JPH0439127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等
の合成樹脂で２軸延伸ブロー成形される壜体の底
壁構造に関するものである。

〔従来の技術〕

炭酸飲料を収納する所謂耐圧壜体として、昨今
では重量が嵩み、割れ易いガラス壜に代わつて、
合成樹脂製の壜体が広く利用されている。

この壜体において最も重要な問題点は、収納す
る液体の圧力による変形を如何に防止できるかで
あつて、特に壜体の底壁はこの耐圧の点よりする
と、下方に膨出した形状が望ましいのであるが、
一方では壜体を自立させる必要があることから、
上記膨出形状では不都合であるので、この膨出部
分を内方に反転させた形状としている。

ところで、ポリエチレンテレフタレート樹脂等
の合成樹脂による２軸延伸ブロー成形壜体にあつ
ては、耐内容物性、強度等を高めるべく成形時に
充分な延伸が行われなければならないが、特に成
形時に延伸ピンが当接する底部中心の凹部周辺部
分は、縦方向の延伸はほぼ充分に受けるものの周
方向の延伸量は少なく、剛性の不充分なものとな
つていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、上記した従来の欠点、不都合を解消
するべく考案された２軸延伸ブロー成形壜体の底
壁構造に関するものであつて、底壁の強度を確保
すると共に、底壁の延伸を、径方向及び周方向に
充分に達成することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

以下、本考案を、本考案の一実施例を示す図面
を参照しながら説明する。

本考案による壜体１の底壁構造は、２軸延伸ブ
ロー成形により筒形状の胴体２の下端に底壁３を
連設した構成であつて、この底壁３を段部１０と
傾斜壁４と頂壁５と補強リブ８とから構成してい
る。

そして、前記段部１０は、上端に幅狭な内鍔状
片を有して小さな高さで立ち上がつており、傾斜
壁４は、この段部１０の内鍔状片の内周縁から急
傾斜に陥没し、頂壁５は、この傾斜壁４の上端に
内鍔状になだらかに湾曲連続する周辺部６の内周
縁に、下方に大きく膨出した膨出部７を連設した
ものであり、補強リブ８は、前記傾斜壁４から周
辺部６内周縁にかけて、膨出部７の中心からの放
射線に沿つて、複数が等間隔に突条状に変形して
設けられている。

〔作用〕

上記した構成の底壁３にあつて、先ず段部１０
は、“座”を提供する胴体２下端部から立ち上が
つた壁構造となつているので、この“座”を提供
する胴体２下端部分の径方向の延伸を増大させる
ことになり、かつ壜体１に所定の液体を収納した
結果生じる内圧等の壜体１内圧を受け止める主体
部分である傾斜壁４と頂壁５との組合せ部分が、
前記内圧の作用により僅かに外方（第１図におい
て下方）に変形変位しても、この変形変位量が段
部１０の高さよりも大きくならない限り、底壁３
の一部が胴体２の下端よりも下方に突出して、壜
体１の“座り”の安定性を低下させないようにし
ている。

また、傾斜壁４は、急傾斜で内方に陥没した構
成としているので、この傾斜壁４と胴体２下端部
との間における部分の局部的な延伸が増大し、頂
壁５は、内鍔状になだらかに湾曲連続する周辺部
６と下方に大きく膨出した膨出部７とから構成さ
れるので、作用する内圧を弾性的に受け止め、高
い耐内圧強度を発揮し、さらに突条状の補強リブ
８が傾斜壁４から周辺部６内周縁にかけて設けら
れているので、周方向への延伸量が増大すると共
に、底壁３自体の内圧に対する構造的補強を充分
に達成するものとなつている。

また、内圧を受け止める底壁３の主体部分であ
る傾斜壁４と頂壁５との組合せ部分は、段部１０
の上端に設けられた内鍔状片の内周縁に連設され
ているので、内圧を受け止めた傾斜壁４と頂壁５
との組合せ部分を、この段部１０の内鍔状片が弾
性的に安定して支えることになり、これにより底
壁３全体の耐内圧強度を充分に高いものとしてい
る。

〔実施例〕

図面は、本考案の一実施例を示すものにして、
膨出部７の中心は、成形時に延伸ピンが当接する
凹部９となつており、補強リブ８は、等中心角毎
に八個設けられている。

この補強リブ８は、傾斜壁４下端、すなわち段
部１０の内鍔状片部分から周辺部６内周縁にかけ
て形成されており、下方にゆくに従つて、その膨
出変形程度が大きくなつている。このため、傾斜
壁４は、下方にゆくほど周方向の延伸が増大され
ることになり、これにより傾斜壁４の物性的な強
度が増大して、底壁３全体の耐内圧強度がより高
まることになる。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案の２軸
延伸ブロー成形壜体の底壁構造は、２軸延伸ブロ
ー成形時に、底壁部分に、局部的に、全体的に周
方向及び径方向に充分に延伸を付与することがで
き、また内圧に対して充分な構造的強度を得るこ
とができ、従つて耐内圧性、機械的強度等に優れ
た壜体を得ることができ、構成が簡単であつて成
形が用意である等、多くの優れた作用効果を発揮
するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す、縦断面図
である。第２図は、第１図に示した実施例の底面
図である。 符号の説明、１……壜体、２……胴体、３……
底壁、４……傾斜壁、５……頂壁、６……周辺
部、７……膨出部、８……補強リブ、９……凹
部、１０……段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒形状の胴部の下端に連設される底壁を、上端
   に幅狭な内鍔状片を有して立ち上がつた高さの小
   さい段部と、該段部の内鍔状片内周縁から急傾斜
   で内方に陥没した傾斜壁と、該傾斜壁の上端から
   内鍔状になだらかに彎曲連続する周辺部の内周縁
   から下方に大きく膨出して膨出部を連設した頂壁
   と、前記傾斜壁から前記周辺部内周縁にかけて、
   前記膨出部中心からの放射線に沿つて突条状に変
   形設した多数の補強リブとから構成して成る２軸
   延伸ブロー成形された合成樹脂製の壜体の底壁構
   造。