JPH043742B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はガス透過率を制御しうる包装材料に関
する。 ガス透過率を制御する目的で使用されている包
装材料は、防虫剤や脱酸素剤、化学カイロなどの
封入紙、メスや注射器など用の滅菌紙、プラスタ
ーなどの基材として使用されている。 たとえば防虫剤の封入紙としては(1)セロハン、
(2)紙にポリエチレンをラミネートしたもの、(3)紙
にポリエチレンおよびポリエステルをラミネート
し、孔をあけたもの、(4)ポリエチレンとポリエス
テルをラミネートしたフイルムに孔をあけ、この
ラミネートフイルムをポリエチレン層を介して紙
にラミネートしたもの、(5)ポリエチレンをラミネ
ートした紙とポリエチレンをラミネートしたポリ
エステルフイルムとを継ぎ合わせた材料から作製
されている。 また、食品などの包装中に入れる脱酸素剤用の
封入紙、化学カイロの発熱剤組成物封入用の袋な
どのガス（酸素）の透過量を制御しなければなら
ない包装材料にも、前記(3)〜(4)の材料が使用され
ている。 しかしながら、(1)の包装材料は実質的にガス不
透過性のものであり、使用時に鋏などで一部を切
り取らなければならず、また切り取り方によつて
防虫剤の昇華速度が大きく左右され、昇華速度の
制御が困難である。また(2)の材料では、ガス透過
速度が大きすぎるため、短期間に防虫剤が昇華拡
散してしまう。これらの欠点を改善したものが(3)
〜(5)の材料であり、(3)〜(4)のように穴の面積を調
節したり、(5)のようにガス透過性の部分の面積を
調節したりしてガスの透過率を制御している。し
かしながら、(3)〜(4)の材料は紙、ポリエチレンお
よびポリエステルと少なくとも３層にしなければ
ならず、しかも穴をあける必要があり、材料費が
かさみかつ製造工程も複雑となつている。また(5)
の材料においても同様の問題点があり、さらに継
ぎ合わせて作製されているため部分的に厚さが異
なり、ロール巻きが難しい。 本発明者らは叙上の欠点を解消した包装材料を
うるべく種々研究を重ねた結果、疎水性材料と親
水性材料とからなるガス透過性の包装基材と該基
材の一部を覆う再生セルロース層とからなる包装
材料が、ガスの透過率を制御することができ、か
つ容易に作製することができることを見出し、本
発明を完成するに至つた。 本発明の包装材料は、包装基材の少なくとも一
方の面にビスコース液を塗布あるいは含浸せし
め、凝固浴ついでセルロース再生浴中で処理する
ことによつてえられる。 かかるビスコース加工を行なうことにより、塗
布または含浸せしめられたビスコース液の親水性
材料に対する界面張力と疎水性材料に対する界面
張力が異なるので、ビスコース液の粘度や塗布量
および塗布、含浸方法を適当に選定することによ
り、前記界面張力の差によつてビスコース液が疎
水性材料上には留まらずに親水性材料に移動し、
包装基材全体を覆うことはない。再生セルロース
層はガス不透過性であるので、再生セルロース層
で覆われていない部分のみをガスが透過すること
になる。したがつて、再生セルロース層で覆う面
積を調節することにより、ガスの透過率を自由に
制御することができる。 再生セルロース層で覆う面積の調節は、たとえ
ば包装基材の親水性材料と疎水性材料との割合や
分布、密度、ビスコース液の濃度、粘度、付着量
などを選定することによつて自由に行なうことが
できる。たとえばガス透過率を小さくするために
は、包装基材の密度を大きくする、ビスコース液
の付着量を多くする、ビスコース液を基材中に浸
透しにくくするなどの方法を採用すればよい。 包装基材としては親水性材料と疎水性材料とか
らなるものであればとくに制限されず、たとえば
混抄紙、抄き合せ紙などの紙、不織布、織布など
があげられる。 親水性材料としては、たとえば広葉樹パルプ、
針葉樹パルプなどの天然パルプ、マニラ麻、コウ
ゾ、ミツマタなどの靭皮繊維、コツトンリンタ
ー、ビスコースレーヨン、キユプラ、ポリビニル
アルコール、ビニロンなどの天然、半合成または
合成繊維などの１種または２種以上が用いられう
る。 疎水性材料としては、たとえばポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、
ポリ塩化ビニリデン繊維、低融点ポリアミド繊
維、エチレン−酢酸ビニル共重合体繊維などの低
融点の熱可塑性樹脂繊維またはそれらのコンジユ
ゲート繊維や、ポリエステル繊維、アクリル繊
維、ポリウレタン繊維、高融点ポリアミド繊維な
どの高融点の熱可塑性樹脂繊維などがあげられ
る。 従来のこの種の包装材料では前記(2)〜(5)に示す
ようにヒートシール性を付与するためにポリエチ
レンをわざわざラミネートしているが、本発明に
おいて疎水性材料として低融点の熱可塑性樹脂を
使用するときは、ビスコース加工をするだけでガ
ス透過率の制御ができると共にヒートシール性を
も付与することができる。 親水性材料と疎水性材料との配合割合は、用途
や目的とするガス透過率などによつて異なり、幅
広い範囲が採用される。 本発明の包装材料は、前記のごとくガス透過性
の包装基材を覆う再生セルロース層の範囲を調節
することによりガス透過率を制御しうるものであ
り、従来のこの種の包装材料に比して構造が簡単
であり、しかも容易にかつ安価に製造することが
できる。さらにビスコース加工によつて包装基材
に機械的強度を付与することができ、また疎水性
材料として低融点の熱可塑性樹脂を用いるときは
ヒートシール性をも付与することができる。 本発明の包装材料は、そのまま種々の包装材料
として用いてもよいし、それらを積層して用いて
もよいし、さらにガス透過性の合成樹脂フイルム
をラミネートした複合材料として用いてもよい。 本発明の包装材料はガス透過率を制御する必要
のある技術分野で広く利用でき、たとえば防虫剤
の透過を制御する防虫剤用の封入紙、酸素の透過
を制御する脱酸素剤用の封入紙や化学カイロ用の
袋体、あるいはメスや注射器の水蒸気やエチレン
オキサイドガスによる滅菌処理用の滅菌紙、水蒸
気や空気の透過が必要となるプラスター用の基材
などにとくに好ましく用いられうる。 つぎに実施例をあげて本発明の包装材料を説明
するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。 実施例 つぎに示す包装基材を作製した。 混抄紙：針葉樹パルプとSWP（三井石油化学工業
(株)製のポリエチレン製合成パルプの商品名）
の50：50（重量比）の混抄紙（坪量22ｇ／m²） 抄き合せ紙：針葉樹パルプとマニラ麻／ポリプロ
ピレン繊維（50／50、重量比）との抄き合せ
紙（坪量30ｇ／m²） 不織布：レーヨンとES（チツソポリプロ繊維(株)製
のポリプロピレンとポリエチレンとのコンジ
ユゲート繊維の商品名）の50：50（重量比）
の不織布（坪量40ｇ／m²） 織 布：ポリエステルと綿の65：35（重量比）の
織布 これらの包装基材を常法で調製したビスコース
液（粘度5000cP）をセルロースの付着量が第１
表に示す量となるようにロールコータでコーテイ
ングしたのち凝固浴中で処理し、ついでセルロー
ス再生浴中でセルロースを再生したのち脱硫し、
水洗したのちグリセリン浴中で柔軟処理し乾燥し
て本発明の包装材料をえた。 えられた包装材料の透気度をJIS P8117に規定
された方法に従つて測定した。結果を第１表に示
す。

