JPH0445464Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は左右に並設された３個の引起し装置に
よつて引起された穀稈を、搬送後方程先狭まりの
ハの字状に配置された左右一対の株元側前搬送装
置で刈幅の中央に寄せるとともに、寄せられかつ
刈取られた穀稈を後部脱穀装置に向けて縦搬送装
置で搬送するようにしてあるコンバインの刈取前
処理装置に関する。

〔従来の技術〕

上記構成のものにおいては、引起し装置で引起
し後、左右の穀稈の株元側を係止して強制的に刈
幅の中央に寄せ乍ら、その寄せ搬送の終端近傍で
刈取装置によつて刈取り、かつ、穂先係止搬送装
置と株元挟持搬送装置とを組とした縦搬送装置に
刈取穀稈を受渡して後部脱穀装置に向けて搬送し
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記構成では、左右一対の株元側前搬送装置に
より、左右両側の搬送穀稈は縦搬送装置の始端部
に良好に受渡されるようになるが、中央の搬送穀
稈には株元側前搬送装置の作用が及ばないため、
搬送力が弱く搬送不良を招くおそれがあつた。

そこで、中央部における搬送穀稈を良好に縦搬
送装置の始端部に導くべくガイドする案内杆を設
けて、前記搬送遅れをなくすようにしたものもあ
つたが、十分な改善効果が得られるまでには至ら
なかつた。

本考案の目的は、左右両側の穀稈に比べて縦搬
送装置への搬送力の弱い中央の搬送穀稈の搬送力
を強化して良好な刈取前処理装置を構成させる点
にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案によるコンバインの刈取前処理装置は、
左右に並設された３個の引起し装置によつて引起
こされた穀稈を刈幅の中央に寄せるべく平面視で
搬送後方程先狭まりに配置された左右一対の株元
前搬送装置を設けるとともに、株元前搬送装置に
よつて寄せられる穀稈を刈取後脱穀装置に向けて
搬送する縦搬送装置を設け、この縦搬送装置を搬
送方向後方支点で上下揺動可能に構成し、更に、
刈幅の中央に位置する引き起し装置の背面側位置
に、縦搬送装置の始端部の穀稈導入口に向けて突
出する横断面略前拡がりＶ字形のガイド体を装備
し、このガイド体をその後端縁が縦搬送装置の搬
送始端の上下揺動軌跡に沿う状態で縦搬送装置に
近づけて配設するとともに、ガイド体の下方で、
かつ、左右一対の株元側前搬送装置の合流点より
前方となる位置に、ガイド体によつて案内される
穀稈を、その穀稈の株元側に作用して縦搬送装置
に送り込む掻込み回転体を設けてあることを特徴
構成とする。

〔作用〕

つまり、中央の搬送穀稈に作用してガイドする
部材を設けるだけでなく、掻込み回転体をも設け
て穀稈を積極的に後方に押し込むようにさせるこ
とにより、中央の搬送穀稈を左右のものに遅れる
ことなく縦搬送装置の始端部へ搬送することがで
きるようになる。

ところで、コンバインでは穀稈長の変動に拘ら
ずに良好な刈取後の搬送機能を発揮させるため
に、縦搬送装置を後方支点での揺動によつて上下
移動できるように構成されているため、単にガイ
ド部材を設けただけでは、例えば、短稈に合わせ
てガイド部材を設けると長稈では良好なガイド作
用が発揮され難いといつた具合に穀稈長の変動に
対応することが難しい。

そこで、本考案ではガイド部材を、その後端縁
が縦搬送装置の搬送始端の上下揺動軌跡に沿う状
態で、しかも縦搬送装置に近づけて配設すること
により、穀稈長の如何に拘らずに良好なガイド作
用が発揮できるようになる。すなわち、穀稈長に
関係なく良好にガイドするガイド体と強制的に搬
送力を付与する掻込み回転体との相乗により、中
央の搬送穀稈の搬送力を強化できるのであり、こ
れによつて左右の搬送穀稈に比べて遅れて搬送さ
れることが防止できるようになる。

〔考案の効果〕

上下に高さのあるガイド体と掻込み回転体とを
組み合わせ配置する工夫により、中央の搬送穀稈
が左右のものに比べて縦搬送装置へ遅れて搬送さ
れることを解消し、良好な搬送状態が現出される
刈取前処理装置を提供できた。

〔実施例〕

第８図に示すように、コンバインの刈取前処理
装置Ｂは、支持杆１４に取付けられた分草具１
３、この分草具支持杆１４によつて形成された通
路に設置される３条分の引起し装置１Ａ，１Ｂ，
１Ｃ、これら引起し装置１Ａ，１Ｂ，１Ｃによつ
て引起された３条分の穀稈を刈幅の中央に寄せる
突起付ベルトタイプの株元側前係止搬送装置３
Ａ，３Ｂ及び掻込み輪体４Ａ，４Ｂ、前記前係止
搬送装置３Ａ，３Ｂで寄せられる穀稈を刈取る刈
取装置２，刈取後の穀稈を後部脱穀装置１０に搬
送する穂先係止搬送装置５Ｂ及び株元挟持搬送装
置５Ａからなる縦搬送装置５を備えて機体Ａから
延出の前後向き主フレーム９に一体に取付けら
れ、前記主フレーム９の基端横軸心Ｐ周りで上下
揺動可能に構成されている。

