JPH0439217B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、表面電荷の減衰率の少ない積層エレ
クトレツト繊維状シートに関するものである。

［従来の技術］ 従来、エレクトレツト繊維状シート空気中に放
置すると、空気中の塵埃を吸着して中和現象が生
じ、その表面電荷密度が急速に減衰して外界への
電気作用を消失するという欠点があつた。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明の目的は、上述の欠点を解消し、長期間
に亘つて表面の電荷減衰率の少ないエレクトレツ
ト繊維状シートを提供するものである。

［問題点を解決するための手段］ 即ち、本発明は、表面電荷密度が異なる繊維状
シートが少なくとも２枚積層されてなるシートで
あつて、該シートの表面電荷密度が少なくとも２
×10^-11c／cm²であることを特徴とする積層エレク
トレツト繊維状シートである。

本発明の実施態様例を第１〜３図に図示する。

１，１′，１″は本発明の積層エレクトレツト繊
維状シートを示す。

２，３，４は各々表面電荷密度の異なる繊維状
シートを示す。

表面電荷密度は２，３，４の順に大きくなる。

特に表層に表面電荷密度の小さい繊維状シート
２を配置すると効果的である。これは、表層部の
表面電荷密度が小さいため、空気中の塵埃の吸着
力は少なく、中和現象による減衰効果を受けにく
い。また、内層の表面電荷密度の高い繊維状シー
ト３または４による電気力が外層に働くため、減
衰効果を防止することができる。

高い表面電荷密度を有する繊維状シートとして
は、外層に影響を与えるため、１×10^-10c／cm²以
上、より好ましくは３×10^-10c／cm²以上が望まし
い。また低い表面電荷密度としては、１×
10^-10c／cm²未満が好ましい。

また積層繊維状シートの表面電荷密度は、エレ
クトレツト効果を発揮するため、２×10^-11c／cm²
以上が好ましい。さらに好ましくは５×10^-11c／
cm²以上が好ましい。また、積層後の表面電荷密度
は、表層の低い繊維シートの表面電荷密度より高
くなる。

繊維状シートとしては、織編物、不織布、紙な
ど通気性のあるものが好ましく使用することがで
きる。

１×10^-10c／cm²以上の表面電荷密度を有する戦
機状シートの素材としては、例えば、体積抵抗率
が10¹²Ω・cm以上の材質がよく、ポリオレフイン
（ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレ
ン）、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロ
ニトリル、ポリカーボネート、塩化ビニル、弗素
樹脂など、またガラスなどの無機材料も用いるこ
とができる。

一方、１×10^-10c／cm²未満の表面電荷密度を有
する繊維シートとして、上記繊維以外に、天然繊
維、コーテイング布帛などを用いることができ
る。また、導電性繊維も用いることができる。さ
らにまた、目付が大き過ぎたり、厚みがあると積
層エレクトレツト繊維状シートの表面電荷密度を
２×10^-11c／cm²以上にすることができないので、
適切な目付、厚みを選定すことが必要である。

上記点から好ましく、また、繊維状シートとし
て目付が200ｇ／m²以下が好ましい。

本発明の積層エレクトレツト繊維状シートは、
フイルタ、メデイカル資材、吸着材、産業資材、
棒塵衣、手袋など種々の用途に亘つて表面電荷減
衰の少ないエレクトレツトシートとして用いるこ
とができる。

例えば、フイルタとして用いる場合、電荷減衰
が少ないため、長期間に亘つて高捕集効率を維持
することができる。表面電荷密度の少ない表層部
で粗いダストが捕集され電気力で再飛散を防止
し、ついで表面電荷密度の高い部分で細いダスト
を捕集し高性能化できる。

また、メデイカル用資材として傷口などに貼り
つける場合、血液の凝固付着が少なく、内層より
電気力が外層に働き、傷口に早期治療に役立つ。

また、吸着材として使用する場合は、ダストが
表層についても表面電荷密度の高い内層の電気力
の効果で、減衰が防止できる。さらにダスト上に
ダストを堆積させても減衰が少なくでき、多くの
ダストを吸着することができる。

異なる表面電荷密度を有する繊維シートの積層
方法は、単に積層する場合、接着剤、融着剤で接
合する場合、機械的方法で絡合、縫製する場合な
どいずれも可能である。

表面電荷密度を有する繊維シートの製造方法に
ついて簡単に述べる。

第４図に示す方法で、アース電極５上に半導体
材料６を置き、その上にエレクトレツト化する繊
維シート７を配置して、針状電極８により、直流
高電圧印加９を行なつてエレクトレツト化する。

