JPH0447833Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の分野） 本考案は、製品幅の磁気テープ原反から小巻の
テープ巻装体に所定長の磁気テープを巻き取つた
り、あるいは一旦テープ巻装体に巻かれた磁気テ
ープを別のテープ巻装体に巻き換えたりする場合
や、製品幅より幅広いテープ原反から複数の製品
幅のテープ原反に裁断して巻き取る場合さらに
は、磁気テープを原反にする前の幅広い状態にお
ける巻き取りなどの場合の磁気テープ巻取方法お
よび装置に関するものである。

（従来の技術） オーデイオカセツトテープやビデオカセツトテ
ープ、更にはメモリーテープや放送用ビデオテー
プ等磁気テープの製造工程には、その中間工程と
して長尺の磁気テープ原反からリールやハブ等の
小巻のテープ巻装体に所定長の磁気テープを巻き
取る工程や、一旦、テープ巻装体に巻き取つた磁
気テープを別のテープ巻装体に巻き換えるべく巻
き取る再巻取工程、さらには原反以前のテープ幅
が広いときの巻取工程や、製品幅より幅広いテー
プ原反から複数の製品幅のテープ原反に裁断して
巻き取る工程などがある。

この巻取工程、再巻取工程において前記テープ
巻装体に磁気テープの巻き取りを行なつた場合、
例えば、送り出し側の前記磁気テープ原反の物
性、もしくは巻き取り側におけるテープ巻装体の
物性、さらには磁気テープ自体の物性によつて
は、巻き取り時において、テープ厚み方向の振動
や幅方向の振動などの如き、所謂テープ挙動が変
化してしまい、巻き取られた磁気テープの巻姿
（巻装状態）の問題、すなわちテープ巻装体の軸
方向から観察したときの巻面（テープ端縁）が凹
凸状態となる巻き乱れを生ずる。特に、巻き取り
時におけるテープ走行速度が速いほどこの傾向は
強くなる。

このように巻き乱れが生じた磁気テープは、例
えば磁気テープカセツトに収納された製品状態に
おいて、外観品質は云うに及ばず、テープ端の損
傷が起こり易く種々のトラブルを誘発したり、電
磁変換特性の悪化を招くなどの問題がある。特に
高密度記録を行う、例えばビデオ用の磁気テープ
においては、テープ端縁近傍に音声信号や同調信
号を記録するため、上記の如き巻き乱れは極めて
大きな問題であつた。

このため従来の磁気テープ製造工程では、前記
巻取工程や再巻取工程の後で前記巻姿を全数チエ
ツクすべく、例えば目視等による検査がなされて
おり、このためのコストと時間を要することは磁
気テープ製造工程の大きなネツクであつた。

また、この検査負荷を軽減すべく巻姿良化を目
指し巻姿の良品得率の低い磁気テープの巻き取り
においては、従来より例えば第５図ならびに第６
図に示すような化粧巻と称する方式が採用されて
いる。

第５図ならびに第６図は巻き取り側のテープ巻
装体２の周辺を示す概略斜視図である。第５図に
示したものの場合は、回転ローラ１２，１３，１
４によつて回転自在に保持された例えばゴム、ポ
リイミドなどから成るフレキシブルなエンドレス
ベルト１１が磁気テープＴと共に回転しつつテー
プ巻装体２の半径方向に向つて弾性的にテープ磁
性面を比較的強く押圧して、磁気テープＴの巻姿
を整えるように構成している。第６図に示したも
のの場合は、テープ巻装体２の一方にフランジと
磁気テープＴの端縁との間に比較的柔かい不織布
等からなるベルト１５が設けられている。このベ
ルト１５はベルト送り出し側１６に巻かれたもの
が回転ローラ１７等に保持されてゆつくりとした
一定の速さで巻き取り側１８に巻き取られに行く
間に、一方のテープ端縁を比較的強く押圧して巻
姿を整えるようにしている。

しかしながら、上記両者とも磁気テープＴに直
接接触する構造であるため、例えば磁性層のけず
れや不織布の繊維の脱落等によるドツプアウトの
発生、不適当な押圧力によるテープ変形、テープ
端縁の損傷の如き種々の問題を生じ、その本来の
機能を果さない場合もあつた。更に、これらの化
粧巻機構はそれ自体の消耗が大きく価格的な面、
メンテナンス性の点で問題があつた。

また、上記第５図ならびに第６図に示した従来
のものは、磁気テープが原反にされた以後の巻き
取りについてであるが、磁気テープが製品幅の原
反にされる以前、例えば磁気テープが幅広でその
巻き取り時にテープ端縁を規制するフランジなど
の部材が設けられていない場合においてもテープ
巻装体を良くすることが望まれていた。

