JPH07112316B2 - 圧電送波器用圧電可撓性シートの分極処理方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、圧電可撓性シートを備えた、水中用送波器等
に使用される圧電送波器に用いられる圧電可撓性シート
の分極処理方法に関する。

＜従来技術＞ ポリ弗化ビニリデン，ポリ弗化ビニール，ポリ塩化ビニ
リデン，ポリ塩化ビニール，ナイロン等の圧電性有機物
もしくは合成ゴムや合成樹脂の有機物中にチタン酸ジル
コン酸鉛，チタン酸鉛等の強誘電セラミック粒子を混合
してなる圧電性有機セラミック複合物等の圧電可撓性シ
ートは、音響インピーダンスが水の音響インピーダンス
に近似する特性を有する。このため、前記圧電可撓性シ
ートは、水中を伝播する音響波を送波するための水中用
圧電送波路に好適に用いられる。

その他、圧電可撓性シートを用いた圧電送波路は、空中
での音波の送波のためにも適用される。

そしてこの種の圧電送波路は、圧電可撓性シートの上下
面に形成した電極に、交番電圧を印加することにより発
振し、送波するものである。

＜発明が解決しようとする問題点＞ ところで、公知構成の圧電送波器に適用される圧電可撓
性シートは面方向に渡って均一な厚を有するものであっ
て、上下電極に交番電圧を印加すると、中央部位置の主
極を軸とする最大振巾の発生とともに、その周辺方向に
も複数の副極（サイドロープ）を軸とする副振動が同時
に多発する。このため、該副振動によって、第６図に示
すように、その送波方向が拡散され、不用な方向に送波
したり、音の位相が乱れたりし、指向性が低下する不都
合を生じる。

本発明は、前記副振動を可及的に減殺し得る圧電可撓性
シートを生じ得るための、その分極処理方法の提供を目
的とするものである。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は、肉厚が、中央部が薄く、周辺方向へ漸次厚く
なるように成形した後、その上下面に電極を形成して、
該電極間に直流電圧を印加することにより分極処理した
ことを特徴とする厚電送波路用圧電可撓性シートの分極
処理方法である。

＜作用＞ 圧電可撓性シートを中央部が薄く、周辺方向へ漸次厚く
なる肉厚として、厚み方向に分極電圧を印加したから、
その単位厚みに対する分極電圧は、主極となる中央部で
最大となり、周辺方向に向かって漸次低減する。このた
め、中央部は、その周辺に比して高分極されることとな
り、このように分極処理された圧可撓性シートは、交番
電圧を印加した場合には、その中央部で最大歪が発生
し、周辺部では歪が著減することとなる。従って、主極
での主振動に比して、副極での副振動が著しく低下す
る。

＜実施例＞ 第1,2図について本発明の一実施例を説明する。

１は圧電可撓性シートの一例となる円板状圧電ゴムシー
トを示し、合成ゴムに、チタン酸鉛，チタン酸バリウ
ム，チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミック粉末を分
散させてなり、その一面に逆円錐面２を、他面に平坦面
３を形成し、これにより、圧電ゴムシート１の肉厚を、
中心を最低とし、周辺方向に向かって漸次大きくなるよ
うにしている。

前記圧電ゴムシート１の上下面には、電極4,4が導電ゴ
ム等で形成され、第２図のように、前記電極4,4に直流
電源５を接続することにより、厚み方向に電圧印加して
分極する。この分極電圧は圧電ゴムシート１の面方向に
渡って均一に印加されることとなる。このため、その単
位厚に対しての電圧供給量は、中央で最大となり、周縁
に向かって漸減することとなる。従って、厚電ゴムシー
ト１の中心部は、高分極電圧が印加されることとなり、
その周縁では、低分極電圧が印加されることとなる。

この分極後の圧電ゴムシート１を平坦面３を送波面とし
て、指向特性を実験したところ、第５図のようになり、
副振動は−30dB以下に抑制され、著しく低下したことが
示された。すなわち、指向性が向上したことが確認でき
た。

前記圧電ゴムシート１の形状は、円形の他矩形状等もあ
り得る。

また、前記実施例において、圧電ゴムシート１の分極し
た後に、逆円錐面２を削り落して平面状とし、板厚を均
等としてから、該平面部に、交番電圧を印加するための
電極を新たに形成するようにしてもよい。

第3,4図は本発明の他の実施例を示す。

ここで第３図は、円板状圧電ゴムシート20の一面側に、
環状の圧電ゴムシート21,22を順次積層して、階段状
に、周辺方向の肉厚を大きくし、その両面に電極23,24
を塗着形成したものであり、該電極23,24に直流電圧を
印加して分極を施す。

第４図は、円板状圧電ゴムシート30の一面側の中央部に
平坦部31を形成し、該平坦部31の周辺方向に逆円錐面32
を形成したものである。

＜発明の効果＞ 本発明は、上述のように、圧電送波器に供される圧電可
撓性シートを、中央部が薄く、周辺方向へ漸次厚くなる
肉厚となるように形成した後に、その上下面の電極に電
圧印加して分極させたから、主軸となる中心部で高分極
され、その周縁では低分極されることとなって、この圧
電可撓性シートを送受波器として用いると、主極で主振
動に比して、副極での副振動が著しく低下して指向特性
が向上される優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明の分極処理方法に適用される圧電可撓
性シートの実施例を示し、第１図は第一実施例の縦断側
面図、第２図は分極手段を示す同図、第３図は第二実施
例を示す縦断側面図、第４図は第三実施例を示す縦断側
面図、第５図は本発明の指向特性図、第６図は従来構成
のものの指向特性図である。 1;圧電ゴムシート、2;逆円錐面、3;平坦面、4;電極、2
0;圧電ゴムシート、21,22;環状圧電ゴムシート、30;圧
電ゴムシート、31;平坦部、32;逆円錐面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】肉厚が、中央部が薄く、周辺方向へ漸次厚
   くなるように成形した後、その上下面に電極を形成し
   て、該電極間に直流電圧を印加することにより分極処理
   したことを特徴とする圧電送波器用圧電可撓性シートの
   分極処理方法。