JPH0445969Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、前後輪を操舵し得る四輪操舵車輌用
パーキングブレーキに関し、特に後輪ブレーキを
操作するためのパーキングブレーキワイヤの支持
構造に関する。

＜従来の技術＞ 一般に、車輌の駐停車時に車輌の自走を防止す
るパーキングブレーキにあつては、車室内に設け
られたパーキングブレーキレバーを操作すること
により、そのパーキングブレーキレバーと後輪ブ
レーキ装置とを連結するパーキングブレーキワイ
ヤを介して、後輪ブレーキ装置を作動させてい
る。後輪ブレーキ装置は、後輪に装着されてお
り、後輪を懸架するサスペンシヨンの働きにより
後輪と共に主に上下方向に運動する。

しかるに、パーキングブレーキワイヤは、後輪
ブレーキ装置に連結されており、前記後輪の上下
動に伴つて上下方向に振り動かされることにな
り、そのために必要な可撓性を有するように構成
されている。そこで、パーキングブレーキワイヤ
の車体側固定部と後輪ブレーキ装置固定部との間
の部分が長い場合には、同部分が、後輪の上下動
により振り動かされ他部材に衝当したり、疲労の
原因になる等の不都合を生じ、逆に、同部分が短
い場合には、パーキングブレーキワイヤが大きな
曲率をもつて曲げられることとなり、過大な曲げ
力が作用する不都合がある。

そこで、適当な形式のプロテクタを用いてパー
キングブレーキワイヤの振動を抑制することも考
えられるが、一般に比較的長寸のプロテクタを必
要とし、部品コストの高騰や組立の繁雑さを増す
ことになる。従つて、従来のパーキングブレーキ
ワイヤに於いては、パーキングブレーキワイヤの
適所をロアアームなどに固定し、パーキングブレ
ーキワイヤの車体側固定部と後輪ブレーキ装置固
定部との間の長さを上記不都合を回避し得るよう
な最適値に定めるようにしていた。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、四輪操舵車輌に於ては、後輪の
動きが、上下動するばかりでなく、転舵に伴い左
右方向にも運動することになり、パーキングブレ
ーキワイヤのブレーキ装置近傍の部分の使用条件
が一層苛酷になる。

このような従来技術の欠点に鑑み、本考案の主
な目的は、四輪操舵車輌に於て、パーキングブレ
ーキワイヤの固定部間の長さを過大にすることな
く、しかも後輪の上下動及び左右動によりパーキ
ングブレーキワイヤに無理な曲げ力を加えること
のないように改良されたパーキングブレーキワイ
ヤの支持構造を提供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ このような目的は、本考案によれば、後輪に転
舵可能に連結されたタイロツドと、前記後輪に装
着されたブレーキ装置と、前記ブレーキ装置を操
作するためのパーキングブレーキワイヤとを有す
る四輪操舵車輌に於て、前記パーキングブレーキ
ワイヤを、前記ブレーキ装置の近傍にて前記タイ
ロツドに係着する手段を有することを特徴とする
四輪操舵車輌用パーキングブレーキワイヤの支持
構造を提供することにより達成される。

＜作用＞ このように、四輪操舵車輌に於て、後輪ブレー
キ装置を操作するパーキングブレーキワイヤをタ
イロツドに支持すれば、後輪の上下動及び左右動
によりパーキングブレーキワイヤに無理な曲げ力
が加わるのを防止することが可能となる。

＜実施例＞ 以下に添付の図面を参照して本考案を特定の実
施例について詳細に説明する。

第１図は本考案が適用された前後輪操舵装置の
構成の一実施例を示している。

ハンドル１は、ステアリングコラム２及びステ
アリングジヨイント３を介して、例えばラツクア
ンドピニオンギヤ装置からなるギヤボツクス４に
連結されている。ギヤボツクス４のラツク軸５の
左右端には、タイロツド６，６が連結され、両タ
イロツド６，６の外端には、前輪７，７に固着さ
れたナツクルアーム８，８が連結されており、既
知の如く前輪７，７はハンドル１の操舵方向へ転
舵される。

一方、後輪側に於ても前記と同様のラツクアン
ドピニオン式のリアステアリングギヤボツクス９
が横向きに設置されており、そのラツク軸１０の
左右端にはタイロツド１１，１１が連結され、両
タイロツド１１，１１の外端には後輪１２，１２
に固着されたナツクルアーム１３，１３が連結さ
れている。リアステアリングギヤボツクス９のピ
ニオン軸にはモータ１４の出力軸が連結されてい
る。こうして、モータ１４の回転力を動力として
後輪１２，１２が転舵される。

