JPH055338Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、内燃機関のシリンダヘツド下面と
シリンダブロツク上面との間に挟持し、両面間の
気密及び液密を保持するメタルシリンダヘツドガ
スケツトの改良に関する。

（従来の技術） 内燃機関のシリンダヘツド下面とシリンダブロ
ツク上面との間にはシリンダヘツドガスケツトを
挟持して、シリンダ内で発生する高圧の燃焼ガ
ス、或はシリンダブロツクとシリンダヘツドとの
間を流通する冷却水や潤滑油が外部に漏洩するの
を防止している。

第２図は、この様なシリンダヘツドガスケツト
１の１例を示している。このシリンダヘツドガス
ケツト１には、シリンダ頂部の開口形状に合わせ
た円形のボア孔２，２、シリンダヘツドをシリン
ダブロツクに固定する為のボルトを挿通する小円
孔３，３、冷却水や潤滑油を通す為の透孔４，４
が穿設されている。５は各ボア孔２，２の内周縁
部に装着した金属薄板製のグロメツトである。

この様なシリンダヘツドガスケツト１は、従来
から、ボア孔２等を打ち抜き形成した亜鉛メツキ
鋼板、ステンレス鋼板等の金属薄板を複数枚重ね
合わせる事で構成されている。

第３図はこの様な従来のメタルシリンダヘツド
ガスケツトの１例を示している。この第３図に例
示したメタルシリンダヘツドガスケツトは、表裏
両面にニトリルブタジエンゴム（NBR）、シリコ
ンゴム、弗素ゴム等のシール材８，８の層を、焼
き付け等の手段により形成し、更にボア孔２、シ
リンダヘツド１１をシリンダブロツク１０に固定
する為のボルトを挿通する小円孔、冷却水や潤滑
油を通す為の透孔４をそれぞれ穿設した２枚の第
二の金属薄板７，７を、この第二の金属薄板７，
７と同様、ボア孔２、小円孔、透孔４を穿設した
第一の金属薄板６の表裏面に、これら３枚の金属
薄板６，７に穿設した各孔２，３，４が互いに整
合する様にサンドイツチ状に積層し、更に上記ボ
ア孔２の周縁部に金属薄板製のグロメツト５を設
ける事で構成されている。

更に、上記第一の金属薄板６に穿設したボア孔
２及び液体を通す透孔４の周囲部分には、環状の
突条９，９を設けて、各孔２，４周囲部分の押圧
力が高くなる様にしている。

又、上記第一、第二の両金属薄板６，７に穿設
した液体を通す為の透孔４の内、少なくとも一部
の透孔４の大きさは、シリンダブロツク１０の上
面及びシリンダヘツド１１の下面に開口する水孔
１２，１２よりも小さく形成し、この様なメタル
シリンダヘツドガスケツトをシリンダブロツク１
０の上面とシリンダヘツド１１の下面との間で挟
持した際、シリンダブロツク１０の水孔１２から
送り出された冷却水が、上記透孔４によつて流量
を絞られる様にしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが上述の様に構成される従来のメタルシ
リンダヘツドガスケツトに於いては、以下に述べ
る様な不都合を生じた。

即ち、従来のメタルシリンダヘツドガスケツト
の場合、冷却水を通す為の透孔４部分で冷却水の
流量を調節する手段として、上述した様に、メタ
ルシリンダヘツドガスケツトを構成する第一、第
二の両金属薄板６，７に穿設した透孔４を、シリ
ンダブロツク１０の上面及びシリンダヘツド１１
の下面に開口する水孔１２，１２の大きさよりも
小さく形成しているが、この様な従来のメタルシ
リンダヘツドガスケツトの使用時に於いては、冷
却水の流れが第二の金属薄板７，７の表面に衝突
し、この衝突によつて、第二の金属薄板７，７の
表面に被覆したシール材８，８の一部が剥離して
しまう事が避け難い。

