JPH0580758B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の分野） 本発明は、磁気テープ原反から小巻のテープ巻
装体に所定長の磁気テープを巻き取つたり、ある
いは一旦テープ巻装体に巻かれた磁気テープを別
のテープ巻装体に巻き換えたりする場合、さらに
は、磁気テープを原反にする前の幅広い状態にお
ける巻き取りや、幅広い状態から複数の製品幅の
テープ原反に裁断して巻き取る場合などの磁気テ
ープ巻取方法に関するものである。

（従来の技術） オーデイオカセツトテープやビデオカセツトテ
ープ、更にはメモリーテープや放送用ビデオテー
プ等磁気テープの製造工程には、その中間工程と
して長尺の磁気テープ原反からリールやハブ等の
小巻のテープ巻装体に所定長の磁気テープを巻き
取る工程や、一旦、テープ巻装体に巻き取つた磁
気テープを別のテープ巻装体に巻き換えるべく巻
き取る再巻取工程、さらには原反以前のテープ幅
が広いときの巻取工程や裁断後の巻取工程などが
ある。

この巻取工程、再巻取工程において前記テープ
巻装体に磁気テープの巻き取りを行なつた場合、
例えば、送り出し側の前記磁気テープ原反の物
性、もしくは巻き取り側におけるテープ巻装体の
物性、さらには磁気テープ自体の物性によつて
は、巻き取り時において、テープ厚み方向の振動
や幅方向の振動などの如き、所謂テープ挙動が変
化してしまい、巻き取られた磁気テープの巻姿
（巻装状態）の問題、すなわちテープ巻装体の軸
方向から観察したときの巻面（テープ端縁）が凹
凸状態となる巻き乱れを生ずる。特に、巻き取り
時におけるテープ走行速度が速いほどこの傾向は
強くなる。

このように巻き乱れが生じた磁気テープは、例
えば磁気テープカセツトに収納された製品状態に
おいて、外観品質は云うに及ばず、テープ端の損
傷が起こり易く種々のトラブルを誘発したり、電
磁変換特性の悪化を招くなどの問題がある。特に
高密度記録を行う、例えばビデオ用の磁気テープ
において、テープ端縁近傍に音声信号や同調信号
を記録するため、上記の如き巻き乱れは極めて大
きな問題であつた。

このため従来の磁気テープ製造工程では、前記
巻取工程や再巻取工程の後で前記巻姿を全数チエ
ツクすべく例えば目視等による検査がなされてお
り、このためのコストと時間を要することは磁気
テープ製造工程の大きなネツクであつた。

また、この検査負荷を軽減すべく巻姿良化を目
指し巻姿の良品得率の低い磁気テープの巻き取り
においては、従来より例えは第７図ならびに第８
図に示すような化粧巻と称する方式が採用されて
いる。

第７図ならびに第８図は巻き取り側のテープ巻
装体２の周辺を示す概略斜視図である。第７図に
示したものの場合は、回転ローラ１２，１３，１
４によつて回転自在に保持された例えばゴム、ポ
リイミドなどから成るフレキシブルなエンドレス
ベルト１１が磁気テープＴと共に回転しつつテー
プ巻装体２の半径方向に向つて弾性的にテープ磁
性面を押圧して、磁気テープＴの巻姿を整えるよ
うに構成している。第８図に示したものの場合
は、テープ巻装体２の一方のフランジと磁気テー
プＴの端縁との間に比較的柔かい不織布等からな
なるベルト１５が設けられている。このベルト１
５はベルト送り出し側１６に巻かれたものが回転
ローラ１７等に保持されてゆつくりとした一定の
速さで巻き取り側１８に巻き取られに行く間に、
一方のテープ端縁を押圧して巻姿を整えるように
している。

しかしながら、上記両者とも磁気テープＴに直
接接触する構造であるため、例えば磁性層のけず
れや不織布の繊維の脱落等によるドロツプアウト
の発生、不適当な押圧力によるテープ変形、テー
プ端縁の損傷の如き種々の問題を生じ、その本来
の機能を果さない場合もあつた。更に、これらの
化粧巻機構はそれ自体の消耗が大きく価格的な
面、メンテナンス性の点で問題があるばかりか、
テープ巻装体２を入れ替える際に、少なくともそ
の作用を行う位置と否作用位置とに移動するよう
な構造としなければならず、巻取装置を複雑に
し、テープ巻装体の入れ替に比較的時間がかかり
生産性を向上させようとした場合、その移動時間
も生産性向上の支障となるものである。

