JPH09132828A - 紡機におけるボビン搬送方法及び搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 満ボビンの搬出及び空ボビンの供給に要する
時間を短縮し、特にロング機台における太番手糸の紡出
時における紡機機台の稼働率の低下を防止する。 【解決手段】 精紡機機台１の長手方向に沿って第１及
び第２の移送装置T1，T2が配設され、両搬送装置T1，T2
の第１端部同士がガイド通路３を介して接続されてい
る。第１の移送装置T1の第２端部には空ボビン搬入用コ
ンベア４が、第２の移送装置T2の第２端部には満ボビン
搬出用コンベア５がそれぞれ接続されている。両移送装
置T1，T2は一対の移送レールと、ガイドカバー７と、位
置決め部材とを備えている。移送レールを往復駆動する
エアシリンダ12，13はそのストロークがスピンドルピッ
チの２倍より若干大きく設定されている。エアシリンダ
12，13の作動により移送レールがスピンドルピッチの２
倍より若干大きなストロークで一体的に往復動され、ぺ
ッグトレイ２がスピンドルピッチの２倍ずつ移送され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はリング精紡機、リン
グ撚糸機等の紡機におけるボビン搬送方法及び搬送装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の紡機においては満管に伴う管替
作業時に管替装置による自動管替作業を容易にするた
め、紡機の前面にスピンドルピッチと対応した状態で空
ボビンを供給し、玉揚げされた満ボビンを搬出する搬送
装置が必要となる。また、精紡機とワインダとをコンベ
ア装置で連結し、精紡機とワインダ間で空ボビン及び満
ボビンを直接搬送供給する精紡ワインダが提案されると
ともに実施されている。そして、空ボビン及び満ボビン
の搬送にはぺッグトレイを用いた搬送装置が多く使用さ
れている。

【０００３】この種の搬送装置として特開昭５７−１６
１１３３号公報には図６（ａ）に示すように、精紡機機
台４１の長手方向に沿って延びる部分と、長手方向と直
交する方向に延びる部分と、両者を連結する円弧状の部
分とからなるガイドレール４２を配設し、ガイドレール
４２上にぺッグトレイ４３を配置した装置が提案されて
いる。この装置では、ぺッグトレイ４３はスピンドル４
４のピッチと同じか僅かに小さな直径に形成されるとと
もに、互いに当接する状態でガイドレール４２上に載置
されている。また、ぺッグトレイ４３の下面に形成され
た係止凹部と係合する係止爪を備えた駆動装置（いずれ
も図示せず）が、ガイドレール４２の精紡機機台４１の
長手方向に沿って延びる部分に配設されている。そし
て、係止爪の往復動により、ぺッグトレイ４３をスピン
ドル４４のピッチに対応させて１ピッチ分ずつ間欠的に
移動させるようになっている。

【０００４】また、ガイドレール４２の精紡機機台４１
と直交する部分に、ぺッグトレイ４３に装着された満ボ
ビンを抜き取る満管排出装置４５と、満ボビンが抜き取
られたぺッグトレイ４３に空ボビンを供給する空ボビン
供給装置４６とが配設されている。そして、満管に伴う
玉揚げ終了後、駆動装置の作動によりぺッグトレイ４３
がガイドレール４２を周回する間に、ぺッグトレイ４３
から満ボビンが抜き取られるとともに空ボビンが装着さ
れてスピンドル４４と対応する位置に配置されるように
なっている。