この様にシール材８の一部が剥離し、更に剥離
したシール材８の破片が冷却水中に混入すると、
この冷却水を送る為のポンプを故障させる原因と
なつてしまう。

この様な不都合を解消する為、実開昭63−
141361号公報には、第４図に示す様なメタルシリ
ンダヘツドガスケツトが開示されている。

この改良されたメタルシリンダヘツドガスケツ
トは、シリンダヘツド１１の下面及びシリンダブ
ロツク１０の上面に開口する水孔１２，１２に整
合する位置に、第一の透孔４ａを形成し、表裏面
にシール材の層を形成していない第一の金属薄板
６と、表裏両面にシール材８，８の層を形成する
と共に、上記水孔１２，１２に整合する位置に第
二の透孔４ｂ，４ｂを形成し、上記第一の金属薄
板６をサンドイツチ状に挟む２枚の第二の金属薄
板７，７とから構成し、上記第一の透孔４ａの大
きさを上記水孔１２，１２よりも小さくし、第二
の透孔４ｂ，４ｂの大きさを、上記水孔１２，１
２の開口部の大きさと同等以上としている。

ところが、上述の様な先考案に係るメタルシリ
ンダヘツドガスケツトの場合、シール材８，８の
層の剥離を防止する為には、３枚以上の金属薄板
を重ね合わせる事が必要であり、メタルシリンダ
ヘツドガスケツトのコスト低減を図る為、２枚の
金属薄板のみでメタルシリンダヘツドガスケツト
を構成する事は出来なかつた。

本考案は上述の様な不都合を解消し、２枚の金
属薄板のみで構成され、しかもシール材が剥離し
てポンプを故障させる事のない、メタルシリンダ
ヘツドガスケツトを提供するものである。

（課題を解決する為の手段） 本考案のメタルシリンダヘツドガスケツト１
は、第１図に示す様に、第一、第二の２枚の金属
薄板１６，１８を重ね合わせる事で構成されてい
る。

この２枚重ねのメタルシリンダヘツドガスケツ
ト１は、シリンダ頂部の開口に合致するボア孔２
と、冷却水を流通させる透孔４とを形成して成る
もので、シリンダブロツク１０の上面とシリンダ
ヘツド１１の下面との間に挟持した状態で使用さ
れる。

この様に、本考案のメタルシリンダヘツドガス
ケツト１を挟持するシリンダブロツク１０とシリ
ンダヘツド１１とに形成した水孔１２，１２はそ
れぞれ、シリンダブロツク１０の上面に第一の開
口１４を有し、シリンダヘツド１１の下面に第二
の開口１５を有している。

上記第一、第二の開口１４，１５は、それぞれ
メタルシリンダヘツドガスケツト１に形成した透
孔４に合致するが、第一の開口１４と第二の開口
１５とは互いに異なる大きさとしている。即ち、
通常の場合、シリンダブロツク１０の上面の第一
の開口１４を大きく、シリンダヘツド１１の下面
の第二の通孔１５を小さく、それぞれ形成してお
り、この内の第二の開口１５の大きさは、冷却水
の流量を調節する為に必要且つ十分な大きさと
し、第一の開口１４の大きさは、これよりも十分
に大きくしている。この様に、シリンダブロツク
１０とシリンダヘツド１１とを結合した場合に、
互いに整合する第一、第二の開口１４，１５の大
きさを異ならせたエンジンは、所謂オープンデツ
キタイプのものを含めて、近年多くなつている。

そして、上述の様な第一、第二の開口１４，１
５を有するシリンダブロツク１０とシリンダヘツ
ド１１との間に挟持した状態で使用する本考案の
メタルシリンダヘツドガスケツト１は、両面にゴ
ム等のシール材８，８の層を有する第一の金属薄
板１６に第一の孔１７を、第一の金属板１６と反
対面にのみシール材８の層を形成した第二の金属
薄板１８に、上記第一の孔１７よりも小さな第二
の孔１９を、それぞれ形成し、第一、第二の両孔
１７，１９を合わせる事で、冷却水を流通させる
為の透孔４としている。尚、比較的大きな第一の
孔１７は、比較的大きな第一の開口１４と同等以
上の大きさとしている。

そして、上述の様に構成される本考案のメタル
シリンダヘツドガスケツト１は、片面にのみシー
ル材８の層を形成し、比較的小さな、第二の孔１
９を形成した第二の金属薄板１８を、第一、第二
の開口１４，１５の内の小さな開口を有する面
（図示の例の場合、第二の開口１５を有するシリ
ンダヘツド１１の下面）に対向させて使用する。

