JPH0439463Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、デイスク型摩擦クラツチにおける
クラツチデスクに関するものである。

デイスク型摩擦クラツチ特に大、中型のデイス
クにその傾向の発生が多いアイドリング時と高速
走行時においての、夫々の騒音や異音等を防止す
るため、クラツチデイスクのデイスクプレート、
サブプレート間に１段目と２段目で作動する夫々
の摩擦手段が設けられることは知られている。

即ち、伝達トルクが小さいときは、小さい摩擦
力の摩擦材に捩じりが生じ、これが大きくなつた
時は、大きな摩擦力をもつ摩擦材に捩じりが生ず
るようにされたものである。

本考案は、前記従来技術に対して更に、該小さ
い摩擦力の摩擦材に均等な押圧力を与えることの
できるスラストプレートを設け、該スラストプレ
ートの回転防止のための係止部の形状を工夫する
ことによつて、該摩擦材の発生するヒステリシス
トルクを安定化し、又、該スラストプレートの係
止部の強度を向上させることを目的としたもので
ある。

この種のクラツチデイスクにおけるデイスクプ
レート寄りのスラストプレートは、従来その形状
断面を第２図Ｂ矢示部に示す如く、内径部に複数
個の折り曲げ突出する爪部ａを形成し、サブプレ
ートに設けた係止部に係止させていた。

従つて、爪部の係止する相手方に係止受入れ手
段を要するのは勿論、該爪部が曲がつているため
スラストプレート部の平面度が悪くなり、ヒステ
リシスの安定化を妨げた。また、爪部の幅には構
成組付け上、その大きさの上限側に限界があり、
このため強度上での制限を受け、曲げ成形による
強度面の低下する欠点があつた。

この考案は、係止のための折り曲げ爪部を設け
ることなく、単一平面のスラストプレートをクラ
ツチデイスクに採用したものであり、その結果上
記欠点が解消され、特に１段目のヒステリシスを
安定化せしめ得たものである。

以下、本考案実施例の要部の構成について説明
する。

１はクラツチハブで該ハブ１の両側には２個の
低摩擦力の摩擦材２の夫々が、また、デイスクプ
レート３方向側に後記詳述するスラストプレート
４、低ヒステリシス用の皿バネ或いは波形バネ５
が、更に上記これら各部材の両側に制御板６が
夫々配設され、これらの（組）が第１摩擦機構と
して、複数個のスラストピン７により軸方向の長
さを制御される。

８及び９は、夫々前記制御板６の外側に配置さ
れた高摩擦力の摩擦部材で、デイスクプレート３
の内側のスラストブツシユ１０、サブプレート１
３内側の高ヒステリシスの皿バネ１１、平板１２
等を組とし、この各部材（組）が第２摩擦機構と
して、スラスト軸１４により軸方向長さを制御さ
れている。

該デイスクプレート３には該スラスト軸１４に
よつて、図示しないエンジンのフライホイールと
同じく図示しないクラツチ機構のプレツシヤープ
レートとの間で圧着されるフエーシング１５が固
着されている。

尚、第１図のＳ矢印は、伝達トルクが小さいと
きの第１段目で働くトーシヨンダンパー手段部を
示し、Ｌ矢印は該トルクが大となつたとき働く第
２段目のトーシヨンダンパー手段部を示す。

第１図において、該Ｓ矢印で示されるトーシヨ
ンダンパー手段部を構成するトーシヨンスプリン
グ１６は、該クラツチハブ１に設けられた窓１ａ
内に圧挿され、該Ｌ矢印で示されるトーシヨンダ
ンパー手段部を構成するトーシヨンスプリング１
７は、該制御板６，６に設けられたスリツト６ａ
内に圧挿されている。

而して、本考案の要旨とする前記スラストプレ
ート４は、第４図に示す如く、クラツチハブに嵌
装される内孔４ａと、スラスト面４ｂを持ち、該
スラスト面４ｂには前記第１摩擦機構のスラスト
ピン７を受け入れるＵ字溝４ｃを持つ突起部４ｄ
が形成されている。この突起部のＵ字溝４ｃは第
１〜３図を見て明らかなように前記スラストピン
７の各々と係止し、スラストプレート４の回動を
制御する。

