JPH0441190Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案はリング精紡機、リング撚糸機等にお
ける満・空ボビン移送装置に関するものである。

（従来の技術） 従来、精紡機等においてはスピンドル列に沿つ
て空ボビンを配列した後、管替装置によりスピン
ドル上の満ボビンと前記空ボビンとを交換する管
替作業が行われている。そして、管替位置への空
ボビンの搬送及び管替位置からの満ボビンの排出
を行う満・空ボビン移送装置として従来、機台長
手方向の左右両側に配設したプーリにスピンドル
ピツチに等しいか又はスピンドルピツチの半分の
間隔を保つてボビン装着用のペツグを所定数配設
し、駆動装置によりプーリを回転駆動してスチー
ルベルトを巡回するようにした装置が使用されて
いる。ところが、前記ベルト伝動の装置はスチー
ルベルトに大きな張力を与えた状態で移動させる
ため、長期間の使用によりスチールベルトに伸び
が発生するとともにその伸びが徐々に増大し、設
定されたペツグ間隔に狂いが生じてくる。このよ
うにペツグ間隔に狂いが生じてくると、基準のペ
ツグがスピンドルに対向してもその他のぺツグは
累積誤差によりその基準ペツグから遠い距離にあ
るペツグほどスピンドルに対する位置が大きくず
れるようになり、管替装置による自動管替作業に
支障を来たすという問題がある。

前記の問題点を解消する移送装置としてスチー
ルベルトを用いない装置が特開昭57−161133号公
報に提案されている。この装置はスピンドル列に
沿つて延設したガイドレール上に下面に係止凹部
を有するペツグトレイを１列状態で摺動可能に載
置し、ペツグトレイの係止凹部と係止する係止爪
を備えた駆動装置の往復動により、ペツグトレイ
をスピンドルピツチに対応させた分だけ水平に移
動させるようになつている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、前記ペツグトレイを用いた移送装置
は、ペツグトレイの係止凹部と係合してペツグト
レイを移送させる係止爪の往動時の停止位置によ
りペツグトレイの配置位置が決まるためその停止
位置をスピンドルと対応して正確に設置する必要
があるが、頻繁に往復移動される係止爪の停止位
置を正確に規制することは難しい。又、係止爪の
停止位置を正確に規制することができた場合でも
移動時の慣性によりペツグトレイの停止位置が係
止爪の停止位置より若干ずれ、ペツグトレイを正
確に管替位置に配置することが難しいという問題
がある。

考案の構成 （問題点を解決するための手段） 前記の問題点を解決するためこの考案において
は、上面にボビンを装着するペツグを有するペツ
グトレイを一列状態で塔載可能に形成した塔載移
送部材をスピンドル列に沿つて往復移動可能に配
設するとともに該塔載移送部材を往復動させる駆
動装置を設け、前記塔載移送部材の往動時にはペ
ツグトレイの通過を許容する退避位置に、復動時
にはペツグトレイと係合してその移動を阻止する
とともにペツグトレイをスピンドルと対応する位
置に保持する係止位置に移動配置される係止部材
をスピンドル列と対応する位置に所定間隔で複数
個配設し、前記塔載移送部材の端部を機台端に配
設された空ボビン付ペツグトレイ供給装置の送出
部近傍まで延設するとともにその端部付近に塔載
移送部材の復動時にペツグトレイと係合してその
移動を阻止するストツパを設けた。

（作用） この装置においては塔載移送部材の往動時にペ
ツグトレイが塔載移送部材と一体的に移動され
る。塔載移送部材の復動時にはスピンドル列と対
応する位置に配設された係止部材がペツグトレイ
と係合してその移動を阻止するため、ペツグトレ
イがスピンドルと対応する位置に保持されて塔載
移送部材のみが元の位置まで移動する。又、塔載
移送部材の往動時には塔載移送部材の移動に伴い
空ボビン付ペツグトレイ供給装置の送出部から空
ボビン付ペツグトレイが送り出され、塔載移送部
材の端部に塔載された空ボビン付きペツグトレイ
と前記供給装置上の空ボビン付ペツグトレイは〓
間のない状態で連続している。塔載移送部材の復
動時には端部付近に配設されたストツパより前側
（空ボビン付ペツグトレイの移送方向側）に塔載
されたペツグトレイはストツパによりその移動が
阻止される。一方、ストツパより後側すなわち空
ボビン付ペツグトレイ供給装置側のペツグトレイ
が塔載移送部材と一体的に移動しようとするが、
ストツパより後側にあるペツグトレイの数が少な
いため、該ペツグトレイは空ボビン付ペツグトレ
イ供給装置の供給圧力によりその移動が阻止さ
れ、ストツパより前側に配置されたペツグトレイ
と当接した状態に保持される。すなわち、塔載移
送部材の往復移動後も塔載移送部材上及び空ボビ
ン付ペツグトレイ供給装置の送出部上のペツグト
レイの位置関係が一定に保持され、塔載移送部材
の往復移動により常にスピンドル列の前方所定位
置に空ボビン付ペツグトレイが移送される。