【０００５】また、例えば特開昭６３−２７５７２７号
公報、実開平５ー６１１７２号公報等には、図６（ｂ）
に示すように、精紡機機台４１の左右両側に延設された
第１及び第２の移送装置Ｔ１，Ｔ２を機台の第１端部側
においてガイド通路４７により連結した装置が提案され
ている。この装置は図示しない搬送路を介してワインダ
と連結され、ワインダから返還されてくる空ボビンが装
着されたぺッグトレイ４３を第１の移送装置Ｔ１の入口
側に配設されたベルトコンベア４８を介して受入れる。
また、満ボビンが装着されたぺッグトレイ４３を第２の
移送装置Ｔ２の出口側に配設されたベルトコンベア４９
を介してワインダへ送り出す。第１の移送装置Ｔ１はエ
アシリンダ５０の作動により、ぺッグトレイ４３を１列
で搭載した移送レール（図示せず）がスピンドルの１ピ
ッチ分往復移動され、ぺッグトレイ４３がガイド通路４
７側へ移動されてガイド通路４７の第１端部に１個ずつ
送り込まれる。ガイド通路４７の第１端部に配設された
送り装置５１は、ガイド通路４７上のぺッグトレイ４３
を１個ずつ順次第２の移送装置Ｔ２の第２端部に送り出
す。第２の移送装置Ｔ２はエアシリンダ５２の作動によ
り、ぺッグトレイ４３を１列で搭載した移送レール（図
示せず）がスピンドルの１ピッチ分往復移動され、ぺッ
グトレイ４３がベルトコンベア４９へ１個ずつ送り出さ
れる。なお、両移送装置Ｔ１，Ｔ２により間欠的に移動
されるぺッグトレイ４３は、各移送レールの往復動作完
了毎に、ぺッグトレイ４３に装着されたボビンがスピン
ドルと対応する位置に位置決めされるようになってい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記従来装置ではいず
れも、ぺッグトレイ４３に装着されたボビンをスピンド
ルと対応する位置に位置決めしつつ間欠的に移送するた
め、ぺッグトレイ４３を移動させる移動手段はその１ス
トロークがスピンドルピッチと同じか、それより僅かに
大きな値に設定されている。従って、移動手段は１回の
往復作動でぺッグトレイ４３をスピンドルピッチずつし
か移送できない。その結果、管替作業完了後、次の玉揚
げ時までに、ぺッグトレイ上に玉揚げされた満ボビンを
排出して、代わりに空ボビンが装着されたぺッグトレイ
４３を各スピンドルと対応する位置に配置するために
は、移動手段を非常に多くの回数往復作動させる必要が
ある。具体的には、少なくとも精紡機機台１の錘数と、
満ボビンを装着したぺッグトレイが精紡機機台１の長手
方向に沿って延びる一方の部分から他方の部分へ移動す
るための通路上に配置されたぺッグトレイ４３の数の合
計回数、移動手段を往復作動させる必要がある。

【０００７】一般に精紡機機台の錘数は４００〜５００
錘で、ロング機台と言われるものは８００〜１０００錘
である。その結果、ロング機台ではぺッグトレイ上に玉
揚げされた満ボビンの搬出と、ぺッグトレイへの空ボビ
ンの供給とが完了するまでに一般の機台のほぼ２倍時間
がかかる。空ボビンの供給完了までに時間がかかって
も、精紡機の次の玉揚げ時までに完了すればよい。従っ
て、一般の精紡機機台の場合はさほど支障はない。しか
し、ロング機台になると、太番手の糸を紡出するとき
に、玉揚げ周期より満ボビンの搬出開始から空ボビンの
供給完了までの時間のほうが長くなる場合がある。この
場合、精紡機機台の運転を停止した状態で空ボビンの供
給が完了するまで待機する必要があり、機台の稼働率が
低下するという問題がある。特に、機台の高速化により
満管までの巻取り糸量が少なく設定される機台の場合
は、玉揚げ周期が短くなるため、問題が生じ易い。

【０００８】前記満ボビンの搬出及び空ボビンの供給に
要する時間を短縮するため、駆動手段の１ストロークに
要する時間の短縮、即ち駆動手段をより高速で駆動する
ことが考えられる。しかし、駆動手段を高速で駆動する
と、負荷が大きくなり、耐久性が悪くなる。特にぺッグ
トレイを移送レールに搭載して移動する構成の場合は、
この問題が顕著になる。

【０００９】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は駆動手段を高速で駆動せずに満
ボビンの搬出及び空ボビンの供給に要する時間を短縮で
き、特にロング機台における太番手糸の紡出時における
紡機機台の稼働率の低下を防止するとともに、駆動手段
の寿命を延長することができる紡機におけるボビン搬送
方法及び搬送装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項１に記載の発明では、上面にペッグを備えス
ピンドルピッチと同一又は僅かに小さい直径のペッグト
レイが一列状態で移動可能なぺッグトレイ通路を紡機機
台長手方向両側に沿って延設し、両ぺッグトレイ通路の
少なくとも第１端部同士を接続部で連結して、前記ぺッ
グトレイ通路に沿って往復動される移送手段によりボビ
ンが装着されたぺッグトレイを所定量ずつ間欠的に移動
させる紡機におけるボビン搬送方法において、前記移送
手段の１回のストロークをスピンドルピッチの複数倍以
上とし、１列状態の前記ぺッグトレイをスピンドルピッ
チの複数倍ずつ移動させるようにした。

【００１１】請求項２に記載の発明では、上面にぺッグ
を備えスピンドルピッチと同一又は僅かに小さい直径の
ペッグトレイが一列状態で移動可能なぺッグトレイ通路
を紡機機台長手方向両側に沿って延設し、両ぺッグトレ
イ通路の少なくとも第１端部同士を接続部で連結して、
前記ぺッグトレイ通路に沿って往復動される移送手段に
よりボビンが装着されたぺッグトレイを所定量ずつ間欠
的に移動させる紡機におけるボビン搬送装置において、
前記移送手段は往動時にその移動量とほぼ等しい距離前
記ぺッグトレイを一体的に移動させるとともに、復動時
にはぺッグトレイの相対移動を許容するように構成さ
れ、かつその１回のストロークがスピンドルピッチの複
数倍以上に設定されている。

