JPH0449381Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はトランスミツシヨンのシンクロメツシ
ユ装置に係り、特に同期作用を達成するスリーブ
とシンクロナイザキーの誤動作を防止できる構造
簡単なトランスミツシヨンのシンクロメツシユ装
置に関する。

〔従来の技術〕

一般にシンクロメツシユ装置は、メインシヤフ
トの軸方向に相対向させて配設された変速ギア間
に位置されている。そしてシフトフオークにより
スリーブとシンクロナイザキーとが択一的にいず
れか一方の変速ギア側へ移動され、該変速ギア側
に設けられたシンクロナイザリングと関連して同
期作用を施すように構成されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで変速ギアの枚数が奇数枚であつたり、
変速ギアのレイアウトによつては、第１図に示す
ようにシンクロメツシユ装置１が変速ギア２間に
は位置されず、スリーブ３とシンクロナイザキー
４とは一方向にのみ移動されれば足りる場合があ
る。

このような場合、単に部品共通化のためスリー
ブ３とシンクロナイザキー４とをシンクロナイザ
リング５のない方向へも移動可能に放置すると、
狭隘なミツシヨンケーシング内で他の部品と干渉
する虞れがあつた。

これに対し、スリーブ３とシンクロナイザキー
４の移動を規制するためにメインシヤフト６にス
トツパ７を設けることが考えられるが、ストツパ
７の介在によりシンクロメツシユ装置１を高速回
転するメインシヤフト６に固定するためのエンド
ナツト８が緩み易くなり好ましくなかつた。

本考案は上述したような問題点を鑑みて創案さ
れたものであり、その目的はスリーブとシンクロ
ナイザキー双方の誤動作を防止できる構造簡単な
トランスミツシヨンのシンクロメツシユ装置を提
供するにある。

〔考案の構成〕

上記目的は、本考案によれば次のような構成に
より達成される。

即ち、本考案の構成はクラツチハブにスプライ
ン嵌合され隣接するシンクロナイザリング側へ移
動されるスリーブと、該スリーブと上記クラツチ
ハブとの間に配設されたシンクロナイザキーと、
上記キーの内面側にあつて、かつ上記クラツチハ
ブの前後方向に設けられ径方向外方へ弾発する環
状のスプリングと、前記キーと対向されるスリー
ブの内面を半径方向外方へ陥没させて形成した係
合溝と、上記キーの外周面に隆起形成され当該キ
ーに付勢される上記スプリングの弾発力により上
記係合溝と係合される係合部と、上記キーの上記
シンクロナイザリング側の下端部に形成され上記
スプリングに当接する制止鍔部とを備え、上記係
合溝及び係合部の上記シンクロナイザリング側端
面を、前記スリーブの移動方向に対し垂直面に形
成し、上記シンクロナイザリング側端面と反対側
端面を、傾斜面で形成したことを特徴とするトラ
ンスミツシヨンのシンクロメツシユ装置にある。

〔作用〕

従つて、スリーブをシンクロナイザリング側へ
移動させた場合には、係合溝の傾斜面に対してシ
ンクロナイザキーの傾斜面が相対的に移動自在と
なり、この逆に、スリーブをシンクロナイザリン
グ側と反対側に移動させた場合には、係合溝とシ
ンクロナイザキーが係合された時点でシンクロナ
イザリング側と反対側への移動を、係合部の垂直
面と係合溝の垂直面とが互いに阻止する。

〔実施例〕

以下に本考案のトランスミツシヨンのシンクロ
メツシユ装置の好適一実施例を図面に従つて詳述
する。

第２図に示すように６は従動側に連結されるメ
インシヤフトであり、このメインシヤフト６には
円盤状のクラツチハブ９が圧入嵌合される。クラ
ツチハブ９は、更にメインシヤフト６の軸端に螺
着されたエンドナツト８で固定される。このクラ
ツチハブ９の外周部には、リング状のスリーブ３
が設けられる。このスリーブ３はクラツチハブ９
にスプライン嵌合され、片側のみに設けられたシ
ンクロナイザリング５側にメインシヤフト６の軸
方向へ移動自在に構成される。またクラツチハブ
９の外周部には、その周方向に沿つて所定ピツチ
でスリーブ３側に開放されたキー溝１０が形成さ
れ、このキー溝１０内にはスリーブ３と共にメイ
ンシヤフト６の軸方向に移動自在にシンクロナイ
ザキー４が設けられる。

このキー４のスリーブ側端面には、これより隆
起されスリーブ３に臨ませて係合部１１が形成さ
れる。またスリーブ３のキー部材４に臨む内周面
には、これより陥没され上記係合部１１に係合さ
れる係合溝１２が形成される。これら係合部１１
と係合溝１２とは、メインシヤフト６の軸方向に
沿つて隣接するシンクロナイザリング５側への相
互離脱を許容すべく、一端が滑らかな傾斜面１３
で係合される。