（実施例 １） 以下、この考案をワインダに連結されたリング
精紡機に具体化した第１の実施例を第１〜５図に
従つて説明する。

第２図に示すように並設された精紡機機台１及び
ワインダ２の一側方には、精紡機機台 １で玉揚
げされた満ボビンＦが装着された満ボビン付ペツ
グトレイFTを搬送する満ボビン搬送用コンベア
３と、ワインダ２で使用された空ボビンＥが装着
された空ボビン付ペツグトレイETを搬送する空
ボビン搬送用コンベア４とが平行に配設され、精
紡機機台１の一端に配設された空ボビン付ペツグ
トレイ供給装置としての供給用コンベア５を介し
て前記空ボビン搬送用コンベア４上の空ボビン付
ペツグトレイETが供給され、ペツグトレイ取出
し用コンベア６を介して満ボビン付ペツグトレイ
FTが満ボビン搬送用コンベア３上へ移送される
ようになつている。

第１図に示すように多数のスピンドル７及び中
間ペツグ８を上下に並列支持するスピンドルレー
ル９の下方には、満・空ボビン移送装置Ｔを構成
するガイドカバー１０ａ，１０ｂがブラケツト１
１（第３図ｂに図示）を介してスピンドル列に沿
つて配設されている。ガイドカバー１０ａ，１０
ｂはその一端が前記供給用コンベア５あるいは取
出し用コンベア６の近傍まで延設されるとともに
その他端側において方向転換レール１２により互
いに接続されている。第３図ｂに示すように前記
ガイドカバー１０ａ，１０ｂの内側には上面にボ
ビンを装着するペツグ１３ａを有するペツグトレ
イ１３を１列状態で塔載可能に形成された塔載移
送部材としての移送レール１４ａ，１４ｂがスピ
ンドル列に沿つて往復移動可能に支承されてい
る。両移送レール１４ａ，１４ｂは精紡機機台１
のアウトエンドOE側に配設されたエアシリンダ
１５のピストンロツド１５ａに連結部材１６を介
して連結され、エアシリンダ１５の作動によりス
ピンドル列に沿つてスピンドルピツチより若干大
きなストロークで一体的に往復動されるようにな
つている。又、ガイドカバー１０ａ，１０ｂの内
側には複数個の支持ボツクス１７がスピンドル列
と対応する位置に所定間隔をおいてブラケツト１
７ａを介して固定されており、第３図ａ，ｂに示
すように該支持ボツクス１７内には移送レール１
４ａ，１４ｂの往動時にはペツグトレイ１３の通
過を許容する退避位置に、復動時にはペツグトレ
イ１３と係合してその移動を阻止するとともにペ
ツグトレイ１３をスピンドル７と対応する位置に
保持する係止位置に移動配置される係止部材とし
ての係止片１８が、軸１９に回動可能に支持され
るとともにばね２０によりその一端が移送レール
１４ａ，１４ｂの上面より上方にすなわちペツグ
トレイ１３の凹部１３ｂ内に突出する状態に回動
付勢されている。係止片１８はその先端がペツグ
トレイ１３の凹部１３ｂに当接している状態で、
そのペツグトレイ１３がスピンドル７と対応する
管替位置に配置されるように、その配設位置が設
定されている。

前記移送レール１４ａ，１４ｂの端部は機台端
に配設された前記供給用コンベア５の送出部近傍
まで延設されるとともに、その端部付近には移送
レール１４ａ，１４ｂの復動時にペツグトレイ１
３と係合してその移動を阻止するストツパ２１が
配設されている。ストツパ２１は前記係止片１８
と同様に構成され、ガイドカバー１０ａ，１０ｂ
間にブラケツト２２ａを介して固定された支持ボ
ツクス２２内に軸２３により回動可能に支持され
るとともに、ばね２４によりペツグトレイ１３の
凹部１３ｂ内にその先端が突出する状態に回動付
勢されている。又、移送レール１４ａ，１４ｂの
後端内側には、上面が移送レール１４ａ，１４ｂ
の上面と同一高さとなる状態で支承部３０がガイ
ドレール１０ａ，１０ｂ間に固定されている。

