JPH044599Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は博物館や美術館等で展示品を陳列し観
覧に供するための展示ケースに関する。［従来の
技術］ 展示ケースには、展示空間に陳列する展示品を
明示するため内部に照明器具が装着されるが、展
示品を隈なく照らす目的では、展示空間の前後に
照明器具を配置し、展示品を前後両側から照明す
るのが一般的である。

そして、上蓋のガラス越しに展示品を覗き込む
形式の展示ケース（覗きケース）の場合には、展
示品を前方より照らすための灯を、展示床の前端
側上方の上蓋近傍等（例えば、第１図のＡ位置）
に配置するのが通例である。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、このようにして展示空間の内部
に灯を配置したものであると、これをカバーで目
隠ししても、カバー等が観覧者の目に入ったり、
視界を遮ったりするのを避け得ない。しかるに、
展示ケースでは展示効果を高める上で、展示品を
収容し陳列する展示空間には展示品の他に余分な
ものが一切目に入らないようにするのが理想であ
る。

本考案は、このような問題点を解決し、同時に
展示品により良い照明効果を与えるとともに、展
示空間の環境に悪影響を与えることなしに灯の取
換え等を容易に行えるようにする目的で、展示ケ
ースの照明装置を工夫したものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案によると、展示床の上の展示空間を前方
より照らす灯を、前記展示床の前部に貫設した照
明ボツクスの内部における前記展示床上面よりも
下方に位置する部位に収容し、その照明ボツクス
の天井部分に該灯からの入射光を後方に反射する
反射板を配置するとともに、前記照明ボツクスの
上端部背面に前記反射板の反射光と前記灯の直射
光とを照光させる透光窓を設け、この透光窓をガ
ラスを気密に封着してなるものにして該照明ボツ
クス内と展示空間とを区成し、この照明ボツクス
の下端を前記展示床を介して展示空間と仕切られ
た基台空間に開放し、この照明ボツクスの下端に
メンテナンス扉を開閉可能に設けるとともに、前
記基台空間を外部に開放可能に構成したことを特
徴とする。

［作用］ 上記の構成であると、灯は展示床の床面下にあ
り、その斜め後方に位置する透光窓から展示空間
に照光して展示品を照らすものであるから、外部
から灯を直接見えなくできるとともに、展示床の
上の展示空間から照明器具を完全に撤去すること
ができる。そして、灯を展示床の床面下に位置さ
せ、前記透光窓から照光させるものでは、展示床
の前端部から後方に向け、灯からの直射光と反射
板からの反射光とを広い角度範囲に分布させて照
光することができるから、展示空間の広い領域を
むらなく照らすことができる。

また、上記構成によれば、展示空間内の密閉雰
囲気あるいは一定の調湿雰囲気を乱すことなし
に、灯の取換えを行うことが可能となる。すなわ
ち、照明ボツクス内は、展示空間とは気密に隔離
されており、メンテナンス扉を開くことによつて
基台空間と連通することになる。そのため、基台
空間を外部に開放した状態で前記メンテナンス扉
を開成させることによつて、展示空間に影響を与
えることなく、灯の取換えを行うことができる。
また、展示空間と隔離された照明ボツクス内に灯
を配設しておけば、展示品に灯から熱的な影響が
及ぶのを有効に抑制できるという利点も生じる。

［実施例］ 以下、第１図〜第３図に示す一実施例を参照し
て、本考案をより具体的に説明する。

この展示ケースは、第３図に展示状態の外観を
図示するように、ケース本体１と上蓋２とからな
つている。３はデザイン上のドブである。

ケース本体１は、４隅に立設した支柱４に矩形
の上枠５と下枠６とを固定するとともに、その両
側開口部に側板７，７を、また前後開口部にフロ
ントパネル８とリヤパネル９をそれぞれ配し、中
空ボツクス体に組立てられている。そして、前記
上枠５の内周に配設した内枠１０の内周に、展示
品Ｘをその上に載置して陳列するための展示床１
１を適宜の昇降機構１５を採用して、昇降可能に
設けている。この展示床１１は、上昇位置で内枠
１０の下面とシール１０ａを介して当接し、この
状態で内枠１０と面一化される。そして、このと
きには、展示床１１の上方で形成される展示空間
１２と、下方の基台空間１３とが気密に仕切られ
る。なお、展示床１１等の上面には化粧パネルを
貼着される。また、展示空間１２の後部を画し、
展示品Ｘの背景をなす背面板１４の表面には化粧
パネルが貼設されている。さらに、展示床１１下
の基台空間１３は、開閉扉として下端縁を蝶着し
ている前記フロントパネル８を開いて、前面側が
開放できるようになつている。