また、上記キー４の係合部１１側と反対側の内
面（裏面）には、クラツチハブ９の前後方向に設
けられ径方向へ弾発する環状のスプリング１４，
１５が当接され、これらスプリング１４，１５
は、キー４をスリーブ３に係合させて一体的に移
動させるように構成される。この内面（裏面）に
は、スプリング１４から所定の間隔Ｓを隔てて形
成され、キー部材４のシンクロナイザリング５側
への移動を許容しつつスプリング１４の離脱を規
制するための鍔部１６が設けられる。

ところで本考案の特長とするところは、スリー
ブ３とキー４夫々がシンクロナイザリング５側と
反対方向へ移動されるのを規制することにある。

図示するように、キー４には鍔部１６が形成さ
れた側と反対側の端部にシンクロナイザリング５
側のスプリング１５に当接させて制止鍔部１７が
形成される。この制止鍔部１７はキー４の移動方
向からスプリング１５を介してクラツチハブ９に
当接し係合してシンクロナイザリング５側と反対
方向へのキー４の移動を阻止するように構成され
る。

このようにシンクロナイザリング５が配置され
ない側への移動が阻止されたキー４の係合部１１
と該係合部１１に係合されるスリーブ３の係合溝
１２とには、傾斜面１３と反対側の端部が垂直面
１８として形成される。この垂直面１８は、スリ
ーブ３の移動方向から係合部１１と係合溝１２と
を錠止させシンクロナイザリング５側と反対方向
への移動時にスリーブ３とキー４との相対移動を
阻止するように構成される。

このように構成すればシフトフオークの移動力
がシンクロナイザリング５側と反対方向に作用し
たり、クラツチハブ９のスプラインやキー溝１０
内でスリーブ３やキー４が移動しようとしても適
切にシンクロナイザリング５の配設されない側へ
の移動を阻止して誤動作を防止でき、ミツシヨン
ケース内での他部品等との干渉を防止できる。ま
たこれら垂直面１８及び制止鍔部１７は、共に所
定トルクで締結される等の組立部位に設けられる
ものでなく、トランスミツシヨンの作動に対して
緩みを与えたり、その他組立部位に悪影響を及ぼ
すこともない。更に本実施例の垂直面１８及び制
止鍔部１７は、単に加工形状、加工位置を変更す
るのみで形成でき、極めて簡単且つ容易に採用す
ることができる。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案のトランスミツシヨンの
シンクロメツシユ装置は、クラツチハブにスプラ
イン嵌合され隣接するシンクロナイザリング側へ
移動されるスリーブと、該スリーブと上記クラツ
チハブとの間に配設されたシンクロナイザキー
と、上記キーの内面側にあつて、かつ上記クラツ
チハブの前後方向に設けられ径方向外方へ弾発す
る環状のスプリングと、前記キーと対向されるス
リーブの内面を半径方向外方へ陥没させて形成し
た係合溝と、上記キーの外周面に隆起形成され当
該キーに付勢される上記スプリングの弾発力によ
り上記係合溝と係合される係合部と、上記キーの
上記シンクロナイザリング側の下端部に形成され
上記スプリングに当接する制止鍔部とを備え、上
記係合溝及び係合部の上記シンクロナイザリング
側端面を、前記スリーブの移動方向に対し垂直面
に形成し、上記シンクロナイザリング側端面と反
対側端面を、傾斜面で形成したので、係合溝と係
合部との係合終了位置においてシンクロナイザリ
ング側と反対側へのスリーブの移動を防止でき
る。

また、従来のシンクロメツシユ装置のように、
スリーブやシンクロナイザキーの移動を規制する
ためにメインシヤフトに設けられていたストツパ
が不要となるので、上記ストツパの介在によるメ
インシヤフトにシンクロメツシユ装置を固定する
ためのエンドナツトの緩みが防止され、簡単でか
つ信頼性のあるトランスミツシヨンのシンクロメ
ツシユ装置を提供できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す側断面図、第２図は本考
案の一実施例を示す側断面図である。 ３……スリーブ、４……シンクロナイザキー、
５……シンクロナイザリング、９……クラツチハ
ブ、１７……制止鍔部、１８……垂直面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラツチハブにスプライン嵌合され隣接するシ
   ンクロナイザリング側へ移動されるスリーブと、
   該スリーブと上記クラツチハブとの間に配設され
   たシンクロナイザキーと、上記キーの内面側にあ
   つて、かつ上記クラツチハブの前後方向に設けら
   れ径方向外方へ弾発する環状のスプリングと、前
   記キーと対向されるスリーブの内面を半径方向外
   方へ陥没させて形成した係合溝と、上記キーの外
   周面に隆起形成され当該キーに付勢される上記ス
   プリングの弾発力により上記係合溝と係合される
   係合部と、上記キーの上記シンクロナイザリング
   側の下端部に形成され上記スプリングに当接する
   制止鍔部とを備え、上記係合溝及び係合部の上記
   シンクロナイザリング側端面を、前記スリーブの
   移動方向に対し垂直面に形成し、上記シンクロナ
   イザリング側端面と反対側端面を、傾斜面で形成
   したことを特徴とするトランスミツシヨンのシン
   クロメツシユ装置。