JPH044594Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野」 本考案は、劇場や映画館等に設置され、簡単な
操作により、シートの着座面の高さを変えて、子
供も大人と同様に快適に使用することができる、
観客用の椅子に関するものである。

〔従来の技術〕

劇場や映画館等に設置される観客用の椅子は、
通常、大人の体格に合わせて作られているので、
子供は、腰掛けた際には低姿勢となり、充分鑑賞
することはできなかつた。

この問題点を解決した椅子が、実開昭59−
115951号公報や実開昭62−85160号公報に記載さ
れている。

前者は、背もたれ支持板に支持された背もたれ
を上下に分割し、上部背もたれの下部を支持板に
枢支するとともに、下部背もたれを回動アームを
もつて左右の支脚に連係して、子供が着席する場
合には、下部背もたれを回動させて、シート上に
重合載置し、着座面を高くし、かつ上部背もたれ
をほぼ180°回動させて、下降させることにより、
子供用とするようになつている。

後者は、シートの前部と後部を、それぞれ互い
にほぼ平行をなす蹴上板とアームをもつて、足掛
板の後部と左右両支脚に連係し、大人用に使用す
る場合には、蹴上板とアームを前方に倒して、シ
ートを足掛板に載置し、また子供用に使用する場
合には、蹴上板とアームを後上方に傾動させて、
シートを上昇させた後ロツクするようになつてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記の前者では、子供用とした場合、下部背も
たれをシートとして使用するとともに、上部背も
たれを裏返して、子供用の背もたれとして使用す
ることになり、また着座時子供の足先が床面より
著しく離れるので、座り心地が悪く、かつ着席離
席が困難となり、しかも操作が面倒である。

また後者では、子供用とした場合に、シートを
高位置で強固に支持するために、蹴上板とアーム
を堅牢に製作する必要があるとともに、起立させ
たアームのロツク機構が必要であつて、構成が複
雑となり、またロツク機構が故障すると、シート
が急に落ちて、着座している子供にとつて危険で
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、前後に分割したシートの後部シート
を、左右の支脚の間に架設し、かつ後部シートの
左右各側面に止着した支持金具の前部上端間に、
前部シートの左右両側面の後上部を、前部シート
を後部シート上に重合させうるように枢着し、さ
らに、正支持金具の前端間に、前方に展開させた
前部シートを支持しうる足掛板を架設したことに
より、上述の課題の解決を図つたものである。

〔作用〕

本考案の椅子のシートは、前部シートと後部シ
ートに分割し、前後両シートの対向面上部同士
を、支持金具を介して枢着し、かつ後部シート
を、左右両支脚に支持してあるので、前部シート
を前方に展開すれば、支持金具の前端に架設した
足掛板に支持されて、大人用のシートとなる。ま
た、前部シートを後上方に回動させて、後部シー
ト上に重合させれば、着座面の高い子供用のシー
トとなり、前部シートを支持していた足掛板は、
そのまま子供の足掛けとなる。

さらに、足掛板を後上方に回動自在とすれば、
椅子を子供用とした後、足掛板を後上方に回動さ
せて、ほぼ垂直にシートに寄りかからせることに
より、椅子の直前に広い通路を形成することがで
きる。

〔実施例〕

図面は、本考案の一実施例を示すもので、１
は、左右互に平行をなす板状の支脚、２は、両支
脚１，１の後部に取り付けられた背もたれ、３は
シートで、前部シート４と後部シート５に分割さ
れている。

後部シート５の左右両側面には、支持金具６の
水平をなす基片６ａと、基片６ａの前端より上方
に向かう連結片６ｂが止着され、基片６ａの前端
には、後部シート５より前下方に突出する枢支片
６ｃが連設されている。

左右両枢支片６ｃ間には、足掛板７の左右両側
面後部が、足掛板７を水平位置から後上方に回動
させて、後部シート５の前面に寄りかからせうる
ように枢支されている。

後部シート５は、第５図に示すように、支持金
具６の基片６ａから横向きに突設した、前後両面
を平行に切欠いた支軸８を、両支脚１，１の対向
面に横向突設した、Ｕ字溝状の軸受９に上方より
はめ込んで、ボルト１０を螺締することにより、
両支脚１，１に着脱可能に架設されている。