引起し装置１Ａ，１Ｂ，１Ｃについて説明す
る。第７図に示すように、操縦部１２側第１引起
し装置１Ａで１条分のものを引起すとともに、操
縦部１２より遠い側に位置する第２引起し装置１
Ｂと第３引起し装置１Ｃとを夫々の引起し経路を
対向させて配置し２条分の穀稈を引起すように構
成してある。前記引起し装置１Ｃは、上部駆動輪
体１５と下部遊転輪体１６との間にテンシヨン輪
体１７を介してチエーン１８を巻掛張設するとと
もに、このチエーン１８に対して起立・倒伏自在
な引起し爪１９を複数個等間隔に取付け、引起し
経路に対応して設けたガイド部材２０によつて引
起し爪１９を起立姿勢に維持して、この引起し爪
１９で植立穀稈を引起す。図示するように、第１
引起し装置１Ａの引起し爪１９先端軌跡ａと第２
引起し装置１Ｂのケース１ｂ端面との間隔を、引
起しケース１ｂ上部に対応するがわ程狭くαかつ
引起しケース１ｂ下部に対応するがわ程広くβ設
定してあるので、短稈の場合には広い間隔βから
早期に脱出させて必要以上の引起し作用を加えな
いようにし、長稈の場合には間隔αを狭くしてそ
の間隔からのこぼれ出しを抑えて十分に引起し作
用を加えるように構成してある。

次に穂先掻込み装置としての穂先掻込み回転体
６について説明する。第１図ないし第３図に示す
ように、前記縦搬送装置５の搬送経路Ｑの上方を
迂回して延出されたＵ字フレーム２１の先端に、
株元挟持搬送装置５Ａに対応して設けられた挟持
レール２２を支持する基端フレーム２３を固着す
るとともに、この基端フレーム２３から延出され
た支持ホルダー２４の先端に駆動モータ７付穂先
掻込み回転体６を取付けてある。この掻込み回転
体６は前記穂先係止搬送装置５Ａの搬送経路Ｑ側
始端部に対向させて配置してあり、前記両引起し
装置１Ｂ，１Ｃからの２条分の引起し穀稈を掻込
み縦搬送装置５に合流させるべく、前記縦搬送装
置５とともに、搬送方向後方に位置する支点とし
ての前記基端横軸心Ｐ周りで上下揺動可能であ
る。前記穂先掻込み回転体６はウオーム減速機構
（図示せず）付駆動モータ７の出力軸７ａに回転
円板２５を取付け、この円板２５の円周端に掻込
み爪６ａを枢支して、この掻込み爪６ａをガイド
板２６によつて起立する作用姿勢に切換え、前記
２条分の引起し穀稈を掻込むとともに、前記支持
ホルダー２４に対して相対摺動可能で、縦搬送装
置５の搬送経路Ｑに位置変更可能である。

第１図に示すように、前記各引起し装置１Ａ，
１Ｂ，１Ｃから左右一対の前係止搬送装置３Ａ，
３Ｂへの穀稈導入経路R₁，R₂，R₃には、刈幅内
方側に位置する左右の案内杆２７Ａ，２７Ｂと刈
幅外方側に位置する案内板２８Ａ，２８Ｂとが前
記前係止搬送装置３Ａ，３Ｂの上方に位置する状
態で設置され、かつ、夫々前記案内杆２７Ａ，２
７Ｂと案内板２８Ａ，２８Ｂとにおける引起し装
置１Ａ，１Ｂ，１Ｃから前記前係止搬送装置の始
端部３ａ，３ｂに到る前半部２７ａ，２７ｂ，２
８ａ，２８ｂと、前記前係止搬送装置３Ａ，３Ｂ
の搬送経路S₁，S₂に対応して位置する後半部２７
ｃ，２７ｄ，２８ｃ，２８ｄとが、平面視で略く
の字状に屈折して形成されている。引起し装置に
よつて導入された穀稈は前係止搬送装置３Ａ，３
Ｂの搬送経路S₁，S₂においても案内板２８Ａ，２
８Ｂと案内杆２７Ａ，２７Ｂとで支持され乍ら送
られるので、特に、短稈の引起し装置１Ａ，１
Ｂ，１Ｃ背面側への前こぼれ現象が抑えられる。