一方、上蓋２は外部から展示品Ｘを透視させる
大部分（上面部、前面部及び両側面部）をガラス
板１６ａ，１６ｂ，１６ｂで形成している。これ
らのガラス板は、接合面を一体に剛接したもので
あり、各端部をケース本体１の前面梁１７と角形
に切欠いた側板７，７の端面及び上面に埋め込み
又は接合して、開閉不能に固定されている。なお
上蓋上面部と前面部を形成するガラス板１６ａは
一枚のガラス板を継目なく屈曲成形したもので、
接合ガラスのような偏光を生じないのが特徴であ
る。

また、上蓋２の後辺部には平行フレーム１８，
１９を架設し、これらと側板７，７とで上蓋部分
を、後述する後灯２３を保持するためのメンテナ
ンス扉２０とし、その後端縁をフレーム１９に蝶
着して上方に開閉可能としている。

しかして、ケース本体１の展示床１１と上蓋２
等によつて囲包される展示空間１２の内周には、
該展示空間１２に調湿雰囲気をつくり出すための
通気口２１と、展示空間１２を前方下部から照ら
す前灯２２と、同空間１２を後方上部から照らす
後灯２３とが、それぞれの付属部品と共に配設さ
れる。

前記通気口２１は、展示床１１の前端側に開口
させたもので、下方に調湿剤２４を内装する給湿
ボツクス２５を連設し、下空きの基台空間１３内
からの冷気を適度に加湿して、図示矢印ａのよう
に展示空間１２に通気させる。

また、本考案に係わる前記前灯２２は、側面を
前記前面梁１７と前記上枠５とに接合し、上面を
前記面梁１７と面一にした照明ボツクス２６の中
にホルダ２７を介して横架されている。この前灯
２２は、少なくともその灯心が展示床１１の床面
下に位置させるものであるが、実施例の場合、そ
の上面と展示床１１とが略面一となる位置に配置
されている。そして、前灯２２の上方には、その
下端を展示床１１と略同じ高さに位置調整した略
１／４円弧をなす反射板２８が配置されている。
この反射板２８は、下方の前灯２２からの入射光
をその内面で反射し、後方の展示空間１２に照光
する役目を負う。そして、反射板２８と対向する
照明ボツクス２６の部分は開口され、ここに透光
窓２９として熱切ガラスを気密に封着している。

具体的に説明すれば、前記照明ボツクス２６
は、図面に明示されているように、展示床１１の
前部に貫設されており、この照明ボツクス２６の
内部に前記前灯２２を収容している。そして、前
記照明ボツクス２６の天井部分に該前灯か２２ら
の入射光を後方に反射する前記反射板２８を配置
するとともに、前記照明ボツクス２６の上端部背
面に前述したような熱切ガラスを気密に封着した
透光窓２９を設けている。しかして、この照明ボ
ツクス２６内と展示空間１２とは気密状態で区成
されている。照明ボツクス２６の下端は、前記基
台空間１３に開放されており、この照明ボツクス
２６の下端にメンテナンス扉２６ａを開閉可能に
設けている。基台空間１３は前述したフロントパ
ネル８を開成させることによつて外部に開放し得
るようになつている。

さらに、前記後灯２３は既述した上蓋２のメン
テナンス扉２０の内面にホルダ３０を介して横架
されている。この後灯２３の前、下方部は、前記
フレーム１９と背面板支持フレーム３１との間に
架設固定したカバー３２で覆われている。

なお、前記前灯２２と後灯２３とは共に紫外線
カツトタイプの蛍光灯が使用される。また、前記
照明ボツクス２６は反射板２８を通り前面のドブ
３と連通する図示省略の通気系路から前灯１２の
熱気が図示矢印ｂのように排気され、他方前記カ
バー３２の内部は、背面に開口する通気口３３か
ら後灯２３の熱気が図示矢印ｃのように排気され
る。

その他、２５ａは給湿ボツクス２５に付設した
開閉可能なメンテナンス扉を示す。

さて、上述のように前灯２２等を配置したもの
であれば、第１には、展示床１１の手前側は段差
をなして照明ボツクス２６と前面梁１７の上面が
面一に連なるのみで、この上や上蓋２の内面から
照明器具を完全に撤去でき、観覧者をして展示品
Ｘが非常に見易いものとなる。そして、前灯２２
は透光板２９で塞がれた照明ボツクス２６の内部
で、展示床１１の床面下に置かれるので、それが
観覧者の目に入ることもない。

