JPH0447491Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係るガスケツトは、例えばエンジン
のシリンダブロツク上面とシリンダヘツド下面と
の間の気密、液密を保持するため、両面の間に挾
持するシリンダヘツドガスケツトとして利用でき
る。

（従来の技術） 内燃機関のシリンダヘツド下面とシリンダブロ
ツク上面との間にはシリンダヘツドガスケツトを
挾持して、シリンダ内で発生する高圧の燃焼ガス
が外部に漏洩したり、或はシリンダブロツクとシ
リンダヘツドとの間を流通する冷却水や潤滑油が
漏洩したりするのを防止している。

第７図はこのようなシリンダヘツドガスケツト
の１例を示している。このシリンダヘツドガスケ
ツト１には、シリンダ頂部の開口形状に合せた円
形のボア孔２，２、シリンダヘツドをシリンダブ
ロツクに固定するためのボルトを挿通する小円孔
３，３、冷却水や潤滑油を通すための透孔４，４
（形状は円形とは限らない。）が穿設されている。
５は各ボア孔２，２の内周縁部に装着した金属薄
板製のグロメツトである。

ところで、このように形成されるシリンダヘツ
ドガスケツトに於いて、透孔４，４を流通する冷
却水や潤滑油が外部に漏洩するのを有効に防止す
るため、ガスケツト１の表面に、上記透孔４，４
と外部とを仕切るようにしてシール材（シリコン
ゴム、エポキシ樹脂、ウレタンゴム、ニトリルゴ
ム、アクリルゴム等）をコーテイングすることが
行なわれている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、シリンダヘツドガスケツト１は、使
用時にはシリンダブロツクの上面とシリンダヘツ
ド下面との間で強く挟圧され、しかもシリンダ内
での燃焼により発生する熱によつて繰り返し熱応
力を受けるため、シール材６を第８図Ａに誇張し
て示すようにシリンダガスケツト１の表面に盛り
上げるようにしてコーテイングした場合でも、こ
のシール材６は次第に同図Ｂに示すように広がつ
て高さが低くなつてしまい、シール効果が薄れて
しまう。

このため、シリンダヘツドガスケツト１に第９
〜１０図に略示するようにスリツト状の透孔７を
開設し、この透孔７内にシール材６を、ガスケツ
ト１の表面から少し突出するようにして充填する
ことが考えられている。ところが、このようにス
リツト状の透孔７を開設した場合、この透孔７と
ガスケツト１の端縁との間の部分８の幅が狭い
と、この部分８が千切れたり、或は変形して透孔
７の幅が広がりシール材６が脱落したりするおそ
れが生ずる。また、いずれの例に於いてもガスケ
ツトの全面に亘りシール材６の厚さを均一にする
ことが困難であつた。

本考案は上述のような不都合を解消し、シール
材が広がつてシール効果が薄れたり、或は一部が
変形したり、千切れたりするのを防止したガスケ
ツトを提供することを目的としている。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案のガスケツトに於いては、少なくとも表
面が非金属製でシート状のガスケツトシートに穿
設され、内側を潤滑油、冷却水等の液体、或は水
蒸気等の気体を流通させる透孔の周囲に、この透
孔を囲んで金属板の表面にゴムを焼付けしたシー
ル板を添着している。

即ち、少なくとも外周形状を上記透孔よりも大
きくした、鋼板等の金属板の表面にゴムを焼付け
し、ガスケツトに形成した透孔と同じかこれより
も大きな孔を形成したシール板を、上記透孔を囲
むようにしてガスケツトの表面に添着している。

（作用） 上述のように構成される本考案のガスケツトに
於いては、シール板を構成する金属板の表面に焼
付けられたゴムが気密、液密を保持すべき面に強
く密着してこの面での気密、液密を保持する。
又、金属板の表面に焼付けられたゴムは金属板と
の付着力が極めて強く、しかも耐熱性にも勝れて
いるため、長期の使用に伴つてへたることは極め
て少ない。

（実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ本考案を更に
詳しく説明する。なお、図面はいずれも厚さ方向
の寸法を面方向の寸法に比べて大きく誇張して描
いている。

第１〜３図は本考案の第一実施例を示してい
る。円環状に形成されたシール板９は、金属板１
０の上下両面にゴム層１１，１１を焼付けること
により形成している。このシール板９の内径Ｄ
は、通常はシリンダヘツドガスケツト１に穿設し
た透孔４の内径ｄと同じか少し大きく（ｄ≦Ｄ）
形成するが、シール板９により冷却水、潤滑油等
の流路を絞る場合、シール板９の内径Ｄを透孔４
の内径ｄよりも小さくしても良い。但し、何れに
しても、シール板９の外径は、透孔４の内径ｄよ
りも十分に大きくする。

このように形成されたシール板９は、第２〜３
図に示すように、シリンダヘツドガスケツト１の
表面に透孔４を囲むようにして添着し使用され
る。このようにシール板９をガスケツト１の表面
に添着するには、接着剤を用いても良いが、ガス
ケツト１の表面に載置したシール板９をプレス機
によりガスケツト１に強く押し付ければ、シール
板９がガスケツト１を構成するコンパウンド内に
沈入してシール板９がガスケツト１の表面にしつ
かりと添着され容易には剥離しなくなる。

このようにして透孔４の周囲に環状のシール板
９を添着したシリンダヘツドガスケツトは、従来
のシリンダヘツドガスケツトと同様にシリンダブ
ロツクの上面とシリンダヘツドの下面との間に挾
持して両面の気密を保持するのに使用される。こ
のように本考案のシリンダヘツドガスケツトを使
用する場合、透孔４の周囲に添着したシール板９
の表面のゴム層１１が、シリンダブロツク、或は
シリンダヘツドに形成した通水路或は通油路の開
口部周囲に当接し、シリンダヘツドガスケツトの
表面と、シリンダブロツク上面或はシリンダヘツ
ド下面との間の気密、液密を保持する。シール板
９の表面のゴム層１１は金属板１０の表面に焼付
けにより形成されているため丈夫で、使用時に強
く押圧されてもへたることがなく、耐熱性も勝れ
ている。