【００１２】請求項３に記載の発明では、請求項２に記
載の発明において、前記ぺッグトレイ通路は第１端部同
士が接続部で連結され、前記移送手段は、ぺッグトレイ
を１列状態で搭載してぺッグトレイを移送可能に前記各
ぺッグトレイ通路のほぼ全長にわたって延びるように配
置された移送部材と、前記移送部材をスピンドルピッチ
の複数倍以上のストロークで往復動させる駆動手段と、
移送部材のぺッグトレイの移送方向への移動時にはぺッ
グトレイの移動を許容する退避位置に、反対方向への移
動時にはぺッグトレイの移動を阻止する係止位置にそれ
ぞれ変位可能に配置された複数の係止部材とを備えてい
る。

【００１３】請求項４に記載の発明では、請求項２又は
請求項３に記載の発明において、前記両ぺッグトレイ通
路はその第１端部において、ぺッグトレイの円滑な移載
を可能とするため両端がほぼ円弧状に形成された接続部
により互いに接続されている。

【００１４】請求項５に記載の発明では、請求項４に記
載の発明において、前記両移送部材はそれぞれ同時にぺ
ッグトレイの移送方向に作動され、かつ反対方向にもそ
れぞれ同時に作動される。

【００１５】請求項１に記載の発明では、ボビンは上面
にペッグを備えスピンドルピッチと同一又は僅かに小さ
い直径のぺッグトレイに装着された状態で、ぺッグトレ
イの移動に伴って搬送される。ぺッグトレイは紡機機台
長手方向両側に沿って延設され、少なくとも第１端部同
士が接続部で連結されたぺッグトレイ通路に沿って一列
状態で移動する。ぺッグトレイはぺッグトレイ通路に沿
って１回のストロークがスピンドルピッチの複数倍以上
で往復動される移送手段により、スピンドルピッチの複
数倍ずつ間欠的に移動される。従って、移送手段の往復
動の回数は半分以下となる。

【００１６】請求項２に記載の発明でも、ボビンは上面
にペッグを備えスピンドルピッチと同一又は僅かに小さ
い直径のぺッグトレイに装着された状態で、ぺッグトレ
イの移動に伴って搬送される。ぺッグトレイは紡機機台
長手方向両側に沿って延設され、少なくとも第１端部同
士が接続部で連結されたぺッグトレイ通路に沿って一列
状態で移動する。移送手段の往動時にその移動量とほぼ
等しいスピンドルピッチの複数倍以上の距離、ぺッグト
レイが一体的に移動される。移送手段の復動時にはぺッ
グトレイの相対移動が許容される。そして、ぺッグトレ
イは移送手段の一回毎の往復動により、スピンドルピッ
チの複数倍ずつ間欠的に移動される。

【００１７】請求項３に記載の発明では、紡機機台の長
手方向に沿って延設された両ぺッグトレイ通路の第２端
部がワインダ等の他の周辺装置にぺッグトレイ搬送経路
を介して接続される。ぺッグトレイは紡機機台の長手方
向に沿って設けられた各ぺッグトレイ通路のほぼ全長に
わたって延びるように配置された移送部材上に１列状態
で搭載される。移送部材は駆動手段によりスピンドルピ
ッチの複数倍以上のストロークで往復動される。移送部
材のぺッグトレイの移送方向への移動時には、ぺッグト
レイは移送部材と一体的に移動される。移送部材の反対
方向への移動時には、係止位置に変位した係止部材によ
りぺッグトレイの移動が阻止され、移送部材のみが元の
位置まで復帰する。そして、駆動手段の作動により移送
部材が往復動される毎にぺッグトレイがスピンドルピッ
チの複数倍ずつ移動される。

【００１８】請求項４に記載の発明では、上流側に位置
するぺッグトレイ通路上のぺッグトレイは、移送手段の
往動時にぺッグトレイ通路上から接続部上に円滑に送り
込まれ、接続部上のぺッグトレイが下流側のぺッグトレ
イ通路上に円滑に送り出される。即ち、上流側に位置す
るぺッグトレイ通路に沿って配置された移送手段が、接
続部上のぺッグトレイを下流側のぺッグトレイ通路上に
送り出す装置の役割を果たす。