現在のカセツトテープの巻取方式には、前記化
粧巻を実施した後カセツトに挿入して製品を完成
させていくオープン巻取方式と別にもう１つの方
式としてカセツト組立工程の最終段階において磁
気テープを巻き取るようにした、所謂、インカセ
ツト巻取もしくはＣ−０巻取，Ｖ−０巻取と称さ
れる方式がある。

この方式は第９図および第１０図に示す如く予
めカセツト２３の中に磁気テープ以外の全部品を
組み立て、リーダーテープ１０でつながれた送り
出し側のテープ巻装体と巻き取り側のテープ巻装
体が挿入されネジ締めまで完了したワーク（これ
を一般にＶ−０，Ｃ−０等と呼ぶ）に、インカセ
ツトワインダと称する巻取装置で前記リーダーテ
ープを引き出し切断後、その片側のリーダーテー
プに巻き取ろうとする磁気テープの先端を接合
し、もう一方のリーダーテープは吸着部材２２に
より保持しておき、接合された側のテープ巻装体
２を回転し、所定長の磁気テープＴを巻き取り切
断し、最後に、巻き取つた磁気テープＴの終端と
もう１方のリーダーテープ１０を接合して製品を
完成させるカセツトテープの巻き取り方式であ
る。このインカセツト巻取方式では前述したよう
なテープ巻装体の部分で機械的に磁気テープに接
触するようなことは不可能であり、巻姿の良し悪
しは、テープ物性やカセツト部品のバラツキに左
右され、全く制御出来ず、極めて巻姿得率が悪
い。この場合、巻姿を良化すべくカセツトの入口
部に上下につば２５を有したローラ２４等を配設
して、巻き取られていく磁気テープの幅方向に力
を加えて、片側へテープを押し付けようとするこ
とが試みられているが、ほとんど巻姿良化の効果
がなく、テープ巻装状態を良くする手だてがまつ
たくないのが現状である。

また、上記第７図〜第１０図に示した従来のも
のは、磁気テープが原反にされた以後の巻き取り
についてであるが、磁気テープが原反にされる以
前、例えば磁気テープが幅広でその巻き取り時に
テープ端縁を規制するフランジなどの部材が設け
られていない場合においてもテープ巻装状態を良
くすることが望まれていた。

（発明の目的） 本発明は、このような事情に鑑みてなされたも
のであつて、磁気テープの物性がバラツキを有し
ていてもテープ巻装体の巻き取り時の巻姿に乱れ
を生じさせることなく巻取ることのできる磁気テ
ープ巻取方法を提供することを目的とするもので
ある。

また、磁気テープに機械的に接触する上記化粧
巻方式のように巻取装置の複雑化ならびに上記の
如き副次的作用によるテープ品質の低下等を解消
することができ、かつテープ巻取工程の作業性を
向上することのできる磁気テープ巻取方法を提供
することを目的とする。

更には従来は全く巻装良化の手立てがなかつた
インカセツト巻取方式、テープ原反以前の幅広の
磁気テープ巻き取りや裁断後の巻き取りについて
も、飛躍的に巻姿を良化させることのできる磁気
テープ巻取方法を提供することを目的とするもの
である。

（発明の構成） 本発明の上記目的は、磁気テープをテープ巻装
体に巻き取るときに、少なくとも該テープ巻装体
の近傍において該磁気テープに一定方向の付勢力
を与える磁界をかけて巻き取り、巻き取り終了後
に消磁することを特徴とする磁気テープ巻取方法
により達成される。

以下、本発明の方法を実施した装置の実施態様
について詳細に説明する。

第１図及び第２図は本発明による磁気テープ巻
取装置１の一実施態様の概略正面図及び矢印Ａ方
向からの側面図である。この巻取装置１は例えば
ビデオテープカセツトに内蔵される一対のテープ
巻装体２と３（以下単に「テープリール」と云
う）に磁気テープＴを予め巻装してから組込む方
法に用いられるものである。

上記巻取装置１の概略的な動作を以下述べる。
始めに、テープリール２，３は所定の長さを有し
たリーダーテープ１０（第１図では片側の半分だ
け図示してある）により連結された状態で、巻取
装置１において回転駆動される軸４，５にそれぞ
れ装着さた後、該リーダーテープ１０はそのほぼ
中央で切断され、テープリール２側の端部と予め
装着されていた磁気テープ原反６の先端とが接合
テープ等により接合される。そして、テープリー
ル２に所定長巻き取られた磁気テープＴは切断さ
れたのち、その端部が一方のテープリール３側の
リーダーテープ１０に接合される。

なお、リーダーテープ１０ならびに磁気テープ
Ｔの切断や該リーダーテープ１０と磁気テープＴ
との接合は、テープ端部の保持部材、切断用カツ
ター、接合テープなどが設けられている切断接合
手段９により行われ、又、テープ原反６から送り
出される磁気テープＴはガイドピンやガイドロー
ラ等から成るパス系８を通してテープリール２に
巻き取られていく。又、第２図においては切断接
合手段９を削除してある。

