややかさかさする傾向が認めら
れた。 実施例 ４ ヘアーシヤンプー 次の処方のヘアーシヤンプーを調製した。 ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸 30.0ｇ トリエタノールアミン塩（30％） ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 20.0ｇ （25％） ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0ｇ クエン酸２ナトリウム1.5水塩 2.0ｇ ポリエチレングリコール 1.0ｇ モノステアレート プロピレングリコール 3.0ｇ ポリグルタミン酸ナトリウム 1.0ｇ （重合度300） ポリオキシエチレンラノリン 2.0ｇ アルコール 水 38.0ｇ 本シヤンプーは洗浄後、頭髪にしつとり感が賦
与され、ポリグルタミン酸ナトリウム未添加のも
のに比べて風合いがすぐれていた。

【図面の簡単な説明】

図１は各種保湿剤の１％水溶液を25℃で25％空
気を導入した恒温恒湿槽中に放置した際の経時的
水分蒸発による重量減少を示した図面である。
尚、図中イはPCAナトリウム塩、ロはヒアルロ
ン酸、ハは本発明のグルタミン酸ナトリウム塩
（重合度300）、ニは水のみを用いた場合の測定結
果である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 重合度が10〜300である水溶性ポリグルタミ
   ン酸塩を含有してなる化粧料用保湿剤。