【００１９】請求項５に記載の発明では、請求項４に記
載の発明において、両移送部材がそれぞれ同時にぺッグ
トレイの移送方向に作動され、かつ反対方向にもそれぞ
れ同時に作動される。従って、移送部材を駆動する駆動
手段の制御が容易となる。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
〜図４に従って説明する。図１に示すように、紡機機台
としての精紡機機台１の左右両側にはぺッグトレイ２を
移送する移送手段及びぺッグトレイ通路を構成する第１
及び第２の移送装置Ｔ１，Ｔ２が精紡機機台１の長手方
向に沿って配設されている。両搬送装置Ｔ１，Ｔ２はそ
の第１端部同士が接続部としてのガイド通路３を介して
接続されている。第１の移送装置Ｔ１の第２端部には空
ボビン搬入用コンベア４が、第２の移送装置Ｔ２の第２
端部には満ボビン搬出用コンベア５がそれぞれ接続さ
れ、搬送コンベアを介してワインダ工程（いずれも図示
せず）との間で満ボビン及び空ボビンの搬送、供給が行
われるようになっている。

【００２１】両移送装置Ｔ１，Ｔ２は従来装置（例えば
特開昭６３−２７５７２７号公報、に開示のもの）と同
様に、図３（ａ）に示すように、移送部材としての一対
の移送レール６と、ガイド部材としてのガイドカバー７
と、位置決め部材８とを備えている。ペッグトレイ２は
上面にボビンＢが装着されるペッグ２ａを、下面に係止
凹部２ｂをそれぞれ備えている。ガイドカバー７は移送
レール６上に搭載されたぺッグトレイ２の移送レール６
の移動方向からの横ずれを抑制してペッグトレイ通路を
構成する。位置決め部材８は移送レール６の長手方向に
沿って延びる状態で移送レール６の内側に配設され、係
止凹部２ｂと係合可能な係止突起８ａがスピンドルピッ
チと同一間隔で多数鋸刃状に形成されている。そして、
各係止突起８ａがスピンドル９と対応する位置において
係止凹部２ｂ内に侵入した状態に配置可能に板ばね１０
を介して上下動可能に支持され、ぺッグトレイ２の移送
レール６の往動側への移動を許容するとともに復動側へ
の移動を規制する。

【００２２】移送レール６はガイドカバー７の内側にお
いてブラケット１１の上面に形成されたガイド溝１１ａ
と係合する状態でスピンドル列に沿って往復移動可能に
支承されている。移送レール６はペッグトレイ２を１列
状態で搭載可能に形成されている。移送レール６の上面
には移送レール６の往動時にぺッグトレイ２の外周面と
係合してぺッグトレイ２と移送レール６との相対移動を
規制するとともに、移送レール６の復動時にぺッグトレ
イ２と移送レール６との相対移動を許容する係合突部６
ａがぺッグトレイ２の直径と同じ所定間隔で突設されて
いる。

【００２３】移送レール６は精紡機機台１の端部に配設
された駆動手段としてのエアシリンダ１２，１３（図１
に図示）のピストンロッド１２ａ，１３ａに連結部材
（図示せず）を介して連結されている。エアシリンダ１
２，１３はそのストロークがスピンドルピッチの２倍よ
り若干大きく設定され、エアシリンダ１２，１３の作動
により移送レール６がスピンドル列に沿ってスピンドル
ピッチの２倍より若干大きなストロークで一体的に往復
動されるようになっている。そして、第１の移送装置Ｔ
１はアウトエンド（第２端部）側からギヤエンド（第１
端部）側へぺッグトレイ２を移送し、第２の移送装置Ｔ
２はギヤエンド（第１端部）側からアウトエンド（第２
端部）側へぺッグトレイ２を移送するようになってい
る。

【００２４】図１に示すように、エアシリンダ１２，１
３にはピストンロッド１２ａ，１３ａが没入状態にある
ことを検知するセンサＳ1a，Ｓ2aと、ピストンロッド１
２ａ，１３ａが突出状態にあることを検知するセンサＳ
1b，Ｓ2bとが設けられている。両エアシリンダ１２，１
３は制御装置１４の指令により切換作動される方向制御
弁に管路（いずれも図示せず）を介して接続されてい
る。前記各センサＳ1a，Ｓ2a，Ｓ1b，Ｓ2bは制御装置１
４に電気的に接続されている。

【００２５】ガイド通路３は両移送装置Ｔ１，Ｔ２との
間でのぺッグトレイ２の円滑な移載を可能とするため両
端がほぼ円弧状に形成され、平面ほぼＵ字状に形成され
ている。図２及び図３（ｂ）に示すように、ガイド通路
３はペッグトレイ２を摺動可能に支承するベースプレー
ト１５と、ブラケット１６を介してベースプレート１５
上に支持されるとともにペッグトレイ２のペッグ２ａと
係合してその移動方向を規制するガイドバー１７とから
構成されている。ベースプレート１５はその上面が移送
レール６の上面と同一高さとなるように配置されてい
る。