又、最近にいたり、第７図に示すように、巻芯
４１とフランジ４２により構成された巻取リール
４２の上記巻芯４１と着脱自在に連結された巻取
駆動軸３０の周囲に、上記フランジ４２を対称面
として磁気テープＴが巻取られる側と対称側の位
置に、磁石３１を少なくとも１個配置し、上記巻
取リール４０に磁気テープＴを巻取るようにした
磁気テープ巻取装置が提案された（特開昭61−
51642号公報）。

しかしながら、第７図に示すように、軸３０の
周囲に設けた磁石３１は下記のような欠点を有し
ている。

その問題は、巻取駆動軸３０の周囲に設けられ
た磁石３１では、巻芯４１に近い中心寄りの部分
の巻姿が外側部分の巻姿に比べて悪くなる。

これは、磁石３１の形状が上記軸３０により制
約をうけるために、例えばドーナツツ状に構成さ
れ、その中心部分が空洞になり、磁力線は巻取リ
ール４０の中心寄りの個所において、その向きが
一定せず、また磁束密度が小さくなり、巻取工程
の初期の段階において磁気テープＴをフランジ４
２方向に引き付ける力が不安定でかつ弱くなつて
しまう。更にまた巻取リールにフランジがない場
合（フランジレスタイプ）には第７図に示す装置
では全く適用不可能であつた。

（考案の目的） 本考案は、このような事情に鑑みてなされたも
のであつて、磁気テープの物性がバラツキを有し
ていてもテープ巻装体の巻き取り時の巻姿に乱れ
を生じさせることなく巻取ることのできる磁気テ
ープ巻取装置を提供することを目的とするもので
ある。

また、磁気テープに機械的に接触する上記化粧
巻方式のように巻取装置の複雑化ならびに上記の
如き副次的作用によるテープ品質の低下等を解消
することができ、かつテープ巻取工程の作業性を
向上することのできる磁気テープ巻取装置を提供
することを目的とする。

（考案の構成） 本考案の上記目的は、テープ巻装体を回転させ
て磁気テープを巻き取る磁気テープ巻取装置にお
いて、該テープ巻装体の少なくとも近傍にテープ
厚み方向に概ね沿う磁界を発生させる磁石を設
け、該磁石をテープ巻き径に対応してテープ巻装
体半径方向に移動させる移動手段を備えたことを
特徴とする磁気テープ巻取装置により達成され
る。

以下、本考案の実施態様について詳細に説明す
る。

第１図及び第２図は本考案の磁気テープ巻取装
置１の一実施態様の概略正面図及び矢印Ａ方向か
らの側面図である。この巻取装置１は例えばビデ
オテープカセツトに内臓される一対のテープ巻装
体２と３（以下単に「テープリール」と云う）に
磁気テープＴを予め巻装してから組込む方法に用
いられるものである。

上記巻取装置１の概略的な動作を以下述べる。
始めに、テープリール２，３は所定の長さを有し
たリーダーテープ１０（第１図では片側に半分だ
け図示してある）により連結された状態で、巻取
装置１において回転駆動される軸４，５にそれぞ
れ装着された後、該リーダーテープ１０はそのほ
ぼ中央で切断され、テープリール２側の端部と予
め装着されていた磁気テープ原反６の先端とが接
合テープ等により接合される。そして、テープリ
ール２に所定長巻き取られた磁気テープＴは切断
されたのち、その端部が一方のテープリール３側
のリーダーテープ１０に接合される。

なお、リーダーテープ１０ならびに磁気テープ
Ｔの切断や該リーダーテープ１０と磁気テープＴ
との接合は、テープ端部の保持部材、切断用カツ
ター、接合テープなどが設けられている切断接合
手段９により行われ、又、テープ原反６から送り
出される磁気テープＴはガイドピンやガイドロー
ラ等から成るパス系８を通してテープリール２に
巻き取られていく。又、第２図においては切断接
合手段９を削除してある。

上記した範囲内においては、従来装置と同様で
はあるが、本考案装置の特徴は、テープリール２
の装着部分にある。すなわち、磁気テープＴを巻
き取るテープリール２の周りに一対の永久磁石１
９が設けられ、かつ該永久磁石１９がテープ巻き
径に対応して移動できるような移動手段を備えて
いることにある。