尚、第一、第二の金属薄板１６，１８に形成し
た第一、第二の孔１７，１９の周囲には、第１図
に示したダイヤフラム状、或は第３〜４図に示し
た様な土手状のビードを形成し、シリンダブロツ
ク上面とシリンダヘツド下面との間でメタルシリ
ンダヘツドガスケツトを挟持した際に、各孔１
７，１９周囲部分の押圧力が高くなる様にしてい
る。

（作用） 上述の様に構成される本考案のメタルシリンダ
ヘツドガスケツト１の作用自体は、従来のメタル
シリンダヘツドガスケツトと同様であるが、本考
案のメタルシリンダヘツドガスケツトに於いて
は、表裏両面にシール材８，８の層を有する第一
の金属薄板１６に形成した第一の孔１７の大きさ
を、シリンダブロツク１０の上面の第一の開口１
４と同等以上とした為、上記シリンダブロツク１
０上面の第一の開口１４から送り出された冷却水
の流れが、上記第一の孔１７の周囲部分に衝突す
る事はなく、この周囲部分に被覆したシール材
８，８の層を剥離する事がなくなる。この結果、
剥離したシール材８，８の破片が冷却水を送る為
のポンプ内に入り込み、このポンプを故障させる
事がなくなる。

冷却水の流量は、片面にシール材８，８の層が
ない第二の金属薄板１８に形成された第二の孔１
９により、調節される。又、この第二の金属薄板
１８の片面に被覆されたシール材８の層は、シリ
ンダヘツド１１の下面に密接する為、このシール
材８の層に冷却水の流れが衝突する事はなく、第
二の金属薄板１８片面のシール材８の剥離も確実
に防止される。

（考案の効果） 本考案のメタルシリンダヘツドガスケツトは以
上に述べた通り構成され作用する為、２枚の金属
薄板を積層するのみで、安価に製作出来るにも拘
らず、従来のメタルシリンダヘツドガスケツトと
同様の気密性、液密性を有すると共に、使用に伴
なつて金属薄板に貼着したシール材が剥離し、そ
の破片がポンプ内に入り込んでこのポンプを故障
させる等の事故がなくなり、エンジンの安定運転
に果す効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のメタルシリンダヘツドガスケ
ツトを示す要部拡大断面図、第２図は従来のシリ
ンダヘツドガスケツトの１例を示す平面図、第３
図は従来のメタルシリンダヘツドガスケツトの１
例を示す第２図のＡ−Ａ断面図、第４図は先考案
に係るメタルシリンダヘツドガスケツトを示す、
第３図同様の図である。 １……シリンダヘツドガスケツト、２……ボア
孔、３……小円孔、４……透孔、４ａ……第一の
透孔、４ｂ……第二の透孔、５……グロメツト、
６……第一の金属薄板、７……第二の金属薄板、
８……シール材、９……突条、１０……シリンダ
ブロツク、１１……シリンダヘツド、１２……水
孔、１３……シリンダ孔、１４……第一の開口、
１５……第二の開口、１６……第一の金属薄板、
１７……第一の孔、１８……第二の金属薄板、１
９……第二の孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第一、第二の２枚の金属薄板を重ね合わせ、シ
   リンダ頂部の開口に合致するボア孔と、冷却水を
   流通させる透孔とを形成して成り、この透孔に合
   致する第一の開口を有するシリンダブロツク上面
   と、同じく透孔に合致するが、第一の開口とは異
   なる大きさの第二の開口を有するシリンダヘツド
   下面との間で挟持された状態で使用される、メタ
   ルシリンダヘツドガスケツトに於いて、上記透孔
   を構成する為、両面にシール材の層を有する第一
   の金属薄板に形成した第一の孔を、第一の金属薄
   板と反対面にのみシール材の層を形成した第二の
   金属薄板に形成した第二の孔よりも大きくすると
   共に、第一の金属薄板を、第一、第二の開口の内
   の大きな開口を有する面に対向させて使用する、
   メタルシリンダヘツドガスケツト。