【００２６】図４（ａ），（ｂ）に示すように、第１の
移送装置Ｔ１の出口部Ｔ１ａと、第２の移送装置Ｔ２の
入口部Ｔ２ａとそれぞれ対応する位置には、移送レール
６が第２端部側へ移動した際に２個のぺッグトレイ２を
支承保持するための支承部１５ａが配設されている（入
口部Ｔ２ａ側のみ図示）。支承部１５ａはベースプレー
ト１５と一体に形成され、ベースプレート１５の両端部
から移送レール６の間に延出するように突設されてい
る。なお、図面の都合上、ガイド通路３の長さを図１と
図２とで異なった状態で示してある。

【００２７】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。精紡機機台１が満管停止され、図示しない管
替装置による管替作業が完了して満ボビンの搬出及び空
ボビンの供給が可能な状態となり、ワインダから満ボビ
ン要求信号が発せられると、精紡機機台１からの満ボビ
ンの搬出及び精紡機機台１への空ボビンの搬入が開始さ
れる。なお、第１の移送装置Ｔ１のエアシリンダ１２は
ピストンロッド１２ａの没入状態が原位置に、第２の移
送装置Ｔ２のエアシリンダ１３はピストンロッド１３ａ
の突出状態が原位置となる。また、この状態では両移送
装置Ｔ１，Ｔ２の移送レール６、支承部１５ａ及びガイ
ド通路３上にぺッグトレイ２が互いに当接した状態で載
置されている。

【００２８】この状態から制御装置１４の指令に基づい
て両移送装置Ｔ１，Ｔ２のエアシリンダ１２，１３が同
時に作動され、移送レール６がスピンドルピッチの２倍
より若干大きなストロークで往動される。ぺッグトレイ
２は移送レール６の上面に突設された係合突部６ａの作
用により、移送レール６の往動時に確実に移送レール６
の往動分移送される。第２の移送装置Ｔ２の移送レール
６の往動に伴い、第２の移送装置Ｔ２の入口部Ｔ２ａに
ぺッグトレイ２を２個配置可能なスペースが形成され
る。第１の移送装置Ｔ１の移送レール６も同時に往動さ
れるため、その往動に伴って２個のぺッグトレイ２がガ
イド通路３内に押し込まれ、ガイド通路３の第２端部側
に載置されていた２個のぺッグトレイ２が順次前記スペ
ース、即ち支承部１５ａ上に送り込まれる。

【００２９】移送レール６の前進が完了した時点では位
置決め部材８の係止突起８ａがペッグトレイ２の係止凹
部２ｂ内に侵入し、係止凹部２ｂと係止突起８ａとの間
に隙間が生じた状態に配置される。移送レール６の復動
時には係止凹部２ｂ内に侵入した係止突起８ａが係止凹
部２ｂと係合してペッグトレイ２の後退が阻止され、ス
ピンドル列と対応する部分にある各ペッグトレイ２がス
ピンドル９と対応する所定の管替位置に配置される。ま
た、第２の移送装置Ｔ２の移送レール６が復動すると
き、支承部１５ａに支承されているぺッグトレイ２に係
合突部６ａを介してガイド通路３側へ押し込む力が作用
するが、ぺッグトレイ２はガイド通路３内のぺッグトレ
イ２と当接した状態にあるため、その移動が規制されて
支承部１５ａ上に保持される。

【００３０】以下、同様にして制御装置１４は各センサ
Ｓ1a，Ｓ2a，Ｓ1b，Ｓ2bからの検知信号を入力して、両
ピストンロッド１２ａ，１３ａの没入及び突出状態を確
認し、両エアシリンダ１２，１３がそれぞれ同時に移送
レール６を往動及び復動させるようにエアシリンダ１
２，１３を作動させる。従って、第２の移送装置Ｔ２の
移送レール６上のペッグトレイ２が満ボビン搬出用コン
ベア５上に２個ずつ搬出される。また、空ボビン搬入用
コンベア４から順に第１の移送装置Ｔ１の移送レール６
上にペッグトレイ２が２個ずつ供給されるとともに、満
ボビンあるいは空ボビンが装着されたペッグトレイ２が
ガイド通路３を介して順次第１の移送装置Ｔ１から第２
の移送装置Ｔ２へと２個ずつ移送される。そして、空ボ
ビンが装着されたぺッグトレイ２が両移送装置Ｔ１，Ｔ
２上に所定数配置された時点で、満ボビンの搬出及び空
ボビンの搬入が完了する。