前輪側ギヤボツクス４、及びリアステアリング
ギヤボツクス９のケーシングとラツク軸５，１０
との間には、例えば摺動抵抗器或いは差動トラン
スからなる変位センサ１５，１６が取付けられて
おり、転舵角を表わす量としてラツク軸５，１０
の変位を検出し得るようにしてある。これら変位
センサ１５，１６の出力は制御装置１７に接続さ
れている。また、例えば変速装置の出力軸に設け
られた車速センサ１８及び、加速度センサ等から
なる走行状態センサ１９の出力も同じく制御装置
１７に接続されている。上記の四輪操舵装置で
は、車速、前輪７，７の転舵角、及び走行状態に
関連せしめて後輪１２，１２の位相及び転舵角を
制御していることが同一出願人による特願昭60−
062362号明細書に提案されており、後輪１２，１
２は前記制御にて転舵されることになる。

後輪１２，１２には後輪ブレーキ装置２０，２
０が装着され、その後輪ブレーキ装置２０，２０
にはパーキングブレーキワイヤ２１，２１の一端
が係合されている。パーキングブレーキワイヤ２
１，２１の他端はパーキングブレーキレバー２２
にイコライザ２３を介して連結されている。イコ
ライザ２３はパーキングブレーキレバー２２によ
る作用力を左右の後輪ブレーキ装置２０，２０に
対して均一に作用させるためのものである。

第２図に良く示されているように、後輪１２は
ロアアーム２４、ラジアスロツド２５、コイルス
プリング２６を組込んだシヨツクアブソーバ２７
とにより、車体に対して矢印Ａで示す上下方向の
運動をするように支持されている。パーキングブ
レーキワイヤ２１は後輪ブレーキ装置側端部２８
をクリツプ２９により後輪ブレーキ装置２０など
に固定されており、車体側を固定金具３０により
車体底部に固定されている。更に、後輪ブレーキ
装置近傍部３１をブラケツト３２によりタイロツ
ド１１に係着されている。

次に、タイロツド１１が矢印Ｂで示される左右
方向に動いて後輪１２を操舵すると、後輪ブレー
キ装置２０は後輪１２に装着されているため左右
方向の動きをすることになる。パーキングブレー
キワイヤ２１の後輪ブレーキ装置側端部２８は後
輪ブレーキ装置２０に合わせて動くことになる
が、パーキングブレーキワイヤ２１の後輪ブレー
キ装置近傍部３１はブラケツト３２によりタイロ
ツド１１に係着されているため、同様に後輪ブレ
ーキ装置２０に合せて動くことになる。

尚、後輪１２と一体的に組付けられているナツ
クルアーム１３にタイロツド１１が連結されてい
るため、後輪１２の上下方向の運動に対しても、
パーキングブレーキワイヤ２１の後輪ブレーキ装
置近傍部３１とは前記と同様に同期して動くこと
になる。

＜考案の効果＞ このように、本考案によれば、前後輪を操舵す
る四輪操舵車輌に於て、後輪ブレーキ装置を操作
するパーキングブレーキワイヤを後輪と一体的に
組付けられているナツクルアームに連結されてい
るタイロツドに係着させることにより、車体側固
定部と後輪ブレーキ装置固定部との間の長さを最
適値にすることができるため、後輪の運動に対し
てパーキングブレーキワイヤの固定部には大きな
曲げ力がかからずパーキングブレーキワイヤの耐
久性を損うことがない。

また、パーキングブレーキワイヤの後輪ブレー
キ装置近傍部がタイロツドに係着されていること
により、パーキングブレーキワイヤの振動を抑制
するプロテクタを比較的長寸にする必要がないた
め、生産コストの高騰及び組立時の繁雑さを招く
ことがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に基づくパーキングブレーキワ
イヤの支持構造を示す概略図である。第２図は本
考案に基づくパーキングブレーキワイヤの支持構
造を示す拡大斜視図である。 １……ハンドル、２……ステアリングコラム、
３……ステアリングジヨイント、４……ギヤボツ
クス、５……ラツク軸、６……タイロツド、７…
…前輪、８……ナツクルアーム、９……リアステ
アリングギヤボツクス、１０……ラツク軸、１１
……タイロツド、１２……後輪、１３……ナツク
ルアーム、１４……モータ、１５，１６……変位
センサ、１７……制御装置、１８……車速セン
サ、１９……走行状態センサ、２０……後輪ブレ
ーキ装置、２１……パーキングブレーキワイヤ、
２２……パーキングブレーキレバー、２３……イ
コライザ、２４……ロアアーム、２５……ラジア
スロツド、２６……コイルスプリング、２７……
シヨツクアブソーバ、２８……ブレーキ装置側端
部、２９……クリツプ、３０……固定金具、３１
……後輪ブレーキ装置近傍部、３２……ブラケツ
ト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 後輪に転舵可能に連結されたタイロツドと、前
   記後輪に装着されたブレーキ装置と、前記ブレー
   キ装置を操作するためのパーキングブレーキワイ
   ヤとを有する四輪操舵車輌に於て、 前記パーキングブレーキワイヤを、前記ブレー
   キ装置の近傍にて前記タイロツドに係着する手段
   を有することを特徴とする四輪操舵車輌用パーキ
   ングブレーキワイヤの支持構造。