上記移動手段の構造を第３図および第４図に基
づいて詳細に説明する。

第３図、第４図に示すように、永久磁石１９は
支持部２０に取り付けられ、テープリール２をは
さんでリール半径に沿つて異極を対向するように
設けられている。従つて、磁界の向きはテープリ
ール２の半径方向に概ね沿うようになされてい
る。又、支持部２０は例えば、一対のシヤツト２
３（第４図では削除してある）が貫通してスライ
ド可能に保持されていると共に、該シヤフト２３
と同一の向きに設けられたボールねじ２６の回転
により移動するように構成されている。なお、シ
ヤフト２３およびボールねじ２６は、保持部２４
および２２により巻取装置１の本体に取り付けら
れている。ボールねじ２６はステツピングモータ
２５などの駆動手段に連結されており、該モータ
２５の回転によつて支持部２０はテープリール２
に対して左右対称な所に位置するように移動す
る。すなわち、ボールねじ２６のねじ山は、その
中央部分を境にして逆に切られた構成となつてい
る。そして、ステツピングモータ２５は、例えば
テープ巻き径を検出する図示しない光センサやエ
アマイクロスイツチなどの信号によつて制御され
て作動する。なお、軸４はモータ等の駆動手段２
１により回転する。

永久磁石１９は両支持部２０間の内方に向つて
張り出しており、その厚みはテープリール２の上
下のフランジ間の間隔よりも小さく構成され、テ
ープリール２の芯部分近くまで入り込めるように
なされている。又、永久磁石１９は第３図および
第４図に示すように直方体であつてもよいが、そ
の他、例えば、テープ巻き径の外周に対応するよ
うに少なくとも磁気テープＴに対向した面が湾曲
（最大径、最小径、中段径等のいずれでもよい）
した形状に構成されてもよい。

上記のように構成された巻取装置１で巻取工程
を行つた場合、テープリール２が軸４に装着する
ときには、支持部２０は図中左右両端の待機位置
に移動しており、テープリール２が装着された後
に、ボールねじ２６の回転（矢印Ｂの逆）によつ
てリール芯部近傍まで永久磁石１９が入り込むよ
うに移動する。しかる後、巻き取りを開始してテ
ープリール２のテープ巻き径が所定になるまで磁
気テープＴが巻き取られて行くが、このとき、テ
ープ巻き径の大きさを検出した上記センサの信号
によりステツピングモータ２５が作動し、ボール
ねじ２６を矢印Ｂ方向に回転させる。その結果、
両支持部２０が矢印Ｃ方向に広がるように移動し
て行く。従つて、永久磁石１９はテープ巻き取り
中においては常に磁気テープＴに極めて接近した
位置にある。

上記のようにして磁気テープＴを巻き取ると、
該磁気テープＴは永久磁石１９のＮ極からＳ極に
向つて直線的に延びている磁力線の中に置かれた
状態となるので、磁気テープ同士がその厚み方向
に相互に引き合う作用を生じ、テープ間の摩擦力
が大きくなる。そして、磁気テープＴの挙動変化
による例えばテープ幅方向の巻きずれを抑えるこ
とができる。又、巻き取られたテープ巻き径の外
周に永久磁石１９が接近した状態で、かつテープ
巻き径の増大に伴つて該磁石１９が移動するの
で、磁気テープＴに効率よく磁力をかけることが
でき、磁気テープＴはテープ端縁が揃つた極めて
好ましい状態で巻き取られて行き、かつその状態
が保たれる。この結果、第４図からも明らかなよ
うに、磁気テープＴはフランジ２ａに接すること
なく両フランジ間のほぼ中央に巻き取られる。所
謂、センター巻きが可能となる。

永久磁石１９の磁力の強さは特に限定されるも
のではなく、例えば、巻き取り時のテープテンシ
ヨン、磁気テープＴの種類、該磁石１９と磁気テ
ープＴとの距離、巻き取り速度（テープ走行速
度）、磁気テープＴへの磁界の影響など種々の条
件を考慮して設定することができるが、該永久磁
石１９は常に磁気テープＴに接近しており、磁力
の強さが距離の２乗に反比例して強くなることか
ら、極めて強い力を磁気テープＴに与えることが
でき、又、換言すれば、小さい磁力でも使用する
ことができる。

上記実施態様において、永久磁石１９が異極を
対向するように一対設けられたが、複数の磁石を
支持部２０に設けた構成でもよく、又、テープリ
ール２をはさむように構成しなくても、どちらか
一方側に少なくとも１つの磁石を設けるような構
成であつてもよい。

