JPH044948Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車の前部車体構造に関するもので
ある。

（従来技術） フロントピラー近傍部分は、エンジンルーム側
壁を構成するホイールエプロン、エンジンルーム
と車室とを仕切るダツシユパネル、車体側部の最
重要強度メンバとしてのサイドシルに連なるとこ
ろであり、この部分の強度特に剛性が強く望まれ
るものである。

このため、従来、特公昭54−14005号公報に示
すように、フロントピラーの直前方において、カ
ウルサイドパネルにより閉断面を構成するように
している。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、近時は、カウルサイドパネルによる
補強作用をより効果的に行うため、このカウルサ
イドパネルを、インナパネルとアウタパネルとに
より上下方向に長く伸びる閉断面状として、フロ
ントピラーに対しては勿論のこと、ダツシユパネ
ル、ホイールエプロン、サイドシルに対して接合
されるような車体構造が考えられつつある。

本考案は、このように、上下方向に長く伸びる
閉断面を構成するカウルサイドパネルの剛性を、
簡単な構造により、より高め得るようにした自動
車の前部車体構造を提供することにある。

（問題点を解決するための手段、作用） 前述の目的を達成するため、本考案においては
カウルサイドパネルのアウタパネルを上下方向に
分割して、その一方の分割端部によつて、カウル
サイドパネルの閉断面を上下方向に仕切る節部材
としてある。具体的には、 インナパネルとアウタパネルとにより上下方向
に伸びる閉断面状に形成され、サイドシルとダツ
シユパネルとフロントピラーとホイールエプロン
とに接合されるカウルサイドパネルを備えた自動
車の前部車体構造であつて、 前記アウタパネルが上下方向の分割構成とさ
れ、 前記アウタパネルの分割端部の一方が、車幅方
向内方側に伸びて前記インナパネルに接合され
て、前記閉断面を上下方向に仕切る節部材とさ
れ、 他方の分割端部が、該一方の分割端部の基端部
に対して、車幅方向外方側から重ね合わされた状
態で接合されている、 ような構成としてある。

このような構成とすることにより、節部材とし
ての一方の分割端部による補強作用によつて、カ
ウルサイドパネルそのものの剛性が大きく向上さ
れる。また、この節部材はアウタパネルの一方に
分割端部を利用してあるため、構造も簡単であ
り、これに加えてアウタパネルを分割するように
してあるので、上記一方の分割端部のインナパネ
ルに対する接合作業、およびこの一方の分割端部
の基端部に対する他方の分割端部の接合作業を、
車幅方向外方側から容易に行えることになる。

（実施例） 以下本考案の実施例を添付した図面に基づいて
説明する。

第１図において、１はフロントピラー、２はサ
イドシルであり、フロントピラー１（フロントピ
ラーでヒンジピラーとも呼ばれる）の直前方に
は、カウルサイドパネルＡが位置されている（第
１図では、カウルサイドパネルＡのアウタパネル
のうち、上下に分割された下方側部分のアウタパ
ネルロアが示されている）。

カウルサイドパネルＡは、第２図に示すよう
に、カウルインナパネル３とカウルアウタパネル
４とにより、上下方向に長く伸びる閉断面状とし
て構成され、その内部空間を符号Ｓで示してあ
る。この両パネル３，４は、共に上下２つの分割
構成とされている。すなわち、カウルインナパネ
ル３は、インナパネルアツパ３Ａとインナパネル
ロア３Ｂとに分割され、またカウルアウタパネル
４は、アウタパネルアツパ４Ａとアウタパネルロ
ア４Ｂとに分割されている。

上記インナパネル３とアウタパネル４との接合
関係は、次のようになつている。先ず、両パネル
３，４のパネルロア３Ｂと４Ｂ同士が、その下端
部において接合されている。また、このアウタパ
ネルロア４Ｂの上端部すなわち分割端部４Ｂ−１
は、車幅方向内方側に若干傾斜しつつ伸びて、イ
ンナパネルロア３Ｂの上端部に接合されている。
そして、この分割端部４Ｂ−１の上端は、インナ
パネルアツパ３Ａ下端との間にダツシユアツパパ
ネル５の側端部を挟んだ状態で接合されている。
一方、インナパネルアツパ３Ａとアウタパネルア
ツパ４Ａとは、その上端部同士がレインフオース
メント６と共に接合されている。そして、アウタ
パネルアツパ４Ａの下端部すなわち分割端部４Ａ
−１は、アウタパネルロア４Ｂの分割端部４Ｂ−
１基端部に対して、車幅方向外方側から重ね合わ
された状態で接合されている。このようにして、
節部材とされる一方の分割端部４Ｂ−１によつ
て、カウルサイドパネルＡの閉断面が上下に仕切
られて、すなわち内部空間ＳがＳ１とＳ２との上
下２つに分割されている。

