JPH0448099Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、電気ケーブルの延焼防止構造に関す
る。

［従来の技術とその問題点］ 従来発変電所、工場、ビルなどの電気設備に用
いられる電力ケーブル、通信ケーブルなどの電力
ケーブルは数本から構成によつては数千本の芯線
を一括被覆したケーブルが結束され該建物の電気
設備として建物の壁面に沿つて所定地点間に敷設
されている。

このような電気ケーブルは被覆材料等も電気特
性を中心に配慮されており、特に通信ケーブルは
電気容量も小さく発熱もない為ケーブル自体には
特に難燃化が図られていない。

このため前記電気設備内で火災が発生するとケ
ーブルが燃焼して電力供給が停止したり通信回線
の大混乱を引き起こす可能性がある。特に電気ケ
ーブルが略鉛直方向に敷設された部分に火がつい
た場合には火炎は下から上に向つて延焼する為火
の手が急速にケーブルに沿つて進行し、瞬時にケ
ーブルの大半が破壊される。

その結果火災の拡大、煙、ガスの発生により損
害が拡大し、又設備の修復に多大な金額と期間を
要するという問題があつた。

本考案は、かかる点に鑑みてなされたものあ
り、略鉛直方向に敷設されたケーブルの火災時に
発生する焼損を最小限度に止めて、ケーブルの修
復を容易にすると共に信頼性の向上を図つたケー
ブルの延焼防止構造を開発したものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、略鉛直方向に敷設された電気ケーブ
ルに、これと垂直方向に該ケーブルの断面積より
面積の大きなツバ状の耐火仕切板がケーブル長手
方向所望間隔で該ケーブルを中心にして取囲むよ
うに嵌着されていることを特徴とする電気ケーブ
ルの延焼防止構造である。

本考案では、耐火仕切板がケーブル断面積より
大きい面積でケーブルの周囲にツバ部を形成する
ようにして嵌着されているため、耐火仕切板の直
下で発生した火災による炎や煙の上昇がこの耐火
仕切板で確実に遮断される。

また、略鉛直に敷設されたケーブルの所望箇所
に耐火仕切板が取付けられるのは、炎等の進行を
ケーブルの短い区間で遮断してケーブルの焼損を
最小限度に止めるためである。耐火仕切板の材質
としてはロツクウールボード、セラミツクボード
などの耐火性繊維からなるボード、あるいはケイ
酸カルシウム板などを用いるのがよい。そして、
ケーブルの延焼防止効果を高めるためには、ケー
ブルの長手方向に沿つて複数枚の垂直耐火仕切板
をできるだけ短い区間毎に設けるのが好ましい。

また、ケーブルの延焼防止効果を確実に発揮さ
せるために、耐火仕切板のツバ部の面積は少なく
ともケーブルの断面積の２倍以上に設定するのが
望ましい。

また、耐火仕切板の効果を発揮させるために、
電気ケーブルが単数の場合にはそのまま耐火仕切
板の中心部に、複数の場合には中心部に集束させ
てこの仕切板の嵌着を行なう。

［作用］ 本考案にかかわる電気ケーブルの延焼防止構造
によれば、略鉛直に敷設された電気ケーブルに長
手方向に沿つて所定間隔でケーブルの断面積より
大きい面積のツバ部を有する耐火仕切板が設けら
れているので、耐火仕切板の直下からの炎や煙の
上昇を確実に遮断してケーブルの火災時の焼損を
最小限度に止めることが出来、又、ケーブルの修
復を容易にすると共に、信頼性を向上させること
ができる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例について図面を参照して
説明する。第１図は、本考案の一実施例の要部の
斜視図であり、第２図は、同実施例の要部の側面
図である。図中１は、ビルの電気設備２内の一壁
部に沿つて略鉛直に敷設された複数本のケーブル
である。各々のケーブル１は、例えば数百本乃至
数千本の細かい芯線が内蔵された通信ケーブルか
らなつている。夫々のケーブル１は、壁面に沿つ
て略鉛直方向に所定間隔で配置された複数枚の耐
火仕切板３を貫通している。耐火仕切板３は、ケ
ーブル１の側線部に設けられた支持棒４，４′に
取付けらた固定金具５の対によつて耐火仕切板３
の端部を表裏両面から挾持された状態で固定され
ている。耐火仕切板３は、各々のケーブル１の断
面積より大きい面積のツバ部ができるようにして
ケーブル１の周囲に嵌着されている。隣接する耐
火仕切板３相互の間隔（Ｌ）は、ケーブル１の形
状及び性状を考慮して火災時の焼損として許容し
得る最少単位のものに設定されている。

このように構成されたケーブルの延焼防止構造
によれば、各々のケーブル１はその断面積よりも
大きいツバ部を有する複数個の耐火仕切板３で所
定間隔に分けられているので、火災が発生しても
耐火仕切板３によつてその直下から上昇してくる
炎や煙を確実に遮断することができる。その結
果、火災時に発生するケーブル１の焼損を最少限
度に止め、修復作業を容易にすることができる。
また、火災時の焼損を最少限度に止どめることが
できるので、ケーブル１の信頼性を高めることが
できる。

又電気ケーブルがケーブルラツク上に配線され
ている場合には第３，４図の如くケーブルラツク
７の背面を耐火材料で覆い該ラツク前面に耐火仕
切板が突き出るように設ければ壁面に配線された
ケーブルに処する時と同様にケーブルラツク上の
ケーブルを延焼防止構造とすることが出来る。

なお、第５図に示す如く耐火仕切板３を長手方
向に区分する垂直耐火仕切板６を設ければ、この
仕切板６を介した隣接ケーブル群間の延焼が防止
され、火災が一つのケーブル群だけに止まり、火
災が拡大せず、その結果耐火仕切板３の延焼防止
効果を更に高められる。

［考案の効果］ 以上説明した如く、本考案にかかわるケーブル
の延焼防止構造によれば、ケーブルの収容室内に
略鉛直に配置されたケーブルの火災時の焼損を最
小限度に止めてケーブルの修復を容易にすると共
に、ケーブルの信頼性を向上させることができ
る。

又、電力ケーブルの場合においても本考案によ
る延焼防止構造によればケーブル表面からの熱放
散が充分行なわれるので許容電流の低下をきたす
ことも無く安全に使用出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の要部の斜視図、
第２図は、同実施例の要部の側面図、第３図乃至
第５図は、本考案の他の実施例の斜視図及び説明
図である。 １……ケーブル、２……ケーブル収容室、３…
…耐火仕切板、４，４′……支持棒、５……固定
具、６……垂直耐火仕切板、７……ケーブルラツ
ク、８……耐火材料。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一防火区画内において略鉛直方向に、露出して
   布設された電気ケーブルに、これと垂直方向に該
   ケーブルの断面積の少なくとも２倍以上の面積の
   ツバ状の耐火仕切板がケーブル長手方向所望間隔
   で該ケーブルを中心にして取囲むように嵌着され
   ていることを特徴とする電気ケーブルの延焼防止
   装置。