JPH0445355Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は防滴・密閉型の超音波送受波器に関す
る。

〔従来の技術〕

従来、空中超音波送受波器の用途の拡大を図る
ため、第３図、第４図に示すような防滴性を有す
る密閉型の空中超音波送受波器が開発・製造され
ている。これは自動車の後進時の後方障害物検知
用センサへの応用等、室外でも利用されている。
第３図の構造では、円形圧電磁器振動子１′を有
底円筒状のケース１１の底面へ接着し、結果とし
てユニモルフ振動子を構成して超音波の送受を行
なう。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、この超音波送受波器では、圧電磁器
振動子１′の接着位置ずれおよび接着剤層の影響
で特性のばらつきが大きくなるという欠点があつ
た。

また、第４図の構造においては、圧電磁器バイ
モルフ振動子１″のリード線引出し部６１が密閉
構造を得るためのゴム状弾性体１３と圧電磁器バ
イモルフ振動子１″との接着剤層に介在している
ため、リード線引出し部６１周辺の接着不良によ
る性能低下・剥離等の問題があつた。

これらの問題は円板状圧電磁器振動子の径方向
の広がり振動を利用して径方向に屈曲振動を励振
させるバイモルフあるいはユニモルフ構造を利用
するため、振動子の両面に電極を形成しなけれれ
ばならず、従つて避けがたい問題であつた。

これに対して、昭和56年10月に日本音響学会秋
期大会における報告、論文番号１−７−11「交差
指電極を用いた圧電体屈曲振動子」で提案された
構造がある。この構造は、第５図に示すように、
矩形圧電体の少なくとも一方の面に長さ方向と平
行に交差指電極１５′，１６′を形成し、この交差
指電極１５′，１６′を用いて分極・駆動を行なう
ことにより、長さ方向の屈曲振動を効率よく励振
するものである。

しかし、矩形圧電体を第３図のように密閉型の
有底円筒状ケース１１の底面へ接着する場合、リ
ード線の引出しが圧電体の片面だけで可能である
という利点をもつ反面、従来の送受波器と同様の
構造であるため接着位置ずれの影響で特性のばら
つきが大きくなることは避けられず、また円形の
底面に対して矩形状の振動子を貼付けているた
め、振動子の屈曲振動の励振方向である長さ方向
と直交する方向の振動が矩形状振動子に加わり、
振動姿態を乱すことで感度低下の一因にもなつて
いた。

また、第４図のようなゴム状弾性体１３と矩形
状振動子を接着する構造では、振動子の表面が実
効的な音波送受波面となるため、特に送波感度で
十分な感度が得られないという問題がある。

本考案は、従来の送受波器にみられる接着剤層
による特性への悪影響を除くと共に、交差指電極
を用いた矩形状の屈曲振動子を利用する場合にお
ける問題点をも除いた超音波送受波器を提供する
ことを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案では、円筒ケースの一端に円板状振動子
を、他端には端子板を介してピン端子を設置し、
少なくとも前記円板状振動子の外面に樹脂被覆層
を形成して成る空中超音波送受波器において、前
記円板状振動子として、円形圧電板の一方の面に
半径方向に沿つて放射状に入り組むように交差指
状電極を形成し、該交差指状電極を用いて分極・
駆動を行うことにより径方向に屈曲振動を励振す
る円板状振動子を用い、電極形成面を円筒ケース
内面側に向けて設置することを特徴とする。

〔実施例〕

以下、図面を用いて本考案を詳しく説明する。

第１図は本考案による空中超音波送受波器の縦
断面図、第２図は圧電振動子１の電極面の一例を
示した図である。図において、円板状圧電振動子
１は円形圧電板の一方の面に径方向に沿つて放射
状に入り組む交差指電極１５，１６を形成してお
り、径方向端部を同筒ケース１７の一端部に接着
し固定している。同筒ケース１７の他端には、ピ
ン端子６に圧電振動子１より引き出したリード線
１ａ，１ｂを配線した端子板５を接着・固定して
いる。この後に、円筒ケース外周面上および圧電
振動子１の外面上にエポキシ系樹脂等による樹脂
被覆層１８を形成し、防滴・水密性をもたせた構
造としている。

交差指電極を利用した圧電振動子の特徴とし
て、従来のバイモルフ型圧電振動子のような両面
へのリード線の配線が不要となる。このことによ
り、ケースの端部で圧電振動子を支持する構造で
あつても配線用の付加構造をケースに追加工する
必要はない。また、第３図のようなユニモルフ型
圧電振動子を構成する構造のようにケースの材質
を導電性のある金属材料に限定する必要はない。

なお、ケース１７が金属材料である場合には、
第２図に示した外側に円環状部分を有する電極１
６の円環部の幅を拡げ、また内側の電極１５の最
大半径を適宜に設定し、電極間の導通を防ぐ必要
がある。しかし、このような構造は圧電振動子の
電極寸法設定時の配慮により容易に対処できる。
また、先にも述べた通り、交差指電極の利用によ
り一方の面に形成された電極１５，１６間に電源
を印加して屈曲振動を励振できるので、バイモル
フ型あるいはユニモルフ型圧電振動子のように屈
曲振動を励振するための接着工程が不要であり、
従つてこの接着工程、接着層に起因する特性のば
らつき・異常は存在しない。更に、防滴・水密性
を維持するための樹脂被覆層１８の形成において
問題となるのは圧電振動子１と樹脂被覆層１８の
接着性であるが、現在の樹脂コーテイングあるい
は樹脂モールドの技術からすれば接着性の確保は
比較的容易である。そして層厚の管理を充分に行
なうことにより、従来の屈曲圧電振動子のように
性能確保のために接着剤層の厚さ、接着位置、接
着剤層への気泡の混入防止等多くの点を管理しな
ければならない圧電振動子に較べ製作は容易にな
る。加えて、端子板５の外面にも同時に樹脂被覆
層を形成し完全な防水構造とすることも可能であ
る。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案によれば交差指電極を利
用して一枚の円形圧電板で径方向に屈曲振動を励
振する円板状圧電振動子を使用する事により、比
較的構造が簡単で製作工程での特性のばらつき・
異常の発生がほとんどない防滴・密閉型の空中超
音波送受波器を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による防滴・密閉構造の超音波
送受波器の縦断面図、第２図は本考案による円形
圧電板における交差指電極の構成を示す図、第３
図、第４図は防滴・密閉構造とした従来の空中超
音波送受波器の概略構造を示す縦断面図、第５図
は矩形圧電板における交差指電極の構成を示す
図。 １……圧電振動子、１５，１５′，１６，１
６′……電極、１７……円筒ケース、１８……樹
脂被覆層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒ケースの一端に円板状振動子を、他端には
   端子板を介してピン端子を設置し、少なくとも前
   記円板状振動子の外面に樹脂被覆層を形成して成
   る空中超音波送受波器において、前記円板状振動
   子として、円形圧電板の一方の面に半径方向に沿
   つて放射状に入り組むように交差指状電極を形成
   し、該交差指状電極を用いて分極・駆動を行うこ
   とにより径方向に屈曲振動を励振する円板状振動
   子を用い、電極形成面を円筒ケース内面側に向け
   て設置することを特徴とする超音波送受波器。