【００３１】この実施の形態では以下の効果を有する。 （イ） ぺッグトレイ２を間欠的に所定ピッチずつ移動
させる移送レール６の１ストロークがスピンドルピッチ
の２倍以上に設定され、ぺッグトレイ２がスピンドルピ
ッチの２倍ずつ移動される。従って、満ボビンの搬出及
び空ボビンの供給が完了するまでに移送レール６（移送
部材）を往復作動させるエアシリンダ１２，１３（駆動
手段）の作動回数が従来の１／２となり、搬送時間が大
幅に短縮される。その結果、ロング機台で太番手の糸を
紡出する場合でも、その玉揚げ周期内に確実に満ボビン
の搬出及び空ボビンの供給が完了し、紡機機台の運転を
停止した状態で空ボビンの供給が完了するのを待つ必要
がなく、機台の稼働率の低下が防止される。

【００３２】また、エアシリンダ１２，１３の作動回数
が大幅に減少するとともに、ピストンロッド１２ａ，１
３ａの移動を高速にする必要がないため、エアシリンダ
１２，１３や移送レール６の支持部に加わる負荷が小さ
くなり、エアシリンダ１２，１３や支持部の寿命が延び
る。

【００３３】（ロ） 両移送装置Ｔ１，Ｔ２を接続する
接続部（ガイド通路３）はその両端がほぼ円弧状に形成
されているため、上流側に位置する第１の移送装置Ｔ１
の出口部Ｔ１ａからガイド通路３の第１端部、ガイド通
路３の第２端部から第２の移送装置Ｔ２の入口部Ｔ２ａ
へのぺッグトレイ２の移載が、後続のぺッグトレイ２の
押圧力により円滑に行われる。従って、ガイド通路３上
のぺッグトレイ２を第２の移送装置Ｔ２側へ送り出す送
り装置を設けずに、第１の移送レール６の往動によりガ
イド通路３上のぺッグトレイ２を自動的に第２の移送装
置Ｔ２に円滑に送り出すことができる。その結果、送り
装置が不要となる。

【００３４】（ハ） 両移送装置Ｔ１，Ｔ２がそれぞれ
同時にぺッグトレイ２の移送方向に作動（往動）され、
かつ復動時もそれぞれ同時に作動されるため、１個の切
換制御弁で両エアシリンダ１２，１３への圧縮空気の供
給を制御することができる。従って、制御が容易になる
とともに、装置の製造コストが切換制御弁の分だけ安く
なる。

【００３５】（ニ） ガイド通路３を構成するベースプ
レート１５の端部を延出して２個のぺッグトレイ２を支
承する支承部１５ａを構成しているため、支承部を別に
設ける場合に比較して製造や組付けが簡単となる。

【００３６】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、例えば次のように具体化してもよい。 （１） 両移送装置Ｔ１，Ｔ２を同時に作動する構成に
代えて、第２の移送装置Ｔ２の移送レール６を往復動さ
せた後、第１の移送装置Ｔ２の移送レール６を往復動さ
せる構成としてもよい。この場合、第２の移送装置Ｔ２
の入口部Ｔ２ａにぺッグトレイ２を２個載置可能なスペ
ースが確保された状態で第１の移送装置Ｔ１の移送レー
ル６が往復動されるため、入口部Ｔ２ａに支承部１５ａ
を設ける必要がなくなる。

【００３７】（２） ガイド通路３の両端を円弧状とす
る代わりに、第２の移送装置Ｔ２と対応する側のみを円
弧状とし、第１の移送装置Ｔ１と対応する側は移送装置
Ｔ１と直交する状態とする。この場合図５に示すよう
に、ガイド通路３の直線部にはベルトコンベア１８を設
ける。ベルトコンベア１８のベルト１９はペッグトレイ
２の直径とほぼ等しい幅に形成され、被動ローラ２０及
びモータ２１により駆動される駆動ローラ２２間に巻き
掛けられている。ベルト１９と対応する位置にはガイド
バー１７に代えてガイドカバー２３が設けられている。
また、第１の移送装置Ｔ１の出口部Ｔ１ａには、移送レ
ール６の復動時に２個のぺッグトレイ２を支承する支承
部（図示せず）が設けられている。

【００３８】この構成ではベルトコンベア１８は満ボビ
ンの搬出及び空ボビンの供給が完了するまで駆動が継続
される。また、ベルト１９上にはベースプレート１５上
のぺッグトレイ２に当接するぺッグトレイ２が１個だけ
載置された状態が定常状態となる。なぜならば、ベルト
２上に２個のぺッグトレイ２が当接して載置され、かつ
そのぺッグトレイ２がベースプレート１５上のぺッグト
レイ２と当接した状態ではベルト１９からぺッグトレイ
２に対して作用する力が、ベースプレート１５上のぺッ
グトレイ２を支承部１５ａ上に押し出し可能な大きさと
なる。しかし、１個だけ載置された状態ではベルト１９
からぺッグトレイ２に対して作用する力は、ベースプレ
ート１５上のぺッグトレイ２を支承部１５ａ上に押し出
すことはできず、１個のぺッグトレイ２がベルト１９の
第２の端部に載置された状態となる。