なお、シール板９はシリンダヘツドガスケツト
１の上下両面に添着することが効果があるが、異
なる用途に用いるガスケツトの場合、いずれか一
方の面で良い場合もある。又、シール板９に形成
するゴム層１１は、シール板をガスケツトの表面
に添着した場合に表面に露出する面にのみ設けて
も良いが、上下両面に形成すればガスケツトのコ
ンパウンド表面とシール板との気密、液密の保持
も良好になる。但し、シール板を接着剤によりガ
スケツトに添着する場合、ゴム層は表面に露出す
る面にのみ設ければ十分である。

次に、第４図は本考案の第二実施例を示してい
る。本実施例は、シリンダヘツドガスケツト１の
透孔４の周囲に添着したシール板９の中央部に突
条１６を形成し、この突条１６の部分に於いてシ
ール板９のゴム層１１とシリンダブロツク上面或
はシリンダブロツク上面とが当接する圧力を向上
させ、シール性の向上を図るものである。

次に、第５〜６図は本考案の第三実施例を示し
ている。本実施例は、複数の透孔４，４の周囲に
添着するためのシール板９，９同士を幅の狭い連
結部１２，１２で一体に連結し、複数の透孔４，
４の周囲に複数のシール板９，９を添着する作業
が容易に行なえるようにしたものである。即ち、
総てのシール板９，９がそれぞれ所定の透孔４，
４に合致するように配列され、互いに連結部１
２，１２により一体に連結されており、一部のシ
ール板９，９の外周縁に形成された舌片１３，１
３をシリンダヘツドガスケツト１の外周縁で折り
返している。この場合、舌片１３を折返すべきガ
スケツトの外周縁部分に切欠きを設け、舌片１３
をこの切欠き部分で折返せば各シール板９，９と
透孔４，４との位置が合致するようにしても良
い。このため各シール板９，９は、シリンダヘツ
ドガスケツト１に完全に添着する以前に於いても
透孔４，４の周囲の所定場所に保持され、総ての
シール板９，９の位置決めを同時に行なえる事と
併せて、ガスケツト製造の効率化を図れる。

なお、第５図に於いて、円環状のシール板９，
９と連結部１２，１２を介して円板状で無孔のシ
ール板９ａ，９ａが設けられているが、この円板
状のシール板９ａは、第６図に示すようにシリン
ダブロツクに形成した通路１４とシリンダヘツド
に形成した通路１５との連通を断つ部分に使用す
る。即ち、シリンダブロツクとシリンダヘツドと
には加工の都合等により必要以上の通路を形成す
る場合があるが、このような余分の通路同士の連
通はシリンダヘツドガスケツトにより阻止しなけ
ればならない。このため、シリンダヘツド及びシ
リンダブロツクに形成した余分の通路１４，１５
の開口部に対向する部分に無孔のシール板９ａ
（形状は図示の様な円形に限らず、通路開口部の
形状に合せる）を設ける。

ｃ 考案の効果 本考案のガスケツトは以上に述べた通り構成さ
れ使用されるため、シール用のゴムがへたつたり
或はガスケツトの一部が千切れたりすることがな
く、しかもゴム層の厚さを均一にすることも容易
であるため、シール性、耐久性に勝れたものとな
る。しかも、隣り合う孔同士の間隔が狭い場合で
も、各孔の間部分の強度を低下させる事がないた
め、シリンダヘツドガスケツトのように、多くの
孔を有するガスケツトに適用して、シール性の向
上を効果的に図れる。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案の第一実施例を示してお
り、第１図はガスケツトの要部を示す分解斜視
図、第２図は組立てた状態を示す縦断面図、第３
図は第２図のＡ部拡大断面図、第４図は本考案の
第二実施例を示す第３図同様の断面図、第５〜６
図は本考案の第三実施例を示しており、第５図は
ガスケツトの部分平面図、第６図はこのガスケツ
トをシリンダヘツドとシリンダブロツクとの間に
挾んだ状態を示す第５図のＢ−Ｂ断面に相当する
図、第７図は従来から使用されているシリンダヘ
ツドガスケツトの平面図、第８図は従来のガスケ
ツトの表面に設けたシール材の状態を示してお
り、同図Ａはシール材を設けた直後、同図Ｂはこ
のシール材が広がつてしまつた状態をそれぞれ示
す部分拡大断面図、第９図は別の構造によりシー
ル材を設けた従来のシリンダヘツドガスケツトの
略平面図、第１０図は第９図の拡大Ｃ−Ｃ断面図
である。 １……シリンダヘツドガスケツト、２……ボア
孔、３……小円孔、４……透孔、５……グロメツ
ト、６……シール材、７……透孔、８……部分、
９，９ａ……シール板、１０……金属板、１１…
…ゴム層、１２……連結部、１３……舌片、１
４，１５……通路、１６……突条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに対向し接続される面の間に挾持し、両面
   間の気密、液密を保持するガスケツトであつて、
   少なくとも表面が非金属製でシート状のガスケツ
   トシートに穿設された、流体を通過させる透孔の
   周囲に、金属板の少なくとも片面にゴム層を焼付
   け形成して成り、少なくとも外周形状を上記透孔
   よりも大きくしたシール板を、上記ゴム層を表面
   に露出させるように圧着して成るガスケツト。