エレクトレツト化雰囲気温度ば、繊維シートの
材質によつて適当に変えて行なう。このような製
法で得られたエレクトレツト繊維状シートの電気
分極の向きは第５図にモデル図に示すごとく、厚
さ方向に配向している。このため、表面電荷密度
の大きさのコントロールは、印加電圧によつて実
行することができる。

１×10^-10c／cm²未満の繊維状シートには、例え
ばエレクトレツト化工程を経なかつた繊維シート
を使用してもさしつかえない。

体積抵抗率と表面電荷密度の測定法について以
下に述べる。

体積抵抗率は、JIS−Ｃ−2318に準じて測定し
た。表面電荷密度は第６図に示す方法で測定し
た。

測定すべき繊維シート材料１０をアースした金
属板１１上に置き、他の金属電極（４cm径）１２
を上方から試料に接近、接触させて、試料表面に
存在す電荷を静電誘導で金属電極１２に生じせし
め、この電荷をコンデンサー１３にためて、電位
計１４でその電位を測定し、下式より試料表面の
表面電荷密度を求める。

表面電荷密度（ｃ／cm²）＝Ｃ×Ｖ／Ｓ Ｃ：コンデンザー容量（フアラツド） Ｖ：電位（ボルト） Ｓ：電極面積（cm²） ［実施例］ 実施例 １ 表面電荷密度８×10^-10c／cm²を有するポリプロ
ピレンフイラメント織物（500Dマルチフイラメ
ントをタテ糸密度81本／in、ヨコ糸密度58本／吋
で構成した朱子織物）に、表面電荷密度５×
10^-12c／cm²のポリエステルタフタ（タテ、ヨコ糸
使用繊度100D、糸密度タテ112本／in、ヨコ88
本／吋）の織物を積層して本発明の積層エレクト
レツト繊維状シートを得た。

積層後の表面電荷密度は9.5×10^-11c／cm²であ
つた。（低い表面電荷密度の織物側） 本発明のシートを空気中に１ケ月間放置した
が、表面電荷の減衰率は20％以下であつた。本発
明のシートを吸着材として用いたところ、長期に
亘つてダスト吸着効果を示した。

実施例 ２ 表面電荷密度６×10^-10c／cm²を有する平均繊度
0.03dのポリプロピレンメルトブロー不織布（40
ｇ／m²）に、表面電荷密度６×10^-11c／cm²の繊度
5dのポリプロピレンスパンボンド不織布（40
ｇ／m²）を両面より積層した。

本発明のシートの表面電荷密度は両表面とも
9.1×10^-11c／cm²であつた。

本発明のシートをフイルタとして１ケ月間使用
したが、捕集効率の低下は殆ど認められなかつ
た。

実施例 ３ 表面電荷密度１×10^-9c／cm²を有する0.03d平均
繊度のポリプロピレンメルトブロー不織布（20
ｇ／m²）に、表面電荷密度２×10^-11c／cm²を有す
る0.03d平均繊度のポリプロピレンメルトブロー
不織布（40ｇ／m²）を積層して本発明のシートを
作成した。

その表面電荷密度は、9.8×10^-11c／cm²であつ
た。（低い表面電荷密度側表面） 本発明のシートを創傷保護材として用いたが、
電荷減衰率は15％以下であつた。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本発明に係る積層エレクトレ
ツト繊維状シートをあらわす模式図、第４は表面
電荷密度を有するエレクトレツト繊維状シートの
製造方法をあらわす説明図、第５図は本発明のエ
レクトレツト繊維状シートの電気分極の向きをあ
らわす模式図、第６図は表面電荷密度の測定装置
をあらわす説明図である。 １，１′，１″：本発明の積層エレクトレツト繊
維状シート、２：低い表面電荷密度を持つ繊維状
シート、３：高い表面電荷密度を持つ繊維状シー
ト、４：最も高い表面電荷密度を持つ繊維状シー
ト、５：アース電極、６：半導体材料からなるシ
ート、７：繊維状シート、８：針状電極、９：高
圧印加装置、１０：表面電荷密度を有する繊維状
シート、１１：アース電極、１２：金属電極、１
３：コンデンサー、１４：電位計。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 表面電荷密度の異なる繊維状シートが少なく
   とも２枚積層されてなるシートであつて、該シー
   トの表面電荷密度が少なくとも２×10^-11c／cm²で
   あることを特徴とする積層エレクトレツト繊維状
   シート。 ２ シート表層部が表面電荷密度の小さい繊維シ
   ートで配置されていることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の積層エレクトレツト繊維状シ
   ート。 ３ シートの内層部が表面電荷密度１×10^-10c／
   mm²以上の繊維シートで配置されていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の積層エレクト
   レツト繊維状シート。