上記、実施態様における磁石は永久磁石を用い
たが、本考案はこれに限るものではなく、電磁石
を用いることもできる。この場合、電磁石に流す
電流の量を変化させることにより、該電磁石の磁
力を自在に変えることができる。又、上記の如く
本考案によれば磁力を小さくしても、磁界による
所望の付勢力を与えることができるので、電磁石
の消費電力を少なくすることができる。

また、上記実施態様ではテープ巻径を検出する
センサの信号でモータ２５を制御するようにした
が、例えば巻き取るテープの長さと巻取速度パタ
ーンに対応して予め決められたプログラムに従つ
てモータ２５を制御してもよい。

本考案は上記に示した実施態様に限られるもの
ではなく、例えば、製品幅よりも幅広いテープ原
反から、複数の製品幅のテープ原反に裁断して巻
き取る場合にも用いられ、さらにフランジのない
テープ巻装体（巻芯のみのもの）を用いた巻取装
置にも充分適用することができる。

なお、本明細書中における磁石とは、上記実施
態様に述べた永久磁石、電磁石に限るものではな
く、例えばソレノイドの如き概念をも含むもので
あり、磁界発生手段を総称したものとする。

（考案の効果） 以上詳細に説明したように、本考案の如く磁気
テープを巻き取る際に、磁界を利用して磁気テー
プにその厚み方向の磁界を作用させることによ
り、磁気テープ同士が相互に引き合い、又、テー
プ走行が極めて安定するので、巻き取られた磁気
テープはその端縁が揃い非常に好ましい巻装状態
となる。又、本考案は磁気テープの巻装状態（巻
装）を良くする力を作用させるのにフランジの有
無に関係なく全くの非接触で行うことができるの
で、上下フランジがある場合は、該フランジに対
するセンター巻きあるいは巻き取る位置を自在に
変更することができると共に、従来の如く接触に
よる、例えばテープ折れ、テープ端縁の損傷ある
いは磁性面の損傷などのトラブルが生じることが
なく、磁気テープの品質の向上をはかることがで
きる。さらに、本考案の如く磁石を磁気テープに
極めて近設できると共に、テープ巻き径に合わせ
て移動自在に構成することにより、磁気テープＴ
にかける磁石の磁界を極めて効率よく利用するこ
とができるので、磁石の磁力が小さくてもよく、
特に電磁石などにおいては、消費電力が少なくて
すむ等の効果を奏することができる。

従つて、本考案によれば、磁気テープの品質の
向上ならびに巻取工程の生産性に優れた磁気テー
プ巻取装置を提供することができる。特に、巻き
取られた磁気テープのテープ両端縁側にフランジ
等の位置規制部材のない巻取工程において、飛躍
的に進歩した磁気テープ巻取装置を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の磁気テープ巻取装置の一実施
態様の概略正面図、第２図はその概略側面図、第
３図は本実施態様の要部拡大平面図、第４図は本
実施態様の要部拡大側面図、第５図および第６図
はそれぞれ従来の巻取装置の一部を示す概略斜視
図、第７図は従来装置の一部分を示す断面図であ
る。 １……巻取装置、２，３……テープ巻取装体
（テープリール）、４，５……軸、６……原反、８
……パス系、９……切断接合手段、１１……エン
ドレスベルト、１２，１３，１４，１７……回転
ローラ、１５……ベルト、１６……ベルト送り出
し側、１８……ベルト巻き取り側、１９……永久
磁石、２０……支持部、２１……駆動手段、２
２，２４……保持部、２３……シヤフト、２５…
…モータ、２６……ボールねじ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ テープ巻装体を回転させて磁気テープを巻き
   取る磁気テープ巻取装置において、該テープ巻
   装体の少なくとも近傍にテープ厚み方向に概ね
   沿う磁界を発生させる磁石を設けると共に該磁
   石をテープ巻き径に対応してテープ巻装体半径
   方向に移動させる移動手段を設けたことを特徴
   とする磁気テープ巻取装置。 ２ 前記磁石が前記テープ巻装体の半径方向に沿
   つて異極を対向する一対のものから構成された
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の磁気テープ巻取装置。 ３ 前記テープ巻装体が上下両端にフランジを有
   し、該フランジ間に前記磁石が出入自在に構成
   されたことを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項又は第２項に記載の磁気テープ巻取装
   置。 ４ 前記移動手段は、前記磁石を支持した支持部
   と、該支持部を貫通したボールねじおよび該支
   持部をスライド可能に支持したシヤフトと、該
   ボールねじを回転させるモータと、テープ巻き
   径を感知してモータ作動信号を発生するセンサ
   とを備えたことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項乃至第３項のいずれか１項に記載
   の磁気テープ巻取装置。