前記レインフオースメント６の上端部には、カ
ウルパネル７の側端部が接合され、またレインフ
オースメント６の下端部は前記ダツシユアツパパ
ネル５の板面上に接合されている。

一方、カウルサイドパネルＡの下端部において
は、サイドシル２が接合されている。このサイド
シル２は、従来同様、インナパネル２Ａとアウタ
パネル２Ｂとによりほぼ全長に渡つて閉断面状に
形成されて、その内部がレインフオースメント２
Ｃにより仕切られている。そして、カウルサイド
パネルＡに対する連結部分においては、サイドシ
ル２の閉断面が、カウルサイドパネルＡとフロア
パネル８とで協働して構成されている（インナパ
ネル２Ａのフロアパネル８に対する接合、アウタ
パネル２Ｂのカウルインナパネルロア３Ｂに対す
る接合、レインフオースメント２Ｃのフロアパネ
ル８およびカウルアウタパネルロア４Ｂに対する
接合）。

なお、カウルサイドパネルＡが接合されるフロ
ントピラー１は、第３図〜第５図に示すように、
インナパネル１Ａとアウタパネル１Ｂとにより従
来同様閉断面状に形成され、その内部には、上下
方向適宜位置においてレインフオースメント１Ｃ
あるいは１Ｄが配設されている。また、カウルサ
イドパネルＡに対しては、第３図〜第５図一点鎖
線で示すようにダツシユロアパネル９の側端部が
接合され、さらに、図示は略すが、カウルサイド
パネルＡにはホイールエプロンが接合されるもの
である。

以上のような構成のカウルサイドパネルＡを組
立てるには、例えば次のようにして行われる。先
ず、インナパネルロア３Ｂとアウタパネルロア４
Ｂとの上下端部同士が接合される。次いで、イン
ナパネルアツパ３Ａ下端部とアウタパネルロア４
Ｂ上端部（分割端部４Ｂ−１）とがダツシユアツ
パパネル５に接合される。そして、最後に、アウ
タパネルアツパ４Ｂの上下の各端部の接合が行わ
れる。

以上実施例について説明したが、節部材として
構成される分割端部は、アウタパネルアツパ４Ａ
の下端部としてもよい。また、カウルインナパネ
ル３は、ダツシユアツパパネル５を挟むために上
下に分割したが、この挟み形式により接合を行わ
ない場合は、上下に分割しなくともよいものであ
る。

（考案の効果） 本考案は以上述べたことから明らかなように、
カウルサイドパネル部分の強度を高めて、フロン
トピラーとホイールエプロンとサイドシルとダツ
シユパネルとの結合強度を高めることができる。

また、カウルサイドパネルの強度を高めるため
の節部材は、当該カウルサイドパネルのアウタパ
ネルを上下分割形式とすることにより得られる一
方の分割端部をりようして構成するようにしたの
で、構造も簡単であり、かつ接合作業も容易とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部省略斜視
図。第２図は第１図の−線に相当する部分で
の断面図。第３図は第２図−線断面図。第４
図は第２図−線断面図。第５図は第２図−
線断面図。 １……フロントピラー、２……サイドシル、３
……カウルインナパネル、３Ａ……インナパネル
アツパ、３Ｂ……インナパネルロア、４……カウ
ルアウタパネル、４Ａ……アウタパネルアツパ、
４Ａ−１……分割端部（他方）、４Ｂ……アウタ
パネルロア、４Ｂ−１……分割端部（一方）、５
……ダツシユアツパパネル、７……カウルパネ
ル、８……フロアパネル、９……ダツシユロアパ
ネル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 インナパネルとアウタパネルとにより上下方向
   に伸びる閉断面状に形成され、サイドシルとダツ
   シユパネルとフロントピラーとホイールエプロン
   とに接合されるカウルサイドパネルを備えた自動
   車の前部車体構造であつて、 前記アウタパネルが上下方向の分割構成とさ
   れ、 前記アウタパネルの分割端部の一方が、車幅方
   向内方側に伸びて前記インナパネルに接合され
   て、前記閉断面を上下方向に仕切る節部材とさ
   れ、 他方の分割端部が、該一方の分割端部の基端部
   に対して、車幅方向外方側から重ね合わされた状
   態で接合されている、 ことを特徴とする自動車の前部車体構造。