【００３９】従って、第１の移送装置Ｔ１の移送レール
６の往動によりベルトコンベア１８に順次送り込まれた
２個のぺッグトレイ２は、ベルト１９によりベースプレ
ート１５側へ移送され、ベースプレート１５上のぺッグ
トレイ２を順次支承部１５ａ上に押し出す。また、ベル
ト１９上に載置されたぺッグトレイ２が、第２の移送装
置Ｔ２の移送レール６の復動時に支承部１５ａ上のぺッ
グトレイ２のベースプレート１５側への移動を規制する
役割を果たす。

【００４０】（３） エアシリンダ１２，１３のストロ
ークをスピンドルピッチの３倍より若干大きな値、さら
には４以上の整数倍より若干大きな値に設定してもよ
い。しかし、４倍より大きくした場合は移送レール６の
ストロークを確保するスペースが大きくなり、あまり好
ましくない。

【００４１】（４） 係合突部６ａは必ずしも必要では
なく、係合突部６ａを省略したりあるいは複数のペッグ
トレイ２につき１個の割合で設けてもよい。 （５） 移送装置Ｔ１，Ｔ２としてペッグトレイ２を１
列状態で搭載して往復動する移送レール６を使用する装
置に代えて、特開昭５７−１６１１３３号公報に開示さ
れた装置のようにペッグトレイ２をガイドレール上に載
置し、係止爪が設けられたロッドをエアシリンダで往復
動する構成の装置を採用してもよい。この場合、ガイド
レールがぺッグトレイ通路を構成し、係止爪が設けられ
たロッド及びエアシリンダが移送手段を構成する。

【００４２】（６） 移送レール６をガイド溝１１ａを
有するブラケット１１で支承する代わりに、特開平６ー
１８４８３９号公報に開示された装置等と同様に移送レ
ール６をボールベアリングを介して支承する構成として
もよい。

【００４３】（７） 精紡機機台１とワインダとを連結
する代わりに、特開平４−２１４４２８号公報に開示さ
れた装置のように、複数の紡機機台で玉揚げされた満ボ
ビンを共通の満ボビン収容容器配置箇所までぺッグトレ
イ２により搬送し、満ボビンが排出されたぺッグトレイ
２に空ボビンを供給して各精紡機機台に返送するシステ
ムに適用してもよい。また、１台の精紡機機台毎に満ボ
ビン収容容器配置箇所及び空ボビン供給箇所を設け、両
移送装置Ｔ１，Ｔ２の第２端部を満ボビン収容容器配置
箇所及び空ボビン供給箇所を経由するボビン搬送装置で
接続した構成の装置に適用してもよい。この場合も、同
様な効果を奏する。

【００４４】（８） 特開昭５７−１６１１３３号公報
に開示された装置のように、精紡機機台の周囲に閉ルー
プを成すぺッグトレイ通路を配設し、係止爪が設けられ
たロッドをエアシリンダで往復動させてぺッグトレイを
そのぺッグトレイ通路内で周回移動させる構成のボビン
搬送装置に適用してもよい。

【００４５】（９） 移送レール６を駆動するエアシリ
ンダ１２，１３を、そのストロークがスピンドルピッチ
の２倍より若干大きな値と、スピンドルピッチより若干
大きな値とに変更可能に構成してもよい。

【００４６】（１０） リング精紡機に限らず、リング
撚糸機などの他の紡機の搬送装置に適用してもよい。前
記実施の形態及び変更例から把握できる請求項記載以外
の発明について、以下にその効果とともに記載する。

【００４７】（１） 請求項１又は請求項２に記載の発
明において、両ぺッグトレイ通路は第１及び第２端部の
両側においてそれぞれ接続部（ボビン搬送装置）を介し
て互いに接続され、接続部の途中にぺッグトレイから満
ボビンを抜き取る満ボビン抜取り手段と、ぺッグトレイ
に空ボビンを供給する空ボビン供給手段とが設けられて
いる。この場合、紡機機台の周囲に配設されたぺッグト
レイ通路及び接続部（ボビン搬送装置）をぺッグトレイ
が１周する間に、満ボビンの搬出及び空ボビンの供給が
完了する。

【００４８】

【発明の効果】以上詳述したように請求項１〜請求項５
に記載の発明によれば、駆動手段を高速で駆動せずに満
ボビンの搬出及び空ボビンの供給に要する時間を短縮で
き、特にロング機台における太番手糸の紡出時における
紡機機台の稼働率の低下を防止することができる。ま
た、駆動手段の寿命を延長することができる。

【００４９】請求項３に記載の発明によれば、両ぺッグ
トレイ通路の第２端部を、ワインダにぺッグトレイ搬送
経路を介して接続すれば、ワインダとの間で満ボビン及
び空ボビンの授受をぺッグトレイごと行うことができ
る。