上記した範囲内においては、従来装置と同様で
はあるが、本発明の特徴の１つは、テープリール
２の装着部分にある。すなわち、磁気テープＴを
巻き取るテープリール２周りに一対の永久磁石１
９が設けられていることにある。永久磁石１９は
例えば非磁性体の支持部２０により支持されて巻
取装置１の本体に取り付けられており、テープリ
ール２の回転軸に対して対称でリール半径方向に
沿つて設けられている。そして、永久磁石１９は
第３図に示すように、互に異つた極を向い合わせ
るようになされており、その磁界の方向はテープ
リール２の半径方向に概ね沿つており、該磁界に
よつて磁気テープＴに一定方向の付勢力を与える
ことができる。

なお、軸４はモータ等の駆動手段２１に連結さ
れて回転駆動されるようになされている。

このように構成された巻取部分で磁気テープＴ
を巻き取ると、該磁気テープＴは永久磁石１９の
Ｎ極からＳ極に向つて直線的に延びている磁力線
の中に置かれた状態となるので、磁気テープ同士
がその厚み方向に相互に引き合う作用を生じテー
プ間の摩擦力が大きくなる。そして、磁気テープ
Ｔの挙動変化による例えばテープ幅方向の巻きず
れを機械的な接触なしで抑えることができる。従
つて、磁気テープＴはテープ端縁が揃つた極めて
好ましい状態で巻き取られて行き、かつその状態
が保たれている。この結果、第３図からも明らか
なように、磁気テープＴはフランジ２ａに接する
ことなく両フランジ間のほぼ中央に巻き取る、所
謂センター巻きが可能となる。

永久磁石１９の磁力の強さは特に限定されるも
のではなく、例えば、巻き取り時のテープンシヨ
ン、磁気テープＴの種類、該磁石１９と磁気テー
プＴとの距離、巻き取り速度（テープ走行速度）、
など種々の条件を考慮して設定することができ
る。

このようにして磁界の中で巻き取られた磁気テ
ープＴは磁化されているが、例えば第４図に示す
ような消磁機により消磁することができる。第４
図に示す消磁機３０は、トンネル状に構成されて
おり、該消磁機３０内を磁界中で巻き取られた磁
気テープＴが通過できるようになされている。す
なわち、テープリール２に巻き取られた状態の磁
気テープＴ（テープリール３にも接続されている）
又は、該リール２，３が装填されたカセツトケー
スを、例えばベルトコンベア３１等の搬送手段に
より、消磁機３０内を例えば５秒〜10秒程度の時
間で通過することにより消磁される。なお、消磁
機３０は、交流電流が流された電磁石であつて周
知のものである。

上記のように消磁された磁気テープＴは、ノイ
ズ等の少ない記録再生特性に優れた高品質なもの
になる。

上記実施態様においては、永久磁石１９は所定
の位置に固定するように構成したが、リール半径
方向に沿つて移動可能とすれば、テープリール２
の大きさに自在に対応でき、又、磁気テープＴに
作用する磁力の強さを自在に変化させることがで
き、消磁機３０も第４図に示すような態様に限る
ものではなく種々変更できることは云うまでもな
い。又、本発明におけるテープ巻き取り時の磁界
の向きは特に限定するものではない。

上記実施態様ではオープンリール巻取方式によ
る巻取装置について述べたが、本発明は、その他
の方式、例えば第５図に示すようなインカセツト
巻取方式の巻取装置に適用できることは勿論であ
る。第５図は一対のテープリール２を内蔵したカ
セツトケース３２がその保持機構である例えばカ
セツトホルダ３３に保持された部位における軸４
に沿つた断面図である。なお、カセツトホルダ３
３の支持手段は図示してない。

第５図において、カセツトホルダ３３は従来の
ものと同様に、例えば図中下方に向いたカセツト
取出口を有し、軸４に沿つた方向に適宜移動（矢
印Ｂ方向）することができ、カセツトケース３０
を着脱自在とすることができる。このカセツトホ
ルダ３１の下側（装置本体のパネル側）には、軸
４を囲むような例えばドーナツ状の磁石１９が支
持部２０を介して取り付けられている。なお、こ
の装置における巻取工程は第９図において述べた
工程と概ね同じであるのでここでは省略する。