次に、本考案によるクラツチデイスクの作動に
ついて説明する。図示しないエンジンから回転ト
ルクが伝わると該クラツチハブ１と該デイスクプ
レート３、及びサブプレート１３との間の捩じれ
が発生するが、まず最初に該制御板６，６の端部
６ｂが該トーシヨンスプリング１６に当接し、該
トーシヨンスプリング１６を圧縮する。該エンジ
ンからの伝達トルクが増大し、該クラツチハブ１
と該デイスクプレート３、及びサブプレート１３
との間の捩じれ角も増大すると、該クラツチハブ
１の窓１ｂが該トーシヨンスプリング１７に当接
し、該トーシヨンスプリング１７を圧縮する。こ
こで、該トーシヨンスプリング１７は該トーシヨ
ンスプリング１６に比較して、そのバネ定数を高
く設定しているため、該クラツチハブ１と該デイ
スクプレート３、及びサブプレート１３との間の
捩じれ角に対する発生トルクの線図は図５にある
とおり、伝達トルクが小さい時にはその傾斜が緩
やかであり、伝達トルクが大きくなると急なもの
となる。

一方、捩じり角の夫々の領域におけるヒステリ
シスについて見れば、該スラストプレート４はＵ
字溝４ｃによつて該スラストピン７に係止されて
いるため、該スラストプレート４は常に該制御板
６，６と一体となつて回動して、伝達トルクが小
さい時には該制御板６，６が該デイスクプレート
３及びサブプレート１３と共に移動し、該摩擦材
２，２において相対回転が発生する。その後に捩
じれ角が増大し、該クラツチハブ１の溝１ｃが該
スラストピン７に当接すると、該制御板６，６が
該クラツチハブ１と共に回動し、該摩擦部材８，
９において相対回転が発生する。従つて、伝達ト
ルクが小さい時には低ヒステリシスとなり、その
後伝達トルクが大きくなると高ヒステリシスとな
る。

ここで、該スラストプレート４は常に皿バネ５
からの付勢力を受けて該摩擦材２を面上均等に押
圧するため、前記低ヒステリシスを安定させるこ
とができる。

突起部４ｄは折り曲がることなく、スラスト面
４ｂと同一平面のため平面度がでやすく当たりが
均一となり、ヒステリシスを安定させる。又、そ
の係止には係止相手側に係合手段を設ける必要の
ないスラストピンを利用した。

加えて、その成形には折り曲げ式のようなサイ
ズの制限を伴わず、強度面で耐久性を有すと共に
その組付けも容易である。

又、前記したスラストプレート４のＵ字溝４ｃ
は、該低摩擦力の摩擦材２，２より径方向外側に
設けたため、該摩擦材２，２を該スラストピン７
が貫通せずに該摩擦材２，２の摩擦面積を広くす
ることができ、前記低ヒステリシスを更に安定さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のクラツチデイスクを説明す
るためのデイスク型摩擦クラツチの一部を破断し
た平面図、第２図は、第１図のＡ−Ａ線に沿つた
断面図、第３図は、第２図におけるＣ矢示部の拡
大説明図、第４図は本考案の要部部品の説明図、
第５図は、本考案によるクラツチデイスクのトル
ク線図である。 １……クラツチハブ、２……摩擦材、３……デ
イスクプレート、４……スラストプレート、５，
１１……バネ、６……制御板、７……スラストピ
ン、８，９……摩擦部材、１０……スラストブシ
ユ、１２……平板、１３……サブプレート、１４
……スラスト軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラツチハブと、該クラツチハブの両側に配さ
   れ夫々低摩擦力の摩擦材とバネとを有し少なくと
   も一方に単一平面のスラストプレートを配した第
   １摩擦手段と、該第１摩擦手段の両側に夫々制御
   板を介して配され高摩擦力の摩擦材を有する第２
   摩擦手段と、該第２摩擦手段の両側に配され前記
   クラツチハブを挟着するデイスクプレート及びサ
   ブプレートと、前記クラツチハブに貫通され前記
   制御板を連結するスラストピンとを有し、前記第
   １摩擦手段のスラストプレートの該低摩擦力の摩
   擦材より径方向外側に位置する外周縁に前記スラ
   ストピンに係止される溝を設けたことを特徴とす
   るクラツチデイスク。