【表】

【表】 第１表から明らかなごとく、包装基材の種類お
よび再生セルロースの付着量を調節することによ
り、自在に透気度を制御することができる。な
お、市販の脱酸素剤の包装材料の透気度は約20〜
4000秒であり、化学カイロの封入袋の透気度は約
50〜1000秒である。 つぎに実施例で作製した包装材料に防虫剤（パ
ラジクロルベンゼン）を封入して室内に放置し、
防虫剤の残存量を経時的に測定した。結果を第２
表に示す。

【表】 第２表に示すごとく、本発明の包装材料は防虫
剤の昇華速度を自由に制御することができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 疎水性材料と親水性材料とからなるガス透過
   性の包装基材と該基材の一部を覆う再生セルロー
   ス層とからなるガス透過率を制御しうる包装材
   料。 ２ 包装基材が、紙、不織布または織布である特
   許請求の範囲第１項記載の包装材料。 ３ 再生セルロース層が包装基材の表面付近に形
   成されている特許請求の範囲第１項記載の包装材
   料。 ４ 再生セルロース層が包装基材の内部にまで含
   浸せられた状態で形成されている特許請求の範囲
   第１項記載の包装材料。 ５ 疎水性材料がヒートシール性を有する熱可塑
   性合成樹脂材料である特許請求の範囲第１項記載
   の包装材料。