前部シート４の左右両側面には、取付金具１１
の水平をなす基片１１ａと、基片１１ａの第２図
における前後両端にそれぞれ設けた、下方を向く
脚片１１ｂと上方を向く連結片１１ｃが止着さ
れ、脚片１１ｂの下端は、前部シート４より若干
下方に突出している。

前部シート４は、取付金具１１の連結片１１ｃ
と、後部シート５の支持金具６の連結片６ｂの上
端同士を、連結板１２の両端に枢着することによ
り、後部シート５に回動自在に連係され、第２図
に示すように前方に回動させると、後部シート５
の前方延長線上において、足掛板７上に、取付金
具１１の脚片１１ｂの先端が乗つて支持され、ま
た、第３図に示すように、後上方に回動させる時
は、後部シート４上に重合する。

さらに、第４図に示すように、前部シート４を
後部シート５上に重合させた後、足掛板７を上方
に回動させて、後部シート５の前面に寄りかから
せれば、椅子の直前に広い通路が形成される。

図示を省略したが、上記シート３をこれに付属
する諸部材とともに、両支脚１、１の軸受９より
取り外して、たとえば大人専用の構成が簡単で安
価なシートと、交換することもできる。

〔考案の効果〕

本考案の椅子のシートは、前部シートと後部シ
ートに分割され、かつ前後両シートの対向面同士
が相互回動自在に枢着され、後部シートが左右両
支脚に架設されているので、前部シートを後部シ
ートの前方延長線上に展開させれば、支持金具を
介して後部シートに取りつけられている足掛板上
に支持されて、高さと前後長が大人の体格に適合
した大人用のシートとなる。

また、前部シートを回動させて後部シート上に
重合させれば、着座面が高く前後長の短い子供用
のシートとなり、前部シートを支持していた足掛
板は、そのまま、子供の足掛けとなり、子供が快
適に鑑賞することができ、かつ離着席も容易とな
る。

後部シートを左右両支脚に、着脱容易に架設し
ておけば、必要に応じ、他型式のシートと交換す
ることができる。

足掛板を後上方に回動自在としておけば、椅子
の不使用時にはシートを子供用とし、足掛板を垂
直として後部シートの前面に寄りかからせること
により、椅子の直前に広い通路を形成することが
できる。

しかも上述の諸操作は、いずれも甚だ簡単かつ
容易であり、また構成が簡単であるため、故障の
恐れがなく、容易かつ安価に製作することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の椅子を大人用とした時の正
面図、第２図は、第１図のＡ−Ａ線断面図、第３
図は、本考案の椅子を子供用とした時の、第２図
と同様の断面図、第４図は、本考案の椅子の不使
用時の、第２図と同様の断面図、第５図は、後部
シートの支脚への取付手段を示す分解斜視図であ
る。 １……支脚、２……背もたれ、３……シート、
４……前部シート、５……後部シート、６……支
持金具、６ａ……基片、６ｂ……連結片、６ｃ…
…枢支片、７……足掛板、８……支軸、９……軸
受、１０……ボルト、１１……取付金具、１１ａ
……基片、１１ｂ……脚片、１１ｃ……連結片、
１２……連結板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 前後に分割したシートの後部シートを、左右
   の支脚の間に架設し、かつ後部シートの左右各
   側面に止着した支持金具の前部上端間に、前部
   シートの左右両側面の後上部を、前部シートを
   後部シート上に重合させうるように枢着し、さ
   らに、両支持金具の前端間に、前方に展開させ
   た前部シートを支持しうる足掛板を架設してな
   る観客用椅子。 (2) 左右の支持金具に設けた支軸を、左右両支脚
   に設けた軸受に、上方より着脱容易に係合させ
   てなる請求項(1)記載の観客用椅子。 (3) 足掛板を、ほぼ水平位置より後上方に回動さ
   せうるように、両支持金具の前端間に枢支して
   なる請求項(1)または(2)に記載の観客用椅子。