なお、精紡機機台１には油圧シリンダ２５によ
り往復動される駆動ロツド２６の作用によりリン
ク機構２７を介して上下動されるボビンキヤツチ
ヤー２８を備えた公知の全錘一斉式管替装置２９
が配設されている。

次に前記のように構成された装置の作用を説明
する。さて、機台が満管停止すると、管替装置２
９によりペツグトレイ１３上の空ボビンＥとスピ
ンドル７上の満ボビンＦとが中間ペツグ８を介し
て交換される管替作業の完了後、満ボビンの搬出
及び空ボビンの供給が開始される。

エアシリンダ１５が作動されると、連結部材１
６を介して移送レール１４ａ，１４ｂがスピンド
ルピツチより若干大きなストロークで往復駆動さ
れる。移送レール１４ａ，１４ｂの往動時には移
送レール１４ａ，１４ｂ上のペツグトレイ１３は
係止片１８をばね２０の力に抗して下方へ回動さ
せてその上方を通過し、移送レール１４ａ，１４
ｂに往動分移送される。移送レール１４ａ，１４
ｂの往動に伴いその端部が第５図ｂに示すように
供給用コンベア５から離れる。供給用コンベア５
は常時駆動されているため、移送レール１４ａ，
１４ｂとともに移送レール上のペツグトレイ１３
が前進するに従い供給コンベア５上から空ボビン
Ｅ付のペツグトレイ１３が移送レール１４ａ，１
４ｂ上の後端のペツグトレイ１３と当接した状態
で送り出される。供給用コンベア５から送り出さ
れたペツグトレイ１３は移送レール１４ａ，１４
ｂの内側に配設された支承部３０上に支承され
る。移送レール１４ａ，１４ｂの復動時には、ペ
ツグトレイ１３の凹部１３ｂ内に突出した係止片
１８およびストツパ２１の先端が凹部１３ｂと係
合してペツグトレイ１３の後退が阻止される。ス
トツパ２１より後側すなわち供給用コンベア５側
に位置するペツグトレイ１３は移送レール１４
ａ，１４ｂの復動時に移送レール１４ａ，１４ｂ
とともに移動しようとするが、その数が少ないた
めそれらのペツグトレイ１３を移送レール１４
ａ，１４ｂと一体的に移動させようとする力
mμrw（ｍはペツグトレイ１３の個数、μrは摩擦
係数、ｗはペツグトレイの重量）よりも供給用コ
ンベア５による押圧力nμbw（μbは摩擦係数、ｎ
は供給用コンベア５上のペツグトレイの個数）よ
り小さいためペツグトレイ１３は移動せずに移送
レール１４ａ，１４ｂのみが移動されて元の状態
に復帰する。従つて、次の移送レール１４ａ，１
４ｂの往復動も全く同一の条件で行われ、移送レ
ール１４ａ，１４ｂの往復動作の繰返しにより満
ボビンＦが装着されたペツグトレイ１３が方向転
換レール１２を経て取出し用コンベア６側に移送
され、さらに取出し用コンベア６側に配設された
移送レール１４ａ，１４ｂの往復動作により取出
し用コンベア６を経て満ボビン搬送用コンベア３
上へ排出され、代わりにスピンドル列と対応する
位置に空ボビンＥが装着されたペツグトレイ１３
が配置される。前記のように供給用コンベア５か
ら供給される空ボビン付のペツグトレイ１３は移
送レール１４ａ，１４ｂの往復動作により常に同
一条件で移送されてスピンドル７に対応する所定
の管替位置に配置されるため、管替装置２９によ
り管替作業が支障なく行われる。

（実施例 ２） 次に第２の実施例を第６，７図に従つて説明す
る。この実施例においては移送レール１４ａ，１
４ｂの復動時にペツグトレイ１３の移動を阻止す
る係止片１８及びストツパ２１の構成が前記実施
例と異なつており、その他の構成は同じである。
第６図に示すように移送レール１４ａの外側面に
固定されたブラケツト３１には支軸３２が回動可
能に支持され、その上端にはストツパ３３が一体
回動可能に固定されている。支軸３２の下部外周
には一端がブラケツト３１に掛止され他端が支軸
３２に掛止された状態でねじりばね３４が巻装さ
れ、該ねじりばね３４の作用によりストツパ３３
がガイドレール１０ａ，１０ｂと直交する方向へ
回動付勢されるとともにガイドカバー１０ａに固
定されたボルト３５に当接してその移動が阻止さ
れるようになつている。従つて移送レール１４
ａ，１４ｂの復動時にはペツグトレイ１３がねじ
りばね３４の力に抗してストツパ３３を第６図の
時計方向に回動させつつ移送レール１４ａ，１４
ｂとともに前進移動され、移送レール１４ａ，１
４ｂの復動時にはペツグトレイ１３のペツグ１３
ａ基端部がストツパ３３に当接してその移動が阻
止される。