また第２図には、前灯２２を展示床１１の床面
下に配置したものでは、第２図に図示すように、
その透光窓２９からは前灯２２からの直射光Ｌ
と、反射板２８で一旦反射した反射光RLとが照
光され、直射光Ｌは角度αの広い角度範囲に分布
し、また反射光RLも展示床１１と平行な方向を
中心として多方向に分散される。すなわち、展示
空間１２の広い範囲に照光を分散させることがで
き、展示床１１に展示品Ｘを置いた場合、従来の
ように照明が部分的に偏ることなく、むらなく照
明できる。言い換えると、従来の点的光源から立
体的光源に置換されるものとなり、前者のように
展示品Ｘに部分的に影をつくることがなくなる。

また、このような構成によれば、照明ボツクス
２６内は展示空間１２とは気密に隔離されてお
り、メンテナンス扉２６ａを開くことによつて基
台空間１３と連通することになる。そのため、フ
ロントパネル８を開いて基台空間１３を外部に開
放した状態で前記メンテナンス扉２６ａを開成さ
せることによつて、展示空間１２内の調湿雰囲気
を乱すことなしに、前灯２２の取換えを行うこと
ができる。また、展示空間１２と隔離された照明
ボツクス２６内に前灯２２を配設しておけば、展
示空間１２内に陳列している展示品に前灯２２か
ら熱的な影響が及ぶのを有効に抑制でき、展示品
の変質や劣化等を抑えることも可能となる。

以上はもとより前灯２２の照明のみの議論であ
り、展示空間１２にはこれに後灯２３の照光が加
えられる。

なお、本考案の構成要素をなす灯２２、反射板
２８、透光窓２９の大きさ、形状、位置関係等に
ついては、勿論図示例にのみ拘束されるものでは
なく、前述した利便が得られる限りにおいて、多
様に設計変更可能である。

［考案の効果］ 以上のように、本考案の展示ケースでは、展示
品を前方から照らす照明装置の構成を改良工夫し
たことにより、展示効果の上で有益な展示空間か
らの照明器具の撤去が行なえ、同時に展示空間の
広い範囲を均等にむらなく照明できるという効果
が得られるものとなる。

しかも、本考案によれば、展示品を前方から照
らす灯を、展示空間から隔離された照明ボツクス
内に配設しており、この照明ボツクスの下端に設
けたメンテナンス扉を開くことによつて、該照明
ボツクス内を外部に開放可能な基台空間に連通さ
せることができる。そのため、展示空間内の密閉
雰囲気あるいは調湿雰囲気を全く乱すことなしに
前記灯の交換を容易に行うことが可能となる。ま
た、展示空間と隔離された照明ボツクス内に灯を
配設しておけば、展示空間に陳列している展示品
に灯から熱的な影響が及ぶのを有効に抑制でき、
展示品の変質や劣化等を抑えることも可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、本考案の一実施例を示す。
第１図は展示ケースの側面断面図、第２図はその
要部の拡大図である。第３図は展示ケース全体の
外観斜視図である。 １……ケース本体、２……上蓋、７……側板、
Ｘ……展示品、１１……展示床、１２……展示空
間、１６ａ，１６ｂ……ガラス板、１７……前面
梁、２２……前灯、２６……照明ボツクス、２７
……ホルダ、２８……反射板、２９……透光窓
（熱切ガラス）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 展示床の上の展示空間を前方より照らす灯を、
   前記展示床の前部に貫設した照明ボツクスの内部
   における前記展示床上面よりも下方に位置する部
   位に収容し、その照明ボツクスの天井部分に該灯
   からの入射光を後方に反射する反射板を配置する
   とともに、前記照明ボツクスの上端部背面に前記
   反射板の反射光と前記灯の直射光とを照光させる
   透光窓を設け、この透孔窓をガラスを気密に封着
   してなるものにして該照明ボツクス内と展示空間
   とを区成し、この照明ボツクスの下端を前記展示
   床を介して展示空間と仕切られた基台空間に開放
   し、この照明ボツクスの下端にメンテナンス扉を
   開閉可能に設けるとともに、前記基台空間を外部
   に開放可能に構成したことを特徴とする展示ケー
   ス。