このように構成された装置でカセツトケース内
に磁気テープＴを巻き取ると、磁気テープＴは、
磁石１９に引き付けられて、テープリール２の片
方のフランジ（図中右側）に沿つて巻き取られる
ので、従来とは比較にならない程良好な巻姿にな
る。またこの場合においては、磁気テープＴだけ
でなく、カセツトケース内に設けられている金属
部分、例えばガイドピン等も磁化されている。従
つて、第６図に示すような消磁機３０によりカセ
ツトケース３２ごと消磁することができる。第６
図に示す消磁機３０は上記実施態様の第４図に示
したものと同様のものでよい。

このように、インカセツト巻取方式において磁
界かけて巻き取ると共に、その後消磁することに
より、磁気テープＴの巻姿が良好であることに加
え、巻き取りから消磁工程に移行する際における
ハンドリング上のテープ損傷の危険性もインカセ
ツトで取り扱うことで回避され、又その他の金属
部品を含めた磁気テープカセツト全体が消磁され
るので、極めて高品質な磁気テープカセツトを製
産することができる。

上記各実施態様における磁石１９は永久磁石を
用いたが、本発明はこれに限るものではなく、電
磁石を用いることもできる。この場合、電磁石に
流す電流の量を変化させることにより、該電磁石
の磁力を自在に変えることができる。

本発明は上記に示した実施態様に限られるもの
ではなく、フランジのないテープ巻装体例えば、
磁気テープを原反にする前の巻取工程や、原反に
する裁断装置の巻取工程にも適用できることは勿
論である。

なお、本明細書中における磁石とは、上記実施
態様に述べた永久磁石、電磁石に限るものではな
く、例えばソレノイドの如き概念をも含むもので
あり、磁界発生手段を総称したものとする。

（発明の効果） 以上詳細に述べたように、本発明の如く磁気テ
ープを巻き取る際に、磁界を作用させることによ
り、磁気テープ同士が相互に引き合つたり、ある
いは一方のフランジ側へ引き寄せられたりするの
で、テープ走行が極めて安定し、巻き取られた磁
気テープはその端縁が揃い非常に好ましい巻装状
態となる。又、本発明は磁気テープの巻装状態
（巻姿）を良くする力を作用させるのに機械的外
力をほとんど加えることなく、又、フランジの有
無に関係なく全くの非接触でも行うことができる
ので、従来の如く接触による、例えばテープ折
れ、テープ端縁の損傷あるいは磁性面の損傷など
のトラブルが生じることがなく、磁気テープの品
質の向上をはかることができる。又、本発明によ
る巻取装置はテープ巻装状態を整える手段が複雑
にならないと云う極めて大きな効果を奏する。

従つて、本発明によれば、磁気テープの品質の
向上ならびに巻き取り工程の生産性の向上をはか
ることができる。特にフランジレスタイプのテー
プ巻装体およびインカセツト巻取方式を採用した
巻取装置においては飛躍的に進歩した方法および
装置を提供することができる。

又、本発明は、巻き取り時に磁界をかけること
により生ずる上記効果に加え、巻き取り後におい
て、磁化された磁気テープの消磁を行うので、巻
き取り時の磁界が及ぼすテープ性能への悪影響を
回避することができ、特に、インカセツト巻取方
式においては、磁気テープ以外の他のカセツト構
成部材の消磁を行うことができるので、極めて品
質の高い磁気テープカセツトを提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の巻取装置の一実施態様の概略
正面図、第２図はその概略側面図、第３図は第２
図の軸方向に沿つた要部拡大断面図、第４図は消
磁機の一実施態様を示す概略斜視図、第５図はイ
ンカセツト巻取方式の巻取装置の要部断面図、第
６図はインカセツト巻取方式の場における消磁機
を示す概略斜視図、第７図および第８図はそれぞ
れ従来の巻取装置の一部を示す概略斜視図、第９
図はインカセツト巻取方法による従来の巻取装置
の概略平面図、第１０図は第９図の要部拡大側面
図である。 １…巻取装置、２，３…テープ巻装体（テープ
リール）、４，５…軸、．…原反、８…パス系、９
…切断接合手段、１１…エンドレスベルト、１
２，１３，１４，１７…回転ローラ、１５…ベル
ト、１６…ベルト送り出し側、１８…ベルト巻き
取り側、１９…永久磁石、２０…支持部、２１…
駆動手段、２２…吸着部材、２３…カセツト、２
４…ローラ、２５…つば、３０…消磁機、３１…
ベルトコンベア、３２…カセツトケース、３３…
カセツトホルダ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁気テープをテープ巻装体に巻き取るとき
   に、少なくとも該テープ巻装体の近傍において該
   磁気テープに一定方向の付勢力を与える磁界をか
   けて巻き取り、巻き取り終了後に消磁することを
   特徴とする磁気テープ巻取方法。