なお、この考案は前記両実施例に限定されるも
のではなく、例えば、係止片１８あるいはストツ
パ２１，３３をペツグトレイの通過を許容する退
避位置とペツグトレイと係合してその移動を阻止
する係止位置に移動配置させる手段として移送レ
ール１４ａ，１４ｂの往復動作を利用する代わり
に電磁ソレノイドあるいはシリンダ等の駆動装置
を利用してストツパ２１，３３等を退避位置と停
止位置とに移動配置する構成を採用したり、移送
レール１４ａ，１４ｂに代えて塔載移送部材とし
て第８図に示すように一対のプーリ３６，３７間
に巻掛けられた２本のベルト３８を使用してもよ
い。さらには、前記両実施例においてはペツグト
レイ１３としてその長さがスピンドルピツチとほ
ぼ等しいものについて説明したが、ペツグトレイ
１３の長さをスピンドルピツチの半分にして同じ
くスピンドルピツチの半分の長さの中間トレイを
交互に配設する構成にしてもよい。又、前記実施
例では各係止片１８をスピンドル７の複数本置き
に配設したが、各係止片１８をスピンドル７の数
と同数各スピンドルと対応して配設してもよい。
このように配設した場合にはスピンドルピツチよ
り短い長さのペツグトレイ１３に対しても中間ト
レイを使用することなく各スピンドルと対応する
位置に配置することが可能となる。

考案の効果 以上詳述したように、この考案によれば塔載移
送部材の復動時に塔載移送部材上に載置されたペ
ツグトレイがスピンドルと対応した位置に配設さ
れた係止部材と係合して所定位置に保持されるた
め、スピンドルに対して常に正確なペツグトレイ
の位置を保つことができる。又、空ボビン付ペツ
グトレイ供給装置に連なるペツグトレイがペツグ
トレイ供給装置側へ移動されることなく常に各ペ
ツグトレイが相互に当接した状態に保持されるた
め、空ボビン付ペツグトレイが精紡機等のスピン
ドル間隔と等しい間隔でスピンドル列の前方に移
送配置され、管替装置により管替作業が円滑に行
われるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図はこの考案を具体化した第１の実施
例を示し、第１図は精紡機機台及び満・空ボビン
移送装置を示す一部省略正面図、第２図は精紡機
とワインダの配置関係を示す概略平面図、第３図
ａは一部破断要部正面図、第３図ｂは側断面図、
第４図は供給用コンベアとの接続部を示す平面
図、第５図ａ，ｂは一部破断要部正面図、第６図
は第２の実施例の要部平面図、第７図は同じく要
部側断面図、第８図は変更例を示す要部概略正面
図である。 空ボビン付ペツグトレイ供給装置としての供給
用コンベア……５、スピンドル……７、ガイドカ
バー……１０ａ，１０ｂ、ペツグトレイ……１
３、ペツグ……１３ａ、凹部……１３ｂ、塔載移
送部材としての移送レール……１４ａ，１４ｂ、
駆動装置としてのエアシリンダ……１５、係止部
材としての係止片……１８、ストツパ……２１，
３３、塔載移送部材としてのベルト……３８。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面にボビンを挿着するペツグを有するペツグ
   トレイを一列状態で塔載可能に形成した塔載移送
   部材をスピンドル列に沿つて往復移動可能に配設
   するとともに該塔載移送部材を往復動させる駆動
   装置を設け、前記塔載移送部材の往動時にはペツ
   グトレイの通過を許容する退避位置に、復動時に
   はペツグトレイと係合してその移動を阻止すると
   ともにペツグトレイをスピンドルと対応する位置
   に保持する停止位置に移動配置される係止部材を
   スピンドル列と対応する位置に所定間隔で複数個
   配設し、前記塔載移送部材の端部を機台端に配設
   された空ボビン付ペツグトレイ供給装置の送出部
   近傍まで延設するとともにその端部付近に塔載移
   送部材の復動時にペツグトレイと係合してその移
   動を阻止するストツパを設けた精紡機等における
   満・空ボビン移送装置。