【００５０】請求項４に記載の発明では、上流側に位置
する移送手段の作動により、上流側のぺッグトレイ通路
上のぺッグトレイが接続部を経て順次下流側のぺッグト
レイ通路上に円滑に送り出され、接続部上のぺッグトレ
イを下流側のぺッグトレイ通路上に送り出す装置が不要
となる。

【００５１】請求項５に記載の発明では、両移送部材を
駆動する駆動手段の制御が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 一実施の形態の概略平面図。

【図２】 移送装置の接続部付近を示す部分平面図。

【図３】 （ａ）は位置決め部材及び移送レールの支持
状態を示す断面図、（ｂ）はガイドバーの支持状態を示
す断面図。

【図４】 （ａ）は支承部と移送レールの関係を示す一
部省略平面図、（ｂ）は同じく断面図。

【図５】 変更例の移送装置と接続部の配置関係を示す
概略平面図。

【図６】 （ａ）は従来装置の概略平面図、（ｂ）は別
の従来装置の概略平面図。

【符号の説明】

１…紡機機台としての精紡機機台、２…ペッグトレイ、
２ａ…ペッグ、２ｂ…係止凹部、３…接続部としてのガ
イド通路、６…移送手段を構成する移送部材としての移
送レール、７…ぺッグトレイ通路を構成するガイド部材
としてのガイドカバー、８…係止部材としての位置決め
部材、８ａ…係止突起、９…スピンドル、１２，１３…
駆動手段としてのエアシリンダ、１５…ベースプレー
ト、１５ａ…支承部、Ｔ１…ぺッグトレイ通路及び移送
手段としての第１の移送装置、Ｔ２…同じく第２の移送
装置。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面にペッグを備えスピンドルピッチと
   同一又は僅かに小さい直径のペッグトレイが一列状態で
   移動可能なぺッグトレイ通路を紡機機台長手方向両側に
   沿って延設し、両ぺッグトレイ通路の少なくとも第１端
   部同士を接続部で連結して、前記ぺッグトレイ通路に沿
   って往復動される移送手段によりボビンが装着されたぺ
   ッグトレイを所定量ずつ間欠的に移動させる紡機におけ
   るボビン搬送方法において、 前記移送手段の１回のストロークをスピンドルピッチの
   複数倍以上とし、１列状態の前記ぺッグトレイをスピン
   ドルピッチの複数倍ずつ移動させるようにした紡機にお
   けるボビン搬送方法。
2. 【請求項２】 上面にぺッグを備えスピンドルピッチと
   同一又は僅かに小さい直径のペッグトレイが一列状態で
   移動可能なぺッグトレイ通路を紡機機台長手方向両側に
   沿って延設し、両ぺッグトレイ通路の少なくとも第１端
   部同士を接続部で連結して、前記ぺッグトレイ通路に沿
   って往復動される移送手段によりボビンが装着されたぺ
   ッグトレイを所定量ずつ間欠的に移動させる紡機におけ
   るボビン搬送装置において、 前記移送手段は往動時にその移動量とほぼ等しい距離前
   記ぺッグトレイを一体的に移動させるとともに、復動時
   にはぺッグトレイの相対移動を許容するように構成さ
   れ、かつその１回のストロークがスピンドルピッチの複
   数倍以上に設定されている紡機におけるボビン搬送装
   置。
3. 【請求項３】 前記ぺッグトレイ通路は第１端部同士が
   接続部で連結され、 前記移送手段は、 ぺッグトレイを１列状態で搭載してぺッグトレイを移送
   可能に前記各ぺッグトレイ通路のほぼ全長にわたって延
   びるように配置された移送部材と、 前記移送部材をスピンドルピッチの複数倍以上のストロ
   ークで往復動させる駆動手段と、 移送部材のぺッグトレイの移送方向への移動時にはぺッ
   グトレイの移動を許容する退避位置に、反対方向への移
   動時にはぺッグトレイの移動を阻止する係止位置にそれ
   ぞれ変位可能に配置された複数の係止部材とを備えてい
   る請求項２に記載の紡機におけるボビン搬送装置。
4. 【請求項４】 前記両ぺッグトレイ通路はその第１端部
   において、ぺッグトレイの円滑な移載を可能とするため
   両端がほぼ円弧状に形成された接続部により互いに接続
   されている請求項２又は請求項３に記載の紡機における
   ボビン搬送装置。
5. 【請求項５】 前記両移送部材はそれぞれ同時にぺッグ
   トレイの移送方向に作動され、かつ反対方向にもそれぞ
   れ同時に作動される請求項４に記載の紡機におけるボビ
   ン搬送装置。