前記穀稈導入経路R₁，R₂，R₃には他に種々の
ガイド杆が設けられている。第９図に示すよう
に、左側前係止搬送装置３Ａと同一高さでその搬
送経路S₁に対向する状態で、平面視略三角形の第
１ガイド杆３１を左分草具支持杆１４より立設す
るとともに、右側前係止搬送装置３Ｂと同一高さ
でその搬送経路S₂に対向する状態で、平面視くの
字形に屈折した第２ガイド杆３２を右分草具支持
杆１４より片持状に立設している。前記第１、第
２ガイド杆３１，３２の下方には、夫々、前記前
係止搬送装置３Ａ，３Ｂより下方の株元側を支持
して掻込み輪体４Ａ，４Ｂに至るまで引起し穀稈
を誘導する平面視くの字状の第３、第４ガイド３
３Ａ，３３Ｂを左右分草具支持杆１４，１４から
片持状に延出してある。尚、後記する株元側掻込
み回転体２９の掻込み経路に対応して第５ガイド
杆３４が左分草具支持杆１４から片持状に延出さ
れ、中央に位置する第２引起し装置１Ｂで引起さ
れた穀稈を株元側掻込み回転体２９に誘導するよ
うにしてある。

第１図及び第４図ないし第６図に示すように、
前記左右一対の案内杆２７Ａ，２７Ｂの間で、か
つ、中央の引起し装置１Ｂ背面側に位置する株元
側掻込み回転体２９が前記前係止搬送装置３Ａ，
３Ｂより上方に位置する状態で設けられ、前係止
搬送装置３Ａ，３Ｂへの合流点に向けて引起し穀
稈を掻込むべく構成されるとともに、この株元側
掻込み回転体２９の上方には中央の引起し装置１
Ｂの背面側から延出されたガイド体３０が設けら
れている。このガイド体３０は前記前係止搬送装
置３Ａ，３Ｂの合流点ｃ、及び、縦搬送装置５の
始端部と穂先掻込み回転体６とで形成する穀稈導
入口ｂに向けて略Ｖ字状に突出するとともに、前
記合流点（排出口）ｅに対応してＶ字状に突出す
る径Ｄを大きく、かつ、穀稈導入口ｂに対応して
径ｄを小さく設定して、夫々、ガイドとして有効
に機能すべく構成されている。そして、ガイド体
３０の後端縁は縦搬送装置５の搬送始端の上下揺
動軌跡に沿う状態にその上下高さを設定し、か
つ、縦搬送装置５に近づけて配設してある。又、
前記ガイド体３０は樹脂を原料としているので、
弾性力に富んでおり、前係止搬送装置３Ａ，３Ｂ
等での搬送ボリームが増減しても弾性変形で確実
に追従することができるので、ガイド機能を有効
に発揮できる。

〔別実施例〕

前記穂先掻込み回転体６としては掻込み爪６ａ
の姿勢を作用姿勢に固定するものでもよく、前記
実施例のものに限定されない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るコンバインの刈取前処理装
置の実施例を示し、第１図は全体平面図、第２図
は掻込み回転体の取付状態を示す一部切欠側面
図、第３図は掻込み回転体の平面図、第４図は株
元側掻込み回転体とガイド体との位置関係を示す
一部切欠側面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線断面
図、第６図は−線断面図、第７図は引起し装
置の正面図、第８図は全体側面図、第９図は各種
ガイド杆の配置状態を示す平面図である。 １Ａ，１Ｂ，１Ｃ……引起し装置、３Ａ，３Ｂ
……株元側前搬送装置、５……縦搬送装置、１０
……後部脱穀装置、２９……株元側掻込み回転
体、３０……ガイド体、ｂ……穀稈導入口、ｃ…
…合流点。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右に並設された３個の引起し装置１Ａ，１
   Ｂ，１Ｃによつて引起こされた穀稈を刈幅の中央
   に寄せるべく平面視で搬送後方程先狭まりに配置
   された左右一対の株元前搬送装置３Ａ，３Ｂを設
   けるとともに、前記株元前搬送装置３Ａ，３Ｂに
   よつて寄せられる穀稈を刈取後脱穀装置１０に向
   けて搬送する縦搬送装置５を設け、この縦搬送装
   置５を搬送方向後方支点で上下揺動可能に構成
   し、更に、刈幅の中央に位置する引き起し装置１
   Ｂの背面側位置に、前記縦搬送装置５の始端部の
   穀稈導入口ｂに向けて突出する横断面略前拡がり
   Ｖ字形のガイド体３０を装備し、このガイド体３
   ０をその後端縁が前記縦搬送装置５の搬送始端の
   上下揺動軌跡に沿う状態で前記縦搬送装置５に近
   づけて配設するとともに、前記ガイド体３０の下
   方で、かつ、前記左右一対の株元側前搬送装置３
   Ａ，３Ｂの合流点ｃより前方となる位置に、前記
   ガイド体３０によつて案内される穀稈を、該穀稈
   の株元側に作用して前記縦搬送装置５に送り込む
   株元側掻込み回転体２９を設けてあるコンバイン
   の刈取前処理装置。